あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
少し蒸し暑い朝。
嫌でも耳に入って来るセミの鳴く声を聞いて、ああ…今年も夏になったんだなぁと実感しつつ、オレは手でパタパタと顔を扇ぐ。
オレは今、美浦寮の前でウインディを待っている。
と、言うのも今年からウチのウインディもクラシック級ということで夏合宿をする許可が降りたからだ。
とは言え、まだ約束の時間より二十分ほど早いんだが。
「お?アンタ、ウインディのトレーナーじゃないか」
寮の前で箒を手に掃除をしていたウマ娘が、その手を止めて話しかけて来る。
「お、久しぶりだなぁ。ヒシアマゾン」
「なんだい?またウインディに用かい?呼んで来ようか?」
またって…別にそう何度も来てる訳でも無いはずだけども…。
「いや、今朝は気が急いてね。車の準備も出来てるんだが、オレ自身今回が初合宿でなぁ」
少しばかりソワソワしてしまった。
なんなら、ゆうべの忙しなさは小さい頃の初旅行のとき以来なんじゃなかろうか。
「あぁ〜…だからあんなに張り切ってたのか…」
なにやら納得したような様子でうんうん。とひとり頷くヒシアマゾン。
どうやらウインディの方も初合宿にテンションが上がっていたようだ。可愛い。
まぁ、今回の合宿プランは先輩方の日頃のアドバイスを何度も思い出しながら何度も何度も調整しつつ組み立てていたから問題はないと思う。
「まぁ、なんだ。アンタがウインディのトレーナーになってくれて良かったよ」
「そうか?そう言ってもらえるんならトレーナー冥利にも尽きるが…」
「ああ。なんせあの子は…」
「へぇ〜…そんなことが…」
そして、十分ほどヒシアマゾンと話し込んでいたところ…。
ドタドタドタドタドタドタ…。
「のだぁ〜!!やっと準備できたのだぁ〜!!」
寮の中から聞き慣れた足音と声が聞こえて来る。可愛い。
「おお、ウインディ〜!!待ってたぞ〜!!」
軽く手を振って、ウインディにアピールしてみる。
「のだっ!?トレーナー♪」
嬉しそうに駆け寄ってくるウインディ。可愛い。
「忘れ物は無いかぁ?」
「のだぁ〜♪ちゃんとプリントのものはかばんにいれたのだ〜」
そう言いつつ、旅行鞄を指差すウインディ。可愛い。
よしよし。それなら問題は無いな。
「それじゃあ、車も準備出来てるし、行くか!!」
「のだぁ〜♪」
車に乗り込み数時間。
途中で数度の小休止を挟んで辿り着いたのは、海とそれに面した緑豊かな山に囲まれた合宿所。
チーム持ちのトレーナーにあてがわれるホテルのような豪勢さこそ無いが、それでもトレセン学園の設備だけあって、色々と充実している。
関係者駐車場に車を止め、助手席で寝ていたウインディを心苦しく思いながらも起こし、荷物を持って宿泊施設前に移動する。
「それじゃあ、オレは荷物置きに行くから、ウインディも荷物を置いて移動の疲れを癒してなぁ〜」
「りょーかいなのだ〜♪」
ウインディに鍵を渡して、オレも向かいにあるトレーナー用の合宿施設に荷物を置く。
そして、備え付けの椅子に腰掛け、これからのトレーニングについて思案をめぐらせる。
そうして一時間ほど経った頃…。
「トレーナー!!外に海の家があるからいっしょに行くのだ〜!!」
「おぉ、何か食べたいものでもあったのか〜?」
「エヘー♪フランクフルトに、焼きそばに、かき氷に…焼きとうもろこしもあったのだ〜♪」
おう…ザ・海の家って感じのメニューだなぁ…。
まぁ…オレもちょうど腹が減って来てたし…景気付けにも悪くない。
「よ〜し!!それじゃ行くかぁ!!」
「わ〜いなのだ〜♪」
結果、オレの給料二ヶ月分が早速飛びましたとさ。
夏って怖いね!!
いやまぁ…後悔はしてないけどもさ…。
この二ヶ月、せっかくのチャンスを十全に生かさないとな。
◇
むぐむぐ…。
コレもおいしーのだ〜♪
トレーナー、かき氷ひとくちもらってもいいのだ〜?
こっちもひとくちあげるのだ〜♪
ウマ娘…早く地方レース追加されないかなぁ…。