あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
「さて…ウインディの次のレースは…」
トレーナー用の宿泊施設で手帳を開いて確認する。
『ジャパンダートダービー』
クラシック級でのみ走れるダートG1。
しかも夏合宿の最中というかなり難しい時期に開催されるレース。
芝レースでは夏は暇になるとは言うが、ダートはジュニア級に重賞レースが無かったからか、その分詰め込んでいるのかも知れない。
大井レース場への移動を考えると…。
「成長ペースと体力の回復も考えるとあと二、三日でいったん切り上げかなぁ…」
となると…。
比較的安全かつ、成長の一押しになりそうなトレーニングが望ましいかな。
そしてなにより重要なのは、コレだな。
オレはカバンからとある物を取り出す。
それは、できたばかりのウインディの勝負服。
初のG1の舞台で、袖を通すもの。
コレを着て走ると言う事は、ウインディが最も熾烈な舞台でライバル達と鎬を削るということ。
だがオレにはもう、以前のような不安は無い。
と言うよりもそれ以上に…。
「ウチのウインディが…やっと…やっとウイニングライブデビューができる…!!」
これは涙が出るほど嬉しい。
いやまぁ、実際の涙は本番まで取っておきたいからなんとか堪えるが。
もう勝った気になるほど浮かれる事はできないものの、しかし負けるとも思わない。
それは、ウインディのトレーニングを一番近くで見て来たウインディのトレーナーとして、そして彼女のいちファンとして断言できる。
もちろんライバル達も皆成長を遂げているだろう。
しかし、それでもなおウチのウインディは負けない。
相手に食らいつくような熱い闘志。
それは紛れもなくウインディに教えてもらった事だ。
「トレーナー、来たのだ〜♪」
お、来た来た。
「入っていいぞ〜」
「わかったのだ〜♪」
ウキウキした様子で入って来るウインディ。可愛い。
「トレーナー、次はついに…」
「ああ、G1レースだ」
それを聞くなり、ウインディはギラギラとやる気に満ち満ちた表情を見せる。
「そして、これがウインディの勝負服だ」
「エヘー♪預かっててくれてありがとなのだ〜♪」
勝負服…それはウマ娘の目標や憧れや信念、そして魂のこもった大切な衣服だ。
例えばトウカイテイオーの勝負服が『皇帝』シンボリルドルフの勝負服を模したものであることが有名だ。
「あと二、三日トレーニングをしたら、大井に移動。それから向こうで最後の調整をする」
ざっくりとだがウインディに今後の予定を伝えると、自信満々に頷く。可愛い。
「それじゃ、後はゆっくりしててな。オレはもう少し書類を整理したら早めに寝るから…」
「トレーナー」
「うん?どした?ウインディ」
「お仕事終わったら、ちょっと時間もらっていいのだ〜?」
「別にいいけども…」
「エヘー♪それじゃあ浜辺にしゅーごーなのだ〜♪」
「ああ、わかったよ」
そう言うなり、ウインディは鼻歌混じりに自分の部屋に戻っていった。
そして数時間後…。
ひと通り仕事を終えたオレは、トレーニングに使用した浜辺にやって来た。
「あっトレーナー、こっちなのだ〜♪」
「おぉ〜ウインディ〜待たせちゃってゴメンなぁ〜」
「ダイジョーブなのだ〜♪」
そう言うとウインディは手にした袋をこちらに見せつける。可愛い。
「なるほど、花火か」
「のだ〜、夏といえばコレなのだ〜♪」
確かに、ここらはきちんと後始末する前提だが、敷地内での花火も許可されている。
現にウインディもきちんとバケツを足元に置いている。かしこい。
「それじゃ、さっそくはじめるのだ〜♪」
ガサガサと袋から幾つか気になったのだろう花火を手にニコニコしているウインディ。可愛い。
「それじゃ、花火の先っぽを足元向けないようにして、可燃物…燃えるものも離して置いて、バケツに水…は入ってるなえらいぞ〜」
「エヘー♪」
そんなこんなで色々と準備も済ませ、いざ着火。
シュワワワワ…。
「おぉ、キレイだなぁ〜」
「のだぁ〜♪」
花火を手にはしゃいでいるウインディ。可愛い。
シュワ…シュ…。
お、消えた。
「次、どれがいい?」
「のだっ!!コレ、コレがいいのだ〜!!」
「そっかそっか〜、それじゃあ火をつけるぞ〜」
シュワワワワ…。
「わ〜いなのだ〜♪」
再び元気になるウインディ。可愛い。
「トレーナーもやるのだ〜」
「おぉ、そうだな。それじゃ、オレはこれを…」
そうして一袋分、花火を使い終える。
「それじゃ、帰るか?」
「のだ…」
うん?ウインディが元気ないなぁ…。
「ウインディ、花火ならまた…」
「ちがうのだ」
うん?
「その…トレーナー」
「どうした?ウインディ」
なにやらモジモジしているウインディ。
いや、本当にどうしたんだ?
「その…今度のレースでウインディちゃんが勝ったら…」
「勝ったら?」
ウインディはスーハーと深呼吸している。
「いっしょに、お祭りに行きたいのだ…」
…うん?
「いや、そのくらいは別に構わないけども…」
「のだっ!?ホントにいいのだ!?」
返事を聞くなり、表情がパァっと明るくなるウインディ。可愛い。
「それじゃ、約束なのだ!!」
「おぉ、それじゃ花火片したら戻ろうなぁ」
「ちゃちゃっと済ませるのだ〜♪」
そうして、一緒に花火の後片付けをして、お互い宿泊施設に戻ったのだった。
◇
ふんふふん♪
おっまつり♪おっまつり♪
ふふ〜んウインディちゃん負けないのだ〜♪
でも…なんでトレーナーをさそうのにあんなにキンチョーしたのだ〜?
フシギなのだ〜
せめて、ワールドワイドウインディのイベント増やして…増やして…。