あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
ライブラ杯どうしよ?
日曜日、秋晴れの朝。
ウチの担当ウマ娘がぴょんぴょん飛び跳ねている。
控えめに言ってめちゃくちゃはしゃいでいるのだろう。
「トレーナー!早く来るのだー!」
ニッコニコ笑顔でこちらに微笑みかけてくる。可愛い。
オレは背に負う荷物を担ぎ直す。再び坂を登ると、リュックにつけた熊よけの鈴がガランと鳴る。
ここは、トレセン学園私有地のとある山中。
オレたちは今日ここに、きのこ狩りにやって来ている。
なんでも、理事長が日頃の慰労と、いつもの思いつきできのこ狩り大会なるものを開催するとか。
オレたちは今、その会場に向かう途中である。
無論、登山道には他にもウマ娘とトレーナーの組み合わせがちらほら伺える。
「ウインディ、そんなにはしゃぐと転ぶぞー。」
「だいじょーぶなのだっ、たったとととと…。」
ベシャッと顔面から落ち葉のクッションに盛大にこける。可愛い。
オレは立ち止まり、そして歩み寄る。
「うへ〜、葉っぱが口に入っちゃったのだぁ〜」
「どれ、見せてみな。」
言うと素直に「あ〜」と口を開いて見せるウインディ。
流石に泥まみれの葉っぱが口に入る不快感には勝てなかったようだ。
実際彼女の口の中は泥だらけだ。
「ほら、これで口すすいで。」
ペットボトルの水を差し出すや、そのままひったくって口に含み、ガラガラとうがいをする。
「ペッペッ、災難だったのだぁ〜」
「まぁ、逆にこれできのこ狩りの最中は注意して周りを見回せるだろ。結果オーライと思おう」
そう言うとウインディは
「そーなのだな!」
と元気を取り戻したようだ。
この思考の切り替えの早さもウインディの長所だろう。可愛い。
そして再びテンションが上がったウインディと共に会場に着いた。
会場は山々に囲まれ凹地のようになっており、見回すだけで見事な紅葉が一望できる。
是非ともここで弁当を広げたくなる。
「感謝!諸君よくぞ集まってくれた!」
見上げてみると、ちびっちゃい少女のような見た目の女性が中央に設置された特設ステージの上に堂々と立っている。
あれこそは我らが敬愛すべきトレセン学園理事長、秋川やよい女史(年齢不詳)である。
なお、帽子の上のおネコ様は今日も健在のようだ。
ぐでーっとやる気なく伸びている様は見ていて癒される。
ちなみにオレはイヌとネコ、どっちも好き派である。
ガウガウと構ってちゃんオーラを出しまくってくるのも、気まぐれでツンケンされるのもどちらも好きなのだ。
あれ?ウインディ?
そうか。オレとウインディはやはり会うべくして会ったのだ!
脳内でそんな妄想を繰り広げている間に、理事長の挨拶は終わり大会の説明へと移る。
ウインディは、はやくはやくとキラキラする目をしつつ理事長を見上げる。
「説明!可食のキノコを計量し、一番多く持って来たトレーナーとウマ娘のコンビが優勝だ!」
とのこと。隣でたづなさんが嘆息しているように見える。後でお説教かな?
「警告!登山道から外れたところでのキノコの採取は厳禁とする!なお、制限時間は夕方の六時までとする!」
まあ、そうだろうなぁ。でもまさかそんなところでまでキノコを取ろうとする命知らずは……
「よーし!山を隅から隅までキノコを取りまくるのだ〜〜!!」
うん。とりあえずウインディからは目を離さないようにしよう。
それからオレは、ウインディと手を繋いで山に入った。
いざ山に入ってみると本当にキノコの宝庫で驚く。
ウインディも興味津々と言った感じで
「これは食べられるのだ?」
「うーん、残念毒キノコだねぇ」
「じゃあこっちはどうなのだ?」
「それも毒キノコだねぇ」
とあちこちを指差して聞いて来る。
一応、ウインディとの約束事として、知らないキノコには触れないことや、かじらないこと、次に取る人の分までとらないことなど参加するに当たっていくつか条件を提示していた。
ちょっと調べただけでも、触れただけでかぶれる種類のものや、一見見慣れたキノコに見えて、猛毒だったりと案外油断ならない。
わざわざ分厚く重いキノコ図鑑を持ってきて良かった。
可愛いウインディに何かあればそれは世界の損失に他ならないのだから。
背中のカゴを揺らしながらウインディは次から次へと目に映るキノコについて聞いて来る。
その度に一喜一憂するウチの担当ウマ娘可愛い。
「おっ、それは食べられるやつだね。」
「ほんとーなのだ?」
「ほんとほんと。」
くぬぎの下にあるキノコを見て、図鑑を改めて確認して、確信する。
珍しいな。野生の舞茸だ。
キノコの中でも煮てよし揚げてよしという器量ものである。
しかも群生していると来た。
「エヘヘ〜、じゃあとっていいのだ?」
「うん。お願いできるかな?」
「まっかせるのだ〜!」
「ウインディは頼りになるなぁ」
「よーし!ウインディちゃんに続くのだ〜!」
「お〜!」
道を外れないよう細心の注意を払いつつ、ウインディについて行く。
「おっ、これはタマゴタケじゃないか?」
「おー、トレーナーもなかなかやるのだなー」
ぱっと見毒キノコのようだが、とても美味しいキノコらしい。まぁ、違っても会場で弾いて貰えばいいか。
「トレーナー、これはどうなのだー?」
サッと図鑑を開いて確認する。
「おお〜、ウインディやるなぁこれはクリタケだねえ。」
そんなこんなで、現時刻は五時三十五分。時間的にもいい頃合いになった。
キノコもカゴいっぱいに集まり、もう取れそうにない。
この中からいくつ毒キノコがあるのか少し不安だが、まあそれは今言っても仕方ない。
幸い会場からそう離れてはいない。
十分もあれば戻れる距離だろう。
「トレーナー、帰りも手を繋ぐのだ〜♪」
「はいはい。キノコ落とさないようにな」
「はーいなのだ」
会場に戻りカゴを提出して結果を待つオレとウインディ。
まあ、優勝できなくても最近練習漬けだったウインディにもいい息抜きになればそれでいいか。
え、優勝?マジで?
遭難ルートも考えたんですが、ウインディちゃんを泣かせるわけにもいかず日和りましたすみません。