あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
ウインディのトレーニングのため、オレが廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
「やぁやぁそこなトレーナーくん。なにやら悩みを抱えているようだが、相談して見る気はないかい?例えばこの私とか」
声をかけられて振り返り、オレはフリーズした。
彼女の名はアグネスタキオン。
学園内では変人或いは問題児で通っており、そして三冠も夢ではないと言われるほどの実力者でもあり、あのシンボリルドルフも頭を抱えながらも気にかけているとかいないとか。
ただ、本音を言えば彼女とはできる限りお近づきにはなりたく無かった。
何故ならば、彼女はウマ娘やトレーナー達に手当たり次第試験薬を飲ませようとして来たり、選抜レースをなかなか走りたがらない等というよからぬ噂が後をたたなかったからだ。
そのせいもあって、なかなかトレーナーがつかなかったとか。
ただ、それによる退学もやむなしとなった時に彼女にいきなりトレーナーがついたとかなんとか。変わったヤツもいたものである。
ただ、オレは目の前で彼女のトレーナーの体が七色に光っているのを見た。
見間違いじゃなければ彼女はその光景を見て全く動じていなかったどころか笑顔を浮かべてすらいた。
そりゃあ我が身や担当ウマ娘が可愛ければ近寄りたくも近寄らせたくもなくなるだろう。
ただ、チャンスでもあるのは確かか。
未来の三冠ウマ娘からウチのウインディを見た所感を聞けるのは色々と参考になるだろう。
「……私に何のご用で?」
一応彼女は名門の生まれ。言葉遣いに気をつけながら話しかける。
「フフッ、まぁそう警戒しないでくれたまえ。ちょっとした老婆心というか、君たちに興味が湧いてね」
その後に、ああ敬語は結構だよと言われ少し気が楽になったのは余談だ。
「興味?」と言ったオレは怪訝な顔をしていただろう。そもそも彼女は芝のターフを走るウマ娘だ。ダートウマ娘であるウインディに興味を持つことなど想像もつかないが。
尤も、時たま芝とダートの両方を走れる勇者とも変態とも言える逸材が出て来るらしいが。
「へーっくしょん!!ズズッ、ウマ娘ちゃんの観察中に急にくしゃみが……」
……今、何か聞こえたような?
「別に芝を走るからといってダートに興味を持ってはいけないという決まりもないだろう?」
「まあ、それは確かに」
「それに…」
と言ってタキオンの目が妖しく光る。怖い。
「ダートウマ娘の実験データはまだあまり取れていなくてねぇ」
「はあ?」
「ああ勘違いしないでくれたまえ。別に君のところのシンコウウインディを実験台に…などとは考えていないさ。そもそも彼女は軽く見ただけでわかるくらいにはまだまだ未熟だしねぇ」
そりゃそうか。と納得すると同時に少し悔しくもなる。
「じゃあ、何が目的だ?」
「スマートファルコンさ」
「……ああ」
なるほど。スマートファルコンはウチのウインディを目にかけている。
だから、未来のウインディの成長幅を見ると同時に彼女のデータが欲しいと。
「そもそも彼女、近くで観察しようとするだけでも笑顔で寄って来て少々鬱陶しくてねぇ」
うんまあ、いろいろと周囲との距離感は近い感じがするが。
まあ、それも彼女のウマドルたる所以なのだろうが。
「報酬はその都度、私が調合した薬品でどうだろう?」
「…それ、ドーピングにならねえの?」
その言葉が彼女の中の何かに触れたのだろう。急に真顔になったと思ったらズズイと近寄って来て熱弁する。
「いや、いやいやいや!ドーピングは私が最も嫌う行動だとも!私の薬はあくまでも疲労回復や体調を整えるくらいなものさ!そもそもドーピングに使われるような薬剤は使用者のその後のことすら考えられていないものでデメリットが多すぎるうえ………」
目がマジ過ぎて怖い。
「わ、分かった分かった。不躾なことを聞いて悪かったよ…」
「フゥン、分かればいいん……ふぎゅっ!?」
彼女の後ろからチョップが飛んできているのが見える。
「こらタキオン。人様に迷惑かけるもんじゃないだろう?」
「と、トレーナーくん。いやしかし、交渉くらいは……」
「オレが用意した紅茶と弁当がいらないならすれば良いんじゃないか?」
「私に死ねと?」
「いやそこまでは言ってないだろう」
そういうと彼女のトレーナーは腰のあたりにしがみついて抗議するタキオンをズリズリと引きずりながら去っていった。
ちなみに去り際のタキオンの言葉は
「か〜ん〜が〜え〜て〜お〜い〜て〜く〜れ〜よ〜」
だった。
格好つかないことこの上ないと思ったのは言わぬが華か。
……………仕事に戻るか。
◇
のだ?
アイツウインディちゃんのこと見てるのだ〜。
ピースピースなのだ〜♪
願わくば、ウインディちゃんも同じくらいぶっ飛んだストーリーを………