あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
よく晴れた日曜日。
秋晴れの青空の下、トレセン学園内のダートコースでは模擬レースが開催されていた。
「さぁー始まりました!!ジュニア級ダートのトップを決めるこの戦い!!皆さん負けられませんねぇー!!」
マイクを片手にそう言うのは短距離熱血元気っ娘、自称頼れる学級委員長ことサクラバクシンオー。気分はさながら司会者と言わんばかりの台詞回しである。
なお、なぜ司会なのか問われれば本人が希望したから、としか言いようがない。
これも学級委員長の務めとかなんとか。
「そうだな。どんな走りが見られるか、わたしも今から楽しみだ」
今日も絶好調のサクラバクシンオーの隣でそう言うのは言わずと知れた笠松のスターウマ娘こと、オグリキャップ。
その脚もさることながら、よく後輩に餌付けされているところを目撃されており、その度にタマモクロスがツッこむというコンビ芸まで持っている。
彼女自身は不器用で口下手ゆえに、放たれる言葉は飾らず真摯なものでそれが後輩たちの糧となるだろうとのことでの抜擢らしい。とは言ってもそもそもこれ、模擬レースであって本番じゃないし。そう言った意味でも口下手は問題にならなかったのだろう。と勝手ながら憶測する。
学園内での模擬レース故にギャラリーは当事者であるトレーナー、ウマ娘含め20名程度とその他がそこそこ。
記者は呼んでいないため、参加するウマ娘はウチのウインディ含め比較的リラックスしている面持ちだ。
しかし向けられる眼差しは真剣そのもの。
オレとしてもウインディのデータを取られるのは癪だが、どうせなら他の奴らの担当ウマ娘も見させてもらおうという魂胆から同期たちにこの話を持ちかけた。
それに、仮にデータを取られたとしても連中の想定を越えて成長すれば良い。
ウインディにはそれが出来るだけの素質はあるし、オレもそれを全力でサポートするつもりだ。
その模擬レースの様子を窓から眺める人影が一つ。チラリと目の端に捉える。
「フフッ、見せてもらおうか。ダート界のホープの実力とやらを」
彼女、まだ諦めてなかったのか。
模擬レースの距離はダート1600メートルのマイル。左回り。
想定はさしずめ来年出走出来るクラシック級初のダート重賞、G3ユニコーンステークスか?
まぁ、ウチのウインディの場合はその前に同じ東京レース場で同条件のオープン戦のヒヤシンスステークスか青龍ステークスを走ってもらうことになるだろうが。
時間も朝イチであるためバ場状態も良好。
ゲートはくじ引きで決まり、ウインディは十人立てで五番目、良くも悪くも無いと言ったところ。
オレは最前列に行き、ウインディや他ウマ娘の様子を伺う。
何やら他の出走ウマ娘達と話しているようだが、意外と落ち着き払っている。
出会ってすぐの頃などはレースや並走トレーニングで今か今かとソワソワしていたのが嘘のようだ。
成長したなぁ。可愛い。
周囲の子達はその様子が気になって声をかけたのか、或いは今度こそ負けないという決意表明か、いずれにせよ良い傾向か。あの目の輝きはライバルを、強者を見るものだ。
人間であるオレはウマ娘ほど耳は良くないため、先程の会話内容はわからないが多分大方はこんな感じかなと思う。
まぁ、模擬レースだからって遠慮することも無い。
どうせなら度肝を抜いてやるのも一興か。
何より、常に全力であるのが長所のウインディに手抜きレースをしろなどとは口が裂けても言えやしない。
「ウインディ〜〜!!」
オレが声をあげるとウインディはすぐにこっちを見つけて手を振って来る。
「勝てるぞ〜!!」
そう言うとウインディはパッと明るい笑顔を浮かべる。可愛い。
時間になり、ウマ娘達がゲートに入る。
秋の風は少し冷えるが、彼女たちの闘志は燃え上がっていることだろう。
「さぁー!みなさん!全力でバクシンですよーー!」
「みんな、頑張れ」
その声の直後、ゲートが開きウマ娘達が一斉に駆け出した。
◇
うん?きんちょー?してないのだ。
なんで?っていわれても……
トレーナーが勝てるって言ってくれたからなのだ〜♪
3期はやるとすれば、ダートメインでやって欲しいですわ。