あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ   作:ガラクタ山のヌシ

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続いた。
心のウインディちゃんが噛みつきたがっているのか?(錯乱)


思いついちゃったもんはしょうがないよね

ウインディとの出会いは、美浦寮寮長のヒシアマゾンが彼女を探していたところから始まる。

オレは気晴らしも兼ねて、トレセン学園の中庭に備え付けてあるベンチに腰掛け、パラパラと数日かけて作ったこれまでの観察の結晶。つまりは次回の選抜レースを走る予定のウマ娘達のデータと睨めっこしていた。

どの子もトレセン学園に入るだけあってよりどりみどり。しかし、その中でもG1で勝利できるのはほんのひと握り。

どの子を選ぶにせよ責任重大である。

尤も、名家出身であったり入学前から名の知れたような子は大抵が同じような名門による先約があったり、ベテランが優先的にとったりするものだが。

まあ、新人よりベテランの方が安定しているのは事実だしそこは仕方ない。

無論ウマ娘とトレーナー、双方の間に齟齬があったり波長が合わなかったり、互いに違うなと思えば契約解消もアリと言えばアリだが、そういうのは無いに越したことは無い。

 

そうやって、うんうん悩んでいた時だった。

「アイツめ、またイタズラしやがって」

どうやら目の前の通りがかりの勝ち気そうな褐色のウマ娘はご立腹のようだ。

「一体どうしたんだ?」

オレは気になり聞いてみる。

「アンタは…、ああ新人トレーナーか」

トレーナーバッジを見るなり、彼女はオレが何者かわかったようで

「なあアンタ、ウインディ…っていってもわかんないか。このくらいの長さの栗毛でヤンチャっぽいウマ娘を見なかったかい?」

手で首のあたりを指し示しながら身振り手振りで聞いてくる。

しかしその時のオレはウインディのことを知らなかったし本当に見ていなかったので

その通りに伝えた。

「申し訳ないけど、こっちには来てないみたいだ」

「そうか…。すまなかったね、時間取らせちまって」

そう言うと、ハッとなったように

「あ、そういや自己紹介がまだだったね。アタシはヒシアマゾン。美浦の寮長を任されてるよ」

「そうか。オレは岡本。キミがさっき言ったように新人トレーナーだ」

そう話していると後ろの茂みからガサッという音が聞こえて来た。

それに気づいて思わず振り向けば頭に木の枝やら葉っぱを乗せて、制服も土まみれでボロボロのウインディがいたのだった。

「うぅ〜、まさか自分で掘った落とし穴にハマるとは、ウインディちゃんもツイてないのだぁ〜……」

「あっ」

オレと件のウマ娘の目が合う。

「あっ」

その反応にヒシアマゾンは「ん〜?」とクルリと後ろを振り返り、ニヤリと笑う。

「ほほ〜ぅ。自分から出て来るとは随分と殊勝じゃないか」

「ギクゥ?!」

自分でギクっていう子初めて見た。

その後、ヒシアマゾンに説教をされるも一向に反省する素振りを見せないウインディとの(ヒシアマゾン流に言えば)タイマンが小一時間続いた。

生徒達の憩いの場でもある中庭故に、人だかりが心配されたが、叱られている対象がウインディであると分かると、皆一様に「またか」といった表情でその場を後にしていたため、その心配は杞憂に終わった。

「まったく、そんなんじゃいつまで経っても担当トレーナーは決まらないよ。アンタもう高等部だろ。いい加減にしとかないと最悪退学処分になるよ」

「つーんなのだ。ウインディちゃんは誰のところでも問題なくやってけるのだ」

「ほーぅ、じゃあ何で未だにデビューもしてないのかね?」

「ふーん」

顔を背けながら頬を膨らませる。

そんなつっけんどんな彼女を見て、気づいた時には既に手がその頭の上に置かれていた。

ウインディは最初大人しく撫でられていたが、やがてハッとなり

「いきなり頭を撫でるとはひじょーしきなのだ!」

と手を払われ、ガルルルルと威嚇されてしまった。

今にして思えば当たり前すぎるほどに当たり前だが。

言い訳させてもらえるならその時は無性にそうしたかったのだ。

しかし同時に「この子だ」とも思った。

ただ優秀なだけじゃ無い。

本気でG1を狙うならこのくらいの跳ねっ返りは必要だと思った。

三冠ウマ娘を例に挙げれば、ナリタブライアンはトレーニング以外は割と気ままらしいし、ミスターシービーは日本ダービーのセオリーを破った正しく天衣無縫の体現者だ。

生徒会長でもある皇帝シンボリルドルフは優等生を突き詰めたようなウマ娘だが、彼女は色々と高水準過ぎて参考にならない点が多いため除外。

まぁ、いずれにせよ他とは違う何かが求められるのが競争ウマ娘の世界だと思う。

型通り、手本通りにやっても結局は似たようなカタチの量産でしか無い。

その中で特に優れたものだけがG1ウマ娘、ないし三冠ウマ娘などというのは勝手ながらあまりにつまらないと思う。

無論、基礎を蔑ろにしたいわけでは無いが。

「キミ、担当トレーナーはまだついてないんだっけ?」

「な、何なのだ急に」

「え、アンタまさか…」

「うん。そのまさか」

オレはウインディに向き直り、改まって提案する。

「キミ、確かウインディだよね。キミさえ良ければオレの担当ウマ娘になってはくれないか?」

緊張の瞬間。トレーナー稼業初の勧誘にオレの心臓はいつもより数段跳ね上がっていた。しかし、それ以上に

「……ふぇ?」

その言葉を聞いて、シンコウウインディがキョトンとしていたのをよく覚えている。




次はいつになるのだろうか…。
気長に待っていただけたら幸いです。
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