あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
回してないけど。
東京都府中にあるトレセン学園最寄りの府中駅より電車で数時間、途中で何度か乗り換えを挟んでたどり着いたのは京都レース場の最寄駅である淀駅だ。
なお、最初の方はしゃいでいたウインディは途中で駅弁を食べて満腹になったのかそのまま寝てしまい、起こすのも忍びなかったので乗り換え時はおんぶである。可愛い。
京都レース場についたオレとウインディは、外の屋台で買った焼きとうもろこしや飲み物を手にチケットに指定された席に着く。
やはり三冠の最後の舞台だけあり、観客も満席。
今年こそは三冠ウマ娘の誕生を見届けたいのだろう。皆一様にざわついている。
それだけでも、チケットをもらわなければ立って見ることになっていただろうことは想像に難くない。
隣に座るウインディはとうもろこしをニコニコしながら頬張っている。可愛い。
オレも自販機で買った缶コーヒーを飲みながら開幕の時間を待つ。
今回はデータを取ることよりも、ウインディに直にG1の空気に触れてもらうことが目的であるためいつもよりは気楽である。
無論、何かの役に立つかもしれないので取れるデータは取っておくが。
テンションが上がっているウインディをかまっていると時間になり、レースが始まる。
十月二十四日、京都レース場。間違いなく今日の目玉であろう第十一レース菊花賞が始まるファンファーレが鳴る。
天気は秋晴れ。バ場状態は良。気になる点としては内側がやや荒れているくらいか。
「一番人気はやはりこのウマ娘。二冠ウマ娘、アグネスタキオン。」
「月桂杯の参加をドタキャンしたことを咎める声はありましたが、流石の実力ですねぇ」
その会話で始まった菊花賞は、正に彼女の独壇場だった。
研究者のような白衣の勝負服を纏い、駆け抜ける様は正に圧巻の一言だ。
ゲートが開き、出遅れは無し。立ち上がり、序盤、中盤、最終コーナーに至るまでまるで隙がない途中にあった有名な淀の坂も問題無く突破する。
距離、芝の状態、坂や天気、対戦相手のペース配分やそのタイミング、得意とする戦術、苦手とする戦法全てを何度も何度もシミュレーションしてきたのだろう。そうでなくてここまで走れるならそれは神か悪魔くらいのものだろう。
レースは進み二番手との差が広がり、最終コーナーでさらに突き放す。
最前列の席にいる俺たちに気づいたのか、チラリとこちらを見やり、ニヤリと笑うと再び正面を見据え最終直線を駆け抜ける。
「誰も近寄れない!誰も寄せ付けない!アグネスタキオン、格の違いを見せつけてゴールイン!!」
「これまで中距離ばかり走っていたので、距離適正が不安視されていましたが、それを払拭する走りを見せてくれましたね」
「他のウマ娘も決して弱くは無いのですが、それを差し引いても余りある脚を見せてくれましたね」
「すごいな…」
三冠ウマ娘とは、その素養とは、かくも凄まじいものか。
何せ周りの強豪ウマ娘を軒並み赤子扱いだ。
しかし、先程アナウンサーが言っていたように他のウマ娘も決して弱いわけではない。
中央のトレセン学園に在学する選りすぐりの二千近い生徒の内、綺羅星のような才能と文字通り血の滲むような努力の果てに三冠の舞台に選び抜かれたのが今日走った彼女ら、十八名だ。
その中でアグネスタキオンは勝利をして見せた。
三冠の重圧にも負けず、己の力を出し切り栄冠を掴んで見せた。
長いレースの歴史の中で三冠を期待されていたにもかかわらず、無念にも二冠に終わってしまったウマ娘も決して少なくはない中でだ。
そう言った意味でも、今年の芝の主役はまず間違いなく彼女だろう。
「…確かに、これは良い刺激になりそうだな」
隣のウインディを見てそう思う。
屋台でたくさん買った焼きとうもろこしはすでに平らげ、ギラギラとした闘志、その炎が眼に映っているかのようでその体は武者振るいに震えている。
今にも駆け出したくてウズウズしていると全身で訴えかけてくる。
「トレーナー!!」
「うん。ウイニングライブが終わったら学園に帰ってすぐにトレーニングをはじめようか」
「のだ〜♪」
頭を撫でながらそう言うとウインディはグイグイと頭を押し付けて来た。可愛い。
やっぱりオレは、君に勝って欲しいよ。
そう思い、オレは彼女の頭をさらにうりうりするのだった。
◇
ふっふ〜ん
なかなかやるのだ〜
でも、ウインディちゃんとトレーナーほどでは無いのだ〜♪
ブライアンは何故スタミナなんだろ?