あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
ウマ娘にとって一番のファン、つまりは一番最初のファンであり一番近くにいるファンとは他ならぬその子のトレーナーのことをこそ指すのだろう。
何故ならば、常にその子を励ます身近な存在であると同時に、共に成長するパートナーでもあるからだ。
故に他のファンが暴走してしまう際にも真っ先にその盾となるべきはトレーナーなのだとオレは思う。
いやまぁ、今回に関しては直接何か危害が加えられたわけではないのだが…。
「はああ…しゅきぃ…」
この目の前で放心状態になっているウマ娘はウインディが苦手とするタイプのようだ。
と言うのも、以前イタズラに興じていた際ふざけて「噛んでやるのだ〜」と言ったところ「はい喜んで〜」と嬉々としていたと言う。
その子がどうやらダートコースでのウインディのトレーニングを覗き見ていたようなのだ。彼女もダートを走れることから、最初は偵察かと思っていたが、それにしては様子が変だし。
ちなみにウインディには寮に戻るようオレから言ったため既にこの場にはいない。
「…とりあえず保健室に連れてくか」
ひとりのトレーナーとしても人間としても、流石に十一月の寒空の下このままここに放置しておくわけにもいかない。
どんなにウマ娘が基本頑丈とは言え流石に風邪を引いてしまいかねないからだ。
オレは彼女をおぶって保健室まで向かい、中に居た保険医さんに事情を話すと彼女は「またか」と言った表情を浮かべていたのが気になり色々と聞いてみた。
曰く、彼女の名はアグネスデジタルと言い、ウマ娘が好きすぎるとのこと。
そして、その思いが強すぎるがためか、度々失神してしまうということ。
特にライブでは何度もタンカで運ばれては目覚めて、またタンカで運ばれて…と言うのを繰り返した逸話(?)まであるとか。
…変わった子だなぁ。
「…ハッ、ここは…」
そうこうしているうちに当の本人が目を覚ましたらしい。
「も、もしかしてまた…」
「ええ。気を失ってたわよ」
そう言う保険医さんの声色は呆れ半分心配半分と言った感じだ。
「あぅぅ」
その言葉を聞いた彼女はなにやら申し訳なさそうだ。
「ちゃんとこちらのトレーナーさんにもお礼を言うのよ?」
「あっはい。ありがとうございました」
「あぁいや、無事なら何よりだよ」
ふーむ、普段は普通っぽいのか?
そりゃあどれだけ変人扱いされていようと、年がら年中奇行に走っている訳ではないんだろうが。
「アタシ、ウマ娘ちゃん達を前にするとどうにも落ち着かなくって…邪魔するつもりは無いんですよ?だから見守るときは出来るだけ離れるようにしてますし…」
どうやらウインディが言う、時たま感じる落ち着かない視線の正体はどうやら彼女のようだ。結果的にだが、先に寮に帰して正解だったか。
まぁ、可愛いウインディについ視線が向いてしまうのは分からないでもないが。
しかし困ったなぁ。彼女からは悪意やら妨害する意図は微塵も感じ取れないため、率直にやめるよう言うのも気が咎める。
むしろ、ウインディ含めウマ娘達に好意的だからこそ始末に負えないと言うか。
「そんなに見たいならあらかじめ君のトレーナーを通して言ってくれれば日程を合わせて一緒に練習するなりいくらでもやりようはあるだろうに」
と、折衷案を出して見たりもするが
「そんな!畏れ多すぎますぅ〜!!」
そう言う彼女は興奮冷めやらぬ様子でくねくねし出した。個性的な子だなぁ。
その後も何度か案を出すものの、一貫して「ひょえええ」だとか「尊死してしまいますぅ〜」とか言って遠慮されてしまった。面白い子だなぁ。
結局、アグネスデジタルは再度オレに一礼すると逃げるように帰って行ってしまったのだった。
◇
トレーナー、またヘンな視線を感じるのだ〜
だから、また手を繋いでてもらって良いのだ〜?
エヘ〜♪
ちなみに筆者はデジたん持ってない勢です。