あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
『さあ、一斉にゲートが開きました!!』
『各ウマ娘、各々立ち上がりは良好ですね』
年末の中山レース場。有マの舞台だからだろうか、実況のアナウンサーもやはり普段よりテンションが高い。まあそれもさもありなん。
さて、見た感じ十六人のどのウマ娘たちも手慣れた様子でゲートを飛び出している。
まぁ前年のジュニア級、そして今年のクラシック級での計二年の集大成を見せる場で、プレッシャーに潰されてもたつくような子はそうそう居ないか。
皆一様に、そして貪欲に勝利を求めて走り続ける。
だからこその駆け引きであり、一瞬の判断の勝負でもある。
また長距離故にペース配分も大事になって来るだろう。
彼女らの一挙手一投足に至るまで見逃せないな。
オレは三脚にセットしたカメラ越しにレースを見る。もちろん撮影許可もとってある。
因みにウインディは年末休みを利用しての同級生ちゃんたちとお泊まり会だ。楽しんどいで!!
それに今回は担当ウマ娘を持つトレーナーとして、何より一ウマ娘レースファンとして、有マの舞台は絶対に生で見ておきたいと言うのもあった。
『さあ、先頭を行くのは一番プレイスインヘヴン!!二番手との差は五バ身から六バ身と言ったところか』
『やや飛ばしている感じでしょうか。途中でバテなければ良いですが』
次いで二番手から三番手には六番クレセントエース、九番アイゼンテンツァーがほぼ並走状態。
その後ろに十番ジュエルルベライト。アグネスタキオンはその後ろか。
対してマンハッタンカフェは……後方四番手につけてるな。戦法は差しで行くつもりだろうか。
奇策では無く、あくまで自分の慣れたやり方でいくつもりか。
ここ一番で度肝を抜く奇策を打つ者は珍しく無い。それが良いか悪いかは時と場合によるが。
現にプレイスインヘヴンは長距離とは思えないペースで飛ばしている。先頭から最後尾まではパッと見た感じやや長いようにも感じられる。
その分のスタミナはトレーニングでつけてはいるんだろうが、実況の言うことも的を射てはいる。
プレイスインヘヴンは今のところは上手いこと蓋をしてはいるが、まだ序盤だ。ペース配分を間違えれば最後の短い直線でごぼう抜きされる恐れもある。
そして、その背後では…。
『後方では二番ピッコラバリアントが前に出ようとしている様子ですね』
『少し強引でも積極的に好位置を取りにいこうということでしょうか』
ピッコラバリアントは若干掛かり気味な様子か?
抜かれたアグネスタキオンは…釣られてないな。
というか彼女、よくよく見ると周囲のウマ娘の様子を観察しているような…この暮れの舞台で緊張どころかイキイキとしているようにさえ感じるな。
互いが互いを警戒し合い、やや拮抗状態とも思われたレースが動いたのはやはり後半。
『おっと、プレイスインヘヴン減速!!後方のウマ娘が迫って来る!!意地を見せられるか〜!?』
プレイスインヘヴン。やっぱり序盤に飛ばしすぎたのが今回は仇となったか。
『クレセントエース、アイゼンテンツァーが迫る!!踏ん張るか!!逃げ切れるか!!プレイスインヘヴン!!』
三人のウマ娘による熱い接戦。互いが互いに負けられない意地とプライドをぶつけ合う。
しかしその時だった。
後方から白衣を纏った栗毛の影が三人の横をスルリと抜いていったのは。
永くも短い刹那、アグネスタキオンは後方に向かって一瞬微笑みかけたような、そんな錯覚さえ感じさせる。
『あ…あ…アグネスタキオォォォン!!今年の三冠ウマ娘が、逃げウマ娘達をあっさりと追い抜く!!』
『何という…まるで飛んでいるかのような走りですね…』
これがアグネスタキオンの疾走。実況が感嘆の声を上げているように、これが見られただけでもウマ娘レースファンとしては中山レース場に来た甲斐があるというものだろう。
『さぁ、最終コーナーを越え、先頭はアグネスタキオン!!もう決まったか!!三冠ウマ娘の実力を見せつけて!!このまま行ってしまうのか!!』
いや、それだけじゃ無い。後方に見えるあの青鹿毛は三冠ウマ娘のライバルにして、今年の春の天皇賞ウマ娘。
その様を見た観客は大歓声を上げる。
『いっいや、ここでマンハッタンカフェ!!追い上げる!追い上げる!届くか!届くのか!』
『中山の直線は短いぞ!!差し切ることは出来るのか!!』
バ身が縮んで行く。六バ身から五バ身、五バ身から四バ身とゴールが近づくにつれ、二人の距離も短くなる。
観客席から聞こえるのは、より大きくなる声援。逆に声に出さずとも、きっと黙して祈る人もいるだろう。
各々、自身の推しのウマ娘の勝利を願って手に汗を握る。
先頭を往くアグネスタキオンに影が迫る。
しかし、そんなアグネスタキオンは三冠ウマ娘。今年のクラシック戦線に於いて最も強く、最も速く、そして……
最も幸運なウマ娘だ。
『ゴォォォォーーール!!』
レース描写に悩みまくって遅れました。
上手い人ほんとすごい。