あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
同室の子が居ないと寝られないって?
閃いた!!
カタカタカタカタカタ……。
深夜のトレーナー室に、キーボードを打ち込む音が響く。
オレはウインディのトレーニングの成果や、これからのレースに向けての予定の組み立て、息抜きのソリティアに提出用のレポートなど、色々と忙しい。
本当はたづなさんや理事長から残業は控えるようトレーナー一同は言われているが、今夜は不思議と眠れないしちょうどいい。
オレはマグカップに入った冷めかけのコーヒーを飲んで一息入れる。
「ふぅ。あともうちょっと片付いたらトレーナー寮に戻ろう。」
流石にこんなところをたづなさんにでも見られたら怖い笑顔でお説教間違いなしだ。
多分雷が落ちる。
くわばらくわばら。
そんな冗談めいたことを思いながらキーボードを打っていると、キィ…と扉が開く音がした。
まさか本当にたづなさんかと思い、チラリとそちらを見ると
「と、トレーナー…いるのだぁ?」
枕を抱え、恐る恐るといった風な、いつに無く弱々しいパジャマ姿の我が担当ウマ娘殿がそこにはいた。耳なんかはペタンとしており、如何にも元気がないのが目に見えて分かる。
「ウインディ?どうしたこんな時間にこんな場所で?」
たしか、学生寮には門限が設けられていたはずだが。
「うぅ〜。」
しかし、いつに無くしおらしいな。
「どうした?なにかあったのか?」
「じ、実はぁ…。」
「うん。」
なんだろう。担当ウマ娘の見慣れない姿を目にしているからかつい身構えてしまう。
「ね、眠れないのだ。」
「へ?」
「だから!眠れないのだ!!」
急に大声を出されたものだからビックリする。
「いやいや、いつも寮の自分の部屋で寝てるんだろ?なんで今夜に限って。」
「同室の子がトレーニングで合宿に出てるから、ウインディちゃんは部屋にひとりなのだ。」
え、もしかして。
「ウインディ、まさかとは思うが。」
「うう〜。」
「ひとりじゃ寝られないとか?」
しばしの逡巡の後、力無く頷く。
「ここに来ればトレーナーがいると思ったのだ。暗くって怖かったけど、なんとか頑張ってここまで来たのだ。」
「うぅ〜ん。」
だからって寮を抜け出すのはどうなんだろう。
しかし、既に弱っているウインディに追い討ちをかけることは出来ないし、したくない。
しばらく悩み、悩み、悩んで、ため息。
「ハァ。来ちゃったものはしょうがない。」
「!!」
「そこのソファーで良けりゃあ寝てていいぞ。」
OKを出した。
「わーいなのだ!」
さっきまでのしおらしさはどこへやら。余程心細かったのだろう。元気になって良かった良かった。
「ただし、明日は朝イチでヒシアマゾンに謝りに行くからな。」
「なんだっていいのだ!」
ボフンとウインディは勢いよくソファーにダイブする。
きちんとマットレスを洗ってあるからか埃は出ない。良かった。
翌朝、寮の前で腕組みしていたヒシアマゾンに平謝りに謝ったのは内緒だ。
◇
学園の廊下は暗かったし怖かったけど、トレーナーに会えると思ったら暗がりもこわくなかったのだ。
………?? なんでなのだ?
まぁ、たまにはこういうのも。