あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
次回に持ち越しだよな!!
今日の分のトレーニングが終わった。
ウインディはここのところ、トレーニング終わりにはほぼ毎日どこかに行っている。
「ウインディ、今日も行くのか?」
「そうなのだ〜♪ししょーのとこに行ってくるのだ〜!!」
しかし、毎度思っていることをオレは今回はじめて口にする。
「うん?師匠ってなんの?」
「エヘー♪ヒミツなのだ〜♪」
そう言うとウインディは笑顔で駆け出していった。
怪しい。
いや、別にウインディの交友関係にとやかく言うつもりはない。
クラスメイトちゃん達の様子を見る限り、ウインディは親しい相手にはそれなりに気遣いや心配りができる子だ。
しっかし師匠か〜。
いったいどこのどいつだコラぁ?(豹変)
いや、別にね?それ自体はね?良いんだけどね?
まっっっっっったく気にしてないんだけど。
全っっっっっっ然良いんだけど。
いやほらね?ものを教えるって基本教職員の役目じゃん?
そんな中で一番身近なのが自分のトレーナーなわけじゃん?
そんなトレーナーを差し置いてさぁ…師匠?
これは確かめるよりほかあるまい(使命感)。
さっさと今日の分の仕事を終え、ウインディの様子を探らねばなるまいて。
しかし探すとは言っても、流石にストーカーの真似事のようなことはしないしできない。
以前の落とし穴の時のようにトレーナー寮の近くで、生徒もあまり立ち寄らないような場所ならばいざ知らず、生徒の往来も少なくない学園内でそんなことをすればどうしたって生徒の目につくし、不審に思った生徒からたづなさんの耳に届くかもしれない。
故にあくまで自然体で偶然を装いつつチラチラッと様子を伺うのが安心安全というわけだ。
因みに変装というのもできればしたくはない。あまりに本格的過ぎると普段と見覚えのない人物がトレセン学園の敷地内にいるということになるし、その情報はともすれば学園のセキュリティ面での信用さえ危ぶまれることになりかねないからだ。
となると出来ることは、堂々とかつ慎重に遠目から偶然を装って探るしかない。
キャスケット帽に伊達メガネくらいならまあセーフだろう。
サングラスも考えたけど、そこはかとなく威圧感出ちゃうからね。やめといたわ。
そんなわけで中庭まで出て来た訳だが…。
「なかなか見当たらないなぁ〜…」
担当トレーナーのオレにも秘密にしているくらいだ。
秘密の特訓でもしてるんだろうか。
遊ぶんだったらひとこと「遊んでくるのだ〜」
と言えば済む話だしなぁ。
スタスタと歩いていると
「のだぁ〜っ!?」
何やら体育館の方から可愛い声が聞こえてくる。
オレは気になりそっと中を見てみることとした。
「うう〜、しっぱいしちゃったのだぁ…」
「大丈夫か?ウインディ。いいか〜?もう一回ターボの動きをよく見ておけよ〜?」
「わかったのだししょー!!」
「いや、ターボが師匠って大げさだよねぇー」
「まぁまぁ、出来ないことをやってみたいって思えるのは立派だよ〜」
「そうですね。私も見習いたいものです」
うん?彼女らはたしか…。
「こうやって、こうして…こうだ!!」
確か、今ムーンウォークを披露しているのはツインターボ。
チームカノープス所属のウマ娘で、大逃げが持ち味。お調子者ではあるが素直な子でもあり、いい意味で天真爛漫さが目立つ子だ。
「いやぁ〜、しっかしいつ見てもすごいよねぇ〜」
それを見て感心の声を上げているのはナイスネイチャ。
彼女はあのトウカイテイオーの同期であり、チームカノープスのキャプテンでもある。
出走したレースでは、基本的に一着こそ逃しているものの掲示板を外したことがなく、堅実な強さを持った子だな。
「すごいよねぇ〜、わたしにはちょっと真似できないかなぁ〜」
遠慮がちにそう言うのはマチカネタンホイザ。
彼女は…その…なんというか…。
色々とツイてない子って感じだなぁ…。
たまにウインディと同じ場所でトレーニングをやっていることもあり、その時の様子を見た感じ真面目な子だし強いんだろうけど、なかなか機会に恵まれないと言うか、巡り合わせが悪いと言うか、そんな感じだなぁ…。
「しかし、ウインディさんの動きも徐々に良くなってきていますから、ものにできるのも時間の問題ですね」
眼鏡を押し上げながらそう言うのはイクノディクタス。
綿密かつ精緻なトレーニングを好み、生来の頑健さゆえ故障知らずだと言う。
またメジロ家のご令嬢であり、生粋のステイヤーでもあるメジロマックイーンと同室でもある。
チームカノープスの四人。
チームリギルやスピカには知名度で負けるものの、それぞれがそれぞれ個性的で、観客にも人気を博する子たちだ。
「どうです?ウチの子たちはすごいでしょう?」
「うぉおう?」
後ろから聞こえた声にビクッとなり、咄嗟に振り返る。
なんとか声は抑えた自分を褒めたい気分だ。
「み、南坂先輩。急に声をかけられたら心臓に悪いですよ?」
声の主は南坂先輩。
穏やかな性格でトレーナーとしては基礎トレーニングを重んじる人だが、同時に映像機材の造詣も深い。
オレのような後輩や、担当ウマ娘たち相手にも敬語で話す人で、そんな性格からかトレーナー間でも結構慕われている。
「すみません。コソコソと…」
「いえいえ、こちらも似たようなものですから」
「へ?」
「可愛い教え子を見守りたいってだけですよ」
おぅバレて〜ら。
「しっかし、なんでウインディとチームカノープスの面々が…。いや別にそれが悪いってことじゃ無いんですけど」
「まあ、確かに見たところ接点は無いですよねぇ」
む?なにやら訳知りの様子。
そう思ったのを感じ取ったのか
「ちょっと前にこんなことがあったそうですよ?」
と続ける。
時は今日から少し遡る。
「ふっふ〜ん!!ターボのムーンウォークは今日も冴えてるもんね〜!!」
「はいはい。いつもすごいねー」
「何回見てもすごいよねぇ」
「こう言ってはなんですが、少し意外ですよね」
いつものメンバーでそう話していたところ。
「のだ〜!?スッゴイのだ〜!!」
と、ウインディが目をキラキラさせつつやって来たという。
「ウインディちゃんも!!ウインディちゃんもやってみたいのだ〜!!」
「お?なんだ?ターボといっしょにやるか?」
その純粋な熱意に、警戒するのもバカらしくなったのか、ツインターボのその発言にツッコミを入れる事も無く
「やるのだ〜!!」
二つ返事でそれを了承するウインディを止める機会も逸してしまった。
というのが今回のことのいきさつらしい。
…え、なにそれかわいい。
「でもさぁ、シンコウウインディさんや。ムーンウォークを覚えてどうすんの?」
ナイスネイチャが純粋に疑問を投げかける。
その問いかけにウインディは笑顔で答える。
「トレーナーをビックリさせるのだ〜♪」
え?オレを?
「それでもっともっとホメてもらうのだ〜♪」
「おぉ〜、青春してますなぁ〜」
「仲がいいんだねぇ〜」
「ふっふん。ウインディとトレーナーはトレセン学園一仲良しなのだ〜♪」
ウインディ…そこまで信頼してくれるなんて…。
いかん。目頭が…。
伊達メガネを外し、ハンカチで目元を拭く。
もちろん、あちらの視線がこちらに向かないよう細心の注意を払って。
「……帰りますね」
「いいんですか?」
南坂先輩が聞いてくる。
「えぇ。本人が披露してくれるのを期待して待ってますよ」
そう言って、オレは体育館を後にしたのだった。
◇
ウインディちゃんとトレーナーはさいきょーコンビなのだ〜。
のだ?
そーゆーカンケーってどんなカンケーのことなのだ?
のだ?いまのなし?
気になるのだ〜。
っていうか、なんでアンシーンなのよ?
たぶんギャンブル要素強いキャライベなりそう。