あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
「やったのだぁ〜♪」
「は…はは…。喜んでもらえたようで良かったよ」
ここはトレセン学園に程近いゲームセンター。
ここらでも有数の規模を誇り、また景品も次々と新しいものを仕入れることで有名らしい。
らしい、というのは、オレとウインディが一緒にこのゲーセンに来るのはそう何度もないからだ。
さて、何故これほどまでにオレとウインディの反応が違うのかと言うと……。
時は、ほんの三十分ほど前まで遡る。
「トレーナー。きょうはけっこういいシューズが買えたのだな♪」
ウインディは鼻歌混じりに手にした箱を大事そうに抱えて歩いている。
「あぁ、やっぱりこういうのは使用する本人が直接確認しないとな」
データだけ取って、「はいキミこれ使ってね〜」じゃ、あまりにも味気ないし楽しみも少ないだろう。
結果のみでは無く、過程にも意味があるからトレーニングというものがあるんだとオレは思うわけで。
まぁ、そんなこんなであれやこれやと帰り道を談笑しながら歩くオレとウインディ。
なかなかいいものに巡り会えず、少し遠出になってしまったがまあ問題は無いない。
「のだ?」
そんな時に、不意にウインディが立ち止まってどこかを見ていた。
「どうした〜?ウインディ?」
「トレーナー!あれ!あれなのだ!!」
やや興奮気味にそう言うウインディが指差す先には、いつぞやのゲームセンターがあった。
もっと厳密に言えば、そのゲームセンターの入り口から見えるクレーンゲーム、その景品が気になっているようだった。
「あれ!あのブチ切れワンコさんのもちもちぬいぐるみ!!ほしいのだ〜!!」
「どれどれ〜?」
見てみると、大きな怒りマークを額につけ、歯を剥き出しにした柴犬らしきデフォルメされた犬がのぬいぐるみこちらを向いていた。
なるほど。ウインディはああ言うのが好きなのか。
ふむぅ。確かにこの後の予定にトレーニングは無い。
トレーニング施設の予約や、レースに出走するウマ娘の軽いデータ確認がせいぜいか。
まぁ、少しぐらいならいいだろう。
そう思って、ゲームセンターに入ったのが運の尽きだった。
「むぅ〜。なかなかとれないのだぁ〜」
ウインディに崩したお金を渡してやってみてもらったが、これがなかなか難しいようで。
押したり引っ掛けたり持ち上げたりと悪戦苦闘するも、一度に数センチ動けばいい方という有り様。
うーん。こんなもんなのか?
「トレーナー!!」
クルリと振り返るウインディ。
なんだか少し泣きそうな顔をしている。
「やってみてほしいのだ〜〜!!」
そう言って、途中からウインディと選手交代。
「いいか〜?こういうのは重心をきちんととらえてだな〜……」
ポトリ。
「あぁ〜、落ちちゃったのだ〜……」
しょんぼりと項垂れ、耳を倒すウインディ。
「い、いや、いまのは練習練習。よ〜し、もう一回やるぞ〜!!」
気を取り直して、オレは再びクレーンゲームに向かう。
「トレーナー!ファイトなのだ〜!!」
ウインディに応援され、期待されている以上、オレに敗北は許されない。
「よ〜し!!やったるぞ〜〜〜〜!!」
そう意気込んで、オレは何度も何度もクレーンゲームに挑んだ。
少しずつ、着実に、怒り顔の柴犬が前へ前へとやって来る。
来るのか、来るのか、落ちるか、落ちるか、落ちるのか。
途中で何度も両替に立ち、ウインディに台をキープしてもらい、時たままたやりたくなったと言うウインディにプレイを代わり、そうして……。
「やったのだ〜〜!!」
そういって、景品を掲げるウインディを見て、オレは嬉しい気持ちだった。
…このゲームだけで六千円ほど使ったけどね。
この時ほど、自分のゲーム下手を恨んだことはない。
「トレーナー、ありがとなのだ〜♪」
満面の笑顔でそう言うウインディ。可愛い。
「いや、ウインディが嬉しいならいいよ」
満足げな顔が見られて良かった良かった。
「それじゃ、これはトレーナーのなのだな〜♪」
「え?これウインディが欲しかったんじゃないのか?」
「のだ〜。だけどトレーナーけっこうお金使ってたし、ウインディちゃんはまたこんどでいいのだ♪」
ウインディは優しい子だなぁ。
「いやいや、そもそもこれはウインディのために取ったものだし…」
「でも、ウインディちゃんはトレーナーにもっててほしいのだ〜!!」
ウインディにあげたいオレ、オレにもってて欲しいというウインディ。
話はそのまま平行線を辿り、オレはふと思いついた折衷案を提示することに。
「それじゃ、トレーナー室に置いとくってのはどうだ?」
「のだ?トレーナー室?」
小首を傾げてどう言うことか説明を求めて来るウインディ。可愛い。
「そう。確かにお金はオレが出したけど、最後に取ったのはウインディだ。言わばこれは、オレとウインディの努力の結晶といっても過言では無い」
少し大げさだが、まぁ間違ってはいないだろう。
コクコクとウインディも頷いていることだし。
「それなら、俺たち二人にとって、最も身近な場所に置いておく方がいいと思うんだ」
「なるほどなのだ〜」
その説明でなんとか納得してくれたウインディ。可愛い。
「それじゃ、そう言うことにするのだ〜♪」
そういうとウインディは改めて抱きかかえたぬいぐるみもぎゅっとする。
なお、シューズの箱は今現在オレが持っている。
ウインディがゲームをしている間預かったままだからだ。
その後すぐに店員さんを呼び、袋に入れてもらったことで、オレは再び両手が自由になった。
「それじゃ、今度こそ帰ろうなぁ〜」
少し暗くなり始めた空の下、オレとウインディは冷たい風に吹かれながら車を目指したのだった。
◇
エヘー♪
トレーナーとふたりのけっしょーができたのだ〜♪
のだ?ウインディちゃんのおなかぺたぺたさわってどうしたのだ〜?
ちなみに、ゲーセンでめっちゃ使っちゃったのは筆者の実体験です。