あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
それは、いつものように仕事に精を出していた時のこと……。
「へ?ウチのウインディにですか?」
「はい。鬼役の役者さんがギックリ腰をやってしまいまして、高名なトレセン学園さんの生徒さんにぜひお願いしたく…」
電話口の向こうにいる女性は何やら申し訳なさそうにそう言っている。
なんでも、公民館で近いうちに行われる節分のイベントで鬼の役をやって欲しいという。
確かに泣いた赤鬼とか一部例外を除いて鬼って大抵悪役だもんなぁ〜。
それに加え、参加レースが近いというので気がひける思いもあるのかもしれない。
「まぁ予定もありますし、何より本人に確認を取らないことには…」
「はい。はい。そのことは重々承知しておりますとも。もちろん、報酬の方もご用意させていただきますので、ぜひぜひ色良いお返事をお待ちしております〜」
ガチャッと受話器を置くと、ウインディがすでトレーナー室に来ていた。
どうやら話し中だったので静かに待っていたらしい。えらい。そして可愛い。
「のだ〜?ウインディちゃんになにかよーけんでもあったのだ?」
どうやら先ほどの話の一部が聞こえていたらしい。
まあちょうどいいか。
「あぁ、実は…」
先ほどの電話内容を要約して伝える。
「やるのだ〜〜!!」
目をキラキラさせて即答してきた。可愛い。
確かに演劇なんかでもヴィラン役とか喜んで引き受けてたしなぁ〜。
と言うか、今回のオファーもその話を聞いて是非ウインディにとお願いして来たみたいだし。
なお、ワールドワイドウインディのもう片方、シーキングザパールは今も世界を飛び回っているようだ。
「そうかわかった。それじゃ先方にもそう伝えておくな〜」
「ふふん♪ウインディちゃんのめーえんを子どもたちの目にやきつけてやるのだ〜!!」
おぉ〜、ウインディがやる気に燃えている。
その後、こちらの答えに喜んだ先方との脚本やらウインディ自身のキャラと演技の擦り合わせ、劇中での子供達への声かけのタイミングなど、付け焼き刃ながら少しずつウインディに覚えていってもらった。
まぁ、三十分も無い短い劇だけども。
「ウインディ、手応えはどうだ?」
「ふっふん!!バ〜ッチリなのだ〜!!」
右手でVサインを作り、そう言うウインディは頼もしいことこの上ない。
そして、イベント当日。
よく晴れた日の野外ステージにて、その劇は取り行われた。
「グワァ〜〜ハッハッハ〜〜!!世界にわが歯型を残してやるのだ〜〜!!」
ワーワー
キャーキャー
オニサンカッコイイ〜〜!!
鬼に仮装して、スモークと共に舞台袖から出てきたウインディに対して、様々な反応が。
……けっこう肯定的なリアクションもあるのが驚きなんだが。
その後も、悪魔の誘惑というか、鬼のやりたい放題というか、まぁそんな感じのセリフが。
例えば
「ゴハンの前におかしをいっぱいたべてやるのだ〜!!」とか
「宿題なんてやらずにゴロゴロするのだ〜♪」
「今日もイタズラしてやるのだ〜」
などと言ったセリフが続く。
その度にちょいちょい子どもたちから賛同の声もあったが、まぁ、そこは子どもだしなぁ。
なんやかんや、親御さんも楽しんでいる我が子に水を差すようなことはしてないし。
まぁ、後でお説教される子は何人かいるだろうが、今は関係ないか。
流石にまだトレセン学園の生徒でもない子たちの各ご家庭のことにまでとやかく言うほど野暮ではない。
「わっはっはっはっは〜♪い〜〜い気分なのだ〜♪」
ステージ上のウインディが言いたい放題、やりたい放題やっていると。
「たいへん!!このままじゃ悪い鬼さんに世界が支配されてしまうわ!!みんな!!手元にある豆を鬼さんにぶつけて退治するのよ!!」
マイクの前でそう言うのは、電話口に立っていたろうお姉さん。ちなみにウマ娘だった。
「鬼は〜〜そと!!」
その掛け声と共にいくつもの豆が空中を舞う。
うんうん。地味に壮観だな。
そうして、子ども達が豆を投げはじめて二、三分くらい経った頃。
「ウワァ〜〜覚えてるのだぁ〜〜!!」
そう言って、退散するように舞台袖までノリノリで引き上げるウインディ。可愛い。
そうして、節分の劇は成功に終わったのだった。
「いやぁ〜助かりました。ありがとうございます」
「いえ、お礼ならウインディに。彼女が引き受けたからこそ、今日の成功があるわけですから」
「それもそうですね。シンコウウインディさん。本日はありがとうございました」
「のだ〜。ウインディちゃんもけっこーたのしかったのだ〜♪」
ウインディがそう返すと、彼女は手にしていた袋を渡してくる。
「どうぞ。本日の謝礼です。お二人でお食べください」
「ありがとうございます。おっ恵方巻きか」
ウマ娘のウインディに配慮したのかサイズは大きめで、具材もたっぷり巻かれている。
それが二本入っていて、持ってみると結構な重さだ。
オレが袋を受け取ると、中身が気になったのか覗き見てくるウインディ。可愛い。
「美味しそうなのだ〜♪」
「だな。あとでいただこう」
そう言って、公民館を後にするオレとウインディ。
車に乗り込むと、ウインディは聞いてくる。
「トレーナー。トレーナーは今日たのしかったのだ〜?」
「あぁ、もちろんだよ。よく頑張ったな、えらいぞ〜」
「ふふ〜ん♪ナデナデしてもいいのだ〜♪」
そう言うと、自然な流れで頭を差し出してくる。可愛い。
「よ〜しよしよし〜」
「のだぁ〜♪」
その後、駐車場から車を出せたのは三十分ほど経ってからだった。
◇
ふっふん♪
ウインディちゃんじょゆーにむいてるかもなのだ〜♪
えほーまきもぐもぐ〜♪
可愛いウインディちゃんが、トレーナーのためにチョコを作っていると言う姿が想像するだけで身悶えするくらい可愛い訳で……。
いや、だからってね?他の子が可愛くないとかそう言うことが言いたいんじゃなくてですねぇ…、やっぱりみんな自分のトレーナーに喜んでもらおうと言う姿勢は尊いんだけども、そこにさらに普段とのギャップって言うスパイスが加わるからイイのもあるってのはわかってほしいわけで…(以下略)