あああああウインディちゃんが可愛いんじゃああああ 作:ガラクタ山のヌシ
「ふぅ…そろそろ一息入れるかな」
作業が一段落して、オレはふと時計を見る。
「げ…もう昼かぁ…」
楽しかったり忙しいと時間が過ぎるのはあっという間だ。
今回は後者だが。
オレはすぐそばに置いてあるカバンから弁当を取り出す。
これでも自炊はそれなりにはする方だ。
教え子に食事や栄養の大切さを説いておきながら、自分がそれを怠るようじゃ本末転倒だしな。
まぁ、どうしても忙しかったり自炊する暇も無い場合は外食やコンビニで済ませたりもするが。
仕事用のデスクを汚さないため来客用の机の方に移動し、その弁当を今正に机の上に広げようとしたその時だった。
「うん?」
ドタドタドタドタドタドタ…。
珍しいなぁ。お昼は大抵クラスメイトちゃん達と済ませるはずなんだが。
バタァン!!
「トレーナー!!まだお昼食べてないのだ〜!?」
そう言って、案の定というか、予想を裏切らずウチの可愛いウインディがトレーナー室に入って来た。
「おお、ウインディ。ちょうどこれから食べようとしてたところだけど、それよりクラスメイトちゃん達はどうしたんだ?」
気になったことを聞くと、ウインディは微笑みながら言う。
「のだ〜。たまにはトレーナーさんと食べたら?って言われたのだ〜!!」
「なるほどなぁ。ちなみになんだけど、他には何か言ってなかったか?」
そう言うとウインディは顎に手を当て少し考える、というか思い出す素振りを見せる。可愛い。
「うーん…たぶんカンケーないけど、ぜんれーがあればわんちゃん?とかいってたのだ〜」
前例?いったいなんのだ?
それにワンちゃん?家で犬でも飼ってるのか?
飼うと言えばたまに寮の方にこの辺じゃ見ない鳥が飛んでいるとかいう噂もあるが…。まぁ今回その件は関係ないか。
「まぁ、それはいいのだ!!トレーナー!!よければコレ!!たべてほしいのだ〜♪」
そう言って差し出してきたのは片手に持った弁当箱。
唐草模様の包みが可愛らしい。
「お、開けていいのか?」
オレはそれを受け取るとそう聞く。
「もっちろんなのだ〜♪」
ウインディの了承も得たところで中身のご開帳。
「おぉ、旨そうな肉じゃがだなあ」
肉とにんじんとじゃがいも玉ねぎ、そして絹さや。
うん。やっぱり旨そうだ。
「ふふん♪実はこっそりヒシアマ姐さんにならってたのだ〜♪」
「あ、そうなのか〜。じゃあこれはウインディのお手製ってことか?」
「のだ〜。まだれんしゅーちゅーだったけどせっかくだし、とちゅーけーかを見てもらうのだ〜♪」
そう言って箸を持ち、ニコニコと肉じゃがを差し出して来る。
「うん?どうした?ウインディ?」
以前行った喫茶店とは違い、わざわざ食べさせっこをしなければならないルールは無いはずだけども。
「エヘー♪ヒシアマ姐さんが自分のトレーナーにこーしてたから、ウインディちゃんもマネなのだ〜♪」
うん。それ、直接本人に言っちゃダメだぞ〜?
「そうか。それじゃあ頂こうかな?」
このままウダウダ食べるのを拒否すると、またウインディを悲しませることになりかねない。
「はいトレーナー。あ〜んなのだ〜♪」
「はいよ〜。あ〜ん」
開けた口の中に、醤油ベースの甘い味わいが広がる。
うん。肉じゃがだ。
少し味のしみが足りない気もするが、まぁ作ってすぐならこんな感じだろう。
「おいしいのだ〜?」
「うん。美味しいぞ〜。流石ウインディだなぁ〜」
「エヘー♪それならよかったのだ〜♪」
「ウインディもそろそろ自分の弁当、食べた方がいいんじゃないか?」
時計を見ると、昼休みもそろそろ半分が過ぎようといていた。
「のだっ!?わすれてたのだ〜」
そう言って、ウインディは手元にある弁当を食べ始める。
「ん〜♪おいひいのだ〜♪」
ウインディ、相変わらず幸せそうな顔をして食べてるなぁ。可愛い。
オレは一度席を立ち、ポットに入れたお茶を二つの湯呑みに注いで、机の上に置く。
言わずとも分かるが一つはオレの分、もう一つはウインディの分だ。
「はいよ。ウインディ、お茶だぞ〜。ちょっと熱いから火傷しないようにな〜?」
「トレーナー、ありがとなのだ〜♪」
そう言って湯呑みを受け取ると、箸を弁当箱に置いて両手で持ってフーフーと冷ましはじめる。可愛い。
互いに食べ終えると、昼休みは残り五分も無かったのでウインディは名残惜しそうにしつつもそのまま再び教室に戻って行った。
しかし…。
練習中の肉じゃがをわざわざ持ってきたのは何故だったんだろう?
みんなで味見でもするつもりだったのか?
◇
エヘー。
おいしいっていってくれたのだ〜♪
がんばってよかったのだ〜♪
焦がしちゃったのは料理かチョコか…。
果たしてどっちだったんでしょうねぇ…。