ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル アフターメッセージ 作:しゅみタロス
ここは社会人と若者たちの喧騒と流行で染まる夜の街、新宿。
今は高校生が学校帰りにカラオケに興じ、大人たちは駅前の飲み屋で疲れを癒しているだろう。
そんな街に秋葉原から越してきて2年、俺は知らずの内に20歳になっていた。
大人の一人にはなったが当然酒も煙草もやろうと思わない。
そんなはずだった。
そして今は何故か俺が今いるのは……
心咲「外食とは言ったがまさかこんな場所に来るのは俺も考えていなかったが……」
海未「まあ、何も堅苦しくせずに。折角大人になったんですから楽に行きましょう」
ことり「一度ぐらいは飲んでも問題ないでしょ」
ここは新宿駅から歩いて5分の場所にある居酒屋
主に築地から運ばれて来る新鮮な魚介類がメインの店で値段もそれなりにする。
そんな場所に俺は酒が飲めないにも関わらず外食に来てしまった。
目の前にはイカと甘エビの刺身、鯛の煮つけ、シャケ大根、そして何よりこの店自慢のフグ鍋だ、全部穂乃果ちゃんが頼んだのだが明らかに2万円近く使っている。
横で穂乃果ちゃんがピーチサワーを飲み、園田さんは焼酎のロック、南さんはスパークリングワインとそれぞれ酒を飲んでいるのだが、俺はその気になれず、血糖値を抑える健康ウーロン茶を酒に見立てて飲んでいた。
穂乃果「この鯛の煮つけ美味しい~」
ことり「甘エビが新鮮だね~、ずっと食べていられるよ~」
海未「シャケ大根、初めて食べましたが良い出汁が染みてます」
心咲「芸能界入って無かったらこんな贅沢出来ないだろうな~フグ鍋初めて食うけどこんな美味かったのか。野菜もしっかりとれて身体があったまるな~」
穂乃果「私の分取っておいてよね」
心咲「わかってる、鯛の煮つけ、貰おうか」
思えば思うほど、俺は酒を飲めない事を悔しく思うが、結局俺は酒が飲めないんじゃなくて、飲みたくないと言うのが正しかったりする。
これは他でもない、芸能人としての仕事と自覚に対してだ。
芸能人としてありがちな飲酒トラブル、仕事を疎かにする二日酔いを恐れてアルコールの類は一切断ち切っている。
だからこそ、俺は酒を飲まないと心に決めているんだ。
海未「シメの雑炊、行きますよ」
心咲「よーし、それならしめじとネギもっと入れようか」
ことり「さっきしめじとネギたくさん食べてたよね?」
海未「それなら舞茸入れましょう」
穂乃果「それじゃあ、キノコ雑炊にしようよ」
結局色々追加したら3万ぐらい持ってかれた(泣)
ザアアアア
帰宅後、シャワーを浴びながらつくづく実感する、結局どこまで行っても自分には王様なんて言われる程の器なんか持ってない。
心咲「カッコ悪いな……俺……」
到底俺なんか今の時代についていけるかなんて言えたもんじゃない。
時代の上にはもっと凄い奴がいる、俺の事を王様なんて言うくらいなら本当にもっと凄い事やってのけてるよ、世の中そんなに簡単じゃない。
穂乃果「随分と思い詰めてるね、何かあったの?」
俺は穂乃果ちゃんのシャツ一枚の姿でソファーでくつろぐ姿に躊躇いつつも横に座る。
心咲「お互い暮らし始めると、知らなくてもいい事を自然と知るものなんだなって、その姿、俺を誘ってるのか?」
無防備に素足を伸ばし、シャツの隙間から少し見える谷間。
どう考えても襲ってくれと言ってる様な物だ。
穂乃果「だって、護君が結婚式終わるまではダメって言うから、じれったくて……」
穂乃果ちゃんの気持ちも分からなくもない、この年になれば男女の関係もより大胆なものになる、きっと穂乃果ちゃんもそういう時期だろう。
認めてやりたいところだが……
心咲「穂乃果ちゃんには申し訳ないけどまだその時じゃない、第一俺たちはまだ家庭を築けていない以上、不用意に淫らな事は出来ない。万が一、まだ結婚もしてないしお金も満足に無い中、もし、子供なんか出来たらそれこそ大変だろ?」
穂乃花ちゃんは俺の言い分を聞くと理解してくれたのか言い返す様な事はしなかった。
穂乃果「それもそうだよね、私、気が早すぎたみたい、ごめんね」
心咲「いや、穂乃果ちゃんは謝る必要ないよ、穂乃果ちゃんの願いに応えようとしてこっちが空回ってるだけだから」
お互いに望んでいる事は一つである以上、俺は穂乃果ちゃんの為に頑張らなきゃならない、俺も父親にとしての自覚を持つべきだなと思うなら働いてしっかり支えるのが筋だ。
穂乃果「でも、頑張ってくれてるのは嬉しいけど、一人でいる私の事も考えてよね」
心咲「それは責任持てないな」
穂乃果「じゃあ、キスで無理矢理誓わせるまでだよ」
強引に催促する穂乃果ちゃん、俺は逆に穂乃果ちゃんに唇を重ねる。
穂乃果「ッ!!」
その表情は思わぬ不意打ち受けた顔だ、案外まだ弱いんだな。
心咲「ごめん、嫌だったか……」
穂乃果「もう……意地悪なんだから……」
部屋の灯りが消える夜11時、お互い部屋の中で物凄く悶々としていたのは言うまでもない。
こんなんで大丈夫なのか?と思いつつ、休暇はあっという間に過ぎていった。