ラブライブリスタートシリーズ ラブライブカーニバル アフターメッセージ 作:しゅみタロス
誰もがまだ眠る朝5時頃、俺はスマホのアラームと共に目を覚ます。
いつ頃だろうか、自宅のベッドで長く眠っていたのは。そう思いながら無骨な黒いトランクケースを横に着替えを始める。
着替えを終えてリビングに向かうと一人でスクランブルエッグとベーコン、トマトとトーストのモーニングセットを作る穂乃果ちゃんがいた。
心咲「おはよう、穂乃果ちゃん」
穂乃果「おはよう、今日からまた出勤だね」
心咲「ああ」
モーニングセットを運ぶ穂乃果ちゃんの横でコーヒーメーカーからエスプレッソを抽出し、テーブルにカップを置いた。
心咲「良い羽休めになったよ、思えば働き過ぎって言うのもよくわかる」
穂乃果「護君は誰かが止めないと永遠に働いてるでしょ?赤峰さんからの話と給料明細書見るたびにヒヤヒヤしてるんだから」
心咲「はは……それは心配かけたな、少なくともブレーキが利かない事はよく分かるしこっちも色んなテレビ局に番組抱えてる身の上だから」
そう言いつつもトーストにトマトとスクランブルエッグを乗せて齧ると穂乃果ちゃんはタブレット端末を見て笑顔になる。
心咲「何見てるんだ?嬉しそうじゃないか?」
穂乃果「護君の出演してる水曜ドラマ、ミューズの皆が見てくれてるのが嬉しくて」
心咲「高視聴率獲得してる医療ドラマに俺が研修医役で出てるやつか、あのドラマ以降差し入れ多くなったんだよなあ、主にミューズの皆からの」
穂乃果「皆差し入れ持ってくるの?聞いてないんだけど?」
心咲「当たり前だ、そもそも忙しくて開けてすらいないんだから」
穂乃果「だったら郵送で家に送ってよ!!」
ああ、何となく読めた。多分穂乃果ちゃん俺の差し入れに高級菓子が何個も入っている事を知ってるな。まあ、何しろ自分そんなに甘い物沢山食べないから2・3個手元に残して後は穂乃果ちゃんにあげるとするか。
心咲「ごちそうさま、それじゃあ、しばらくは日本にいないから何かあったら園田さんと南さんの二人に頼んでくれ」
穂乃果「赤峰さんから直々のご招待だもんね、大変だと思うけど、アメリカのライブ、楽しんで来てよ」
心咲「それじゃあ行って来るよ」
最後に穂乃果ちゃんを抱き寄せて軽く口付けするとトランクケースを手に電車で渋谷に向かった。
ラブライブ運営委員会
赤峰「やあ、休日は有意義に過ごせたかな?」
心咲「はい、身体の重荷がようやく取れました」
歳「それにしても本当にお前年末から半年間働き続けたんだから逆にすげえよ」
智樹「実際僕たちはちゃんと家に帰れてる辺りまだ気楽ですが」
皆もちゃんと家に帰れてるんだな、そう思うと俺はやっぱり過剰に仕事を増やし過ぎたのかもしれない、でもそうは言ってられない。自分で穂乃果ちゃんの家庭を支えるべく、一刻も早くお金が欲しいのだから。
赤峰「それじゃあ、君たちに話しておこう、ワールドユナイテッドミュージックステージ。
3人の前にタブレットを置く、そこには日本語で訳された大会概要が書かれていた。
赤峰「WUMSはアメリカのL4クリエイツと言うレコード会社が
3人「!!!!!」
18億もかけて俺達をオファーしたのか、なんて企業だ。流石アメリカ……
赤峰「このステージには私自身が進めているある計画の為の準備も兼ねている。18億の内、1億は君たち3人の取り分、残りの15億はラブライブ運営委員会の管理になるから、まあ君たちには一億でそれなりの贅沢をすると良い。特に心咲君には美味しい話じゃないかな?」
俺の脳裏に過るのは一億円の使い道、結婚・家庭・住宅の3つだった。
自分が望んでいたバンドデビューと同時にこんな恩恵を手に入れられるなんて……なんて嬉しい事なんだ。
赤峰「本当に高坂穂乃果一筋なんだな、幸せ者だねぇ」
心咲「あのさ、心の内を勝手に読まないでくれますか?」
智樹「顔に出てるんですよ、考えてる事が」
痛い所を突かれつつも赤峰さんは話を続ける。
赤峰「出発については休暇中に連絡した通り、今日の昼12時にこの事務所を出発して空港に、その後昼食を済ませた後、2時のロサンゼルス行きに乗ってもらう。チケットについてはこっちで管理してるから安心したまえ」
智樹「後1時間ありますね、どうします?」
赤峰「荷物確認でもやっておいたらどうだい?」
心咲「それなら」
出発前の1時間、俺はスマホでミューズのグループラインにメッセージを送る。
心咲「皆には感謝してもしきれないな、この日本で俺のライブを見届けてくれっと」
そうメッセージを残し、HCM METROXのアドレスを張り付けてラインを閉じた。
予定通りだ、空港行きのバスがビルの前に止まり、後ろに荷物を詰め込むと俺達はそれに乗り込んだ。
空港まで約30分、バスに揺れながら国際線入口前に着き荷物を手に降りる。
多くの外国人がたむろする国際線で検閲を終えると俺たち3人は昼食を取るため食堂へと入店した。
歳は鶏の竜田揚げ定食、智樹がエビフライ定食を頼む中、俺はサバ味噌定食・豆ひじき・しじみ汁付きを食べている。
相も変わらず俺の健康志向のメニューを時代錯誤と言わんばかりの目線で歳に睨まれてる。こっちとしてはもう慣れてる事だが……
食堂を出ると歳に肩を叩かれる。
歳「お前さ、あんだけ残業しまくって今の今まで何食ってたんだ?」
心咲「まあ、朝はBLTサンドとコーヒー、昼は小松菜とゴマのおにぎり、夜は下ろし大根蕎麦をずっと続けてた感じだな」
歳「お前本当にそんな食生活続けてたのならぶっ倒れてるぞ」
偏食については自覚してる、結局ステーキハウスとか牛丼屋って本能的に避けちゃうんだよなあ。
歳「俺が奢ってやる、鶏肉ぐらいは食っておけ」
智樹「向こうに良いフライドチキンセットありましたよ」
心咲「それなら少し食べておこうか」
西部劇のような店内のお店でコーヒーとフライドチキンのセットを片手に飛び立っていく飛行機を見届ける。
悪くない、何よりも初めての飛行機に心が躍る。
テレレレーーン
アナウンス「間もなく、ビリーブス航空、108便、ロサンゼルス行きの、搭乗手続きを開始いたします」
アナウンスと共に俺達はトランクケースを手に搭乗ゲートを通る。
指定の席に座るとシートの前には液晶が付いており、どうやらこれでフードのメニューを見たり、音楽や映画を楽しめるようだ、最近の飛行機は退屈させないな。
すると後ろからカートを手にフライトアテンダントがやって来る。
女性「何か、お飲み物はいかがですか?」
心咲「それならアップルスパークリングを」
グラスに注がれた黄金色の炭酸を片手にイヤホンジャックを液晶に差し込む。
心咲「楽しい時間になりそうだ」
俺はこうして、蒼空へと飛び、ロサンゼルスへと旅立っていった。
智樹「桐島先輩、いつまで吐いてるんですか?早く出てきてくださいよ」
歳「ま、マジで気持ち悪ィ……」
歳は飛行機がダメだったらしい、頑張れ。(遠い目)