ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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ミドガルズオルムから有益な情報
を手に入れ対策を立てたユウスケ達

そして決戦の前にユウスケ達は
とある堕天使の悲しいお話を
聞かされるのだった。


第94話「後悔」

翌日の朝、朝食を済ませた俺達は地下の大広間に

集まっていた。俺達もシトリー眷属も今日は学校

に出ない。まあ、俺達の姿をした使い魔達に代わ

りに学校へ行ってもらう予定だ。奈美先輩には

使い魔達のフォローをお願いしている。

 

ロキとの決戦が近づいているので、今は体を休ま

せる必要があった。学園生活を楽しみにしていた

眷属の面々は残念がっていた。皆、学校好きだか

らな。まあ、俺も好きだけどな。

 

ソーナ会長も自分が学園に行けないことのもどか

しさを感じているようだ。生徒会長だからか、

自分がいない間に何か起こるのではないか?っと

そわそわするようだ。

 

そこで、先生が小言をつぶやきながら現れた。

その表情は不機嫌極まりないようだ。

 

「オーディンの爺さんからのプレゼントだとよ。

ミョルニルのレプリカとタラリアの試作品だ。

ったく、クソジジイ、マジでこれを隠してやが

った。ミドガルズオルムの野郎。よくこんな

細かいことまで知ってたな」

 

「凄い物なんですか?」

 

イッセーが訝し気に訊くと再度言い直してくれる。

 

「北欧の雷神トールが持つ伝説の武器のレプリカ

だ。それには神の雷が宿っているのさ」

 

「はい、オーディン様はこのミョルニルのレプリ

カを赤龍帝さんにお貸しするそうです。どうぞ」

 

ロスヴァイセさんからイッセーへとハンマーが

渡される。ぱっと見は普通のハンマーだが、

豪華な装飾や紋様が刻まれている。

 

これが、レプリカとはいえ、神の武器か

こんな凄い物をイッセーに預けて大丈夫か?

 

「オーラを流してみてください」

 

ロスヴァイセさんに言われて、

イッセーがハンマーに魔力を送ると。

 

カッ!一瞬の閃光のあと、ハンマ-が

どんどんと大きくなっていき。

 

ズドンッ!

 

俺の身長すら超える巨大なハンマーとなって、

大広間の床に落ちた。

 

はぁっ!?めっちゃデカくなったぞ!

 

落下の衝撃で大広間自体が大きく振動したぞ、

うわ、あまりの重さで、床にハンマーが埋ま

っちまったぞ!

 

イッセーが持ち手を抱え、持ち上げようとし

たが、びくともしていなかった。

 

「おいおいおい。オーラを纏わせすぎだ。

抑えろ抑えろ」

 

先生が嘆息しながら言う。

イッセーが助言をもとに魔力を調整すると、

ハンマーが縮小していき、両手で振るえる

ほどの大きさへとなった」

 

サイズは丁度よくなったが、重さは変わって

ないようで何度も持ち上げようとしているが

無理なようだ。

 

「禁手になれば持てるだろう。

とりあえず、一旦止めろ」

 

先生に言われてイッセーがハンマーから

手を離すと、元のサイズへ戻っていった。

 

「レプリカっていってもかなり本物に近い

力を持っている。本来、神しか使えないん

だが、バラキエルの協力でこいつの仕様を

悪魔でも扱えるよう一時的に変更した。

むやみに振るうなよ?高エネルギーの雷で

この辺一帯が消えるぞ」

 

ま、マジかそんなものをイッセーに

持たせるのかよ!?今のも危なかったぞ!

でも、このハンマーにイッセーが譲渡すれ

ば、ロキ対策としては十分か!

 

「そしてこのタラリアの試作品をクウガの

お二人にお貸しするそうです」

 

俺達はロスヴァイセさんから、翼の装飾の

されたサンダルを渡される。

 

「こちらも魔力を流すことで、空中を歩く

ことが出来るようになります」

 

俺は早速サンダルを履いてみると、

サンダルの装飾部分が足首に巻きつき、

自動で固定される。

 

「うお、勝手にくっつくんすね」

 

「それなら、変身した後で着ければ、

鎧の上からでもはけるからな。

邪魔にはならんし、激しい戦闘でも

外れることは無いだろう」

 

驚愕する俺に先生が説明してくれる。

 

俺は早速魔力を流して恐る恐る足を

上げると、見えない階段があるかの

ように何もない空中へと昇る。

 

「おお!空中に上がれた!」

 

どうやら魔力の調整で上り降りを

するようだった。

 

「なるほど、コツはいるが使えるな」

 

横で東城も空中を歩いているが不慣れ

な俺と違って、向こうは既に慣れた手

つきで空中から床へと歩いて下がって

いく。なれるの早すぎだろ!?

 

「ヴァーリ、お前もオーディンの爺さ

んにねだってみたらどうだ?今なら特

別に何かくれるかもしれない」

 

先生が愉快そうに言う。

 

しかし、当のヴァーリは不敵に笑いな

がら首を横に振った。

 

「いらないさ。俺は天龍の元々の力の

みを極めるつもりなんでな。追加装備

はいらない。俺が欲しい物は他にある

んでね」

 

ああ、白龍皇は元から魔力も才能も

ずば抜けているからな。東城みたい

に使える物は何でも使って強くなる

っている考え方や俺やイッセーみた

いに努力して強くなるっていう考え

方とも違う様だ。

 

「美猴、ちょうどいい。お前に伝え

ておいてくれと伝言をもらってもい

たんだった」

 

先生は次に美猴へ視線を向ける。

 

「あん?俺っちに?誰からだい?」

 

美猴は自分に指を指して、怪訝そう

にしていた。

 

「『バカモノ。貴様は見つけ次第

仕置きだ』だそうだ。初代からだ。

玉龍(ウーロン)と共にお前の動向を

探っている様だぞ」

 

「あ、あのクソジジイか…。俺がテロ

やってんのバレたんか。しかも玉龍(ウーロン)もかよ!」

 

先生の言葉に美猴は滝汗を流し、

青ざめていた。

 

いつも笑顔の美猴がこんな風に焦るなんてな。

 

「美猴、一度お前の故郷に行ってみるか?

玉龍(ウーロン)と初代孫悟空に遭うのは楽しそうだ」

 

「そうだな、仙術と妖術のプロと一度戦って

見たかったんだ」

 

「…止めとけよぅ、ヴァーリ、ユウスケ。引退気味

玉龍(ウーロン)はともかく、初代のクソジジイ

は正真正銘の化け物だぞ。現役って言っても差し支え

ねぇし。あのジジイ、仙術と妖術を完全に極めてっか

らマジで強ぇんだ…」

 

あのタンニーン様とも雄々しく戦っていた美猴が

ここまでビビるなんてなどれだけヤバいんだよ。

 

そのタンニーン様は決戦日に来るそうで、

今は冥界で待機中だ。心強い援軍が一緒に

戦ってくれて嬉しいよ。

 

先生が咳払いして俺達全員に言う。

 

「あー、作戦の確認だ。まず、会談の会場で奴が

来るのを待ち、そこからシトリー眷属の力でお前

達をロキとフェンリル、グロンギ達ごと違う場所

に転移させる。転移先はとある採石場跡地だ。

広く頑丈なので存分に暴れろ。ロキ対策の主軸は

イッセーとヴァーリ。二天龍で相対する。

グロンギ達はユウスケ達が相手をしろ、二人の

サポートにゼノヴィアとイリナが入れ、

相手が二人だけとは限らないからな。フェンリル

の相手は他のメンバー、グレモリー眷属とヴァーリ

のチームで鎖を使い、捕縛。そのあと撃破してもら

う。絶対にフェンリルをオーディンの元に行かせる

わけにはいかない。あの狼の牙は神を砕く。主神

オーディンといえど、あの牙に噛まれれば死ぬ。

なんとかしても未然に防ぐ」

 

それが作戦の全貌だ、グロンギ族達の相手、

ホルスの相手は俺が、ホオスの相手は東城が

することになっている。また、財団Xの介入が

あるかもしれないからな。ゼノヴィア達は

その時の為の保険だ。

 

「さーて、鎖の方もダークエルフの長老に

任せているから、完成を持つおして、後は

…。匙」

 

先生が匙を呼ぶ。

 

「なんですか、アザゼル先生」

 

「お前も作戦で重要だ。ヴリトラの神器あるしな」

 

先生の一言に匙は驚愕していた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!お、俺、

兵藤兄弟や白龍皇みたいな馬鹿げた力なんて

ないっすよ!?とてもじゃないけど、神様や

怪人、フェンリル相手に戦うのは!て、てっきり

会長達と一緒に皆を転移させるだけだと思ってま

したよ!」

 

かなり狼狽してる。確かに匙の力は有能だが、

流石に神やグロンギ、フェンリルを相手に

するのは流石に荷が重すぎるな。

 

先生もそれを理解していて、嘆息した。

 

「わかってるよ。お前に前線で戦えとは言わない。

だが、ヴリトラの力で味方のサポートをしてもらう。

特に最前線で戦うイッセーとヴァーリやユウスケ達

にお前が必要なんだよ」

 

「サ、サポート」

 

「そのためにはちょっとばかしトレーニングが必要

だな。試したいこともある。ソーナ、こいつを少し

の間、借りるぞ」

 

会長に訊く先生。

 

「よろしいですが、どちらへ?」

 

「転移魔方陣で冥界の堕天使領

グリゴリの研究施設まで連れて行く」

 

楽し気な先生の顔。

 

これって、イッセーの時みたいな

地獄のしごきじゃあないか?

あの顔はマッドサイエンティスト

のそれだ、関わったらろくなことがない。

 

出会ってまだそんなに立ってないが、

それぐらいは大分わかってきたよ。

 

「匙、先生のしごきは地獄だぞ。俺も冥界で

死にかけたし。しかも研究施設だ。おまえ、

死んだな」

 

匙の肩に手を置きイッセーは憐れみの眼差し

を向けてそういう。

 

「はっはっはー。じゃあ、行くぞ匙」

 

先生は嫌がる匙の襟首をつかみ、

そのまま魔方陣を展開した。

 

「マジかよ!?た、助けてぇぇぇぇぇっ!

兵藤ぉぉぉぉっ!会長ぉぉぉぉっ!」

 

魔方陣が光り輝き、泣き叫ぶ匙を包んでいく。

 

「そういや、ドライグ。アルビオンとは話さないのか?」

 

ふいに、イッセーがドライグに話しかける。

 

『いや、別に話すこともないが…。なあ、白いの』

 

珍しく、ドライグが俺達にも聞こえる様に話す。

 

『……話しかけるな。私の宿敵に乳龍帝などいない』

 

それに対して、アルビオンの反応は冷ややかな物だった。

 

『ま、待て!ご、誤解だ!乳龍帝と呼ばれているのは

宿主の兵藤一誠であって!』

 

ドライグも弁明しようとしているが、

 

『…ち、乳をつついて覚醒し、乳をつついて

覇龍(ジャガノート・ドライブ)」から解除などと…。

酷い有様で私は泣きたいぐらいだよ、赤いの』

 

アルビオンの声は落胆の色を含んでいる。

それを聞き、ドライグが泣いた。

 

『俺だって泣いたんだぞ!涙が止まらんのだ!

うおおおおんっ!』

 

『ぐすっ。どうしてこうなった…。

我らは誇り高き二天龍だったはずなのだ…。

テレビで宿敵を模した「おっぱいドラゴン」

などというヒーロー番組を見た時の私の気持ち

がわかるか?……うぅ』

 

………。

 

な、なんだこの状況は!?伝説のドラゴンが、

二天龍と称された二匹が…泣いているよ。

 

そんな二体にイッセーもヴァーリも困惑していた。

 

「…アルビオン、また泣いているのか。

兵藤一誠を模したテレビ番組を見ていた時も

すすり泣いていたな」

 

ヴァーリが少し困った顔でイッセーに訊く。

 

「すまない、兵藤一誠。こういう時、

どうやって慰めるべきだろうか?」

 

「知るか!俺に訊かれてもさ!とりあえず、

ごめんなさい!どうせ俺はおっぱいドラゴン

ですよ!」

 

こんなどうしようもないやり取りをしながらも

俺達は対ロキ戦のために準備を進めていった。

 

 

―〇●〇―

 

 

準備を進めていく中で、トレーニング室でイッセー

とリアス先輩と共にミョルニルの使い方を学ぶのに

俺は付き合っていた。

 

そこへ魔方陣が出現し、銀髪のメイドが現れる。

グレイフィアさんだった。書類らしき物を持っている。

 

「お嬢様。頼まれていた魔法の鎖、グレイプニル

に関する書類です。当日、戦場に直接鎖が送り届

けられることになっております」

 

「ありがとう、グレイフィア」

 

リアス先輩は書類を受け取り、

それに目を通していた。

 

すると、イッセーが二人に話しかける。

 

「あ、あの。部長とグレイフィアさんがいるので、

ちょっと訊きたいんですが…」

 

グレイフィアさんがクールな視線をイッセーへ向ける。

 

「なんでしょう?」

 

「…え、えっと」

 

イッセーはちょっと言い淀んだあと、

意を決したのか口を開く。

 

「朱乃さんについてです。どうしてお父さんと

仲が悪いんですか?俺、バラキエルさんがそこ

まで悪いお父さんに見えないんですが…」

 

リアス先輩とグレイフィアさんがお互い目を

合わせる。そのあと、リアス先輩が口を開いた。

 

「悲しい記憶よ」

 

朱乃さんのお母さんは日本のとある有名な神社

の巫女だった。名前は姫島朱璃という。朱乃さん

はお母さんの姓を名乗っているようだ。

 

朱璃さんがいる神社の近くにある日、敵勢力に襲撃

されて重傷を負ったバラキエルさんが飛来する。

朱璃さんは傷ついたその堕天使の幹部を救い、手厚く

看病したそうだ。

 

「姫島朱乃のお母さまはその時バラキエル殿と親しい

関係になったようです。そして、その身に子を宿した

のです」

 

と、グレイフィアさんが淡々と話してくれる。

リアス先輩も続く。

 

「バラキエルは朱乃のお母さまと生まれたばかりの

朱乃を置いていくわけにもいかず、近くで居をかまえ、

そこから堕天使の幹部として動いていたらしいわ。

三人は慎ましい生活ながらも充実して幸せな日常を

送っていた。けれど」

 

幸せは続かなかった。

 

朱里さんの親類は、黒い翼を持つ堕天使の幹部に

娘が洗脳されて手籠めにされたと勘違いし、とある

高名な術者たちをけしかけたという。

 

まあ、それはバラキエルさんの力でなんとか退ける

ことが出来た。けれど、術者のなかにはバラキエル

さんにやられて恨みを持つ者もいた。

 

「その術者達は堕天使と敵対している者達へ、

バラキエル殿が住まう場所を教えたのです」

 

グレイフィアさんがそう言った時、リアス先輩

瞳に悲哀の色を浮かべた。

 

「運が、悪かったんでしょうね。その日は偶然

にもバラキエルが家にいなかったの。敵対勢力

は朱乃とお母さまが住まう家を躊躇せずに襲撃

したわ。バラキエルが危険を察知し、駆け付け

た時には。朱乃はお母さまが命がけで庇ったお

かげで助かった。けれど、朱乃のお母さまは…」

 

朱乃さんはその時、敵対勢力に自分の父

堕天使の幹部がどれだけ他の勢力に恨み

を抱かれているか語られ、そして、母親を目の前

で殺されることで現実を突きつけられた。

 

「その日から、姫島朱乃は堕天使に対して良い

イメージを持たなくなったのです。そして、

殺された母親の無念を抱き、バラキエル殿に

心を閉ざしたのです」

 

グレイフィアさんの言葉に俺達は言葉を失った。

 

そんな過去が朱乃さんにあったなんて…。

俺が思っていたよりも二人の溝は深かったのか…。

 

それから数年後、堕天使とのハーフでもある

朱乃さんは住む家も追われ、天涯孤独な身と

なって各地を放浪し、リアス先輩と出会った。

 

「けれどね、イッセー、ユウスケ。私の眷属

となり、私のもとで悪魔として第二の生を送

り出した朱乃は以前と比べてだいぶ明るくな

ったわ。何よりもあなた達と出会ってからは、

堕天使へのイメージも緩和してきたの。

…お母さまが亡くなられたのはどうすることも

できない事件だったと、朱乃自身も心の底では

理解しているはずなのよ。けれど、それを素直

に受けいられるほど、まだ朱乃は強くないわ」

 

 

―〇●〇―

 

 

「……俺が全部悪いのさ」

 

朱乃さんの事を聞いた俺達はそのあと、

最上階のVIPルームで一人作業をしていた

先生にそのことを訊いたんだ。

 

そして先生も語りだした。俺が悪かったんだ、と。

 

「あの日、バラキエルを招集したのは俺だ。

どうしても奴じゃないとこなせない仕事だった。

だから、無理を言って呼び寄せたんだよ。

そのわずかな間に…。俺が朱乃とバラキエルから、

母と妻を奪ったんだよ」

 

「…先生。だから朱乃さんのことバラキエルさん

の代わりに見ようと?」

 

「………」

 

先生は作業している手を休めず、何も答えない。

そこへ部屋に入ってくる者達がいた。

 

「アザゼル、いま戻った」

 

ヴァーリと東城だった。

 

「ああ、お前達か。どうだ?」

 

先生の問いかけにヴァーリは手を突き出し、

小さな魔方陣を宙で展開した。これは。

魔方陣に描かれている紋様がロスヴァイセさん

やオーディン様が使っていた。北欧ものだった。

 

「北欧の術式はそこそこ覚えた。ロキの攻撃に

いくらか対抗できるはずだ」

 

ヴァーリが手に持っていたのは彼がずっと

読んでいた本だった。

 

まさか、本を読んだだけで魔法の術式を

覚えたのかよ!?

 

この短時間で?まさに天才だな。

 

「俺の方もこいつの使い方は大体理解した。

各フォームでの空中戦は問題ない」

 

東城もタラリアの試作品を手にそう答える

 

こっちもかよ、俺も空を駆けるぐらいには

なったけど、普通に歩行ができるほどじゃ

ねぞ!こりゃ、負けてられねぇな!

 

先生が二人の成果を確認してうなずいた。

 

「わかった。…よし、作業も一段落ついたし、

俺は少し休む」

 

俺達を置いて、先生が部屋を出て行った。

取り残された俺達。微妙な空気が流れる。

 

ヴァーリと東城はソファに座り、俺とイッセー

も近くの椅子に座った。ヴァーリは先ほどの

本を読み返しており、東城もケータイを弄っている。

彼らは必要のないときは、外に出ていた。

必要のある時だけ我が家に姿を現す感じだ。

必要以上にこちらと慣れ親しむつもりはない

ってことだろう。まあ、それはこちら側も

同様なんだがな。

 

俺も退出しようとしたが、イッセーが椅子に

座ったので俺も残る事にした。

 

しばらく気まずい沈黙が続いたが、イッセーが

ふと口にする。

 

「…しかし、悪神とはいえ『神』

と戦う事になるとはな」

 

「まあ、こんな経験は今回限りに

してほしいけどな」

 

会話が続かないと気まずいので

俺も話に乗っかるが、

 

以外にもヴァーリは本を読みながら

返してきた。

 

「よく覚えておくといい。良い神もいれば、

悪い神もいる。ま、良い神ってのも物の見

方を変えれば、邪に見えてしまうこともあ

るが…」

 

「相手は異教の神は全て滅ぼそうって奴だ

本当に悪い神ではあるな」

 

ヴァーリの話に東城が続く。

 

「悪い神様か…。なんで平和が嫌いなのかな?

俺、悪魔だけど、普通に暮らして部長たちと

毎日楽しく過ごせればそれだけで十分なのによ」

 

ヴァーリは本を閉じて、真っ直ぐにイッセーへ

顔を向けて言う。

 

「君にとっての平和が、苦痛と感じてしまう

者もいるということだ」

 

苦痛か…。

 

「なあ、東城。お前にとっては平和な世界は

苦痛に感じるか?」

 

俺の問いに東城はケータイをしまい

俺の顔を見て答える。

 

「ああ、苦痛だな。俺は戦い求めている

戦いと無縁の平和な世界は求めてない」

 

「お前ならそうだろうな。でも俺はそんな

世界を求めている。今回は共に戦うんだ

志を共にする必要はないが、同じ方向は

とりあえず向いて欲しいんだけどな」

 

東城は不敵に笑い俺に答える。

 

「ふっ、なあにこれでも今回の共闘は俺も

ヴァーリも楽しみにしてるんだ、この戦い

だけは君に背中を任せても良いと思ってい

るんだぜ」

 

背中を任せるかそれもいいんだがな。

やっぱり、俺はこいつを倒して決着を

付けたい。

 

「うむうむ。いいのぅ。青春だのぉ」

 

うおっ!いつの間に!?部屋の真ん中に

オーディン様が現れていた。

 

何やらえらく感心している様子だった。

 

「今回の赤白は、個性的じゃい。昔のは

みーんな只の暴れん坊でな。各地で大暴

れして、勝手に赤白対決なんぞして周囲

の風景を全部吹っ飛ばしながら、死にお

った。『覇龍(ジャガノート・ドライブ)』も好き勝手に発動しおってな。

山やら島やらいくつ消えたかの」

 

ため息交じりにオーディン様はそう語った。

オーディン様の後ろについてきていた

ロスヴァイセさんも言う。

 

「確かに片方は卑猥なドラゴンで、片方はテロリスト

という危険極まりない組み合わせですけど、

以外に冷静ですね。出会ったら即対決が

赤龍帝と白龍皇だと思ていました」

 

まあ、変り者ではあるだろうな。

 

「それにそちらの二人も赤白と同じように

良いライバル関係のようじゃの見てて

飽きないわい」

 

神様からしたら俺達は娯楽扱いか。

 

オーディン様は咳ばらいをひとつすると言った。

 

「やはり、若いもんはいい」

 

突然、年寄りらしい事を言い出す。

 

「どういうことですか?」

 

俺が訊くとオーディン様はひげをさすりながら言う。

 

「なーに。この歳までわしはジジイの知恵袋一つで

何事も解決できると信じておった。だがの、それは

年寄りの傲慢じゃ。真に大切なのは、若いもんの可

能性じゃよ。ほっほっほ、今頃になってそれがわか

ってきてのぉ、己自身がどれだけ愚かだったのか…。

わしの傲慢がロキを生んだんじゃろう。そして、

わしの今までの傲慢で今度は若いもんが苦労しとる」

 

オーディン様の目は悲哀に満ちていた。

 

「よく分からないけど、一歩一歩

前へ進めばいいんじゃないの?」

 

イッセーが何気なく口にした言葉に。

オーディン様はポカンと間の抜けた顔になっていた。

 

すると、「くっくっく」と今度はおかしそうに笑った。

 

「…若さはいい。年寄りをも刺激してくれる。

ああ、そうじゃな。その通りじゃ」

 

良く分からないが、オーディン様は満足そうな

顔をしていた。

 

 

―〇●〇―

 

 

アザゼルside

 

「よう、爺さん。会談はもうすぐだな。

こちらの準備も着々と進んでいるぜ」

 

「アザゼル坊か。…ふむ」

 

「どうした?珍しく難しい表情してるじゃないか」

 

「…わしの執政は祖国とここにおる若いもん達に

迷惑をかけていると思うてな」

 

「俺は古臭い考え方で引きこもって何もしない

北の連中が嫌いだった。でも、あんたは表に出

てきた。主神自ら表舞台に出てきたんだ。

協力態勢を説いてる俺達の元へ」

 

「…ジジイだからの。たまには若いもんの意見が

聞きたくもなる。それにわしの所の若い連中の

未来を考えると新しい道も用意してやらんとい

かんと思うてな」

 

「その思いを成就させてみろよ、爺さん。

そのために日本の神お話し合いに来たんだろう?

観光と称してこの国が持つ神話体系を見て回って

まで。絶対に会談は無事に済ませるべきだ。

俺達が何とかするさ」

 

「うむ。言われなくともわかっとるわい。

…今日は酒に付きおうてもらうぞ、若造」




ついに始まる神同士の会談!
そして現れる悪神ロキ!
会談を無事に終わらせるため
ユウスケ達はロキを退けることは
出来るのか?

次回、第95話「双頭狼」

次回も是非見てくれよな

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)
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