ユウスケ達は二条城へ向かう!
だが、そこへ新たなる刺客が!
ホテルを出て、京都駅のバス停に赴く。
ここからのバスに乗って二条城まで行く
予定だ。いちおう、皆、冬服の制服姿。
ゼノヴィアやイリナは例の教会製の
戦闘服を下に着ているようだ。
いざとなったら、制服を脱いで
動きやすくするらしい。
「うっぷ…」
ロスヴァイセさんが口を手で押さえて
時折襲ってくる吐き気と戦っていた。
いまだ体調はすぐれないようだ。
どれだけ酒に弱いんだよ。
それなのにあれだけ飲んでたのかよ。
修学旅行に来てからロスヴァイセさんの
色んな一面を見れた気がするが、
帰ったら二度と酒は近づけない事にしよう。
と、バス停でバスを待っていた時だった。
突然、イッセーの背中に何かが飛び乗った。
「赤龍帝!私も行くぞ!」
金髪の巫女装束、九重だった。
何でここに?妖怪の裏京都で待機のはずじゃ?
「おい、九重。どうしてここに?」
イッセーの肩に肩車の格好で座る九重は
イッセーの額を叩きながら言う。
「私も母上を救う!」
いや、流石にそれは…。
「危ないから待機しているよう、うちの魔王少女や
堕天使の総督に言われたろ?」
「言われた。じゃが!母上は私が…私が救いたいのじゃ!
頼む!私も連れて行ってくれ!お願いじゃ!」
…うーん。そこまで言われるとその気持ちを無下には
出来ないよな。先生に電話をすればすぐに関係者がきて、
九重を安全な場所に引っ張ってくれそうだけど…。
俺達が九重の対応に困っていたその時だった。
俺達の足元に薄い霧が立ち込めてくる。
同時にぬるりとした生暖かい感触が全身を襲った。
な、この感触は昼間の!?
こいつは、『
この現象の正体に気が付いた時には、
霧は俺達の全身を覆っていた。
気づいたら、そこは地下鉄のホームだった。
近くには『京都』と書かれた駅名プレートが
掲げられているから、ここは京都駅の地下
ホームか?
周囲に視線を配らせれば、此処にいるのは
俺とイッセー、そして、
「…こ、ここは地下のホームか?」
九重がイッセーの肩に乗っかっていた。
どうやら、イッセーと一緒に転移させ
られたらしい。
「どうやら、昼間と同じように
転移させられたようだな」
「じゃ、じゃあ、ここも別の空間に創られた疑似
京都なのか?きゃつらの持つ技術は凄まじいの?」
九重が言う通りだ。昼間も先ほども霧の発生に
前兆が全くなかった。気が付いたら転移されて
いるその使い方も脅威だが、俺達がいた京都駅
周辺の疑似フィールドを創り出していたなんて。
『~♪』
俺とイッセーの携帯が同時に鳴る。
アーシアからだ。やっぱり皆もこちらへ来てるのか?
「もしもし、アーシアか?今どこに居るんだ?
誰か一緒か?疑似フィールドに転移しているんだよな?」
『はい!ゼノヴィアさんと、イリナさんが一緒です。
詳しい場所は分からないんですが、遠くに二条城が
見えます。そちらは大丈夫ですか?』
「こちらも大丈夫だ。イッセーと九重と一緒で
京都駅の地下ホームだ。どうやら木場のほうは
ロスヴァイセさんと匙と一緒に京都御所に飛ば
されたみたいだ。とりあえず、合流は二条城で
行おう。英雄派の罠かもしれないから、
三人とも気を付けてくれよ」
『大丈夫ですよユウスケさん、私達も戦えますから
それに私達は三人ではなく五人です。
それでは二条城で待ってます』
そうだったな。あっちにはジークと九衛門もついてる。
それを言ったら俺達が一番少数か気を引き締めていか
ないとな。
イッセーの方も木場との連絡が終わったようで、
外の先生と連絡を試したようだが、繋がらないそうだ。
しかし、フィールド内なら形態が使えるってのも
可笑しなもんだな。どうやら、相手側も通信装置
を使える様にフィールドに特殊な結界か、魔術が
施されていると、ロスヴァイセさんが電話で教え
てくれた。
まあ、いろいろ考えるのは此処までだな。
まずは皆との合流を目指そう。
さて、ここからどう二条城に向かうかだが、
昼間の観光の帰りの時、二条城近くの地下鉄
から電車に乗って京都駅まで帰ってきた。
線路沿いに進んでいけば、地下から二条城
前の地下鉄駅までいけるはずだ。
「イッセー、襲撃があるかもしれないから
鎧は装着しとけ」
「ああ、わかってる」
イッセーが禁手のカウントを開始したのを確認し
アークルを出現させる!
「変身!」
『
ユウスケは『
イッセーも赤い閃光に包まれ、オーラが鎧の形に
形成される。
それを見ていた九重が感心する様に言う。
「うむ。昼にも見たが二人の鎧は赤く美しいな」
ペチペチと俺とイッセーの鎧を手で叩いている。
この辺の反応は俺達のファンと反応が似ているな。
口調は大人ぶってはいるが、やっぱり子供なんだな。
「九重、俺がお前のお袋さんをなんとか救うからさ。
俺のそばを離れちゃダメだぞ?九重の事は俺が守る
からさ」
イッセーのその一言を聞き、九重は顔を真っ赤に
させていた。
「う、うむ!良きに計らえじゃ!」
おー、また落としたのかこいつ。
年下によく惚れられるよなこいつ。
いや、リアス先輩や朱乃さんの事も考えると
年上もそうか。
っ!
突如、俺達に敵意を送る誰かの気配!
視線をホームの先に送ると、英雄派の制服を着た
男性がこちらに歩みを進めてきていた。
…俺達へ向けられた敵意。狙いは当然俺達だろう。
目と鼻の位置で足を止め、笑みを見せる。
「こんばんは。赤龍帝殿、空我殿。
俺の事は覚えてくれているかな?」
いや~、これでも覚えは良い方だけど、
全く思い出せないな。
「若干、記憶が…悪いな」
「申し訳ないが、俺もだな」
俺達の答えに男は苦笑する。
「まあ、そうだろう。あんた達にとってみれば
俺なんて記憶にも残らないほどの雑魚なんだろうさ。
けどな、あの時に得た力によって、俺はあんた達と
戦えるようになった」
突如、男の影が意志を持ったように
うねうねと動き出す。
その姿を見てようやく思い出した。かつて戦った、
黒いコートを着て、影を自在に操り、他の影から
攻撃を転移させる『
「思い出した。俺の町を襲撃してきた影使いの
神器所有者か」
イッセーの言葉に男は含み笑う。
「ご名答。俺はあの時、あんた達にボコボコに
されちまった。でも、今は違う。あんた達に
やられた悔しさ、怖さ、自分への不甲斐なさ
が俺を次の領域に至らせてくれた。見せてや
るよ。本当の影の使い方を」
ズゥゥゥゥゥ…。
言い知れない重圧を感じ、男の周囲にある柱、
自動販売機などの影が不気味に動き出した。
そして男は低い声音で一言つぶやく。
「
ズズズズズズッ……。
男から放たれるプレッシャーが増し、周囲の影
が男のもとに集まって体を包み込んでいく。
陰に全身を包まれていくが、徐々にその影が
形を成していき、男の体に鎧のようなものが
形成されていった。
…影で作った全身鎧か。まるでイッセーの
禁手と同じだな。
「赤龍帝のような禁手だ。そうは思ったのかな?」
俺達の心を見透かしたような男は愉快そうにつぶやく。
「そう、あんた達にやられた時、俺はより強い
防御のイメージを浮かべた。赤龍帝みたいな鎧
が欲しいと感じたよ。それだけ赤龍帝の攻撃力
は恐ろしくて力強くて感動的だった。
『
さあ、赤龍帝、空我、あの時の反撃をさせて
もらうぜ?」
影の鎧は生きているように各部位うねうね動いている。
顔まで影に覆われ、眼光だけ鋭くこちらに向けていた。
これじゃあ、まるでモンスターじゃないか。
さてと、アーシアがいないから、二人共プロモーション
はできないか、これぐらいの不利、良い修行に
なりそうだ。
今まで俺達が戦ってきた相手を考えればこの程度の
相手なんてことないぜ!
ダッ!
俺達は拳を突き出し、相手に突貫攻撃を繰り出したが、
ブワッ!
相手の体を攻撃が通り過ぎた!
男の体がけむりのように霧散していき、
インパクトの瞬間、当たった感触が無かった!
相手は何事もなかったようだ。
まるで煙のような感覚だ。
俺達はすぐさま振り返り、男の背後から
蹴りの連携攻撃を試すが、
ブワンッ!
やはり、攻撃が相手の体を通り過ぎる!
先ほどと同じ位置に戻ってきた俺達は
改めて体勢を取り直した。
…相手に変化なし、嫌になってくるな。
「この影の鎧に直接攻撃はおろか、
どんな攻撃も無駄だ」
男は嘲笑した口調でそう言う。
なるほどな、影のおかげで、物理攻撃は
意味ないか。なら他の手を試すだけだ。
そこで、イッセーは奴に手をかざし、
小規模のドラゴンショットを乱射する!
だが、ドラゴンショットは男の体の中に
消えて行った。そう吸い込まれたかのように。
ヤバイ、こいつの元々の能力は!
気が付いた時にはホーム内の物陰から
先ほどのドラゴンショットが転移して
俺達の方に撃ちだされてきていた。
ドゥ!ドンッ!ドゥンッ!
「クソッ!こっちの能力も相変わらずか!」
「下手に遠距離攻撃は出来ないな」
イッセーが九重を脇に抱え、俺と共に襲い来る
ドラゴンショットを回避し、時に迎撃する。
流石に仲間の攻撃でやられはせんよ!
ザワザワザワ…ッ!
ホームの影が意志を持ったように俺達のほうへ
向かってきた!
鋭い刃となった影が俺達を襲うが、あいにく
俺もイッセーもこの程度の攻撃でくたばるほど
やわじゃないぜ!
鎧で攻撃を防いでいたイッセーに影の一つが
足をつかみそのまま拘束しようとしていた。
さらにそこへ槍の様に鋭く形作った影が
大量に迫る!
マズイ!イッセーはともかくあのままでは
九重が!
「まだまだ!」
イッセーはアスカロンの刃を籠手から出現
させて、足を縛る影を切り払った!
後方に距離を取り、態勢を立て直す。
クソッ厄介だな。テクニックタイプか。
イッセーの最も苦手なタイプだし、
カウンター系の神器だから相性が最悪だ。
俺の方も相手に合わせて姿を変えたい所
だが、物理も無効、魔法も跳ね返されると
なると、倒す方法が思いつかないな。
前回と同じ方法なんて流石にさせては
貰えないだろうしな。
「ハハハハ!やるなぁ。流石は赤龍帝。
今の攻撃では倒すことは出来ないか。けど、
そちらの攻撃もこちらに利かない。持久戦
になれば俺の勝ちだ!」
おいおい、言ってくれるな。まあ、確かに
持久戦になったら、イッセーの鎧は解除されて
しまうからな。爆弾でも投げ込むか?
持ってないけどな。こんな事なら、任意で爆発
させられる魔法でも覚えとくんだったな。
魔法のプロフェッショナルのロスヴァイセさん
が適任なんだけどな。
「えいっ」
ボオッ!
イッセーが脇に抱えていた九重が手を前に
突き出して、男に火の球を繰り出していた。
小さな火の球だ。男は避けるまでもなく
手でつかんで握りつぶしてしまった。
「これは小さな狐の姫様。狐火ですかな?
この程度の熱量では、俺には無駄ですぞ?
熱さが足りない」
「お、おのれ?」
嘲笑う男。九重は悔しそうにしていた。
今なんて言った?熱さが足りないだと、
ならあの鎧でも熱さまでは防げないって事か。
「ユウスケ、九重を何とか頼む」
「任せろ!風よ!」
『エアロラ!』
俺は自分と九重を風のバリアで包み込む!
イッセーが大きく息を吸い、胸一杯に空気を溜める!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
『Transfer!!』
赤龍帝の力を高めて、さらに腹の火種に譲渡し、
イッセーは強化した炎を口から一気に噴き出した!
ボオオオオオオオオオオオッ!
大質量の炎がホーム内を包み込み、地下を炎の息で
埋め尽くした。
「炎だと!こ、この熱量は…!」
なるほど、影で転移させようにもホームの全てが
炎だ。それに自身が影の鎧に包まれてダメージが
無くても、中身は熱を感じるはずだ。
イッセーらしいパワープレイだな。
「元龍王直伝の火炎だ。熱さは保証付きだよ。
蒸し上がりやがれ」
「くそぉぉぉぉおおおおおおっ!赤龍帝ぇぇぇえっ!」
炎が男の周囲に渦巻く。男は炎の熱にやられ、
その場で絶叫をあげてのたうち回った。
やはり、直接攻撃は受け流すことができても、
ホーム全体を埋め尽くす炎の高熱までは受け流せない
だろう。今の俺の魔法なら、耐えられるはずだ!
「…龍の炎…」
風の中から炎をみた九重がぼそりとそうつぶやいた。
プスプスと煙をあげる地下のホーム。
いたるところ黒焦げだ。
「おいおい、ちょっとやりすぎじゃないか?」
「ああ、ここが本当の京都じゃなくて良かったぜ」
煙をあげて倒れ伏す男。…影の鎧は既に解除されている。
全身にかなりの火傷を負っていた。
先ほどまで感じられたプレッシャーもない。
もう禁手状態どころか、まともに戦えないだろう。
「…強い。禁手になっても…届かないというのか…」
男が体を震わせながら立とうとする。
「まだ立つのか?それ以上やったらお前死ぬぞ!」
俺が忠告するが、男は何度も転びながらも
よろよろと立ち上がろうとした。
「…死んでもいい。あいつの…そ、曹操の下で
死ぬのなら本望だ…」
その叫びは心の底からのものだと一声で分かった。
「お前は曹操に洗脳されていないのか?」
「ああ、そうだよ…。俺は俺の意志で曹操に付き
従っている…。なぜかって?くくくく…」
男が苦しそうに息をあげながら話す。
口の中まで熱でやられているはずなのに、
それでも男は話した。
「…神器を得た者の悲劇を知らない
わけじゃないだろう?」
それは分かってるさ。イッセーはそのせいで殺されたし、
アーシアも悲しい目に遭ったからな。
「…神器を持って生まれた者は誰しもその力によって
良い人生を送れたわけじゃない…。俺のように影を自
在に動かす子供が身内に居たらどうなると思う…?」
男は自嘲しながら、続ける。
「気味悪がられ、迫害されるに決まってるだろう。
俺はこの力のせいでまともな生き方ができなかったよ。
…でもな、この力を素晴らしいと言ってくれた男がいた」
それが曹操か。
「この力を持って生まれた俺を才能に溢れた貴重な存在
だと言ってくれた…。…英雄になれると言ってくれた…。
いままでの人生を全てなぎ払うかのような言葉をもらった
らどうなると思う?…そいつの為に生きたいと思っちまっ
ても仕方ないじゃないか…ッ」
絞りだすかのように男はそう独白した。…そこまで曹操の
ことを?やつはテロリストなんだぞ?
いまだって、九重のお母さんを拉致して何か起こそう
としている男なんだぞ?
「利用されているだけかもしれないんだぞ?」
イッセーの言葉に男は笑う。
「それのどこが悪い?奴は、曹操は!俺の生き方を、
力のつかいどころを教えてくれたんだぞ…?それだけ
で十分じゃないか…ッ!それだけで俺は生きられるん
だ…ッ!クソのような人生がようやっと実を得たんだ
ぞ…ッ!それのどこが悪いってんだよぉぉぉぉッ!」
………。
只黙って聞く俺達に男は涙を流し、思いを吐き出した。
「…クソのような扱いを受けて、クソみたいな生き方を
送ってきた俺達神器所有者にとって、あいつは光だった
…ッ!俺の力が、悪魔を、天使を、神々を倒す術に繋が
るんだぞ…ッ!こんなすごいことが他にあるってのか
…ッ!?それにな…悪魔も堕天使もドラゴンも元々人間
の敵だ…ッ!常識だろうが!そしてあんた達は悪魔で
ドラゴンだ!人間にとって脅威でしかないッ!」
脅威か。そうだな俺達は何も知らない人間からみれば
怖い存在だろうな。曹操は神器によって悲劇的な人生
を送っていた所有者に生きる道を与えてやった、
この人にとって、人生の転機だったのかもしれない。
けどな。
男がガクガクさせながらもついに立ち上がった。
俺達に向かってゆっくりと歩みを進めてくる。
敵意だけは消えていない。
「俺達人間を舐めるなよ…ッ!悪魔…ッ!」
そう叫んで少しずつ近づいてくる。
俺は拳を握りしめ、前方に歩み進めた。
男の顔面に拳を繰り出す!
「悪魔だよ、俺はッ!」
ゴウン!
顔面から俺の一撃を食らった男は後方に大きく
吹っ飛び、ホームの柱に背中を強く打ち付ける。
そのまま気を失い、その場で突っ伏してしまった。
倒れる男に俺はつぶやいた。
「てめェの正義もさぞ重かろうが、
こっちも色々背負ってんだよ!!!」
男を一瞥したあと、俺は暗がりの線路の
先に視線を向けた。
あの先を進めば二条城前に出られる。
皆も刺客を倒して進んでいるはずだ。
「行こうぜ、イッセー」
「おう!、乗れ九重」
「うむ」
イッセーが九重を背中に乗せ、
俺達は線路の先へと走り出した。
二条城へ向かう途中刺客を倒し、
皆と合流したユウスケ達だが
そこで待ち受けるはやはり、
英雄派とジャコだった。
京都を守るための戦いが今始まる
次回、第113話「開戦」
是非見てくれよな。
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忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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