今週から毎週水曜日投稿となります。
新作ゲームが出たりと忙しいので
ごめんね
では本編へどうぞ
第11話「夢」
とある雪山、強い吹雪の中それはいた。
白い表皮に金色の装飾。
まるで黒いクウガのような姿をしていた。
『ようやく僕と同じになれたんだね』
異形の怪物はそう言った。
自身の手足を見ると以前見た
究極の闇と呼ばれた黒いクウガとなっていた。
同じ存在?じゃあこいつも、究極の闇だっていうのか?
その時その怪人が手のひらをこちらに向けると
俺の体が発火しだした。
熱い!
俺の体を炎が包み込む。
とっさに消そうとしたがどうやっても消えない。
『どうやら君はまだ目覚めていないんだね』
その異形が広げていた手のひらを閉じると、炎が消えた。
『残念だけど、君と遊ぶのはまだ無理そうだね』
俺はその異形に恐怖を覚えた。
こいつはゲーム感覚でこんな事をしたのか⁉
それはまるで残虐な子供のようなセリフだった。
「何がしたいんだ!お前は誰なんだ!」
俺が叫ぶと、異形の怪物は人の姿へと形を変えた。
『君と等しい存在さ「究極の闇をもたらすもの」
僕はそう呼ばれていた。「究極の闇」と呼ばれた君と同じさ』
究極の闇はリアス先輩に教えられた。
クウガの本来の姿の事じゃ?
こんなのが俺が目指していた強さかよ。
『目的はね君と殺し合うためだけど今の君は殺しても面白くない。
もっと強くなって僕を笑顔にしてよ』
狂っている。おれはそう感じた。
こいつは戦いを楽しんでるんだ。
自分が殺されようとも戦い自体を楽しんでやがる。
「俺はお前みたいにはならない!
究極の闇が唯の殺戮者なら俺は皆を救う光になる!」
自分でも何を言っているのかわからないだけど
闇の姿になるのだけは嫌だった。
悪魔なのに光なんて矛盾してるけどな。
『究極の光か、面白いね君。今後も楽しみにしてるよ
なら今はまだ僕の事は忘れていようか……』
そこで俺の意識は闇に包まれた。
ー〇●〇ー
イッセーside
俺は今目の前で起こっていることにどうしたらいいか
分からないでいた。何故か、俺は教会らしき場所にいた。
周囲には見知った人々。
「ちくしょう!イッセーがなんで結婚なんて!」
「何かの間違いだ!これは何かの陰謀だ!」
坊主頭の松田、眼鏡をかけた元浜。
俺の悪友二人が恨めしそうな表情で俺に言葉を贈る。
「イッセー!初孫は女の子だよー!」
「うぅ、立派になって!性欲だけが自慢の
どうしようもない子だったのに!」
「父さん、母さん祝いの席なんだからしっかり祝いなよ」
父さん母さんも号泣している。
勝手なことを言ってやがるが、ユウスケに注意されてやがる。
俺の格好も白のタキシード。
まるで結婚式のような場面。いや、結婚式だろこれ!
教会内をお約束の音楽が流れている。
俺の⁉俺の結婚式なのか⁉
唐突で驚愕的な場面に呆気にとられるが、
肝心なお嫁さんは?俺の相手は誰だ?
「イッセー、きょろきょろしてはだめよ」
隣から聞き覚えのある声。
横を向けば、そこには腰の辺りまである紅の髪をした美少女。
リアス・グレモリー部長がそこにいた。
俺とユウスケを悪魔に転生させ、彼女自身も爵位持ちの上級悪魔だ。
おれはリアス部長の眷属悪魔であり、下僕でもある。
つーか、ウエヂングドレス姿が眩しすぎて直視できないぜ。
その部長が俺の隣に!ってことは、俺のお嫁さんか!
「リアスお姉さま!お綺麗です!」
「ああ、リアスお姉さま!どうしてそんな男と!」
教会の各地から参列者の悲鳴も上がる。てか、
誰も俺のことなんて祝福してくれないのね…。
そうか、これは俺とリアス部長の結婚式!
なんてことだ。俺と部長はいつのまにか、
そういうご関係になっていて、
ついにこういう展開に、なってしまっていた訳だ。
いや、肝心の間はどうした‼︎なんも思い出せない⁉︎
あー、なんだかよくやからないが、こんな憧れの
部長と結婚できるなら何も問題ねぇ!
「いついかなるときも」
何やら神父がありがたいお言葉を話し始めているが、
俺の脳内は他のことでいっぱいになっていた。
結婚=夫婦、夫婦=家庭、家庭=子供、子供=子作り、
そこまで考えて、俺の頭の中は既にお祭り騒ぎとなり、
エロい妄想を止めることは出来なかった。
そうか、俺が今までそっちに縁がなかったのもすべてはこの日、
この日の夜のため!お、俺に事を無事に完遂する事ができるのか⁉︎
い、いや、知識だけなら豊富にある!脳内シミュレーションを
来る日も来る日も繰り返してきた!
言うなれば、模擬戦では負けなしのエースパイロット!
後は実戦を待つだけのスペシャルエリートだ!
「それでは、誓いの口づけを」
何だと⁉︎
そうだった! まずはこれだ!
教会でのキス!部長とのキス!誓いのキス!
横を見れば部長が目を瞑り、こちらへ顔を向けている!
いいのか⁉︎いいんだよね!よし!よーし!部長の唇、いただきます!
俺は荒い鼻息を何度も出しながら、
唇を突き出して徐々に部長のほうへ。
『随分と盛り上がっているじゃないか、クソガキ』
ッ⁉︎
俺の頭の中に謎の声が響いた。
低く、迫力のある声だ、聞き覚えは無い。だが、
なぜか俺はそいつを知っているような気がした。
しかも、身近にいるような…。
『そうだ。俺はお前のそばにいる』
……誰だ? いいところで邪魔しやがって!
周囲を見回すと、いつの間にか教会は無くなっていた。
隣にいた部長もいない。家族も友達も誰も彼もいなくなっている!
というか、今俺が居るのはどこだ?感覚がなくなっていく。
平衡感覚も触覚も何もかもがない。視覚も聴覚も突然と消えた。
目の前が真っ暗だ。闇。
耳に何も聞こえてこない。無音。
……どういうことだ?
無の世界がそこには広がっている。
部長!父さん!母さん!ユウスケ!松田!元浜!
見知った人たちの名前を心の中で叫んでも反応が無かった。
俺はどうなったんだ? さっきの声はいったい誰だ?
『俺だ』
うわっ!
声は出ないが。俺は心中で心底驚いた。
当然だ。目の前に巨大な怪物が姿を現せば誰でも驚くさ。
大きな目。血のように赤い瞳。耳まで裂けた口に鋭い牙が
何本も生えそろっている。
頭部にも太い角が並び、全身を覆う鱗はマグマのように真っ赤だ。
巨木のような腕、足。鋭角で凶悪そうな爪。
何よりも、バッと広がっている両翼がこの巨大な怪物を
一層デカく見せている。
俺の眼前に……巨大な怪物……
俺の知っているものの中で一番似ているとしたら。
ドラゴン。
声に出していない俺の言葉がわかったのか、目の前の怪物
ドラゴンが口の端を吊り上たように見えた。
『そうだ。その認識でいい。俺はずーっとお前に話しかけていた。
だが、お前が弱小すぎたせいか、今の今まで俺の言葉が届かないでいた。
やっとだ。やっとお前の前に出現できた』
……こいつが何を言っているのか全然わからねぇ。
出現?ずっと俺に話しかけていた?暇なのかよ?そんなの知らねぇぞ!
なんだ。俺を食べる気なのか?
『食べる?不味そうなおまえをか?冗談はやめてくれ。
そうじゃない。これからともに戦う相棒に挨拶したかっただけだ』
相棒?
ちょっと、待て。さっきから、わけがわからないっての!
ドラゴン!お前はいったい。
『わかっているはずだ、なんとなく、そうかもしれないと思ったはずだ。
そう、それでいい。俺はお前の想像通りの存在だ。いずれ、
また話そう。なあ、相棒』
自分の左腕に視線を移した時俺の左腕は赤い鱗に包まれ、
鋭い爪むき出しの異形なものになっていた。
ー〇●〇ー
ユウスケside
はぁッ!
息苦しさに目を開けると、そこは見慣れた自室の天井だった。
悪夢でも見たのか俺の心臓がバクバク鳴っており。呼吸も荒い。
上半身を起こし、額の寝汗を手で拭うと予想以上の汗を搔いていた。
そこで、時計に視線を向けると時刻は四時。
そろそろ家を出る時間か。
俺は部屋着からジャージに着替える。
リビングへ降り、朝食を食べ終わったころ。上の階が騒がしくなる。
どうやら双子の弟であるイッセーが起きたようだ、
時計を見れば時刻は四時半もうリアス先輩がくるころだ。
俺はイッセーを待たず、先に家の外へ出た。
すると家の前に赤髪の美少女 リアス・グレモリー先輩が立っていた。
「待たせたようですみません。リアス先輩」
「時間通りねユウスケ関心ね」
ガチャッ!
大きな音を立てながらドアを開けてイッセーが家から飛び出してくる。
「すみません部長!お待たせしました!」
朝練はこれからだってのに既に汗をかいているイッセー。
「じゃあ行きましょうか」
俺達はリアス先輩に連れられて朝練へと向かう。
「はぁっ はぁっ」
「ぜーはーぜーはー」
「ほら、イッセー、だらしなく走らないの。
連帯責任でダッシュ十本追するわよ」
俺達は今早朝の住宅街を走り込んでいた。
元帰宅部のイッセーにはきつかったらしく
息を切らしながら、走っている。
後ろから自転車に乗った先輩が遠慮なく気合を入れてくる。
一カ月ほど前、俺達はひょんなことから人間から悪魔へ生まれ変わった。
先輩リアス・グレモリー様の眷属悪魔になってしまったわけだ。
悪魔ってのは人間に呼び出され、代価をいただく代わりに
相手の願いを叶える。そんな非日常的な仕事を生業にしていた。
先輩も例外じゃない。
俺達は先輩の下僕悪魔として、日々下働きしつつ、
目標に向かって一歩一歩前へ進もうとしていた。
俺の目標か?それは…
「ハーレム王に俺はなる……ぜーはー」
最初に言っておくこれが俺の願いではない。
今のはイッセーの願いだ。タイミングが良すぎだろう。
そうイッセーはハーレムを作ることが夢だ。
イッセーには夢があるが、俺には夢はない。
まずは夢を探すことから始めようと思っている。
とりあえず今の目標は強くなること。
大切な人の笑顔を奪わせないように強くなる。
それが今の目標だ。
俺の能力はかつて『究極の闇』と呼ばれた力らしいが、
どんなものかはわからない。けど、とりあえずその強さを
目指そうと思っていたが、今朝起きてから、
何故かその強さを本当に目指していいものなのか悩んでいる。
俺はそのモヤモヤを振り払う為にランニングに集中する。
「イッセーの言う夢のためにも、まずは日々の基礎鍛錬から
少しずつでも強くならないといけないわ」
先輩の言う通りだ、俺達は未だ見習い悪魔だが、
活躍して出世すれば爵位を頂けるらしい。
そうなると、先輩のように自分だけの下僕が持てる。
イッセーはそこに目を付けて、下僕を女の子で揃えて
ハーレムを作ろうと考えているようだ。
そのためにもまずは強くならないといけない。
悪魔の世界は圧倒的に魔力がものを言う。
単純な力が強ければ強いほど上を目指せる。
まあ、知力や交渉力、他の能力でも上へ行けるらしいが、
おいにく俺達にはそちらの才能は今のところない。
なので、まずは体力を上げないことには話にならない。
だから、現在こうやって毎日朝練をしていた。
だが、リアス先輩はスパルタだった。
「私の下僕が弱いなんてことは許されないわ」
と、朝練に関して妥協はない。
朝から二十キロ近く走り、そのあとにダッシュを百本以上。
さらに筋トレを各種数えたくない程やらされる。
元々運動はやっていたので前半はいいが、
後半になってくると流石にグロッキーになってくる。
悪魔は夜に力を発揮する夜の住人だ。
朝にやるよりも夜にやった方が練習もいいと思うと
イッセーが提案したが、そうでもないらしい。
苦手な朝日に照らされながら鍛えた方が精神的にも
強くなれると先輩は言う。
毎日筋肉痛で悩まされるが、習慣となると、
始めた時ほど苦しくもない。
以外にも最近はこなせている。
確実に日々成長しているのが窺えた。
体育の授業ではあからさまに結果が出ていた。
夜中ほどではないが、最近では記録が良くなっている。
「はぁはぁ……」
ゴールである公園に到着すると、俺達は走るのを止めた。
二人共、全身から汗が噴き出している。
「お疲れ様。さて、ダッシュ行くわよ」
鬼教官の笑顔が眩しいぜ。
ー〇●〇ー
「イッセーの能力は基礎が高ければ高いほど意味があるのよ」
「ういっス……六十五……」
「六十五……六十六……」
朝のマラソンとダッシュを終えた俺達は公園の広場で
筋トレメニューとして腕立て伏せに臨んでいた。
俺は重りを装着し、イッセーはリアス先輩を背中に乗せて
トレーニングしている。
先輩はこの短い時間でイッセーの扱い方がよくわかってらっしゃる。
あいつのことだ、美少女の尻に敷かれて喜んでいるよ。
たまに鼻の下が伸びてやがる。
べしっ!
「あうっ!」
イッセーがリアス先輩に尻を叩かれた。
「邪念が入っているわ。腰の動きがいやらしいわよ」
「……そ、そんな……六十八……。部長が俺の上に乗っているかと
思うと……六十九……つい興奮して……七十!」
「や、やめろ……イッセー……七十
そんな変態が……兄弟とか泣けてくるよ……七十一」
「腕立て伏せをしながらお喋りなんて、成長したわね。
貴方達もう百回追加しましょうか?」
リアス先輩は苦笑しながら無茶を言う。
先輩それは無理ですよ。勘弁してくれぇ。
「うーん、そろそろ来てもおかしくないんだけれど……」
「へ?誰か来るんですか?」
無駄口叩いてるとまた追加させられるぞ。
俺がそうイッセーに文句を言おうとしたら。
「すみませーん」と聞きなれた声が聞えてくる。
腕立て伏せの姿勢のまま、声のした方へ顔を向けてみれば。
「ユウスケさーん、イッセーさーん、部長さーん!
遅れてすみませーん。……はぅう!」
と金髪の少女 アーシアが転んでいた。
「ユウスケさん、お茶です」
「ありがとう。アーシア」
「イッセーさんもどうぞ」
「あ、ああ、ありがとう」
水筒持参のアーシアからお茶を飲みながら、
俺達は一息付いていた。
あのあと、腹筋と背筋をこなしたので全身が痛いがな。
「それで、アーシアはどうしてここに?」
俺が問うと、金髪美少女は頬を赤くそめる。
「毎朝、お二人がここで部長さんとトレーニングを
していると聞きまして……その、
私もお二人のお力になりたいなーって。
今日はお茶ぐらいしか用意出来ませんでしたけど」
アーシア……。なんていい子なんだ!
「いやお茶だけでもありがたいよ」
本音は神器で体の痛みも消してほしいがそれだと意味がないしな。
「うぅぅ、アーシア!俺はアーシアの心意気に感動した!
ああ、かわいい子にそんなことを言われる時が俺に訪れようとは」
イッセーは号泣しながらお茶を一気に飲み干した。
彼女はアーシア、長い金髪と透き通ったグリーンの目を持った
元シスター。「元」ってことは、現在彼女はシスターではない。
今は俺達と同じグレモリー眷属の悪魔だ。
先月、この子はとある事件に関与し、その結果堕天使に殺された。
死んでしまったアーシアだが、リアス先輩の力で悪魔として転生し、
いまここにいる。
それで、堕天使ってのは聖書や一般書籍にも登場する
悪い天使の事だ。黒い羽根が特徴的だ。
悪魔とは天敵どうしで、いつも小競り合いをしている。
その小競り合いに俺達も先月参戦したわけだ。
その時、ほとんどの敵を仲間に倒してもらったことで、
自分の弱さを痛感した俺達は、こうやって強くなるための
トレーニングをしている。
二度とアーシアに哀しい思いをしてもらいたくない。
あの笑顔は必ず守ってやりたいと思っている。
横を見ると、俺達の主様 リアス先輩はお茶を飲みながら
何か考え込んでいるご様子だった。
「どうかしたんですか、部長?」
イッセーが声を掛けると、
ハッと我に返った様でコホンと咳払いをした。
「いえ、何でもないわ。それより、ちょうどいいわね
今日にしようと思っていたから、このまま二人のお家へ
行きましょうか」
はい? 俺達の家? 何がちょうどいいんだろうか?
「もう荷物が届いている頃だろうし」
この言葉の意味を俺は十数分後に理解することになる。
ー〇●〇ー
「……これはいったい」
自宅玄関前に積み置かれた段ボール箱を見て、
俺の顔は引きつっていた。
なんだ、これ? 送り主も不明だが?
不審物かよ、爆弾とか危険物は入ってないよな。
怪しむ俺達にリアス先輩が言い渡す。
「さあ、二人共。この段ボールを部屋へ運んであげなさい」
「へ?運ぶ?…これを俺達が?…俺の家に⁉」
「いいですけど、リアス先輩これは何ですか」
「これはアーシアの荷物よ。なら運んであげるのが
紳士的だとは思わない?」
「これ、アーシアの荷物っ⁉」
「これを運び込むってことはまさか⁉」
心底驚愕する俺達にリアス先輩が追い打ちの一言。
「そうよ、今日からアーシアは貴方達の家に住むの」
家族会議。
とても大事な交渉場だ。
権力者である両親の一声が大きな決定権を持つ。
俺ら子供はいかに言葉巧みに交渉を続けられるかが
鍵になる。
そして会議は始まったが、開始早々、
権力者のはずだった父さんと母さんは先輩の前では、
なぜか縮こまっていた。先輩からは目には見えない
プレッシャーでも放っているのかもしれない。
「お父様、お母様、そういう事情でこのアーシア・アルジェント
のホームステイをお許しくださいますか?」
先輩が優雅に無茶な注文を両親に突き付けていた。
当の二人はアーシアをまじまじと見つめながら、
お互い耳打ちし合っている。
まあ、いきなり荷物と共にきて住まわせてなんて厳しいよな。
俺達にも相談なかったし。先輩の中では既に確定事項なのだろう。
……なんだ、二人がチラチラと俺達の方にも視線を向けてくるんだが。
父さんがゴホンと咳払いしたあと、アーシアへ質問する。
「アーシア……さんでいいかな?」
「はい、お父様」
緊張の面持ちでアーシアが応える。
「お、お父様……。くぅ…きれいな外国人のお嬢さんに
立て続けに『お父様』って言われると、その、なんていうか、
心身に響くね…いい意味で」
父さんは何やら感無量になっている。
先輩、アーシアと年頃の美少女二人に「お父様」
と呼ばれて喜んでいるのか。
やはり血は争えないな。
イッセーと反応がそっくりだ。
「お父さん!」
母さんが父さんを小突く、ハッと父さんも我に返った。
「ゴ、ゴホン!ホームステイするにしても我が家には
性欲の権化とも言えるバカ息子がいる。残念だけど、
家よりも同じ女の子がいるお宅の方がいいんじゃないかな。
何かあったあとじゃ、申し訳が立たない」
実の息子に容赦のない一言だ。それは、俺も否定ができないが。
だが父さんの言っていることは正論だ。
女の子をホームステイさせるなら女の子のいる家の方がいい
たとえば、小猫ちゃんの家とか、
横で母さんが「そーよ、そーよ」と相槌を打っている。
こんな金髪美少女をイッセーのような年頃の男と一緒に住んだら、
何が起こるか分からない。それこそ国際問題だ。と、両親は
言いたいのだろう。
イッセーに対する信頼が皆無だが、こればっかりは反論できんな。
ちなみに俺達が悪魔になってしまっていること、
アーシアが堕天使に利用されそうになったことは話していない。
二人にそんなことを話しても信じないだろうし、
父さんも母さんも悪魔に関与しない方がいい。
今回の事はだいぶ砕いて説明してある。捏造設定込みで。
リアス先輩は両親の拒否にも動じず笑顔で交渉を続けた。
「では、このアーシアが娘になるとしたらどう思いますか?」
なんだよその意味深な発言は…?
「どういうことかな?」
「お父様、アーシアはユウスケやイッセーの事を信頼しております。
それは深く私も同様ですわ。
ユウスケは冷静に物事をこなすタイプですが、
誰かの為なら傷つく事も恐れず窮地に飛び込み人を救う。
強く真っ直ぐな心を持っています。
かたや、イッセーは直情型でやや思慮のたりない部分も
ありますけれど、愚かではありません。
むしろ、向かってくる困難を切り開こうと前へ前へ突き進んでいける
熱いものを家に秘めています。私もアーシアも二人のそのような
ところに惹かれてますわ。特にアーシアは。ねぇ?アーシア」
「は、はい!ユウスケさんは私を命がけで助けてくれました。
2人は私の命の恩人です。学校でもたくさん助けてもらっています。
授業の時も」
と、アーシアが満面の笑みで俺たちに助けてもらっている日々を
嬉々として話し始めた。学校で起きた些細な出来事でさえ、
過大評価で話してくれる。
うぅぅ…恥ずかしくてこの場から逃げ出したいくらいだ。
両親はと言うと、「ほー、うちの息子達がねー」、
「人様の役に立つなんてねー」とまんざらでもない様子だ。
まぁ、自分たちの子供が褒められれば親なら誰しも嬉しいものか。
そこへ先輩からのダメ押しの一言。
「今回のホームステイは花嫁修行も兼ねてと言うのはどうでしょうか?」
『花嫁⁉︎』
はあ? なんでそうなる⁉︎俺とイッセーと両親が
素頓狂な声を上げた。頭のアーシアは意味がわかってないようで
疑問符を浮かべている。
ぶわっ。
父さんの目から大量の涙が流れだす。涙を拭いながら口を開いた。
「…イッセーがこんなのだし、ユウスケも消極的だから、
父さんは一生孫の顔なんて見れないと思っていた。老後も
独り身のお前らを心配しながら暮らさないといけないのかと
心配していたよ」
突然何言ってんだこの人は。勝手に息子の未来を決めつけて
悲嘆になるなよ。横では母さんもハンカチで目元を拭いながら
泣いていた。
「アーシアさんはどっちの息子が気に入ってくれたのかは
分からないけどこんなイッセーの事もよく言ってくれる
いい子なんて見た事ないわ」
酷い言い草だな。
確かに女性から嫌われているけどさ、
イッセーにだって良いところぐらいあるぜ。
「アーシアさん!こんなだめな息子だけどよろしくお願いできるかい?」
「そんな…、お二人はダメな方なんかじゃありません。
とても素敵な方ですよ」
完全に話が噛み合ってないなぁ。
アーシアが父さんの問いかけの意味にに気づかず、
ニッコリと微笑んだ。
それを見て、母さんが嗚咽を漏らしていた。
なにこれ?何かドラマのワンシーンかよ⁉︎
「リアスさん!アーシア・アルジェントさんを
我が家でお預かりしますよ!」
父さんの快諾を聞き、先輩も微笑む。
「ありがとうございますお父様。と言うわけで2人とも。
これからアーシアをよろしくお願いね。アーシア、これから
二人のお家にご厄介になるのよ。失礼のないように。
親御さんと仲良くしなさい」
「本当によろしいのでしょうか?私なんかが…
ご厄介になるなんて…ご迷惑じゃ…」
困惑した様子のアーシアに先輩が言う。
「日本の文化、生活に慣れるにはその土地の者の家で習うのが
一番。貴方に『部員の中で一緒に住みたいのは誰?』と訊ねたら、
迷いもなくユウスケがいいと言ったでしょう?」
なるほど、そういうことか。アーシアは先輩の元で厄介になっていた。
俺たちが通う学校の旧校舎の一室を間借りしていたんだ。
「は、はい。確かにそう言いましたけれど…」
「いいんだよ、アーシアさん!我が家で日本に慣れなさい!
これから永住するかも知らないんだから!」
父さん、嫁にもらう気満々じゃないか全く。
「ほら、お父様もこうおっしゃっているのだから」
先輩の笑を見て、困惑していたアーシアもやっと笑顔見せる。
「分りました、部長さん、なんだかわからないところもありましたが、
ユウスケさん、イッセーさん、お父様、お母様
不束者ですがこれからよろしくお願いします」
…まんまと懐柔されちゃったよ。父さん母さん。
嫁宣言攻撃はうちの親にとっては必殺の一撃だろうけどさぁ。
「ユウスケ!イッセーからアーシアさんをちゃんと守るのよ
未来の花嫁をしっかりと貴方が守りなさい!」
母さんが俺にそん事を言ってきたが、そこは息子を信じてやれよ!
こうして、アーシアは俺たちと一つ屋根の下で暮らす事となった。
「…花嫁、ね」
どうやらリアス先輩に悩み事があるようだ
心ここにあらずな時がある
ある時深夜に我が家に来客が
リアス先輩にいきなり迫られるイッセー
いきなりすぎる展開どうなるイッセー!
次回第12話「学校」
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