ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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第127話「応援」

遂にゲーム当日。

 

「すげーよな、本当に空に島が

浮いてんだから」

 

外の景色を見てイッセーがそう呟く。

 

俺達は空中都市に続いているゴンドラ

の中から上空に浮かぶ島を眺めていた。

 

横ではアーシア、イリナ、ゼノヴィア、

小猫ちゃん、ギャスパー、イッセーと

並んで窓から同様に空を眺めていた。

 

空に浮かぶ島、そこにある都市、アグレアス。

島を浮かばせている動力は、旧魔王の時代に

作られたものだというが、詳細はアジュカ・

ベルゼブブ様ぐらいしかわからないらしい。

よって、ここの深奥部の調整は現ベルゼブブ

眷属がおこなっとぃるようだ。

 

空に浮かぶ島なんて初めて見たが、

都市から地上に水が滝の様に落ちていく。

その滝も一つではなく。水が沢山の滝の様に

落ちていく姿は幻想的できれいだった。

 

さすが悪魔の住まう世界、冥界だ。

ファンタジーがすぎるな。

 

アガレス領にある空中都市。空に浮かぶ

島の上に都市を造ったようだ。

この辺一帯の空の流通を取り仕切る場所で

もあるらしく、さらに観光地でもあるようだ。

 

都市への入り方は大きくわけて三つ。

一つ目は魔方陣でのジャンプ。

 

これはVIPクラスか、特別な行事の時しか

行き来できない。重要な場所であり、

世界遺産でもあるのでなるべく魔力での

移動は許可しないようだ。

まあ、よからぬ事を考える悪魔もいる可能性

あるしな、当然の結果か。

 

二つ目が飛行船等の空の乗り物で、

こちらがジャンプよりもメジャーだ。

 

三つ目は俺達のように下の乗り場から、

都市から伸びるロープを伝ってゴンドラ

で上がっていく方法。

 

俺達は三つ目の手段を選んだ。

ゴンドラからの眺めを知っているリアス先輩

が一言漏らしたことから、皆が「乗りたい!」

と言ったためだ。

 

そうして、俺達はゴンドラからの雄大な風景を

眺めながら上を目指していた。

 

「実はな、今回のゲーム会場設定は上の

連中がもめたらしくてな」

 

と、空を眺めながらアザゼル先生が言った。

全員の視線が先生に集中する。

 

「もめた?会場の…決定にですか?」

 

イッセーの問いに先生はうなずく。

 

「現魔王派の上役はグレモリー領か魔王領での

開催を望んだ。ところが、ここに血筋を重ん

じるバアル派がバアル領での開催を訴えてな。

なかなかの泥仕合になったそうだ」

 

俺達の知らない所で、そんな事があったのか。

さらに先生が続ける。

 

「現魔王は世襲じゃないからな。家柄、血筋重視

の上級悪魔にとっちゃ、大王バアル家ってのは

魔王以上に名のある重要なファクターなんだよ。

元七十二柱の一位だからな」

 

「旧魔王に加担してた悪魔達も過去にそんなこと

を言って悪魔内部でもめたんですよね?なんで

同じ様なことをするんだか…」

 

俺がそう訊くと先生は手でジェスチャーを

入れながら嘆息する。

 

「あれはあれ、これはこれ、ってな。

大人ってのは人間界でも冥界でも難しい生き物

なんだよ。体裁、趣、まあ、いまだ貴族社会が

幅を利かせてる悪魔業界じゃいろいろとあるわな」

 

「…それで結局アガレス領…」

 

小猫ちゃんがぼそりとつぶやく。先生が頷いた。

 

「大公アガレスは魔王と大王の間を取り持った

って話だ。中間管理職、魔王の代行、大公アガレス。

時代は変われど、毎度苦労する家だぜ」

 

ふと、メガネの次期当主を思い出す。

彼女は俺らと同世代だからな。将来的には関わり

は増えそうなんだよな。何か起こる度に小言を

言われそうだな。

 

「…僕達のゲームは魔王ルシファーと大王バアル

の代理戦争ということになるのだろうか」

 

木場が目を細めてそう言った。

 

先生もあごをさすりながら答える。

 

「ま、そういう風に見る連中も多い。おっぱい

ドラゴン&スイッチ姫&仮面ライダー空我VS

若手最強サイラオーグってのは表向き、

一般人を注目させる煽り文句。裏じゃ、

政治家連中があーだこーだと見守ってんだろうな」

 

…政治か。このゲームの見えない所で

そんなものがうごめいているのかよ。

 

「めんどくさいっスね。俺らは俺らの

野望があって望んでいるのに…」

 

イッセーがそう言うと、先生が苦笑いする。

 

「お前達はそれでいい。それで十分だ。

仮にお前達が負けたとしても政治的に

サーゼクスが不利になるなんてことはないさ。

ただ、大王家の連中が少しあまい汁を吸う

だけのこと。それとサイラオーグのうしろ

についた奴等も良い思いするかな」

 

「サイラオーグさんのうしろに政治家、ですか」

 

「体一つでここまでのし上がってきたあの男

が、今更政治家の意見に左右されはしないだ

ろうがな。ただ、あいつ自身、上を目指す為の

パイプ作りとして関係を持っているんだろう」

 

大きな夢を、野望を叶えるには政治にも関与

しなきゃってことか。考えてみれば、俺達も

サーゼクス様やレヴィアタン様と面識あるしな。

 

向こうから見れば、魔王側として政治に関わり

があるように見えてしまうだろうな。

 

だが、納得できないものもある。

 

「…家の特色を得られずに苦労した

サイラオーグさんを利用する上級悪魔達、か」

 

イッセーがそうつぶやく。

 

確かに聞いた話じゃサイラオーグさんを

一度捨てたのは、あちら側の大本だと思われる

バアル家現当主だ。サイラオーグさんの周囲

にいるお偉いさんもそれに関係する者達

なんだろうな。今更、群がってきたわけだ。

 

サイラオーグさんの力に。

 

先生はため息を吐いた。

 

「複雑だろうが、それでいいんだよ。苦労した

分、やっと注目されたと思ってやればいい

じゃないか。どんな理由があろうと名のある者

に認められることは一つの成果だ。あとは結果

次第だが…。お前達はあいつの事を気にせず

全力でいけ。自分の目的を果たすために

がむしゃらに行かないと奴には勝てん」

 

わかってるさ、先生。サイラオーグさんの

事情まで考える余裕なんて俺達にはないんだ。

これは試合。俺達は勝って次につなげる為に

臨むんだ。

 

「でも、大王派はサイラオーグ・バアルの夢

を容認するのでしょうか?彼は能力さえあれ

ば身分を越えて、どんな夢でも叶えられる

冥界を望んでいるんですよね?」

 

木場が先生にそう訊く。確かに、バアル派は

サイラオーグさんの夢を容認した上で、

あのひとと接触しているのか?

 

「…元一位とか家柄にこだわる大王派が

容認すると思うか?あくまで表向きに

協力すると言って、裏じゃ蔑んでいるん

だろうさ。奴らが欲しいのは現魔王に

一矢報いるための駒。奴等にとってみれば

サイラオーグの夢はそれに心酔する者を

集め、それを後押しする自分達を支持して

もらう政治道具だ。サイラオーグもそれは

認識しているだろう。それでもひとつでも

上へ向かえるならとパイプを繋げたんだろ

うな。純粋で我慢強い男だ」

 

先生はそう答えた。

 

…酷い話だ。でも、サイラオーグさんは

夢を叶えるためにあえてそれを呑んだ。

 

…その心中は誰にも計り知れないだろう。

 

ふと、ひとつの疑問が生まれた。

 

「今更ですが、このゲーム、テロリスト

英雄派に狙われるってことは?」

 

「あるだろうな。これだけ注目されている

し、会場には業界の上役が多数そろう。

狙うならここだ。あいつらにとっちゃ、

お祭り騒ぎに自慢の禁手使いを投入する

ことは大きな行動になるだろう。いちおう、

警戒レベルを最大にして会場を囲んでいる

んだがな。ま、杞憂に終わるかもしれん」

 

平然と答える先生。

 

可能性があるのに杞憂に終わるだって?

 

「どうしてそう言い切れますの?」

 

朱乃さんが先生に訊く。

先生が頬をかいた。

 

「…ヴァーリから、個人的な

連絡が届いてな」

 

『っ!』

 

俺も含めて驚く一同!

 

当然だろう!まさかここでその名を

聞くことになるなんてな!

 

「ヴァーリ?あいつからですか」

 

そうイッセーが問う。

 

「ああ、野郎、短くこう伝えてきやがった。

『あのバアル家のサイラオーグとグレモリー

眷属の大事な試合だ。俺もユウスケも注目

している。ライバルの邪魔はさせないさ』だとさ。

愛されてんな、イッセー、ユウスケ」

 

「や、やめてくださいよ!気持ち悪い!」

 

「まったくですよ。只のバトルジャンキーの

戯れですって!」

 

あの二人がそう言うって事は、ライバルが

強くなるのを観察してるって事か。

俺達が強くなるほど燃えるってか?

 

相も変わらずのバトルジャンキーぶりだな。

 

でもあいつらが動いてくれるのは。

実際心強いよな。まあ、悔しくはあるけどさ。

 

悔しがる俺達をほっといて先生が続ける。

 

「どちらにしてもあいつがそう言ってきた

以上、曹操側にけん制をしているのは確か

かもしれない。あちらもヴァーリチームと

相対してまでこの会場潰しなんてしやしな

いだろうからな。あの伝説級の化け物が

集まる白龍皇チームが相手じゃ大きく犠牲

が出る。そんなもの、得でもないからやら

ない確率が高い」

 

そういう見方もあるわけか。

 

「あいつらにこんな形で守られるなんてな」

 

先生が窓から風景を見やりながら言う。

 

「もともと曹操はここを狙っていないって

ことも考えられるさ。隙を狙われる可能性

もあるから他の勢力も自分の陣地を警戒し

てるってところだ」

 

いまだに真の平和は遠いってことかよ。

 

もともと奴等との戦いは長くなりそう

かもという話だったもんな。

 

そんなことを考えているうちにゴンドラは

空中都市にたどり着いたのだった。

 

 

ゴンドラから下りた俺達を出迎えてくれた

のは、入り待ちのファンとマスコミの大群

だった。ゴンドラから出た早々にフラッシュ

と歓声に包まれ、多数のスタッフとボディ

ガードの誘導のもと、表に用意されていた

リムジンに乗り込んだ。

 

「お待ちしておりましたわ」

 

リムジンの中で待機していたのはレイヴェル

だった。先に空中都市アグレアスに来て、

準備を進めてくれていた。この子、本当に

よくできているよ。

 

リムジンの車窓から後ろを見やると、

マスコミの車らしいものが追ってきていた。

 

「…お前達、そろそろ個別にマネージャー

つけろ。特にリアスとイッセーとユウスケ

は必ずな。今回の試合、勝っても負けても

認知度は上がる。日が経てば落ち着くだろ

うが、それでもしばらくは冥界に来るたび

にこんな調子だろう。あー、そうだな、

レイヴェル、お前がイッセーかユウスケの

マネージャーをしたらどうだ?こいつらに

付けば勉強になるぞ、まあ、イッセーの

方はスケベだがな」

 

いやらしい顔でそう言う先生。

 

スパン!

 

その頭部をハリセンで叩く朱乃さん!

 

「な、何するんだ、朱乃!」

 

涙目で訴える先生だが、朱乃さんは

ニコニコフェイスに妙な迫力を持たせて

言った。

 

「うふふ、ちょっとデリケート次期でも

あるんで、そういうのは控えてください

な。ね、部長?」

 

朱乃さんがリアス先輩にウインクした。

 

「………」

 

リアス先輩は口を尖らせて恥ずかしそうに

頬を赤く染める。レイヴェルも空気を察し

たのか、特に反応を返さなかった。

 

以前に比べて、イッセーに対する

態度は柔らかくなった。まだ会話は

ギクシャクしている様子。

 

どうやら、俺のいない所でいろいろ

起きたようで、イッセーがやらかし、

それに対して、女性陣のフォローが

あり今に至るようだ。

 

まあ、深く追及して藪蛇はつつきたく

ないな。試合前だし、機嫌が直ってく

れたなら、いつも通り、ゲームにも臨

めるだろう。

 

しかし、マネージャーか。そんなのも

必要なんだな。考えたことなかったな。

眷属全体のスケジュールはグレイフィア

さんが持ってくれているけど、

俺単体となると話はまた別か。

 

レイヴェルぐらいしか知り合いいない

からな。この話はこの試合が終わった

後の課題だな。

 

そんなふうに考えているうちに、

リムジンは都市部を走り、会場となる

巨大なドームを目前にしていた。

 

 

ー〇●〇ー

 

 

空中都市に数多存在する娯楽施設。

その中で各種競技、アーティスト

の公演を主にした巨大なドーム会場

があった。

 

アグレアス・ドーム。俺達はその

ドーム会場の横にある高層高級

ホテルに移動していた。

 

…豪華絢爛な造りだな。悪魔になって

から、こういう高級な場所にばかり足

を運んでいるよな。これも上級悪魔

グレモリーの眷属になったからこそか。

 

広いロビー、煌びやかなフロア。

天上にはデカいシャンデリア。それでも

やはりグレモリーのお屋敷の方がすごく

感じる。まあ、あっちは城だもんな。

 

ボーイに連れられて、俺達の専用ルーム

まで案内される。試合は夜だ。

まだ時間があった。開始時間までそこで

待機となる。

 

通路を進んでいる時だった。

 

通路の向こう側から、不穏な雰囲気と

肌にピリピリと刺すような冷たいオーラ

を放ちながら歩いてくる集団があった。

 

顔が見えないぐらいにフードを深く被り、

足元すら見えないほど長いローブを着込ん

だ不気味な雰囲気の集団。

 

その集団の中央には司祭の服らしきもの

を着込んだ…って、あれは!?

 

俺達は集団の中央にいる者の顔を見て

絶句した。

 

骸骨だ。

 

骸骨が祭服に身を包んでいた。

頭部には司祭が被る帽子。

たしかミトラだっけか。手には杖も

携えている。

 

骸骨司祭は俺達を眼前にして足を止めた。

 

目玉の無い眼孔の奥を光らせる。

 

《これはこれは紅髪のグレモリーではないか。

そして、堕天使の総督》

 

その声は口から発せられたものではなかった。

どこから?俺達に魔法で言葉を飛ばしているのか?

 

骸骨司祭の声を聞き、先生は皮肉そうに笑った。

 

「これは、冥界下層、地獄の底こと冥府に住まう、

死を司る神ハーデス殿。死神をそんなに引き連れて

上に上がってきましたか。しかし、悪魔と堕天使を

何よりも嫌う貴方が来るとはな」

 

…冥府の神…ハーデス!?

 

《ファファファ…、言うてくれるものだな、

カラスめが。最近上で何かとうるさいのでな、

視察をとな》

 

「骸骨ジジイ、ギリシャ側の中であんただけが

勢力間の協定に否定的なようだな」

 

《だとしたらどうする?この年寄りも

ロキのように屠るか?》

 

そのやり取りのあと、ハーデスを囲む

ローブの集団が殺意を放ってくれる。

 

…ここでやる気か?カンベンしてくれよ、

 

大事な試合前なんだぞ!

 

アザゼル先生は頭を振り、ため息を吐く。

 

「オーディンのエロ爺のように寛容になれ

って話だ。黒い噂が絶えないんだよ、あん

たの周囲は」

 

《ファファファ…、カラスとコウモリの

群れが上でピーチクと鳴いておるとな、

私も防音対策をしたくもなる》

 

すごい敵視した蔑みだ。カラスにコウモリ

って堕天使と悪魔のことか?

 

ハーデスの視線がイッセーへと向けられた。

 

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)か。白い龍(バニシング・ドラゴン)と共に

地獄の底で暴れ回っていた頃が懐かしい

限りだ…》

 

まさか、赤龍帝にも恨みありって所か?

 

《まあよいわ。今日は楽しみとさせて

もらおうか。せいぜい死なないようにな。

今宵は貴様達の魂を連れにきたわけでは

ないんでな》

 

それだけ言い残し、ハーデスは俺達の

元を通り過ぎていく。

 

俺はほっと一息ついた。

 

見れば他のメンバーも緊張していたようだ。

張り詰めていたものを解いていた。

 

「…北欧時代に先輩のヴァルキリーから

ハーデスさまの話を聞いてはいましたが…

魂をつかまれているような感覚は生きた

心地がしませんね」

 

と、ロスヴァイセさんがつぶやく。

 

「…こ、怖…。す、すごいプレッシャー

だったんですけど、あの骸骨さん…」

 

イッセーがそう言うと先生も堅苦しかった

のか、首をコキコキと鳴らせていた。

 

「そりゃな。各勢力の主要陣の中でも

トップクラスの実力者だからな」

 

「…先生よりも強いんですか?」

 

「俺より強いよ、あの骸骨ジジイは…。

絶対に敵対するなよ、おまえら。

ハーデス自身もそうだが、奴の周囲

にいる死神共は不気味だ」

 

マジかよ!先生やサーゼクス様よりも

強いって相当だぞ!

 

「悪い神様ってことか…」

 

イッセーがそう呟くと先生は首を横に振る。

 

「いや、単に悪魔と堕天使…というよりも

他の神話に属する者が嫌いなんだろうな。

人間には平常通りに接する神だよ。冥府

には必要な存在だ。俺は嫌いだがね」

 

おいおい、ハッキリと嫌いと言ったよ。

まあ、俺も苦手だけどさ。

完全にこっちを見る目が敵意満載だったしな。

 

怖い遭遇に息を吐いたあと、今度は豪快

な笑い声が通路に響き渡った。

 

「デハハハ!来たぞ、アザゼルゥッ!」

 

「こちらも来たぞ、アザゼルめが!

ガハハハハハ!」

 

体格の良い髭面のおっさん二人が

駆け寄ってきて、先生にまとわりついた。

 

先生も半眼で嘆息していた。

 

「…来たな、ゼウスのオヤジにポセイドン

のオヤジ…。こっちは相変わらずの暑苦し

さ全開だな。ハーデスの野郎もこの二人

ぐらい豪快でわかりやすかったらいいのによ」

 

すごい神様がホテルの通路を走ってきたもんだ、

お二方ともアザゼル先生を知っているようで、

いじりまわしていた。

 

「嫁を取らんのか、アザ坊!いつまでも

独り身も寂しかろう!」

 

「紹介してやらんでもないぞ!海の女は

いいのがたくさんだぁぁぁっ!ガハハハ

ハハハハッ!」

 

「あー、余計な心配しなくていいって…」

 

先生が押されてる!初めて見るぞ。

あの先生も頭が上がらない神様っているんだな!

 

同じギリシャの神様でもさっきのハーデスとは

正反対のフレンドリーさだ。

 

「来たぞ、お前達」

 

今度は聞き覚えのある声。

 

振り返ればそこには小さなチビドラゴンが

宙に浮いている。

 

「その声、タンニーンのおっさんか!

ちっちゃくなっちゃって!」

 

「ハハハ、もとのままだと何かと不便でな。

こういう行事の時はたいていこの格好だ」

 

こんなに小さくなれるのか!

まるで使い魔みたいだな。

 

タンニーンが俺達を見渡すように言う。

 

「相手は若手最強と称される男だが、

お前達が劣っているとは思っていない。

存分にぶつかってこい」

 

「もちろんさ!俺達の勝利を見届けてくれよ!」

 

自信満々に返すイッセー。

 

「あっ!オーディン様!」

 

ロスヴァイセさんが素っ頓狂な声をあげる。

ロスヴァイセさんが指を向ける方向には

オーディンのじいさんの姿が!

 

オーディンのじいさんはロスヴァイセさんの

姿を確認するや、「これはマズイ!」と叫ん

でその場から走り去っていく!

 

それを見てロスヴァイセさんが吼えた!

 

「ここで会ったが百年目!まてぇぇぇぇっ、

このクソジジイィィィィッ!その隣にいる

新しいヴァルキリーはなんなのよぉぉぉぉっ!」

 

ヴァルキリーの鎧姿と化したロスヴァイセさんは、

逃げ去るオーディンのじいさんを追いかけて

いってしまった。

 

「…イッセー、ユウスケ、祐斗、ゼノヴィア、

お願い、ロスヴァイセを止めてきて」

 

嘆息しながらリアス先輩がそう言った。

 

試合目前だというのに、ホテルは予想以上

の賑わいを見せていた。

 

 

専用の待機部屋に案内された俺達。

そこは部屋というよりは広いフロアであり、

休憩できるテーブル一式(お茶、お菓子付き)から、

体を動かすためのトレーニング器具までずらり

とそろっていた。

 

なんでもござれ空間だな。体を使うメンバーは

俺を含めて、ジャージに着替えて軽い調整を

始めていた。

 

今のうちにほぐしておかないと、

いざって時に動けなくなっちまう。

 

ゲームまであと六時間ぐらいか。

昼も済ませた。あとの時間は調整に

使った方がいいだろう。

 

俺がそう考えていた時。

 

「邪魔をする」

 

入室してくる男性が一人。

見覚えのある人物だった!

 

「ライザー」

 

「お兄様!」

 

その男の登場に素っ頓狂な声をあげる

リアス先輩とレイヴェル。

 

そう、その男はライザー・フェニックスだった。

 

「よー、来てやったぜ。レイヴェル

も元気そうじゃないか」

 

言うなり、ライザーはフロアの椅子に座る。

 

ライザーの登場に怪訝に思う俺達。

 

朱乃さんがライザーにお茶を淹れる。

ライザーはカップに口をつけたあと言った。

 

「試合について、少し話そうと思ってな。

今日のゲームはプロの好カードと同じ

ぐらい注目を集めている。実質、おおまかな

流れはプロの試合と同じだろう。観客も席を

埋め尽くす勢いだ。その中でお前達は戦う

事になる。実戦とは違うエンターテイメント

性を強く感じて戸惑うこともあるかもしれない。

だが、これだけの大舞台だ。力を発揮すれば

それだけ評価に繋がる。リアス、ここがひとつ

の正念場だぞ?」

 

ライザーが真面目に語っていた。てっきり、

冷やかしのひとつでもいいに来たのかと思った

けど、逆だった。プロとして、先人としての

意見を俺達に向けてくれていた。

 

ライザーに言われ、リアス先輩は…目を細める。

 

「…私はソーナほど戦の組み立て方がうまいわけ

でもないし、サイラオーグほどのパワーもないわ。

けれど、眷属に恵まれているのはわかっているの。

だから、この子たちをうまく導けないかもしれない

自分の力量不足が腹立たしいわ…」

 

リアス先輩はそう告白する。

 

そんなことを考えていたのか。

 

リアス先輩の言葉を聞き、ライザーが言う。

 

「戦術と自分の力は経験を積み、俺が嫌いな『努力』

ってやつも重ねればある程度のものまでは得られる

だろう。だがな、リアス。巡り合い良い人材を

引き寄せる才能だけは別だ。ここにいる連中はお前

の持つ巡り合いの良さで集まった眷属だと思うぞ?」

 

「けれど、ドラゴン、赤龍帝であるイッセーが

引き寄せた部分も強いと思うわ」

 

「赤龍帝と出会ったのはお前の運命だ。お前が持つ、

引き寄せる何かが赤龍帝と巡り合わせた。だから

出会った。その後、ドラゴンの特性が他の奴らを

呼び寄せたとしても、その赤龍帝と出会い、眷属

にしたのはお前だ」

 

ライザーは真っ直ぐにリアス先輩に向かって言った。

 

「自身を持てリアス。こいつら、お前の財産だ」

 

ライザー…。良い事言うじゃないか。

 

ライザーは自分の言ったことに恥ずかしくなったのか、

頬をかきながら続ける。

 

「プロやってる俺が保証してやるよ。お前達は

すでにプロ級だ。ていうよりもトップに食い

込めるだけの人材がそろってる。俺達と再戦しても

こっちがボロ負けしそうだ。まあ、それはバアルの

ほうも一緒だけどな。あっちも強い。ったく、今期に

限って若手は豊富でいいもんだぜ」

 

それだけ言うと席を立ち、この場を立ち去ろうとした。

 

「リアス、いちおう応援している。勝てよ」

 

ライザーの激励にリアス先輩は

晴れやかな表情でうなずいていた。

 

「ええ、もちろんよ」

 

リアス先輩、憑き物が落ちたような感じだ。

『王』にはいろんな重責があるんだろう。

 

「赤龍帝」

 

ライザーがイッセーを呼ぶ。

ライザーは握り拳を作り、イッセーに向けた。

 

「お前の拳…。忘れられない一撃だった。

あれは、あのパンチはゲームで上を目指せる一発だ。

早く来いよ、俺と同じ土俵にな。お前なら来れるだろう?

そこで再戦しようぜ。プロの世界でプロの本当の怖さを

教えてやる」

 

「…は、はい!もちろんっスよ!絶対にあんたと

もう一度ゲームで戦って、正式に勝ちますから!」

 

それがイッセーの本音だろう。

 

ライザーの視線が妹のレイヴェルに移る。

 

「それと、レイヴェルを頼む。

リアスに負けずのわがままっぷりだがな。

これでも一途なんだ。泣かしたら燃やすぞ?」

 

「よ、余計なお世話ですわ!」

 

レイヴェルが顔を真っ赤にして返していた。

 

それだけ確認するとライザーは「俺も焼きが

回ったもんだ」と自嘲しながら、退室しようと

して振り返る。

 

「そうだ、言い忘れてた。赤龍帝、空我、さっき

サーゼクス様からお前達を呼ぶよう言付けを

託されてな。VIPルームのほうに顔を出してくれ

ってよ。見せたいものがあるそうだ」

 

サーゼクス様が?

 

俺達はとりあえず、VIPルームの方へ

赴くこととした。

 

 

ー〇●〇ー

 

 

というわけで、俺達はサーゼクス様がいる

というVIPルームへと入室した。

 

その部屋は豪華な家財道具が揃っており、

広く、煌びやかだった。

 

「悪いね、イッセー君、ユウスケ君。

試合前に呼びだしてしまって」

 

サーゼクス様が朗らかに迎え入れて下さる。

 

「いいえ。大丈夫です」

 

「それで、俺達に見せたいものって

なんでしょうか?」

 

「うむ、君達の熱烈なファンがいいものを

送ってくれたのだよ。それをぜひ見てもら

おうと思ってね」

 

サーゼクス様はテーブルの上に置いてある

円盤を取り出し、テレビに備え付けの再生

機器に入れていく。

 

「ディスク?映像か何かですか?」

 

イッセーがそう訊くと、モニターをつけ

ながらサーゼクス様が頷かれる。

 

「そう、ビデオレターだ」

 

モニターに映し出されたのはイッセーの

赤龍帝の鎧と俺のクウガを模した人形を

手にした男の子の映像だった。

 

ホームビデオだ。

 

カメラに向かって、男の子は勇気を

持って口を開く。

 

「おっぱいドラゴン、空我、こんにちは。

僕はおっぱいドラゴンと空我が大好きです。

うたもうたえます。今度のゲーム、ドーム

にいけないけど、おうちでおうえんしてます。

だから、ゲームでかってね』

 

っ。これは、応援のビデオレター…。

 

映像が何度も切り替わって、沢山の子供達が

俺達に応援のメッセージを届けてくれていた。

こみ上げてくるものがあった。

 

俺の事を…こんなにも応援してくれる子供が

これだけいたなんてな。

 

「今日、冥界全土に生中継で試合の内容が

放送される。テレビの前で多くの子供達が

君達を見ているんだ」

 

サーゼクス様が奥にある段ボール箱を

取り出すと、ふたを開けて俺達の方へ

渡してくれる。

 

それは、拙い悪魔文字で書かれた、

俺達への子供達からのファンレター

だった。それのどれも決して上手とは

いえない俺の似顔絵が手紙に一生懸命

描かれていた。

 

どれもこれもが、世界に一つだけの

ファンレターだ。

 

サーゼクス様は言った。

 

「この子たちは…冥界の未来だ。今日の

試合、大人の政治が絡む部分もある。

だが、そんなことは君達が一切気にする

必要なんてない。だから二人にお願いを

したい。自分達の夢の為に戦う君に、

少しでもいい、この子たちの為にも

戦ってくれないだろうか?私の勝手な

願いだと思っている。それでもお願いだ。

この子たちの夢も守って欲しいのだ」

 

この子たちの夢を守るため。

 

そうか、今日のゲームを誰の為に戦うか、

俺は本当の意味で理解してなかったって

わけだ。

 

「やってやりますよ。俺は皆の

ヒーローなんですから」

 

これから行うのはいつもの戦いとは違う。

俺の為、仲間の為、応援する子供達の為に

俺は戦うんだ。

 

将来、やりたいことは色々あるが、

まずやりたいことは一つだろうさ。

 

「行こうぜイッセー、果たすことは

シンプルだろう」

 

「ああ、やろうぜ、ユウスケ!」

 

今日やることは、このゲームを制して、

全ての想いに応える!




ユウスケは多くの想いを託され
試合に臨む!

子供達に立派な英雄の背中を
見せる為に!

遂に始まる若手最強決定戦!

そして今回行われるゲームとは!?


次回、第128話「規定」

是非、見てくれよな。

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)
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