ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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遅くなり申し訳ない
今年もよろしくお願いします

また投稿再開しますが

投稿は不定期になるかも知れません

途中で放り出しないので最後まで見ていただきたい

文字数の関係上改行がうまくいかず携帯で書いてると

難しいな。今後も読みやすい様に頑張りますが

多分見づらいとおもうが見やすい様に精進します。
では本編どうぞ!


第14話「条件」

いつものオカルト研究部の部室。

 

そこに招かれざる客が現れた。

 

「いやー、リアスの『女王』が淹れてくれるお茶は

美味しいものだな」

 

「痛みいりますわ」

 

朱乃さんのお茶を褒める男ライザー。

 

朱乃さんもニコニコしているが、いつもの

 

「あらあら」や「うふふ」といった返しが無い。

 

朱乃さんもライザーに対して

 

思うところがあるようだ。

 

ソファに座るリアス先輩。その隣につき、

 

軽々しく先輩の肩を抱くライザー。

 

先輩が何度も肩を抱く手を振り払うが、

 

ライザーは構わず肩やら手やら

 

髪やらを触っている。

 

婚約者といえど馴れ馴れしいだろ。

 

唯のセクハラだと思うがな。

 

俺達下僕は二人の上級悪魔から少し離れた

 

席に集まって、二人の様子を見ているしかない。

 

他の部員達を見れば皆悔しさが顔に出ていた。

 

―いや、一人だけニヤついている奴がいた。

 

誰であろう、馬鹿のイッセーである。

 

「あ、あの、イッセーさん。

何か楽しいことありました?」

 

隣にいるアーシアが怪訝そうに尋ねている。

 

 

違うんだアーシア!そいつは

 

妄想の世界にトリップしてた

 

だけだ。悲しいけどこれは現実か?

 

皆が真剣に悩んでるのにお前ってやつは。

 

「…卑猥な妄想禁止」

 

小猫ちゃんがぼそりと呟く。

 

「イッセーくん。とりあえず涎を

拭いた方がいいよ」

 

爽やかスマイルでハンカチを差し出す木場。

 

「よ、余計なお世話だ!」

 

イッセーは制服の袖口で拭おうとしてアーシアに

 

自身のハンカチで拭いてもらう

 

「そろそろお茶の時間ですから、

お菓子の事を考えて涎が出ちゃったんですね」

 

屈託な笑顔でそう言われて

流石のイッセーも心が痛むようだ。

 

「ありがとうアーシア」

 

「ユウスケくんも涙を拭きなよ」

 

そう言って木場は俺にハンカチを差し出す。

 

「ありがとう」

 

イッセーのあまりにも情けない姿に

 

俺は涙を流していた。

 

俺が涙を拭き木場にハンカチを返したその時、

 

「いい加減にしてちょうだい!」

 

怒った先輩の声が室内に響き渡る。

 

そちらを向くと、ソファから立ち上がった先輩が

 

ライザーを睨んでいた。

 

ライザーの方は変わらずにやけた表情だ。

 

「ライザー!以前にも言ったはずよ!私はあなたと

結婚なんてしないわ!」

 

「ああ、以前にも聞いたよ。だが、リアス、

そういうわけにはいかないだろう?

君の所のお家事情は意外に

切羽詰まっていると思うんだが?」

 

「余計なお世話だわ!私が次期当主である以上、

婿の相手ぐらい自分で決めるつもりよ!

父も兄も一族の者も皆急ぎすぎるわ!

当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは

自由にさせてくれるはずだった!」

 

「その通りだ。君は基本的に自由だよ。

大学に行ってもいいし、下僕も好きにしたらいい。

だが、君のお父様もサーゼクス様も心配なんだよ。

お家断絶が怖いのさ。ただでさえ、

先の戦争で純血悪魔が大勢亡くなった。

戦争は終わったとはいえ、堕天使、

神陣営とも均衡状態。

奴らとのくだらない小競り合いで

純血悪魔の跡取りが殺されてお家断絶したなんて

話もないわけじゃない。純血であり、

上級悪魔のお家同士がくっつくのは

これからの悪魔情勢を思えば当然だ。純血の上級悪魔。

その新生児が貴重なことは君だって

知らないわけじゃないだろう?」

 

どうやら話の内容から、悪魔世界の大事な話のようだ。

 

俺達が口を出せることではないな。

 

ライザーがカップの紅茶に口をつけてから、

 

さらに話を続ける。

 

「新鋭の悪魔。

君の下僕みたいに人間からの転生悪魔が最近は幅を利かせているけど、

それでは俺達古い家系である上級悪魔の立場が無い。

力に溢れているというだけで転生悪魔と通じる旧家もいる。

まあ、それもいい。

新鮮な血もこれからの悪魔には必要だ。

だが、純血の悪魔を途絶えさせるわけにもいかないだろう?

俺と君は純血を途絶えさせないために選ばれたんだ。

俺の家は兄たちが居るから問題ない。

しかし、君の所は兄妹二人だけ。

しかも君の兄君は家を出られたお方だ。

そうなると、リアスしかグレモリー家を継ぐものが居ないんだぞ?

婿を得なければ君の代でグレモリーは潰えるかもしれない。

君は長く続いた家を潰すつもりなのか?

先の戦争の影響で『七十二柱(ななじゅうふたはしら)』と称された悪魔はもう半数も残っていない。

この縁談は悪魔の未来が掛かっているんだ」

 

話もヒートアップしてきたが、純潔の悪魔がどれだけ

 

希少なのかも理解できた。

 

『七十二柱』に関しても以前木場に説明を受けたことがある。

 

人間界でもソロモン王の指輪の話は有名だ。

 

木場に説明された話では、大昔は七十二もの爵位持ちの一族がいて、

 

一族ごとに複数の軍団を率いていたが、戦争ではほとんどが消滅した。

 

部長の家はその戦争で生き残った貴重な純血悪魔一族のひとつであること。

 

ライザーの発言にはムカつくこともあるが、

 

そこは悪魔と人間との価値観の違いがあるのだろうな。

 

まあここはリアス先輩の決定を待とう。

 

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 

先輩の言葉を聞き、ライザーは満面の笑みを浮かべる。

 

「おおっ、さすがリアス!じゃあさっそく俺と」

 

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った

者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利はあるわ」

 

ライザーの言葉を遮り、先輩はハッキリ言った。

 

それを耳にして、途端に機嫌が悪くなるライザーは目を細め舌打ちをする。

 

「…俺もなリアス、フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。

この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。

こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。

というか、俺は人間界はあまり好きじゃない。

この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐え難いんだよ!」

 

ボワッ!

 

ライザーの周囲を炎が駆け巡り火の粉が部屋中に舞う。

 

「俺は君の下僕を全部燃やしてでも君を冥界に連れ帰るぞ」

 

ザワッ。

 

殺意と敵意が室内全体に広がる。ライザーが全身から放つ

 

プレッシャーが俺達を襲った。

 

背中に冷たいものが走る。上級悪魔からの殺意。

 

俺はこのプレッシャーの中腰に手をかざしてベルトを出現させる。

 

直ぐに変身しようとポーズを決めようとしたが、

 

怖くなったのか、アーシアが震えながら俺の腕に抱きついてきた。

 

ああ、アーシアじゃあこの殺気には耐えられないだろう。

 

イッセーも震えている。木場と小猫ちゃんは震えていないが、

 

臨戦態勢に入ってもおかしくない空気が流れる。

 

ここは様子を見るしかない。

 

木場も剣を出現させていない。

 

ここで俺が余計なことをして、話をややこしくさせるのは

 

避けるべき事態だしな。

 

リアス先輩もライザーと対峙し、紅い魔力のオーラを全身から薄く発し始めている。

 

ライザーも炎を纏い始めた。凄まじい熱気が部屋を包む。

 

熱い…あの炎、まともに食らったら直ぐに灰になってしまうな。

 

リアス先輩と同等の力強さを感じるしな。

 

見た目はエセホストのくせに実力は本物か、嫌になるぜ。

 

ライザーの炎が背中に集まり、翼のような形になる。

 

その姿はまさに火の鳥。

 

そんな張り詰めた空気の中で冷静に介入する人物がいた。

 

グレイフィアさんだ。

 

「お嬢様、ライザー様、落ち着いて下さい。これ以上やるのでしたら、

私も黙ってみているわけにもいかなくなります。

私はサーゼクス様の名誉ためにも遠慮などしないつもりです」

 

グレイフィアさんの言葉は静かだが迫力のあるものだった。

 

先輩もライザーも表情を強張らせていた。

 

まるでグレイフィアさんを畏怖しているようだ。

 

ライザーは体を覆っていた炎を弱めると、

 

息を深く吐きながら頭を振った。

 

「…最強の『女王』と称されるあなたにそんなことを言われたら、

俺もさすがに怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクス様の眷属とは

絶対に相対したくはないからな」

 

先輩のお兄さんはこんなに影響力がある地位の方なのか。

 

グレイフィアさんも只者では無いとは思っていたが、

 

まさか、最強の『女王』とはな。

 

先輩も紅い魔力を止め、臨戦態勢を解いていた。

 

どうやら、最悪の状況は脱したらしいな。

 

先輩とライザーの戦意が無くなったのを確認すると、

 

グレイフィアさんが言う。

 

「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も

重々承知でした。正直申し上げますと、

これが最後の話し合いの場だったのです。

これで決着がつかない場合の事を皆様方は予測し、

最終手段を取り入れることとしました」

 

「最終手段?どういうこと、グレイフィア」

 

「お嬢様、ご自身の意志を押し通すのでしたら、ライザー様と

『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

 

「ッ⁉」

 

グレイフィアさんの意見に先輩は言葉を失っている。

 

レーティングゲームは以前に説明を受けた

 

下僕悪魔を戦わせて競い合うゲームの事だったはずだ。

 

ゲームの強さが悪魔の中では上下関係に大きく影響しているって。

 

だが、あれは成人した悪魔しかできないはずだ、

 

ライザーは成人しているように見えるが、

 

先輩はまだ学生だ、参加する資格は持っていない。

 

そんな俺の疑問に答える様にグレイフィアさんは

 

説明を続ける。

 

「お嬢様もご存じの通り、公式な『レーティングゲーム』

は成熟した悪魔しか参加出来ません。しかし、非公式の純血

悪魔同士のゲームならば、半人前の悪魔でも参加出来ます。

この場合の多くが 」

 

「身内同士、または御家同士のいがみ合いよね」

 

グレイフィアさんの言葉をため息を吐きながら先輩が続ける。

 

「つまり、お父様方は私が拒否した時の事を考えて、

最終的にゲームで今回の婚約を決めようってハラなのね?

…どこまで私の生き方をいじれば気がすむのかしら…っ!」

 

先輩はいらついたご様子で、殺気がみなぎっている。

 

 

「では、お嬢様はゲームも拒否すると?」

 

「いえ、まさか、こんな好機はないわ。いいわよ。

ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

 

挑戦的な先輩の物言いにライザーは口元をにやけさせる。

 

「へー、受けちゃうのか。俺は構わない。ただ、

俺は既に成熟しているし、公式のゲームも何度かやっている。

今のところ勝ち星の方が多い。それでもやるのか、リアス?」

 

ライザーはさらに挑戦的な態度で先輩に返す。

 

先輩は勝気な笑みを浮かべていた。

 

「やるわ。ライザー、貴方を消し飛ばしてあげる!」

 

「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。

俺が勝てばリアスは

俺と即結婚してもらう」

 

睨み合う二人。火花が散るガンの飛ばし合いだ。

 

「承知いたしましたお二人のご意志は私グレイフィアが確認

させて頂きました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの

指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

グレイフィアさんの問いに二人も了承した。

 

「わかりました。ご両家の皆さまには私からお伝えします」

 

確認したグレイフィアさんはペコリと頭を下げた。

 

俺もゲームに参加することになったか。

 

相手は経験者で人数も差があるだろうから

 

勝つのは容易じゃないはずだ。

 

それとフェニックスということは、

 

伝承の通りならその身は不死身であり涙には癒しの力があるとか。

 

だが、リアス先輩がそれをわかっていないはずがない。

 

何か勝算があるのかもしれないな。

 

俺はルールもわからない、チェスと同じで王を倒した方が勝ちなら

 

大分きつくなる。ゲーム自体どの様な形式かで作戦も変わる。

 

『レーティングゲーム』について少し勉強した方がいいな。

 

すると、ライザーが俺達に視線を向けてくる。

 

途端にむかつく笑みを浮かべた。

 

「なあ、リアス。まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか?」

 

ライザーの言葉に先輩は眉を吊り上げる。

 

「だとしたらどうなの?」

 

先輩の答えにライザーはクククと笑い出した。

 

「これじゃあ話にならないじゃないか?キミの『女王』である

『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい部下に対抗できそうにないな」

 

そういいながら、ライザーが指をパチンと鳴らすと、

 

部屋の魔方陣が光りだす。紋章はライザーが出てきた時と同様の

 

フェニックスの魔方陣だ。魔方陣の光から続々と人影が現れる。

 

俺達は魔法陣から現れた人数に言葉を失う。

 

「と、まあ、これが俺のかわいい下僕達だ」

 

堂々と言うライザーの周囲を十五名の眷属悪魔らしき者が集結した。

 

『騎士』と思われる鎧を着こんだ者。

 

『僧侶』と思われるフードを深く被った魔術師。

 

『戦車』と思われるチャイナドレスの拳法家。

 

チェスの駒と同じ数がそろっていると言う事は

 

相手はフルメンバーという事だ。

 

それに比べてこちらは『王』、『女王』、『騎士』、

 

『戦車』、『僧侶』が一人ずつで『兵士』が二人だ。

 

イッセーは駒を七つ消費していて、七人分だが、

 

如何せん実力も経験も無い。

 

勝ちが見え無い戦いだけど、先輩の将来が掛かっている戦いだ!

 

避けるわけにはいかない。それと個人的にもライザーの野郎が

 

気に入らないしな。

 

それと気になることがもう一つ眷属が全員女という事だ、

 

身内にもいたよなハーレムを目指している奴が、

 

横のイッセーを見ると、目の前の光景に感動して号泣している。

 

まじで、勘弁してほしいこの空気でそれは締まらないから

 

後でやってほしい所だ。

 

「お、おい、リアス…。この下僕くん、俺を見て大号泣しているんだが」

 

流石のライザーもイッセーを見て引いているようだ。

 

先輩はそれを見て、額に手を当てて困っていた。

 

…弟が申し訳ない。

 

「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕を見て感動

したんだと思うわ」

 

「きもーい」

 

「ライザーさまー、このヒト、気持ち悪ーい」

 

ライザーの眷属達はイッセーを見て心底気持ち悪がっていた。

 

そんな女の子たちを体を撫でながらライザーが慰める。

 

「そう言うな、俺のかわいいお前たち。上流階級の者を羨望の

眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ。あいつらに

俺とお前たちが熱々な所を見せつけてやろう」

 

そう言うと、ライザーは眷属の一人とディープキスをしだした。

 

俺はアーシアに悪影響なので耳と目を塞いだ。

 

先輩は呆れて見ている。

 

やっと終わったと思ったら別の女の子とも始めやがった。

 

てめぇは盛りの付いた犬かよ!

 

婚約の話をしに来たのに相手の領土で他の女といちゃつくのは

 

どうかと思うんだが、礼儀云々の前に男としてどうなんだ!

 

「お前じゃ、こんなこと一生できまい。下級悪魔くん」

 

「俺が思っていたこと、そのまま言うな!ちくしょう!

ブーステッド・ギア!」

 

嫉妬心で我を忘れたイッセーが左腕を天にかざして、叫んだ。

 

赤い光を発しながら、イッセーの左腕に宿っているものが姿を現す。

 

ドラゴンの紋様が刻まれた赤い籠手『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。

 

強力な力を宿主に与える神器(セイクリッド・ギア)と呼ばれる代物だ。

 

イッセーはライザーに指を突き付けて物申す。

 

「お前みたいな女ったらしと部長は不釣り合いだ!」

 

「は?お前はその女ったらしにあこがれてるんだろう?」

 

それを言われるとぐうの音も出ないな。

 

「うっ、うるせぇ!それと部長のことは別だ!そんな調子じゃ、

部長と結婚した後も他の女の子とイチャイチャしまくるんだろう」

 

「英雄。色を好む。確かに、人間界のことわざだよな?いい言葉だ。

まあ、これは俺と下僕たちとのスキンシップ。

お前だって、リアスに可愛がってもらっているだろう?」

 

ライザーの言葉にイッセーは怒りを抑えきれないようだ、

 

同族嫌悪かね?あれを夢見るのは違うと思うがな。

 

「何が英雄だ!お前なんか、唯の種まき鳥野郎じゃねえか!

火の鳥フェニックス?ハハハ!まさに焼き鳥だぜ!」

 

「ぶふっ、くくくくくっ!やべぇ!イッセー!それはセンスあるな」

 

俺はイッセーの挑発に不意をつかれて笑ってしまった。

 

そんな俺達を見たライザーは憤怒の表情へ変貌する。

 

「焼き鳥⁉ こ、この下僕悪魔ぁぁぁぁぁ!調子こきやがって!

上級悪魔に対して態度がなってねぇぜ!リアス!

下僕の教育はどうなってんだ⁉」

 

先輩は「知るか」と言わんばかりにそっぽ向いていた。

 

この空気で笑ってしまった俺も悪いが、イッセーも熱くなってやがる。

 

戦いは止められないだろう。

 

俺は変身の構えを取り、叫ぶ。

 

「変身!!」

 

腰のベルトのスイッチを手の甲で押し込むと

 

ベルトの宝玉が赤く発光し俺の姿が戦士の姿へと変身する。

 

「姿が変わっただと⁉」

 

ライザーが俺の姿に驚いていた。

 

イッセーも俺の変身を確認して隣に立つ。

 

「焼き鳥野郎!てめぇなんざ、俺のブーステッド・ギアで

ぶっ倒してやる!」

 

「ゲームなんざ必要ねぇさ!俺とユウスケがこの場で

全員たおしてやらぁ!」

 

『Boost‼︎』

 

籠手の甲部分にある宝玉から音声が発せられる。

 

俺達は気合を入れるが、ライザーの方はため息を吐くだけだ。

 

「ミラ。やれ」

 

「はい、ライザーさま」

 

ライザーが下僕の女の子に命令を下す。

 

相手は小猫ちゃんと同じぐらい小柄な女の子。

 

棍を取り出し、くるくると回した後、俺達へ構えた。

 

すると、ミラと呼ばれた女性が前に踏み込み棍による

 

突きを放ってきた。俺は反応出来て避けることが出来たが、

 

イッセーは相手が小柄な女の子だった為に油断していた様で、

 

反応ができていなかった。

 

「イッセー!相手は実力者だぞ!油断するな!」

 

ダッ!

 

俺はイッセーにそう叫ぶと、相手へ走り出す。

 

拳を握り相手の腹めがけて拳を放つ。

 

バシッ!

 

だが相手の棍による払いで腕が弾かれる。

 

だが!

 

「今だイッセー!」

 

「はぁぁあっ!

 

俺の腕を払った為に棍による防御が無くなった相手へ

 

イッセーが拳を放つ。

 

その時、

 

ボォォンッッ‼︎

 

ミラへ攻撃が当たる直前、突如体が軽くなり吹き飛ばされる。

 

ガッシャァァァァァンッッ!

 

俺は何かにぶつかり床に転がる。

 

…つっ…。全身に燃える様な痛みが駆け巡る。

 

…なんだ、何が起こった?

 

「ガハッ!」

 

すぐ横からイッセーの悶える声が聞こえた。

 

「「「イッセー、ユウスケ!」」」

 

皆の心配する声が聞こえた。

 

俺達の元へアーシアが駆け寄り俺達に手をかざす。

 

瞬間、緑色の淡い光が俺達を包み込む。

 

温かいものが俺の痛みを消し去っていく。

 

アーシアの持つ癒しの力だ。

 

神の加護を受けられない悪魔すらも治療できる神器の能力。

 

そのせいで以前アーシアは堕天使に狙われたわけだが…。

 

周りを見れば部室のデスクが壊れており、

 

上に置いてあった雑貨品が床に散らばっている。

 

ライザーの方へ視線を向ければ、

 

奴の眷属の一人が手を此方にかざしていた。

 

どうやら爆発の魔法を食らった様だ、仲間も近くに居たのになんて奴だ、

 

魔法を食らってデスクまで飛ばされたのか。

 

ライザーが倒れ込むイッセーに近づき、見下ろしながら言う。

 

「弱いな、お前」

 

「さっきお前らが戦ったのは俺の『兵士』ミラだ。

俺の下僕では一番弱いが、少なくともお前よりも

実戦経験も悪魔としての質も上だ、お前、最初の一撃見えてなかったろ

ブーステッド・ギア? はっ」

 

イッセーの神器をコンコンと叩き、奴は鼻で笑った。

 

「確かにこいつは凶悪で最強の無敵の神器の一つだ。

やり方次第じゃ、俺どころか、魔王も神も倒せる。

お前の他にも過去に使い手は数えるぐらいだが、存在した。

だが、未だに魔王退治も神の消滅も成された事はない。

この意味わかるか?」

 

ライザーは嘲笑う。

 

「この神器が不完全であり、使い手も使いこなせない

弱者ばっかりだったってことだ!お前も例外じゃない!

こういうとき、人間の言葉でなんて言ったっけかな。

…そうだ、『宝の持ち腐れ』、『豚に真珠』だ!

フハハハ!そう、『豚に真珠』だ!お前のことだよ!

リアスの『兵士』くん!」

 

愉快そうにイッセーの頭をペチペチ叩くライザー。

 

「ふざけるなよ!テメェ‼︎」

 

「はあっ?」

 

「さっきの一撃は仲間も巻き込み兼ねなかったろ

それに、これ以上イッセーを侮辱するなよ!

俺も切れちまいそうだ!」

 

「お前はこいつよりは強いみたいだが、まだまだだな

手加減した一撃でダウンするなら俺には勝てないぞ

兵士くん」

 

俺はさっきからのライザーの態度にイラついていたが、

 

先程の一撃とイッセーへの侮辱で堪忍袋の尾が切れた。

 

腰のベルトから黒いモヤが広がり。

 

体に雷が走る。

 

「見せてやるよ、闇の力を!」

 

俺が怒りに飲まれると感じたその時、突如背筋が凍った。

 

「いい加減にしてください。両者とも、それ以上の戦闘は

容認できかねます。これ以上やるのであれば、私が相手になりますよ。

よろしいのですか?」

 

グレイフィアさんの放った言葉には怒気が含まれていた。

 

殺気を放つ彼女の姿は先程と違い恐ろしものだった。

 

怒りはうせ、恐怖のみが心を支配する。

 

体は震えて、歯がガチガチと音を鳴らす。

 

「すみません、これ以上は暴れません」

 

俺は大人しく、変身を解除して後ろに下がる。

 

「ライザー様もやりすぎです、他にやり方があったかと、

リアス様も直ぐに眷属を止めていただかないと困ります」

 

「ええ、ごめんなさい。グレイフィア」

 

「俺もやり過ぎたよ、すまなかったなリアス

だが、こいつらの実力も見れた、少しでも使いこなせる様に

なれば、面白い戦いが出来そうだな」

 

ライザーは顎に手をやり、何か思いついた感じだった。

 

「リアス、ゲームは十日後でどうだ?

今すぐやってもいいが、それでは面白く無さそうだ」

 

「…私にハンデをくれるっていうの?」

 

「嫌か?屈辱か?自分の感情だけで勝てるほど『レーティングゲーム』

は甘くないぞ。下僕の力を引き出してやらないと即敗北だ。

初めてゲームに臨む君が下僕達との修行を行なっても何らおかしくない。

いくら才能があろうと、いくら強かろうと、初戦で力を思う存分に

出せず負けた奴らを俺は何度も見たぞ」

 

ライザーの言葉を先輩は文句も言わず黙って聞いていた。

 

ライザーが手のひらを下に向けると、魔方陣が光を放つ。

 

「十日。君ならそれだけあれば下僕をなんとか出来るだろう」

 

奴の視線が俺達へ移る。

 

「リアスに恥をかかせるなよ、リアスの『兵士』諸君。お前達の一撃が

リアスの一撃なんだよ」

 

っ!

 

その言葉は、先輩を思っての一言なのだろう。

 

「リアス、次はゲームで会おう」

 

そう言い残し、ライザーは下僕達と共に魔方陣の光の中に消えていった。

 

その時、ユウスケは気づいていなかったが、

 

一人の眷属がユウスケを睨んでた。

 

その瞳には憎しみの感情が宿っていた。

 

その女性は魔法を放った人物であり、

 

その首筋にはタトゥーが特徴的だった。

 

 

 

 

 




ライザーの眷属に歯が立たなかった俺達は

山で修行をすることに眷属のみんなだけでなく

まさかのあの人も手伝ってくれるみたいだ。

絶対強くなってライザーの奴を倒してやる。

次回 第15話「修行」

待っててくれよな

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)

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