ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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ようやく投稿。

みんな待たせた。

今回は一誠視点で物語は進むぞ、

では本編どうぞ。


第16話「自信」

イッセーside

 

何日もの間、山にこもって皆と修行して、

 

わかったことがいくつかあった。

 

俺には剣の才能がない。

 

俺には格闘技の才能がない。

 

俺には魔力の才能がない。

 

一番大きいのが、俺が壊滅的なほど弱いってことだ。

 

皆と修行すればするほど、

 

自分がどれだけ矮小な存在か突き付けられた。

 

ゲームで役に立たない。

 

そう、俺にはアーシアのような回復もできない。

 

俺にはユウスケのような体力もない。

 

順調といえば、野菜の処理だろうか。

 

まあ、これも修行の一環だ。

 

俺は…本当に弱くて、役立たずだったんだ。

 

 

ー〇●〇ー

 

 

別荘での夜。

 

俺はベッドの上で天井を見上げていた。

 

山に籠ってから一週間過ぎている。

 

朝から晩まで練習だ。

 

ゲームで想定される連携や攻防バリエーション

 

なんかも何度も繰り返した。

 

隣のベッドで寝ている木場へ視線を移す。

 

すやすやとよく寝ているようだ。

 

…木場は凄い。

 

修行すればするだけ差を大きく感じてしまった。

 

俺は一生かけても木場に剣術で勝てないだろう。

 

生まれ持っての才能と死に物狂いで努力して得た技術。

 

どちらも俺にはない。

 

これから努力して果たして木場と同等の腕に届くのだろうか?

 

それは何年後だ? いや、何十年後か?

 

ううん、一生届かないかもしれない。

 

俺は…。

 

魔力の修行。隣でぐんぐん成長するアーシア。

 

炎や水、雷も小規模ながら使えるようになってきていた。

 

俺は、いまだ米粒程度の魔力の塊しか作れない。

 

俺は…。

 

部長の修行。俺と同じ修行をしているのに常に俺の先を行くユウスケ。

 

俺よりも負荷をかけて修行していた。

 

俺は、ユウスケの背中を見ているだけなのか。

 

俺は…。

 

あー、くそっ!

 

俺はたまらなくなり、寝床を飛び起きた。

 

のろのろと起き上がり、キッチンへ向かう。

 

台所で水を一杯飲み干していると。

 

「あら? 起きたの?」

 

リビングから部長の声が聞こえる。

 

見ればテーブルの所に部長が座っていた。

 

「あ、部長。こんばんは」

 

「何改まっているの?ちょうど良かった、

少しお話ししましょう」

 

ティーライトキャンドルがテーブルの上で淡い灯を灯している。

 

悪魔は灯りが無くても夜目が利く。

 

おかげで夜の山でトレーニング出来たわけだが。

 

となるとあのキャンドルは雰囲気的なものか。

 

俺はテーブルを挟んで部長の対面の席に腰を下ろす。

 

赤いネグリジェ姿の部長は紅の髪を一本に束ねて眼鏡をかけていた。

 

「あれ?部長って目が悪いんですか?」

 

「あー、これ?気分的なものよ。考え事をしている時に眼鏡をかけていると頭が回るの。ふふふ、人間界の暮らしが長い証拠ね」

 

部長はクスクスと小さく笑う。

 

眼鏡の部長も麗しいなぁ…。てか、ネグリジェ姿も最高だ!

 

テーブルの上に何やら地図らしきものとフォーメーション

 

などが書き込まれた紙が置かれていた。

 

…夜中、一人で作戦を練っていたのかな。

 

部長は戦術が書かれているノートを閉じてしまった。

 

「…正直、こんなものを読んでいても気休めにしかならないのよね」

 

部長は溜息まじりにそう言う。

 

「どうしてですか?」

 

「相手が他の上級悪魔なら、これを読んでいれば戦いはできるわ。

この本は研究された戦いのマニュアルだもの。問題はそこじゃないの」

 

「?じゃあ、いったい何がヤバいんですか?」

 

「ライザー本人よ。というよりもフェニックスが相手なのが一番問題なの」

 

俺の疑問に答えた部長は一冊の書物を取り出してテーブルの上に置いた。

 

開かれているページに指を指す。そこには雄々しく炎の翼を広げる

 

火の鳥が描かれていた。

 

「その昔、フェニックスは命を司りし聖獣として人々に崇められていた。

流す涙はいかなる傷をも治し、その身に流れる血を飲めば不老不死を手に入れられると人間界の国々に伝説を残すほどだったわ」

 

だが、聖獣であるフェニックスにはもうひとつの一族がいた。

 

侯爵の地位を持ち、『七十二柱』にも数えられた悪魔側のフェニックスだ。

 

「人間達は聖獣フェニックスと区別する為に悪魔のフェニックスを『フェネクス』と呼ぶようだけど、聖獣のフェニックスとライザーの一族は能力はほとんど一緒。つまり、不死身。私達はそれと戦わないといけないのよ」

 

不死身!? ちょっ、ちょっと、それって!

 

「最強じゃないですか!不死身って、そりゃいくらなんでも無敵すぎる!」

 

「そうよ。ほとんど無敵ね。攻撃してもすぐに再生して傷を治すわ。業火の一撃は骨すら残さない。八勝二敗。これ、ライザーの公式『レーティングゲーム』の戦績よ。十回戦って八勝。二敗は懇意にしている家系への配慮で、わざと負けただけ。実質は全勝よ。すでに公式タイトルを奪取する候補にもなっているわ」

 

…なっ。俺は絶句していた。

 

部長が言っていた問題ってのがわかったからだ。

 

ライザーだ!野郎をどうやって倒そうか、

 

それを練っていたんだ!

 

「ライザーが婚約相手に選ばれた時、嫌な予感がしたの。そうね、今思えばこうなることを見越して、お父様達は最初から仕組んでいたんだわ。私が否応なしに結婚するように、ライザーを当てた。こうして身内同士のゲームになってもライザーが相手なら、フェニックスが相手なら、勝てるはずが無いと踏んでいたんだわ。チェスで言う所の嵌め手。スウィンドルね」

 

いくら部長が強くても不死身が相手ではどうにもならないって、

 

部長の親御さんは考えたのか。ずるい!

 

それならどんな娘でも確実に結婚するしかなくなる。

 

「レーティングゲームが悪魔の中で流行るようになって、一番台頭したのがフェニックス家だった。悪魔同士で戦うなんて、ゲームをするようになるまで殆ど無かったわ。『王』も参加するこのゲームで、フェニックスの強さが浮き彫りになったの。フェニックス家は公式『レーティングゲーム』で最強クラスの筆頭。 不死身。これがどれだけ恐ろしいものか、悪魔達が初めて理解したのよ」

 

不死身なら、何度やられても復活できる。

 

フェニックスと違って他の悪魔の力には限度があるだろうから、

 

疲れた所を一気に叩かれるのか。うわ!

 

卑怯なぐらいマジで強いじゃ無いか!

 

そ、それが俺達の相手か!

 

ライザーの下僕美女軍団を倒したとしても、

 

ライザーを倒せなければ意味が無い。

 

いや、倒せるのか?まさか、

 

最初から筋書き有りのインチキ八百長試合じゃないよな?

 

俺が暗い顔をしていたのに気がついたのか、部長が苦笑する。

 

「ライザーを倒せないことも無いのよ?」

 

「マジっスか⁉︎」

 

「ええ。倒す方法は二つ。圧倒的な力で押し通すか、起き上がる度に何度も何度も倒して相手の精神を潰すか。前者は神クラスの力が必要。後者はライザーの精神が尽きるまでこちらのスタミナを保つこと。身体が再生して不死身でも心、精神までは不死身じゃないわ。倒すたび確実に相手の精神は疲弊する。フェニックスの精神を押しつぶせば私達の勝ちよ。再生も止まり、相手は倒れるわ。まあ、神みたいに一撃で相手の精神も肉体も奪い去る力があれば一番楽なんでしょうけどね」

 

…どちらも相当な努力をしないと無理なんじゃないか?

 

初陣でそこまでできるのかな?

 

いや、やらないといけないんだろうけど。

 

つまり、相手が「何度も再生しまくって精神的に辛いんで勘弁して下さい」

 

って言うまで戦えばいいのか。

 

そうだ、前から疑問に思っていた事を訊いてみるか。

 

「部長」

 

「なにかしら?」

 

「どうしてライザーの事を嫌っている…っていうか、

今回の縁談を拒否しているんですか?」

 

俺の質問に部長はため息をつく。

 

確かにライザーは女たらしで最低そうだけど、

 

お家の事情も考えると無下に断れないものだと思う。

 

「…私は『グレモリー』なのよ」

 

「え?ま、まあ確かに…」

 

「いえ。改めて名を言ったわけじゃないのよ。

私はあくまでもグレモリー家の人間で、

どこまでいってもその名が付き纏うってこと」

 

あー、なるほど。

 

「嫌なんですか?」

 

「誇りに感じているわ。けれど、私個人を殺しているものでもある。

誰しも私の事をグレモリーのリアスと見るわ。リアス個人として

認識してもらえない。だから、人間界での生活は充実していたの。

誰も悪魔グレモリーのことなんて知らないものね。

皆、私を私として見てくれている。それがたまらなく好きだわ。

悪魔の社会ではそれを感じる事は出来なかったし、

これからも感じる事なんて出来ないわ。

私が私として充実出来るのはこの人間界にいる間だけ」

 

遠い目をしている部長。その横顔はどこか寂しそうに見えた。

 

俺には想像も付かない世界の話だ。

 

俺は兵藤一誠で、名について特に何も感じた事なんてない。

 

俺は俺だし、俺の親父と俺のお袋の息子で祐介の弟でしか無い。

 

今のところ、何処にいても、何処に出ても俺は

 

「兵藤一誠」個人として認識されている。

 

部長はグレモリー家の看板を背負ったまま生きてきた。

 

これからもそうだ。

 

「私はグレモリーを抜きとして、私を、リアスを愛してくれる人と

一緒になりたいの。それが私の小さな夢。

…残念だけれど、ライザーは私のことをグレモリー

のリアスとして見ているわ。そして、

グレモリーのリアスとして愛してくれている。

それが嫌なの。それでもグレモリーとしての誇りは大切なものよ。

矛盾した思いだけど、それでも私はこの小さな夢を持っていたいわ」

 

部長は『リアス・グレモリー』としてではなく、『リアス』として

 

異性に愛されたかったわけか…。乙女の想いっていうのかな。

 

でもお家の事情もあるし、部長自身も複雑なのは間違いないと思う。

 

うーん、俺には乙女の心情も悪魔社会の構図もわからんから、

 

うまいこと言えそうにないな…。

 

「俺は部長の事、部長として好きですよ」

 

何気なく俺の口から出た言葉だ。だが、部長はそれを聞いて目を丸くしていた。

 

「グレモリー家の事とか、悪魔の社会とか良く分からないし、

俺にとってリアス部長はリアス部長であって…。

うぬぬ、小難しい事は良く分からないですけど、

俺はいつもの部長が一番です!」

 

俺は頭に浮かぶ精一杯の事を笑顔で言った。

 

ハハハ、我ながらシャレの利いた言葉すら口に出来なかったけどさ。

 

…って、部長さま? なんだか、部長が頬を真っ赤に染めている。

 

「ぶ、部長?お、俺、何か変なこと言いました?」

 

怪訝に思い、聞いてみると部長は首を振り、

 

「な、なんでもないわ!」とあわてていた。

 

なんだ?何事だ?まあ、いいか。

 

「しかし、天才の部長の初陣がそんな奴だなんて、前途多難ですね」

 

「天才って言葉はあまり好きじゃないわね」

 

頬を赤く染めたまま、部長は答える。

 

「どうしてですか?」

 

「天から授けられた才能…神から与えられたようで嫌な気分になるわ。

私の才能はグレモリー家が代々培ってきたものの結晶。

それを私は悪魔として受け継いだ。神からもらったものだなんて

思ったことは一度もないし、そんなことは有り得ない。

私の力は我がグレモリー家と私のものよ。

だから私は負けない。戦う以上は勝つわ。勝つしかないのよ」

 

自分に言い聞かせるように部長は言った。

 

すごいな。強いよ、部長は。それに比べて俺は……。俺は…。

 

「部長、俺、ダメです。山に来てから…てんでダメっス」

 

弱弱しくつぶやき始めた俺を見て、部長は怪訝な表情を浮かべる。

 

「イッセー?」

 

「皆と修行してて、強くなっているような気がするんですけど、

それ以上に…差を感じてしまいました。剣の修行をすれば、

木場の凄さがわかって『ああ、俺は木場みたいな剣士にはなれない』

とわかっちゃって…。小猫ちゃんとの修行をすれば、

小猫ちゃんの力を思い知って、魔力の修行をすれば、

朱乃さんの偉大さを痛感して、横でアーシアはぐんぐん成長しちゃって…

筋トレをすれば横で俺以上の負荷でユウスケが修行していて…

俺は何も出来なくて…。ブーステッド・ギアがあるから、

大丈夫だ!って強がってみたりして…」

 

俺はいつの間にか信じられないぐらい涙を流していた。

 

悔しくて、悔しくて。やればやるほど自分の矮小さが理解できた。

 

―俺には戦いの才能がない。

 

それがわかってしまったんだ。

 

「自分が一番弱いって、わかりました…。俺が一番役立たずだって…

十分にわかっちゃったんです……。たとえ凄い神器を持っていても

俺が持ち主じゃ、意味がないんだって。だから、

あのときライザー・フェニックスは俺を笑ったんですよね。

『宝の持ち腐れ』、『豚に真珠』、まさに俺の事じゃないですか」

 

部長の前で俺はボロボロと涙を溢れさせていた。情けないぐらい、

 

俺は悔し涙を垂れ流していた。無様に鼻水まで出して。

 

スッ。

 

―っ。

 

部長が俺を優しく抱き寄せる。何度も何度も俺の頭を撫でてくれた。

 

「自信が欲しいのね。いいわ、貴方に自信をあげるわ。ただ、

今は少しでも体と心を休ませなさい。

眠れるようになるまで私が傍にいるから」

 

その時は、その言葉の真意がわからなかった。だが、

 

部長の温もりが俺の心身を癒してくれる。

 

今はそれだけで十分だった。

 

 

―〇●〇―

 

 

「ブーステッド・ギアを使いなさい、イッセー」

 

次の日。練習を始める前に部長が俺にそう言った。

 

この山に入ってから、一切禁止されていた神器の使用。

 

それを今許されたわけだが…神器を使ってどうすればいいんだ?

 

「相手は祐斗でいいわね」

 

「はい」

 

部長に促され、木場が一歩前へ出た。俺と対峙する。って、木場と戦えってか!

 

「イッセー、模擬線を開始する前に神器を発動させなさい。

そうね…発動から二分後、戦闘開始よ」

 

「は、はい」

 

俺は部長に言われるままブーステッド・ギアを左腕に出現させる。

 

「ブースト!」

 

『Boost!!』

 

俺の言葉に反応して神器が音声を発し、体に力が流れ込んでくる。

 

これで、俺の力は元の倍になった。

 

十秒後。

 

『Boost!!』

 

さらに俺の能力が倍になった。神器から伝わるパワーが俺の全身を駆ける。

 

こうやって能力が倍になっていくのはいいんだが、

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』には使用する際の注意があった。

 

能力の増大には上限がないと思われるが、実はそうでもない。

 

一度、どこまで増大するのか試しに発動させてみたんだけど、

 

発動から数分後、俺は倒れてしまった。

 

理由は簡単だ。俺の体が増大されていく力に耐えられなくなったからだ。

 

あとで部長に訊いたら、

 

「貴方がトラックだとして、想定されている積載量を遥かに超える

荷物を載せられた場合、どうなると思う?動かなくなるでしょう?そういうことよ」

 

と説明された。

 

荷物とは倍になっていく俺の力。荷がどんどん倍になっていけば、

 

トラックは速度が出なくなり、最終的に動けなくなる。

 

つまり、力が増大しすぎると俺の体に負荷がかかるってことだ。

 

だから、倒れた。力を蓄える体という器が増加に耐えられなくなったから。

 

数分間試した時も確かにそうだった。籠手の宝玉から『Burst(バースト)

 

と発せられた瞬間に、体中が重くなり、全身の機能が一瞬止まったように思えた。

 

神器に限界が無くても、使い手の俺が先に限界を迎えちまう。

 

それが俺の神器の弱点。

 

というよりも俺の弱点だな。神器は悪くない。

 

部長にパワーアップを命じられ、力の増大を十二回繰り返す。

 

部長が「ストップ」とブーステッド・ギアのパワーアップを止めるよう指示してきた。

 

「いくぞ、ブーステッド・ギア!」

 

Explosion!!(エクスプロージョン)

 

その音声は、力の増加を止める意味も含まれていて、

 

一種のストッパーになっている。

 

一度パワーアップが止めると、一定時間、力が上昇した状態で戦える。

 

使用できる時間は、パワーアップ中の行動次第だ。

 

動けば動くほど、攻撃すればするほど、時間は縮小される。

 

これは俺の体力にも影響し、疲弊している状態だと、やはり使用時間は少ない。

 

この神器をうまく使うコツのひとつが、俺がダメージを負っていないことだ。

 

そう、怪我もしてなくて、体力も十分の今がブーステッド・ギアの能力を存分に使える。

 

倍加中も力が上がっているが、増加を一度止めて一定時間パワーアップしている状態の

 

時に比べると神器の力が不安定の為、下手に動くと元の体力に戻ってしまう危険性があった。

 

そのため、ちゃんと一度止めて使用したほうが能力的に確実だ。

 

倍加中は下手に動かず、逃げ回るか隠れていた方が賢明だと思う。

 

さて、二分間高めた俺の力はトンでもないことになっていた。体に溢れる力は尋常じゃない。

 

「その状態でイッセーは祐斗と手合わせしてみてちょうだい。祐斗、

相手をよろしく頼むわね」

 

「はい、部長」

 

部長の指示に従い、木場は木刀を俺へ構えた。

 

「イッセー、剣を使う?それとも素手でいく?」

 

部長が俺の攻撃手段を確認してくる。

 

うーむ、木刀を持ったところで使いこなせるわけもないしな…。

 

「素手でやってみます!」

 

「よろしい。では、二人共始めてちょうだい」

 

俺も木場に対して構えを取る。まあ、素人の構えだけど。

 

フッ。

 

目の前から突然木場が消えた!やばっ!『騎士』の特性はスピード!

 

木場の動きは神速だ!いったん目を離せば、軽々と攻撃を。

 

ガシッ!

 

木場の一撃が俺へ繰り出されるが、瞬時に腕を交差させてガードした。

 

よし!これぐらいなら平気だ!

 

「っ!」

 

木場が少しだけ驚く様子を見せた。隙あり!

 

いったん足を止めた木場へ拳を放つ。

 

スッ!

 

拳が当たる寸前、木場の体が消え去り、

 

拳は空を切った。チッ!避けられたか!

 

木場はどこに避けた?辺りを見回して奴を追う。

 

…いない!左右と真正面にいないってことは背後!

 

しかし、振り返ってみても木場の姿はない。ッ!

 

上か⁉上空を見上げたとき、木場が剣を下へ突き出して降ってくる寸前だった。

 

ゴッ!

 

鈍い音が木霊する。ぐはっ!俺の頭部に一撃が入った。痛ぇぇぇぇ!

 

「痛っ…」

 

俺は打たれた箇所を押さえもせずに、地面へ降り立った木場に蹴りを放った。

 

ヒュッ!

 

また、かわされた!くっそ!全然当たらない!

 

『騎士』が相手だとここまで素早さに手こずるのか!

 

「イッセー!魔力の一撃を撃ってみなさい!魔力の塊を出すとき、

自分が一番イメージしやすい形で撃つの!」

 

部長からの指示が飛んでくる。

 

魔力の一撃ですか?ここで俺に?

 

木場に当たるかどうか分からないけど、仕方ない!部長の指示に従うぜ!

 

俺は体に流れる魔力を手のひらに集中させる。

 

小さな米粒程の魔力の塊が出来上がった。相変わらず小さい!

 

それを木場に向かって放り出す!その瞬間、俺は度肝を抜かした。

 

グオォォォォォォオオオオンッ!

 

デカい!俺が放った米粒ぐらいの魔力の塊は、手から離れた瞬間に

 

巨大なものへ変貌を遂げていた!

 

米粒が巨岩ぐらいになってる!これって!そうか、ブーステッド・ギア

 

でパワーアップされたのか!

 

木場に迫る巨大な魔力の塊。速度もなかなかのものだが。

 

スッ。

 

簡単に木場が躱してしまった。そりゃそうだよね。あー、

 

当たらないと意味が無いのに。そんな悲観を感じていたが、その認識は直ぐに消え去った。

 

目標を失い、遥か先に飛んで行った魔力の塊は隣の山に飛んで行ったんだが。

 

ドッゴォオオオオオオオオオンッッ‼

 

凄まじい爆音と爆風を撒き散らしながら、隣の山が吹っ飛んだ‼

 

え!え?ええええええええええええ⁉

 

…俺の放った魔力の一撃が、山ひとつを消し飛ばしてしまった…。

 

大きく抉れた形を残す山。風景が大きく変わってしまった。

 

…え?マジで?マジで消し飛んじゃったの?山だよ?お山だよ?

 

Reset(リセット)

 

籠手から音声が発せられ、同時に増幅されていた力が

 

俺の体から抜けていく。強化されている時間が終わったようだ。

 

途端、一気に力が抜けた。体の内側が空になる感覚。魔力が尽きたみたいだ。

 

「そこまでよ」

 

部長が俺と木場の手合わせを止めた。木場も木刀を下ろす。

 

俺も腰を抜かしたように地面へ座り込んだ。

 

や、山が消えちまった。

 

俺はその衝撃に心臓をバクバク鳴らしていた。

 

お、俺がやったのか?いまだに信じられん。あ、あんな攻撃が俺の手から出るなんて…。

 

「え?…あの山も修練場の敷地じゃなかったか?」

 

ユウスケが聞き逃せないことを呟いた。

 

「マジで?弁償なんて出来ないぞ!つかお山の弁償っていくら⁉」

 

「大丈夫よイッセー、消えた山については気にしなくていいわ」

 

部長はこうなることを分かっていたのか、驚いた様子もなく答える。

 

「とりあえずお疲れ様、二人とも。さて、感想を聞こうかしら。祐斗、どうだった?」

 

部長の問いかけに木場が答える。

 

「はい。正直、驚きました。実は最初の一撃で決めようと思っていたんです」

 

え?最初の一撃って、俺がガードできた攻撃の事か?

 

「ところが、イッセー君のガードを崩せませんでした。打ち破る気まんまんでいたんですけどね。

ニ撃目、上からの振り下ろしで頭部を狙い、打ち倒そうとしましたが、これも無理でした」

 

ハハハと爽やかに笑う木場。木刀を皆に見せるように前へ出す。

 

っ。その木刀はすでに折れかけていた。

 

「魔力で木刀を覆って強化していたんですが、それでもイッセーくんの体が

硬すぎて大したダメージも与えられずって感じです。

あのままやっていたら僕は獲物を失って、逃げ回るしかなかったですね」

 

「ありがとう、祐斗。そういう事らしいわ、イッセー」

 

そういうことらしいわって、部長、これがもしかして昨夜話していた

 

「自信をあげる」ってやつですか?

 

「イッセー。貴方は私に『自分は一番弱く、才能もない』と言ったわね?」

 

「は、はい」

 

「それは半分正解。ブーステッド・ギアを発動していないあなたは弱いわ。

けれど、籠手の力を使うあなたは次元が変わる」

 

部長が吹っ飛んだ山へ指をさす。

 

「あの一撃は上級悪魔クラス。あれが当たれば大抵の者は消し飛ぶわ」

 

マジっすか!確かにあんなの食らえば無事じゃ済まないよな。

 

「基礎を鍛えたあなたの体は、莫大に増加していく神器の力を蓄えることの出来る

器となったわ。現時点でも力の受け皿として相当なものよ。ね、言ったでしょ?あなた

は基礎能力を鍛えれば最強になっていくの。始まりの数字が高ければ高いほど、増大して

いく力も大きいのよ。源の体力『一』が『二』になる。貴方にとってはそれだけでも

強大な成長なの」

 

っ。

 

俺の力は、凄い…のか?

 

いまだ自分の力を疑う俺に、部長が自信満々に言う。

 

「貴方はゲームの要。イッセーの攻撃力が状況を大きく左右するの。あなた一人で戦う

のなら、力の倍加中は隙だらけで怖いでしょうね。けど、勝負はチーム戦。あなたを

フォローする味方が居る。私達を信じなさい。そうすれば、イッセーも私達も

強くなれる。勝てるわ!」

 

 強くなる。俺が?

 

「貴方をバカにした者に見せつけてやりましょう。相手がフェニックスだろうと関係な

いわ。リアス・グレモリーとその眷属悪魔がどれだけ強いのか、彼らに思いを知らせてやる

のよ!」

 

『はい!』

 

全員が力強く返事をした。そうだ!俺には部長と仲間たちがいる!

 

強くなる!俺は皆と共に強くなってやるんだ!

 

ライザー・フェニックスに勝ってやる!

 

決意を新たに、結束を深め合った山籠もり修行合宿は順調に進み、

 

その後無事に終わりを告げるだろう。

 

 

―〇●〇―

 

 

深夜。ここは駒王町の外れにある廃墟。

 

そこには数人の男女が集まっていた。

 

「あれが見つかったとは本当か?」

 

そう声を上げたのはスーツを着たガタイの良い男性だった。

 

「ええ、先日ようやく見つけたわグレモリー家の娘の眷属になっていたわ」

 

男の質問に答えたのはライザーの『女王』であるユーベルーナであった。

 

「本物だろうな依然見つけた奴はハズレだったろ」

 

ユーベルーナの言葉にタンクトップの男が突っかかる。

 

「間違いないわ、怒りに飲まれかけた際に彼の力の片鱗があったわ」

 

「『ラ』であるお前が言うなら間違いないだろう」

 

ユーベルーナの言葉にスーツの男は納得していた。

 

「遂に、『ザギバス・ゲゲル』を再開する時がきたわ」

 

「ようやく、ゲゲルが出来るのか。腕が鳴るぜ」

 

ユーベルーナに同調するようにタンクトップの男も唸る。

 

「もう話し合いは始まっているようだな」

 

そこにニット帽を深くかぶり、白い布で口元を覆う男性が立っていた。

 

「遅かったわね。ドルド、先に始めていたわ」

 

「構わない、それで、クウガが見つかったようだが、今後はどう動くんだ?」

 

ドルドと呼ばれた男がユーベルーナに今後の方針を尋ねる。

 

「先ずは目覚めてもらわないと意味がないわ。

私達はこれまで通りそれぞれ潜みながら期を伺うわ。

ただ、フェニックスの涙にはまだ使い道があるから

ライザー・フェニックスに負けてもらうと困るのよね」

 

「あのフェニックスが負けると?」

 

「負けるでしょうね。敗北を知らないようだけど、クウガの成長速度は

侮れないわ。念には念を入れて、クウガは今回の勝負から降りてもらいましょう」

 

スーツの男にユーベルーナが即座に答える。

 

自身の主であるはずのライザーの勝利を微塵も信じていないようだった。

 

「簡単に言うが方法はどうするのだ?」

 

「簡単よ身内をさらってしまうのそして、

ここに一人で来いと伝えるだけよ」

 

ドルドの質問にユーベルーナは残忍な笑みを浮かべながら答える。

 

「なるほど、ならクウガと戦闘となるだろう、誰がやる?」

 

「俺様にやらせろ!ずっと待っていたんだもう我慢できねぇ!

俺様がこの手で殺してやる」

 

レスラーを思わせるタンクトップの男が名乗りを上げた。

 

「ならば、ザイン、貴方に任せるわ。目覚めれば良し。死ぬようなら、

ベルトを次に回せばいいわ」

 

ユーベルーナはザインと呼んだ男に微笑みながら答える。

 

ガタッ!

 

「お前達!ここで何をやっているんだ!俺の敷地で好きにやりおって!」

 

突然部屋の入口から懐中電灯を持った老人が入ってきた。

 

「お客よザインもてなしてやりなさい」

 

ユーベルーナは残虐な笑みを浮かべながらザインへ指示を出す。

 

ザインと呼ばれた男の姿が変わっていき、サイの化け物へと姿を変える。

 

「ぶち殺す!」

 

ダッ!

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

グチャッ。

 

ザインは老人へタックルしそのまま壁もろとも潰してしまった。

 

「ザインの奴はやりすぎだ音を聞きつけて他にも来るだろう。

さっさとおいとまするか、それで、人をさらうのは俺がやる

誰をさらえばいい?」

 

ザインの行いに呆れた様子で、人質を殺しかねないザインには

 

任せられないと思い、ドルドが誘拐を名乗り出た。

 

「この女をさらいなさいあとは私がするわ」

 

ユーベルーナが懐から出した写真をドルドへと差し出した。

 

そこにはユウスケと一緒に写るオレンジ色の髪の女性が写っていた。

 




遂にゲーム当日俺達は

試合に向けてそれぞれ備えていた。

だが、試合直前に先輩が拐われてしまった。

たった一人救出へ向かうユウスケ。

相手は悪魔とは違う異形の怪物。

無事に救い出すことはできるのか。

次回 第17話「古代の戦士」

待っててくれよな

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)
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