今回はオリジナル展開が一部あります
ユウスケすまんお前の出番はまだない!
では本編どうぞ!
イザベラとの決着がつき、俺は息を整える。
…かなり、体力と魔力を使った。
魔力に関してみれば、潜在的な力を
引き出して打ち出しているものだから、
威力が上がれば上がるほど消耗も激しくなる。
今の威力の魔力は、あと二発撃てれば上出来か。
いや、二発目を撃ったら魔力が空になって
昏倒する恐れがある。
あと一発と踏んだ方がいいな。
イザベラを失い、ライザーの『騎士』
カーラマインが苦笑する。
「どうやら、あの『兵士』を、
ブーステッドギアを侮っていたようだ、
私もイザベラも。やはり、
唯の『兵士』と思わない方が賢明なようだな」
敵に褒められる。これって結構悪くない。
ちょっとうれしいな。
「しかし、酷い技だ。いや、恐ろしい技
と言うべきか。お、女の服を消し飛ばすとは…」
「いやー、面目ないね。
そればかりは僕からも謝るよ。
うちのイッセーくんがスケベでゴメンなさい」
と、カーラマインに謝る木場。
…なぜにお前が謝る。複雑な気分だ。
カーラマインが短剣を逆手に持ち直しながら言う。
「しかし、魔剣使い…数奇なものだ。
私は特殊な剣を使う剣士と戦い合う運命
なのかもしれない」
それを聞き、興味深そうな表情となる木場。
「へぇ、僕以外の魔剣使いでもいたのかな?」
「いや、魔剣ではない。 聖剣だ」
「―っ」
その一言を聞いた木場の表情がガラリと
変わったのをここにいる全員が認識した。
刹那、木場の体から有り得ない程の殺気が生まれる。
うわっ。なんつー殺気だよ!寒気が凄まじいぞ。
全身がざわざわいっている。
木場は冷淡な光を瞳に乗せ、低い声音で訊く。
「その聖剣使いについて訊かせてもらおうか」
…とんでもない迫力だ。キレた時の部長並の敵意だぞ。
聖剣?それが木場とどんな関係があるんだ?
「ほう、どうやらあの剣士は貴様と縁があるのか。
だが、剣士同士、言葉で応じるのも不粋。剣にて応えよう!」
「…そうかい。…口が動ければ、瀕死でも問題ないか」
ぞわっ。
二人の間に殺気が立ち込める。こちらまで震え上がるほど、
殺意がピリピリと肌を刺す。木場!お前、
どうしちまったんだ!
いつもの爽やかフェイスが消えちまってる!
木場の変化にあたふたする俺へ気配が近づいてくる。
「ここね」
「あれ?イザベラ姉さんは?」
「まさか、やられちゃったの?」
続々と集まるライザーの下僕少女達。
顔は覚えてある。『兵士』が二名、『僧侶』が一名、
『騎士』が一名…って、
残りの下僕悪魔大集結じゃないか!
なっ。ここで大戦争開始する気かよ⁉
こっちは俺と木場の二人しかいないんだぞ!
朱乃さんは相手の『女王』とやりあっているだろう。
いまだ空には雷鳴が走っているからな。
部長とアーシアは…。そうだ、
二人はどうしたんだろうか?
予定では本拠地から動いて前へ
出ていると思うんだけど…。
「ねーそこの『兵士』君」
ライザーの女の子に呼ばれる俺。なんだ?
「ライザー様がね、貴方の所のお姫様と
一騎打ちするんですって。ほら」
女の子が天高くどこかを指差す。
追うように視線を向ければ、
新校舎の屋上に炎の翼を羽ばたかせる
人影と黒い翼を羽ばたかせている人影があった。
黒い翼の人影はどう見ても髪が紅色だ!
つーか、部長だ!
『イッセーさん!聞こえますか、イッセーさん』
通信機器からアーシアの声が飛び込んでくる。
「アーシア!どうかしたのか?
もしかして部長のことか?」
『はい。今、私と部長さんは学校の屋上にいるんです。
相手のライザーさんに一騎打ちの申し出を頂きまして、
部長さんが応じたんです!おかげで何事も無く
校舎まで入ってこられたんですけど…』
…なんつーこちになってんだ。
どうしてらいいか分からない俺へ、
ライザーの妹が嫌味な笑みを浮かべながら
話しかけてくる。
「お兄様ったら、リアス様が以外に善戦するものだから
高揚したのかしらね。普通に戦えば私たちの勝利ですもの、
情けを与えたのでしょう。このままでは、
対峙する前にやられてしまいそうですし」
妹さんが「ホホホ」と口に手を当てて笑っている。
なんか、ムカッと来たぜ!
「部長は強い!朱乃さんだって『女王』を倒して
すぐに駆け付けてくれる!木場も魔剣コンボで
この場にいる連中全員撃破だ!
俺だってブーステッドギアで 」
「『紅髪の滅殺姫』、『雷の巫女』、『魔剣創造』、
そして『赤龍帝の籠手』。聞いているだけだと
尻込みしてしまうようなお名前ばかりですわね。
けれど、あなた方の相手は『不死鳥』です。
どんなに絶対の力を持っていても不死身が
相手ではどうしようもありませんわ」
「だが、フェニックスだって弱点がある!」
俺の叫びを妹さんは鼻で笑う。
「精神がやられるまで何度も倒すのかしら?
それとも神クラスの一撃必殺?
貴方達、このゲームに勝とうとか思ってるの?
お笑いね」
「なんでだよ!」
「だって、この試合は最初からリアス様に
勝ち目なんて無いんだもの。不死身って、
それぐらいあなた方にとって絶望的なのですわよ?」
ライザーの妹が指をパチンと鳴らす。
下僕悪魔達が俺を囲んだ。
「カーラマイン。その騎士の子は貴方に
任せますけれど、貴方が負けたら私達は
一騎打ちなんてむさ苦しいことはしませんわよ?
皆で仲良く倒しますわ。それとも
これ以上フェニックス家の看板に泥を塗るつもり?」
妹の迫力のある言葉にカーラマインも渋々うなずいた。
「シーリス」
「御意」
一歩前に出てきたのはワイルドな出で立ちのお姉さん。
背中には剣を背負っていた。
「彼女はお兄様のもう一人の『騎士』。
そこのカーラマインと違って、
騎士道うんぬんにこだわりませんわ。
相手を必ず倒す。それだけです」
シーリスとかいう『騎士』のお姉さんが
剣を背から抜き放った。
…大きい剣だ。幅の広い。
あんなので斬られたら死ぬか?うん、死ぬわ。
「でも、彼女はトドメの時でいいかしら。ニィ、リィ」
「にゃ」
「にゃにゃ」
妹の声に答えたのは獣耳を頭にはやした女の子二人。
『兵士』だったか。
「彼女たちは獣人の女戦士。体術は、
それはそれは大したものですのよ?」
スッ!
獣娘二人が視界から消える!瞬間、
俺の腹部と顔面に打撃が入る!
「ぐはっ!」
痛みを訴える暇もなく、
足に、腕に、肩に、背中に、全身に攻撃が加えられる!
こ、拳が見えない!なんて速度だ!
この速度で、『兵士』かよ!
「ブ、ブーステッド・ギア!」
『Boost!!』
力の倍加が始まる!だが、敵の攻撃は
激しくなる一方だった。
「ニィ!リィ!ブーステッド・ギアは十秒ずつ
能力が倍になっていく神器ですわ!
イルとネルのチェーンソー姉妹が撃破された
具合から考えても三回倍加したら、
あなた方では手に負えなくなります!
二十秒以内にカタをつけなさい!
そちらは神器の特性上、増加中は
手を出してきませんわよ!
逃げるだけです!足を狙いなさい!
それと手に触れてはいけませんわよ!
その方、手で触れた者の衣類を吹き飛ばす
破廉恥極まりない技を持っているようですわ!」
それを聞き、畏怖するような表情を浮かべる娘達。
「最低!」
「ケダモノ!」
うっさい!何が悪いか!女の子を
丸裸にする技を会得して、何が悪いのか!
「下半身で物を考えるなんて愚劣よ!」
「下半身で物を考えて何が悪いか!俺は男なんだよッッ‼」
と、言葉の売り買いをしていても仕方ないか。
まあ、ここにユウスケがいたら、
『そんな技を思いつくのはお前だけだ!』って言われそうだが、
変態で何が悪いか!
しかし、あちらの妹さん、こちらの弱点を
よーくご存じでいらっしゃる!
ゴッ!
痛ぇ!クソ!足を狙ってきやがった!
太ももにローキック入れてきやがって!
獣娘の蹴りってこんなに痛ぇのかよ!
獣だから身体能力が基本的に高いのか⁉
ブーステッド・ギアの倍加中は下手に攻撃できない!
こんな余裕のない状態で一に戻るなんて最悪だ!
逃げて逃げて。
ドゴッ!
「痛ッ!」
再びローキック!効く!なんてもんじゃねぇぞ!
足が痛みでガクガクしてきやがった!
これだと、まともに逃げられ。
「ぐはっ!」
顔面に思いっきりパンチが入った。
飛び出る血。血。血!
鼻からも口からも!
あまりの痛さに涙がボロボロ出てきやがった!
「イッセーくん!クソ!」
木場が俺の惨状を見て、カーラマインを
早く倒そうと剣を両手に持って切り込んでいく。
「カーラマイン!あと十数秒耐えなさい!
貴方がその『騎士』に勝てないのは
わかりましたわ!でも、あと少しで
ドラゴン使いを葬れそうなの!
その『騎士』を止めていてちょうだいな!」
楽しそうに笑うライザーの妹。
てめぇは高みから余裕の見物ですか!
腹立つ女だ!
ドサッ。
ついに足が動かなくなっちまった。
地面に膝をついてしまう。
……ダメだ。足に力が入らない。
頭もボーッとしてきた。
ダメージを受けすぎた…。
クソ!此処で意識を失ったら、
絶対にリタイヤだ!そんなの嫌だ!
部長の力になれずに負けるなんて嫌だ!
ドォォォォォォンッッ!
フィールド全体を震わせる振動!
もしやと思い屋上を見上げれば、
部長とライザーがやり合っていた。
お互いに紅い魔力と炎の魔力を
空中でぶつけ合っている。
ライザーの方は無傷。
服すら破れていない。
対する部長の制服は所々が破けていた。
心なしか、息も上がっているように見える。
『だって、この勝負は最初からリアス様に
勝ち目なんて無いんだもの。不死身って
それぐらいあなた方にとって絶望的
なのですわよ?』
先ほどのライザーの妹が口にした一言
が脳裏を過ぎる。
…負ける?俺達が?部長が?
負けたらどうなる?部長が…あいつに…。
そんなの!そんなの絶対に許せねぇぇぇぇ!
立つしかないのさ。たとえ、
体がボロボロのグチャグチャになろうとも
俺は立つしかない。
あの人が好きだから?
それもある。惚れた弱みだ。
けど、それ以上に俺はあの人を守りたかった。
契約とか制約とかそういうのじゃない。
あの人は紅の髪を揺らしながら、
威風堂々としていなきゃいけない。
それが、部長だ。それが、
俺が憧れた部長なんだ!
部長が奴を嫌だと言った。
部長が俺に戦えと言った。
なら、俺は……戦うしかない!
赤い龍帝」さんよ。聞こえているなら、応えろ!
「俺に力を貸しやがれ!ブーステッド・ギアッ!」
『Dragon booster‼』
赤い閃光を放つ俺の神器。
足りない。こんなのじゃダメだ!
もっと力が欲しいんだ!
「もっとだ!あの時はアーシアだった!
今度は部長だ!俺の想いに応えてみせろ!
ブーステッド・ギアァァァァァァァッッ!」
『Dragon booster second Liberation‼』
今まで耳にしたことのない音声が籠手から
発せられ、俺の左腕に変化が訪れる。
赤いオーラが左腕を覆い、
何かを形作っていく。
籠手が徐々に姿形が変質させていった。
オーラが消え去ったとき、ブーステッド・ギアは。
「…変わった?」
並外れた力の結晶と称された籠手は、
新たな姿となっていた。
甲の部分にあった宝玉の他に、
もう一つの宝玉方にも現れ、
全体のフォルムも少しばかり変わっている。
…え?これはいったい…。
疑問に思う俺の頭に宝玉から情報が流れ込んでくる。
……。
…そうか、それが新しい力の使い方…。
俺は自然と笑みを浮かべていた。
俺は、俺達はまだ強くなれる!
「木場ァァァァァァッ!」
足を踏ん張り、勢いづけてから
一気に立ち上がる!ははっ、
体中から悲鳴が聞こえてくるぜ!
だけどよ、もう少しだけ動いてくれ、
俺の体!そして。
俺は駆け出す!目標は木場!
「お前の神器を解放しろォォォォォッ!」
俺の叫びに木場がこちらの真意もわからず当惑する。
だが、奴は剣を地面に突き刺し高らかに吼える!
「魔剣創造!」
ギャァン!
グラウンドが光り輝き、
いくつもの魔剣が地面から姿を現す。ここだ!
俺は光り輝く地面に拳を放ち叫んだ!
「ブーステッド・ギア!第二の力!」
ブーステッド・ギアで高めた力、
それを地面へ流し込む!目標は唯一つ!
木場の魔剣を創造する能力だッ!
「『
『Transfer‼』
ギィィィンッッ‼
金属の激しくこすれる音がこの一帯に鳴り響く。
この運動場全域が刃の海と化した。
いたるところから様々な形状の刀身が
天に向かって鋭く飛び出している。
辺り一面、魔剣の見本市となっていた。
その全部が木場の創造した魔剣だった。
第二の力、『赤龍帝からの贈り物』。
その効果は、籠手で高めた力を他の者、
もしくは物に譲渡し、
力を爆発的に向上させられること。
俺は地面から創造される木場の
神器の能力に籠手の力を譲渡した。
結果がこれだ。
魔剣を生み出す力を飛躍的に高め、
周囲を全域刃だらけとなった。
「…バカな」
「これもドラゴンの力だというのか……?」
苦悶の声をあげるライザーの下僕達。
当たり前か。彼女達の体は地面から鋭く生えてきた
幾重もの魔剣に貫かれている。
瞬時にその体が光出し、このフィールド
から透けて消えていく。
リタイヤだ!
『ライザー・フェニックス様の「兵士」二名、
「騎士」二名、「僧侶」一名、リタイヤ』
「よっしゃ!」
グレイフィアさんのアナウンスを聞き、
俺はその場でガッツポーズを取った。
今の攻撃で一気に大量撃破だ!
いける!いけるぞッ!
この新しい力、『
部長も朱乃さんも木場も、
皆の力が一気に膨れ上がるっ!
そうだ!アーシアの回復能力を強化してもいい!
ああ、この新能力なら俺達はライザーに勝てるッ!
「イッセーくん。驚いたよ。この力は…」
木場は困惑しながら地面から生えている
魔剣群を見渡していた。
自分の能力が思っていた以上の効果を出して驚いている様子だ。
「ああ、木場。この籠手でお前の力を強化 」
そのとき、信じがたいアナウンスが飛び込んでくる。
『リアス・グレモリー様の「女王」一名、リタイヤ』
「ッ⁉」
「なっ⁉」
俺と木場は同時に我が耳を疑った。
当然だ!信じられるか!
あ、朱乃さんが…。そんなわけがない!
朱乃さんは俺達の中でも最強の。
ドォォォォオオオオンッッ!
足元が激しく振動し、聞き覚えのある
爆発音が俺の鼓膜を激しく揺さぶる。
その爆音は木場がいた場所からだった。
そちらへ恐る恐る視線を向けた時、俺は絶句した。
木場が。俺達の『騎士』が、
全身から煙を立ちのぼらせながら地面に突っ伏していた。
辺り一面に鮮血が飛び散っている。
駆け寄る間もなく、木場の体が光に包まれ、
この場から消えていく。
『リアス・グレモリー様の「騎士」一名、リタイヤ』
再び有り得ないアナウンスがフィールドに流れる。
俺は立て続けに起きた理解不能の出来事に
呆然と立ち尽くすしかなかった…。
―〇●〇―
時は少し遡り朱乃とユーベルーナが戦いを広げている最中。
状況は朱乃が優位に立っており。
ユーベルーナは手傷を負っており
地面に膝を付き、敗北寸前であった。
「フフフフフフフッッ」
「何故笑っているんですか?
負けているのはそちらですが」
「いえ、『雷の巫女』と言われてもこの程度かと思ってね。
本気を出せばすぐに決着はつくものを」
ユーベルーナは心底おかしそうに笑っていた。
その自分が不利だと感じてない様子に朱乃は困惑していた。
「負け惜しみですか、既にボロボロのあなたに何を言われても
悔しくないですわよ」
「『光』の力を使えばいいものを何故使わないの?
それとも使えないの?まあ、この試合は我々の勝利
なのでここでの勝敗はどうなろうと興味はないですけど、
出来れば本気の貴方と戦いたかったわ」
その言葉に朱乃は目を見開き怒りをあらわにした。
「どうやって知ったのかは知りませんが、
ここで倒されるあなたには関係ありません!
さっさと消えなさい‼」
ドォォォォオオオオンッッ!!
渾身の一撃がユーベルーナに直撃した。
先ほど体育館を吹き飛ばした雷よりかは小さいが
人を一人吹き飛ばすには十分な威力があった。
ユーベルーナが立っていた場所には黒い煙が立ち込めていた。
「早くリアスの元へ向かいましょう」
すると本来聞こえるべきものがいつまでたっても
聞えてこなかった。
「アナウンスが流れない⁉ あの雷は直撃したはず」
「あらあら、つれないじゃない。お楽しみはこれからなのに」
黒い煙の中に何かが動いた。
ユーベルーナだろうが煙でよく見えない。
ブ~~ン…
かすかに聞こえる虫の羽音に気が付いた時には、
朱乃の目の前が閃光に塗潰されていた。
ドォォォォォォオオオンッッ!!
爆発に吞み込まれた朱乃は鮮血をまき散らせながら
落ちてゆき地面に落ちる前に光に包まれ消えていく。
「何が……」
消える最中最後に朱乃がみた光景は煙の中に蠢く異形のシルエットだった。
『リアス・グレモリー様の「女王」一名、リタイヤ』
「『女王』撃破」
煙の中からユーベルーナが呟いた。
―〇●〇―
イッセーside
あれほど敵味方入り乱れていた運動場はもはや俺一人だった。
パキ…ッ。
グラウンドを支配する魔剣の世界。
しかし、主を失った魔剣は儚い音を立てて、
一本、また一本と折れて崩れて散っていく。
魔剣の欠片が銀の光沢を放ちながら運動場に舞う。
キラキラと光って幻想的な雰囲気を作り出している。
数秒もしない内に魔剣は全てこのグラウンドから消え失せていた。
ッ!
悲嘆に浸るヒマも無く、俺の視界が空を漂う影を捉える。
そちらを見上げてみれば、フードを被った魔導師の姿があった。
ライザーの『女王』だ!
朱乃さんと戦っていたはず!
なのに朱乃さんだけリタイヤ⁉
相手は服が所々破れていいるだけで、
傷を負ったように見えない!どうなってやがる!
朱乃さんがただ負けるなんてあり得ないんだ!
「『騎士』、撃破」
ライザーの『女王』は笑みを浮かべながら、
非情な一言を口にした。
その瞬間、俺の頭に血が上る。
「朱乃さんと木場をやったのもてめぇか!」
あの爆発!そう、小猫ちゃんも爆破の魔力でやられた!
ちくしょう!木場までやられたってのか!
「降りてこい!朱乃さんの!小猫ちゃんの!
木場の仇を取ってやる!降りてこい!
てめぇに俺の神器の力を叩きこんでやるから、
降りてきやがれぇぇぇぇッ!」
俺が拳を天に突き上げて、『女王』を挑発する。
だが、『女王』は俺を嘲笑うかのような
眼差しを向けるが、興味が失せたように
新校舎の屋上の方へ黒い翼を羽ばたかせた。
「待て!待ちやがれ!」
俺は怒りに身を任せて、『女王』を追う!
逃がすもんか!逃がすもんかよ!
そっちには部長がいるじゃねぇか!
アーシアもいるんだ!
てめぇなんかにこれ以上俺の仲間をやらせてたまるか!
やらせてたまるかよォォォォォッ!
ガッ!
「あがっ!」
足から力がなくなって、地面に転倒する俺。
すぐに立ち上がろうとするが、
体に力が入らない…っ!
全身がぷるぷる震えて動いてくれない…。
俺でもわかった。体力が限界。
部長が鍛えてくれたからここまで保ったけど、
戦闘経験のない俺が度重なる戦闘を繰り広げれば
納得できることだった。
心臓の動悸も激しい。息もあがっていた。
ダメージも蓄積されて、酷いことになっている。
顔も腕も足も腹も痛くて、
気がどうにかなりそうだ。
精神の負担も半端じゃない。
目の前で仲間を失う。
心をえぐられるような場面を何度も見れば
精神に異常をきたしてもおかしくない話だ。
立たなきゃ。
そんな状況でも頭を支配したのは、
立って部長の元へ行かなきゃいけないってことだった。
「ぬがぁぁぁぁぁぁああああああっ!」
声を張り上げて気合を入れる。
まだ足に力が入りそうだ。なら、立てるだろう!
ゆっくり立上り、ついに校舎へ体を向けることが出来た。
よし、屋上へ行こう。
そう思って歩み出した俺へ声が掛けられる。
「まだ戦いますの?」
振り返れば、ライザーの妹が炎の翼を広げて
空から降りてきた。
…さっきの魔剣攻撃でやられなかったのか?
空を飛んで回避したのか?
そういえばアナウンスでは『僧侶』一名
と言われてたかもしれない。
俺がそちらへ拳を構えるが、ライザーの妹は
肩をすくめるだけだった。
「私、もうやりませんわよ。だって
どう考えても貴方の負けですもの」
「うるせぇ。まだ俺も部長も倒れてねぇぞ」
「先ほどのドラゴンの力。確かに凄まじいものでしたわ。
相手へ増大した力を譲渡できるだなんて、
異常な能力だと思いますし、
『雷の巫女』やリアス様の滅殺の力が
膨れ上がると考えるだけで怖いですわ。
『レーティングゲーム』で、
その力は上級の方々にとって脅威となりますわね。
でも、この戦いはあなた方の負け」
「…フェニックスが不死身だからか?」
「それもありますけど、貴方もリアス様も
体力が残っていないでしょう?
どんなに傷が癒せても体力までは戻りません。
今の状態ではジリ損で敗北します。それに」
ライザーの妹は懐から小瓶を取り出した。
…なんだ、それ?まさか、聖水とか?
そんなわけないか。
下手したら自分がやばいもんな。
「フェニックスの涙。聞いたことあります?
これはそれ。私達フェニックスの涙は
如何なる傷をも癒すんですのよ」
フェニックスの涙⁉
修行合宿の時に部長から聞いたことがある。
だけど、そんなのアリなのか⁉
「卑怯とおっしゃらないでくださるかしら。
そちらだって、『聖母の微笑』を持つ者がいるでしょう?」
俺の心中を把握したようにライザーの妹は言う。
「それにちゃんとルールに記載されてますわ。
『フェニックスの涙はゲームに参加する
悪魔二名までしか所持できない』と。
あまりに強力なので規制されてしまいましたの。
まあ、当然ですわね。私達の場合は私と『女王』が
持っていましたの。だからうちの『女王』は
『雷の巫女』を倒せたのですわね。
それに私たちの一族の涙は高値で取引されますのよ。
おかげでフェニックス家の財政はとっても潤ってますわ。
ゲームが始まってからいいことづくめですの。
不死身と涙、私たちの時代でしてよ」
自慢げにペチャクチャしゃべりだすライザーの妹。
フェニックスの涙。
…そ、そんな、対戦相手が戦闘中に回復したら、
朱乃さんでも…。
ここで悲観的になっていても始まらないか。
俺は意を決して再び歩き出す。
「ちょ、ちょっと!私は無視⁉ どうせ負けるのですから、
ここで私とおしゃべりしていた方が健全で安全ですわよ⁉」
「うっせー。一人で勝手にしゃべってろ、鳥娘」
俺はライザーの妹を無視して校舎へと向かう。
しばらくの間、後方から金切声が聞えてきていた。
遂にライザーと決着をつける為屋上へ向かうイッセー
遂に長いゲームは終わりを迎える。
惚れた女の夢を守る為、自分は倒れた仲間の分も
最後まで戦う為、
イッセーは部長と共に不死身の不死鳥と相対する。
「部長、行きましょう!」
手にした力を使いイッセーは勝つことが出来るのか。
次回 第22話「決着」
見てくれよな!
外伝でやってほしいコラボは?
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仮面ライダークウガ(五代雄介)
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仮面ライダーディケイド
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忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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その他(希望があれば感想へ)