婚約パーティーの会場に乗り込んだ俺達
そこで、魔王様の提案で決闘をすることに
俺はユーベルーナと戦ったが、
やはり彼女はグロンギ族だった。
相手が逃亡し、試合は俺の勝利に
残すはイッセー対ライザーの試合!
イッセーは今度こそ勝つことは出来るのか。
そして、中央にてライザーとイッセーが対峙する。
イッセーは既に籠手を出現させていた。
ライザーはイッセー相手に余裕の表情だ。
「開始してください」
審判の男性が開始を告げる。
ライザーは炎の翼を生やすと、イッセーの
籠手を指差した。
「お前の能力は既に全て割れている。
自分の能力を倍にしていく
『
仲間や武器に譲渡する新しい能力も発現したそうだな」
イッセーの能力を警戒しているようだが、
新しい能力『
は仲間や武器があった方が強い。
素手で戦うイッセーのスタイルだと、
一人で戦う時は、その能力は活かせないだろう。
そんな事を考えていると、
イッセーがリアス先輩のほうへ満面の笑みを送った。
「部長、十秒でケリをつけます」
「…イッセー?」
イッセーの言葉にリアス先輩は怪訝な表情を浮かべる。
それはそうだ、イッセーは奴に一度負けている。
勝つというならまだしも、十秒で終わらせる。
その根拠がどこにあるのか他の皆も同様の思いだろう。
「十秒とは大きく出たな。ならば、俺はお前を五秒
で片付けよう。以前のようにはいかないぞ、
リアスの『兵士』!」
「『プロモーション』!『女王』!」
イッセーは最強の駒に昇格した。
「今の俺に前振りはねぇ!
最初からクライマックスだぜ!」
「部長ッッ!」
イッセーはリアス先輩へ向かって叫んだ。
「俺は木場みたいな剣の才能はありませんッ!
朱乃さんみたいな魔力の天才でもありませんッ!
小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、
アーシアの治癒の力もありませんッ!
ユウスケみたいに頭も良くありませんッ!
それでも最強の『兵士』になりますッ!」
これは、イッセーの誓いなのだろう。
「貴方の為なら、俺は神様だって
ぶっ倒してみせますッ!
このブーステッド・ギアでッ!
俺の唯一の武器でッ!
俺は貴方を守って見せますッ!」
イッセーは、必ず強くなると彼女に誓った。
「輝きやがれぇぇぇぇッッ‼オーバーブーストォッ‼」
『
籠手の宝玉が音声と共に赤い閃光を解き放つ。
その赤い光が会場全体を覆い、
イッセーの体が真紅のオーラに包まれる。
―〇●〇―
イッセーside
力が。
ドラゴンの力が流れ込んでくるぜ。
『ああ、使ってみろよ。ただし、十秒だ。
それ以上はお前の体が保たない』
ああ、わかっているよ、
十秒以内に終わらせる!
『そうだ、だが、十秒あれば、おまえは』
ああ、十秒あれば俺は。
「俺達は奴を殴り飛ばせるッッ!!」
赤いオーラを放ちながら、
俺は前へ飛び出す。
俺の体は赤い鎧を身に纏っていた。
ユウスケとは違い。
ドラゴンの姿を模した
全体的に鋭角なフォルム。
いつもの籠手は左だけでなく、右腕にも装着されている。
籠手にあった宝玉が両手の甲、両腕、両肩、
両膝、胴体中央にも出現していた。
背中にはロケットブースターの
様な推進装置もついている。
「鎧⁉赤龍帝の力を鎧に具現化させたのか⁉」
驚愕しているライザー。奴の見解は概ね正しい。
ていうか、見た目は小柄なドラゴンみたいな
もんだ。顔すら鎧に包まれているからな。
「これが龍帝の力!
俺を止めたきゃ魔王様に頼み込め!何しろ、
『禁じられた忌々しい外法』らしいからな!」
スケイルメイルの能力は、
十秒の間、爆発的な力を解放する事。
一度解放されたら、十秒間無敵になる。
だが、リスクも大きい。能力解放の十秒後、
丸三日は神器が使えなくなる。
赤いドラゴン、ドライグにそう説明された。
つまり、一か八かの十秒だけの無敵モードだ。
『
カウントが開始された。
こいつが開始された以上時間はない!
一気に決めさせてもらうぜ、
ライザー・フェニックス!
両の手のひらを少し開けるように合わせ、
手のひらの間に魔力の塊を生み出す。
それを一気にライザーの方へ放出する。
手のひらから生み出された魔力は、
巨大な帯となってライザーに襲い掛かった!
なんつー量の魔力だ!
この広い会場の半分を占めるほどの大きさだ。
放った俺自身が驚いちまったぞ!
「デカい!」
ライザーの予想に反する大きさの魔力砲
だったためか、受け止めることを
やめて避ける体勢を作り出していた。
ここだ!
『
カウントは容赦なく刻まれる。
わーってる。急かすなよ!
俺はライザーが避けるであろう先に向かって
飛び出した。
鎧の背部にある噴出口から魔力が噴き出す。
刹那、爆発的な速度が生み出された!
体にかかるGの影響でまともな動きができない
ままライザーとの距離が近づいていく。
避ける先に俺が猛スピードで迫ってきたせいか、
ライザーは驚き、対応もできない状態で身構えていた。
ここで攻撃!と、いきたいところだったが、
俺は何も出来なかった。
ゴォォォォォォンッ!
会場の壁に激突してしまった。
まだこの速度に対応できてないんだ。
なんという不甲斐なさ!
せっかくのチャンスだったのに!
激突の瞬間、両腕でガードしたおかげか、
目立ったダメージもない。
壁には大きな穴が出来てしまったが。
つーか、すげぇ!あのスピードで激突したのに
鎧も俺の体もダメージを受けていない。
鎧のこの硬さなら、さっきの速度で相手に
タックルするだけでも十分攻撃になるな。
『
残り八秒!
俺は壊れた壁の欠片を払いながら立上り、
再びライザーと対峙する。
当のライザーは、今の俺の攻撃を見たため、
さっきよりも警戒を強くしていた。
奴の体を虹色のオーラが覆う。
凄まじい魔力をピリピリと感じる。
「赤龍帝のクソガキ!悪いが手加減しないぜ!
認めたくないが、今のお前はバケモノだ!
主であるリアスの前で散れェェェェッ!」
咆哮を上げるライザーの背中に巨大な炎の翼
が出現した。奴の全身を炎が渦巻き、
会場を激しい熱気が包み込む。
会場に居た他の悪魔達も自身を守る
魔力の防壁を生み出すぐらいだ。
まともにくらったら、骨も残らないだろう。
「火の鳥と鳳凰!そして不死鳥フェニックス
と称えられた我が一族の業火!
その身に受けて燃え尽きろッッ!」
火炎に包まれたライザーが高速で迫ってくる。
眼前に広がるあり得ない質量の炎。
その姿は巨大な火の鳥そのものだった。
翼から生み出される業火の塊。
触れればやばそうだ。
『不死鳥フェニックスの炎はドラゴン
の鱗にも傷を残す。食らい続けるのは
得策じゃない』
そうか、でも、俺はそういうわけにも
いかないんだ。あの人が見ている。
部長が見ている前で無様な姿を見せられない!
受け止めてやる!
「てめぇのチンケな炎で俺が消えるわけねぇだろ
ォォォォォォォッ!」
吼えながら俺も突っ込む!
背中の噴出口から魔力の火をふかしながら
ドゴンッ!お互いの拳がお互いの顔面に
ぶつかり合った瞬間、力の衝突が波動となって
会場全体を振動させる。
会場のど真ん中で俺とライザーは力比べを始める。
ぐっ!
一撃一撃を食らう度に全身へ重い衝撃が響き渡る!
途端に高熱が俺を襲う!
熱い!
クソ!
メチャクチャ熱いじゃねぇか!
ライザーの拳から伝わる業火の熱。
この鎧がなかったら、
本当に骨すら残らなかったんじゃないか?
怖い!
この場から離れたい!
死にたくない!
拳を交わせば交わすほど、
ライザーとの本来の実力差を感じてしまう。
この鎧を脱いだ瞬間、
俺とライザーの力関係はアリと象になる。
所詮、俺は下級悪魔で奴は上級悪魔なんだ。
俺が恐怖しているのを感じ取ったのか、
ライザーがにやける。
「怖いか!俺が怖いか!当たり前だ!
お前はブーステッド・ギアが無ければ
唯のクズだ!その鎧が無ければ、
俺の拳が届く以前に業火の熱で
お前は消失している!そう!
お前からその籠手を取ったら、
お前は何の価値もない!」
言いたいこと言いやがって!
だが、正論だ!
俺は籠手が無ければ何も出来ない!
『
本気の悪魔との戦い。
全身を恐怖が支配する。
こんな怖い思い、したくないさ!
でも!
でもよ!
俺は籠手の一部に隠していたものを
手のひらにセットした。
ガゴッ!
俺の拳がクロスカウンターの要領で
ライザーの顔面に鋭く入り込んだ。
大きく仰け反るライザー。
「そんんもの!効く―」
ゴバッ!
ライザーの口から大量の血が吐き出される。
俺の一撃はライザーにとって致命的だった。
当然だ。
俺の拳にはこいつが握られているからな。
俺が手のひらを開き、持っているものを
ライザーに見せつける。
「十字架!十字架だと⁉」
驚愕するライザー。
会場にいる悪魔達からも悲鳴が上がる。
そうさ、悪魔の苦手なアイテム。
十字架。
俺は十字架を手にしてライザーを殴っていた。
アーシアから借りたものだ。
此処へ来る途中に受け取った
こいつを隠しておいた。
『
「十字架の効果を神器で増大させて、
あんたを殴った。高めた聖なる攻撃は
上級悪魔にだって効果抜群だろ。
たとえ不死身のフェニックスでも
このダメージはそうそう癒せないんじゃないか?」
「バカな!十字架は悪魔の身を激しく痛めつける!
いかにドラゴンの鎧を身に着けようと
手にすること自体が愚の骨頂…」
そのとき、
ライザーは初めて俺の左腕の変化に気が付く。
全身を包むドラゴンの鎧の一部になっている
から分かりにくかっただろうが、
近くでよく見れば気づくだろう。
無機質の質感に見える全身鎧と、
生きているかのような脈動を続ける左腕との差を。
「…籠手に宿るドラゴンに…
自分の腕を支払ったのか…?
それがそのバカげた力の理由か…ッ!」
「ああ、そうだ。俺はこの力を
一時的にでも得るために、
左腕を代価にくれてやった。
俺の左腕は本物のドラゴンの腕だ。
だから、十字架は効かない!」
左腕をドラゴンにすることが、
ドライグの絶大な力を使う代償。
籠手はドラゴンの腕の一部と化している。
この取引をする際にユウスケに
止められたけどな。
「そんなことすれば二度と元の
腕には戻らない!お前はそれが
分かっているのか⁉」
「それがどうした」
『
くだらない話をしているカウントは刻まれる。
「俺みたいな奴の腕一本で部長が戻って
こられるんだぜ?こんなに安い取引は無いだろう?」
俺の言葉を聞いてライザーの目元を引きつらせた。
「イカレているな」…。だからこそ、迷いのない
一撃を放てるのか…。怖いな。初めて
俺はお前に心底畏怖した。だから!」
ライザーの両翼がいっそう大きく燃え上がる。
「俺は全力でお前を倒すッ!」
火の鳥。
周囲を炎に包みながら、俺へと突っ込んでくる!
負けるか!負けてたまるか!
『
「うおおおおおおおおおおおおおおおッッ!」
手に握る十字架に力を込める!
一撃を!
最大の一撃をこの十字架に込めてやるッ!
ライザーの拳が!
俺の拳が!
お互いの拳が重なり合った!
カッ!
激しい力と力のぶつかり合い。
その衝撃に閃光が走り、俺の視界を覆う!
それと同時に俺を包んでいたものが
消失した感覚を感じた。
代わりに熱気が俺の全身を包み込む。
馬鹿みたいに熱い!
さっきまではここまで熱を
感じなかったはずなのに!
視界が元に戻った時、
俺は自分の変化に気が付いた。
―鎧が解除されている⁉
俺の全身を覆っていた赤いドラゴン
の鎧がなくなっていた!
今はドラゴンの腕と化した
左腕だけが残されていた。
手の中の十字架もさっきの衝撃で
弾かれたのか、少し離れた場所の
床に転がっている。
おい、龍帝!
どういうことだ⁉
まだ十秒も経ってないだろう!
なんで鎧が解除された⁉
まさか、俺の支払った対価じゃ、
これが限界だってのか⁉
『いや、お前がこの力を得る為、
俺に支払った物は十分だ。
如何せんお前の基礎能力では
鎧の力を制御するのに足りなすぎる。
修行不足だ』
あんなに仲間と修行したのに
まだ足りないのか!
『あの程度、悪魔としての永い生の中
では、微々たるものにすぎんさ。
悪魔の修行っていうのは、
何十年も繰り返してこそ意味がある』
あー、もう!そういう説教はいい!
もう一度、鎧を具現化してくれ!
今度は何を支払えばいい⁉
目か?足か?寿命か?
なんでもくれてやる!
『短期間で二度目の鎧は、
今のお前では無理だ』
…俺が弱いからか…。
クソ、なんで俺は肝心な場面で
カッコつけられないんだ…。
何もない俺が唯一できることだったのに!
『鎧の力が解除される瞬間、
ドラゴンの力を少しだけ
宝玉に移せた。込めた力で
ライザー・フェニックスを
一時的に圧倒できるだろうが、
それで終わりだ。
再生能力の高いフェニックス
一族を倒すには―』
何度も倒すか、絶対の力で屠るか、だけ。
『そうだ。残念ながら、今の籠手の力では何度も
倒せない。倍増した状態も「絶対の力」とは
程遠い。倒す条件をどちらも満たしては
いない事になる』
グイッ!
俺は襟元を強く掴まれた。
―ライザーだ。首を絞められたまま、
宙に浮かされる。
ライザーが苦笑しながら、
さらに俺の首を絞める。
く、苦しい…。
「『兵士』の力でよくやったと褒めてあげよう。
本当によくやったよ。正直、ここまでやれると
は思わなかった。ドラゴン使いの力、この身で
十分に体験できた。お前さんがあと一年
いや、半年、ドラゴンの力に慣れていたら
俺は負けていただろうな」
…冗談ではないようだ。
奴の表情は真剣そのもの。
あと半年か…だったら、あと半年結婚待てよ!
って、言いたいところだ。
ライザーは服から体までボロボロだった。
やはり再生能力の高いライザーでも、
強化された聖なる攻撃を喰らえば
ダメージの回復が遅くなるようだ。
炎の両翼も先程よりもかなり小さくなっていた。
ダメージは相当なものか…。
「なに、引け目に感じる事はない。
俺がリアスの婿になったら、
俺がお前さんを鍛えまくってやる。
強い悪魔になるぜ、お前」
そんなの、いらねぇ世話だ!
「さて、ユーベルーナを追わんといかんし
そろそろ眠って貰おうかな。
少し意識がなくなるだけだ。
起きた頃には無事式も終わってる。
お前もこれ以上心身共に苦しむのは嫌だろう。
俺もサドじゃないんでね、
一気に決めさせてもらう」
ライザーの勝利を確信する表情。
俺が負ける?
いや、そんなの許されない。
ー後は任せるぞイッセー!
ああ、任せろ、ユウスケ。
ー必ず、部長さんと帰ってきてください。
ああ、わかっているよ、アーシア。
ーとりあえず、最強の『兵士』を目指しなさい。
ええ、わかっていますよ、部長っ!
一緒に帰りましょう。
朱乃さんも木場も小猫ちゃんもアーシアも
ユウスケも俺も、貴方の帰りを
待っているんです!
だから。
俺は懐から小さな物体を取り出した。
「火を消すなら、水だよな!」
俺が手にしていたのは聖水の入った小瓶だった。
こちらへ転移する前に十字架と共にアーシアに
用意してもらった物の一つだ。
上級悪魔には余り効果が無いとされているアイテム。
この場にいる悪魔がこれを見ても鼻で笑うぐらいだろう。
だが、ライザーの表情が一気に青ざめる。
そうさ、俺は何を左腕に宿している?
俺の左腕はどんな能力を持っている?
答えてみやがれ、ライザー・フェニックス!
「ちくしょう!」
俺を締め上げるライザーの手が強まる。
くっ、喉が潰される…その前に!
俺は瓶の蓋を開き、中の聖水を
ライザーの全身にふりかけてやった。
聖水の効果を倍増する!
上級悪魔が無視できないほどになっ!
「ブーステッド・ギア!ギフト!」
『Transfer‼︎』
倍増された力が籠手から流れ出し、
ライザーにふりかかった聖水へ譲渡される。
「しまっ」
ライザーが俺の攻め手に気がついた
時はもう遅い。
譲渡された籠手の力が聖水の効果を倍増させる。
ジュワァァァァッ!
水が熱で蒸発する時に出る音を最大にしたような
ものが会場に響き渡る。
ライザーの炎の翼がぐにゃぐにゃとうねり始め、
翼の形を成せなくなってきた。
俺は緩んだ手から逃れ、
喉元を押さえながら距離を取る。
ったく、思いっきり首を絞めやがって!
「うがぁぁぁぁぁああああああッッ!」
聖水の効果にのたうち回るライザー。
聖水を浴びた体からは煙が立ち上る。
「…死ぬのか?」
『いや、いくら効果を強めた聖水でも
フェニックス一族を容易に殺す事は出来ない』
ああ、そうかい、ドライグ。
『だが、聖水の力が体力と精神を激しく消耗させる。
いくら灰の中からでも再生するフェニックスでも
一度に大量の体力と精神を失えば。
精神だけは瞬時に回復出来ないからな』
シュゥゥゥゥ…。
ライザーを包む煙が徐々に弱まっていった。
後に残ったのは服も体もボロボロになった
ライザーのみ。
俺は床に転がっていた十字架をドラゴンと化して
いる左手で拾った。
ぎゅっと握りしめて力を込める。
ついでに懐にしまっていた二つ目の
聖水も拳へふりかけた。
「アーシアが言っていた。十字架と聖水は
悪魔が苦手だって。それを同時に強化して、
同時に使ったら、悪魔には相当なダメージだよな」
「くっ…」
聖水の効果に苦しむライザーが俺の次に何をするか
理解し、顔を強張らせていた。
俺はライザーとその周囲を見渡す。
ライザー以外に何もない。
ああ、問題ねぇよ。
もう横やりでやられる事は無い。
「木場が言っていた。
視野を広げて相手と周囲も見ろと」
体中に流れている魔力のオーラを一点に集中。
さらにそれをドラゴンの力に変化させて、
十字架と聖水に譲渡する。
『Transfer‼』
これで聖なる力が圧倒的なパワーを得た。
「朱乃さんが言っていた。
魔力は全体を覆うオーラから流れるように集める。
意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと。
ああ、ダメな俺でも感じられましたよ、朱乃さん」
さらに体制を整えて、
相手へ打撃を繰り出すために拳を構える。
「小猫ちゃんが言っていた。
打撃は体の中心線を狙って、
的確に抉り込むように打つんだと!」
全部、修行で習ったことだ。
ああ、皆、俺は全部覚えているよ。
全部役に立ってるよ。
ユウスケも女王に勝ったんだ!
部員全員の力で部長を取り返すんだ!
俺が奴に狙いを定めた時、ライザーが慌てふためく。
「ま、待て!わ、分かっているのか!この婚約は
悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ⁉
お前のような何も知らない小僧悪魔がどうこう
するようなことじゃないんだ!」
「難しいことは分からねぇよ。でもな、
お前に負けて気絶した時、うっすらと
だけ覚えていることがある。
部長が泣いてたんだよっ!
そして、さっきも泣いていた!
俺がてめぇを殴る理由はそれだけで
十分だァァァッ!」
ドゴンッッ!!
十字架と聖水付きの俺の拳がライザーの
腹に深く正確に抉り込む!
「ガハッ!」
血反吐を吐きながら、
数歩後ずさるライザー。
「こ、こんなことで、俺が…」
そう一言漏らすと、ライザーは床へ前のめりに突っ伏す。
奴はその場で二度と立ち上がることはなかった。
―〇●〇―
ユウスケside
イッセーがライザーに勝利した!
切り札の鎧が解除された時は
どうなるかと思ったが、
「よくやったなイッセー!」
倒れ込み、立ち上がる気配のない
ライザーを確認し、俺達の方へ歩いてくる。
すると、間に飛び込んでくる人影があった。
それはライザーの妹だった。
無言でイッセーを睨み、
何かを訴えようとしている。
イッセーはドラゴンの左腕を
ライザーの妹に突き出し言った。
「文句があるなら、俺の所へ来い。
いつでも相手になってやる!」
イッセーの迫力に押されたのか、
ライザーの妹は後ずさりしながら道を開ける。
イッセーはライザーの妹を通り過ぎて、
部長の前に立つ。
そして、笑いながら部長へ語りかける。
「部長、帰りましょう」
「…イッセー」
イッセーは次に部長の隣に座る
リアス先輩のお父さんの前に歩み寄り、
深く頭を下げた。そして、ハッキリ宣言した。
「部長を、俺の主であるリアス・グレモリー様
を返してもらいます。勝手な振る舞いを
してしまい、大変申し訳ございませんでした。
でも、部長は連れて帰ります」
イッセーの言葉にリアス先輩のお父さんは
何も言わず、ただ静かに目をつむった。
その隣に座っていた魔王様は勝負が付いて直ぐに
何処かへ行ってしまった。
一言お礼を言いたかったが、
恐らくザビネの追跡に行ったのだろう。
今度お会いする機会があったら、必ず礼を言おう。
イッセーはリアス先輩の手を取る。
そして、懐からグレイフィアさんからもらった
魔方陣の紙を取り出した。
確か、リアス先輩を奪還したら使えって。
その紙を裏側に向けた時、眩い光が発せられる。
キュィィィィィッ!
魔方陣から現れたのは、ライオンの胴体に
鷹の頭と翼を持つ生物。
「グリフォン…」
会場から誰かの小さな声が聞える。
なるほど、グレイフィアさんは
これに乗って逃げろと言いたかったのかな?
イッセーがグリフォンの背に乗り、
リアス先輩の手を取って自身の前に乗せる。
キュィィィィィッ!
グリフォンはひと鳴きすると、
先ほどイッセーが激突して開けた壁の穴へと
向かって羽ばたき始める。
飛び立つ前、イッセーは俺達に向かって叫ぶ。
「部室で待っているからな!」
イッセーの言葉に俺達は笑顔で手を振った。
そして、グリフォンはイッセーとリアス先輩を
乗せて冥界の空へ飛び出していった。
―〇●〇―
パーティー会場のとある一室。
「フェニックス卿。今回の婚約、
このような形になってしまい、
大変申し訳ない。無礼承知で悪いのだが、
今回の件は」
「みなまで言わないでください、グレモリー卿。
純血の悪魔同士、いい縁談だったが、
どうやらお互い欲が強すぎたようだ。
私の所も貴方の所もすでに純血種の孫がいる。
それでもなお欲したのは悪魔故の強欲か。
それとも先の戦争で地獄を見たからか」
「…いえ、私もあの子に自分の欲を重ねすぎたのです」
「一誠君と言ったかな。祐介君には言えたが、
彼にも礼を言いたかった。息子に足りなかった
のは敗北だ。あれは一族の才能をあまりにも
多く過信しすぎた。それに眷属に裏切者まで
これは、息子にとっていい勉強になっただろう。
フェニックスは絶対ではない。
これを学べただけでも今回の婚約は十分でしたよ。
グレモリー卿」
「フェニックス卿…」
「貴方の娘さんはいい下僕を持った。
これからの冥界は退屈しないでしょうな」
「…しかし、よりにもよって、私の娘が拾うとは
思いませんでした」
「
忌々しいあれがこちら側に来るとは実際
目にするまでは信じがたいものでした」
「私達が見た物と色も姿も違ったがあれは
間違いなくクウガで間違いない。
彼があの殺戮マシーンとならん事を
願うのみだ」
「次はやはり」
「ええ、でしょうな。いや、
すでにいるのやもしれません」
「
赤と白が出会うのは時間の問題か」
ー○●○ー
冥界上空。
冥界の空は人間界の空と違い、紫色だった。
なんとも不気味な感じだけど、
不思議と安心感を覚える。
これは、俺が悪魔だからか?
スッ。
空を眺めていた俺の頬に部長の手が触れた。
「バカね」
苦笑いしながら、そう言ってくれた。
部長はどこか安堵したような表情だった。
やっと辛いものから解放されたって感じに見える。
「ーっ」
部長は俺の左腕に視線を移した時言葉を失う。
沈痛な面持ちで俺の左腕をさすっていた。
当然かもな。俺の左腕は赤い鱗に包まれ、
鋭い爪むき出しの異形なものになっているからだ。
「腕を。腕をドラゴンに支払って、
あの力を借りたのね?」
「はい。お得だったんですよ。
俺みたいに才能が無い奴が腕一本で
最強の力が手に入ったんです!
お陰でライザーも倒せたし、
部長も取り返せました!」
無理やり笑みを浮かべて見せても、
部長は目元を悲しそうに細めるだけだ。
「もう、この腕は元に戻らないのよ?」
「あー、ちょっと困りましたね。
コスプレアイテム!で学校じゃ通じませんよね。
いやー、どうしたものか」
「アーシア、これを知ったらきっと泣くわね」
…うぅ、確かに泣きそうだ。
俺、あの子を泣かしてばかりだな…。
そしたら、ユウスケに怒られるな。
「…今回は破談にできたかもしれない。でも、
また婚約の話が来るかもしれないのよ?
こんな事続けたら」
悲哀に暮れている部長に俺は笑って答えた。
「次は右腕を支払います。その次が来たら、
今度は目をくれてやります。何度でも何度でも
部長を助けに行きますよ。俺にはそれぐらい
しかできません。でも必ず貴方を助けに行きます。
俺はリアス・グレモリーの『兵士』ですから」
ーっ。
そんな事を言った直後、俺の唇が塞がれた。
俺の唇を塞いでいるのは。
部長が俺の首に手を回し、唇を俺へ重ねていた。
それほ一瞬のものではなかった。
一分ほど唇を重ねた後、部長の唇が離れていく。
そして、部長はふっと笑う。
…………………。
キ、キスゥゥゥゥゥ⁉︎
お、おれ!部長とキスしちゃったよ!
キス!キスゥゥゥゥゥ!!
脳みそが弾け飛んだ!うあ、うわ、
うお、うおおおおおおおおッッ!
「私のファーストキス。日本では、
女の子が大切にするものよね?」
「え、ええ、そうですけど!って、
ファーストキスゥゥゥゥゥ⁉︎」
心底驚いた!だって、ファ、ファ、
ファーストキスって言ったら
女子にとって最大級に大切なものでしょうに!
「い、い、いいんですか!お、俺なんかで?」
「貴方は私と唇を重ねるだけの価値のある
事をしたのだから。ご褒美よ」
ニッコリ微笑みながら言ってくれる。
ああああ、もうどうにかなっちゃいそうですよ!
このご褒美のためだけでも頑張ったかいがあったぜ!
「ファースト繋がりだけど、私の処女、そんなに欲しいの?」
「欲しいです!あっ!」
即答してしまった。我ながら欲棒に正直すぎるな…。
でも本音だ。あんな大勢の前で欲したぐらいだからな!
「…まったく、エッチなことにも正直な子ね」
困ったような表情だけど、部長は笑っていた。
あー、エロに正直ですみません。
心の中で反省する俺の頬を部長がなでなでしてくる。
部長はうれしそうに笑うだけだ。
良かった。部長に笑顔が戻って本当に良かった。
やっぱり部長には笑顔が似合うぜ。
ー○●○ー
「と、そのような感じで私、リアス・グレモリーも
この兵藤家に住まわせてもらう事となりました。
不束者ですが、どうぞよろしくお願いしますわ。
お父さま、お母さま」
兵藤家のリビング。イッセーの隣でリアス先輩が
両親に挨拶をしていた。
俺の隣ではアーシアが先輩の突然の同居に驚いていた。
あの一件のあと、リアス先輩が突然俺達の家に住むと言い出した。
よくわからなかったが、イッセーから先輩にキスしてもらったと
聞いたからそういう事なのだろうか?
説明の意味もよくわからないが、リアス先輩は
半端強引に話を進めてしまった。
「下僕との交流を深めたいのよ」って言ってたけど、
本当に家でいいのか?その内皆が我が家に住み着きそうだな。
で、グレモリー家とフェニックス家の話は破談となった。
リアス先輩も喜んでいたし、これにて一件落着と。
ライザーは生涯初めて味わった敗北と信頼していた『女王』の裏切りに
にショックで寝込んでしまったらしい。
「まあ、どうしましょう。アーシアちゃんにリアスさん、
娘が二人もできちゃうのね」
母さんはアーシアと同居以降、アーシアを娘の様に
可愛がり始めていたので、女の子が増えることは賛成っぽい。
父さんに至っては大号泣している。
「うんうん。男の夢だよな。女の子がいっぱいって!
俺の若い頃の夢をお前らなら叶えるかもしれないな!」
ああ、なるほど。イッセーは父さんの血筋か間違いないよ。
夢まで同じだったとは。
そして、鎧の代償にしたイッセーの左腕は。
未だにドラゴンの腕だ。でも、
リアス先輩や朱乃さんが懸命にドラゴンのことを
調べてくれたおかげで、日常では人間の腕に戻っていた。
なんでもドラゴンの魔力を散らせることで
ドラゴン化を防ぐらしい。ドラゴンの力を
散らす作業は数日毎にやらねばならないらしい。
それを怠ると元のドラゴンの腕に戻ってしまうらしい。
まあ、それはリアス先輩達に任せよう。
イッセーも人間の腕になって喜んでいたしな。
「さあ、二人とも。ご両親の許可は得たわ。
これで今日から私もこの家の住人ね。
さっそく、部屋へ荷物を運んでくれるかしら?」
リアス先輩が紅の髪を揺らしながら、
高らかに俺達へ命令する。
「「は、はい!」」
「ユウスケさん、私もお手伝いします」
「…あぅぅ、ユウスケさんとの二人っきりの時間も
少なくなるかもしれないです…。でも、
部長さんに習ってユウスケさんにアタックすれば…」
「え?なにか言った?」
「何でもありません」
俺が聞き返すとアーシアは俯いてしまった。
「ほら、イッセー。その装飾品はこちらよ
ユウスケの荷物はそっちよ」
リアス先輩の部屋に荷物を運ぶと早くも指示が飛んでくる。
「はーい」「わかりました」
「イッセー、これが終わったらお風呂に入りたいわ。
…そうね背中、流してあげるわ」
「マジっすか⁉︎」
「なら、ユウスケさんの背中は私が流しますね」
「アーシア、ダメだよ⁉︎先輩の真似しなくていいからね」
「なら、皆で入りましょっか!」
「家の風呂はそんな大きくありませんよ」
こんなことが毎日起こるのかよ!
リアス先輩が住むことになり、
俺の日常はどんどん賑やかになりそうだ。
婚約騒動も終わり。
日常が戻ってきた俺達。
奈美先輩を後ろに乗せてバイクを走らせていたら、
突如銀色のオーロラが現れた。
避けることも出来ず飲み込まれる俺達。
オーロラの先に待っていたのは、
古代の戦闘民族と戦う、俺とは別のクウガだった。
次章 番外編「別世界とのクロスロード」
見てくれよな
外伝でやってほしいコラボは?
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仮面ライダークウガ(五代雄介)
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仮面ライダーディケイド
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忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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その他(希望があれば感想へ)