彼が聖剣を憎む理由は分かったが、
彼を憎しみから救う事は出来るのか?
イッセーも又、ウェルシュ・ドラゴンより
赤龍帝の過去について教えてもらい。
自身のライバルの存在を知った。
俺は、イッセーとアーシアと共に帰宅していた。
だが、いつもなら、リアス先輩も一緒に帰るんだが、
今日はおらず、何故かイッセーは落ち込んでいた。
「部長さんは一緒じゃないんですか?」
「ん?うん…。俺、部長を怒らせちゃったみたいで…」
「…何かしたんですか?」
心配そうに訊いているアーシアだが、
どうせ、女性関係のトラブルだろうから。
心配するだけ無駄だろうよ。
「いや、俺が悪いだけだよ。後で謝る。
アーシアは気にしなくてもいいんだよ」
「…分かりました」
後に聞いたところによると、
朱乃さんに対するリアス先輩の嫉妬で怒っていたようだ、
イッセーは家に着くまでの間、大分悩んでいた。
乙女心は俺も分からないので、
自力でどうにかしてもらうか、
家に着き、玄関の扉を開けようとしたとき、
言い知れない悪寒を感じた。
ブルッ…。
なんだ、これ?
体から危険信号が出ているような…。
この感じ、以前にも味わったことがあるぞ。
確かあれはアーシアと初めて会って、
教会へ案内した時のことだ。
教会を見て、俺は心底ブルってた。
ぎゅっ。
アーシアが震える手で俺の手を握りしめてくる。
アーシアもどうやら不安なものを感じ取ったようだ。
イッセーも同じく不安な様で手がかすかに震えるいる。
となると、これは悪魔にだけ感じられるものということか。
俺の家に誰がいる?まさか。
家には母さんが!
俺は母の危機を脳裏に過ぎらせて、
急いで扉を開け放った。
靴を脱いで、一気に台所へ向かう。
嘘だろ!俺が悪魔だとバレたか?
誰に?堕天使?天使?教会の関係者?
どれも危険な存在だ!
悪魔に関わった者は問答無用で殺すはず!
俺の頭の中では、あのクソ神父。
フリードに殺された人間が思い出されていた。
無惨な姿で切り刻まれた遺体。
あんな風に母さんが!
クソ!ふざけんなよ。そんなこと絶対にさせるものか!
間に合ってくれ!
台所に着くがそこに母さんの姿は無かった。
すると、笑い声らしきものがリビングから聞こえてくる。
速足でそちらへ向かった。
そこには、見知らぬ女性二人と談笑する母さんの姿があった。
「でね、これが二人の小学生時代の写真なの。
ほらほらこっちなんて、イッセーがプールで海パン
破れた時のものよ。もう、大変だったわ。
破れたままプールの滑り台に行ってしまって。
止めようとしたユウスケと喧嘩まで始めちゃって」
「「…か、母さん?」」
俺達に気づいたのか、母さんがこちらへ顔を向ける。
「あら、二人共お帰りなさい。どうしたの?血相変えて」
「はぅぅぅぅ。よかったですぅ」
俺達の後方でアーシアが安堵のためか、
ペタンと力が抜けるように座り込んでしまった。
母さんが無事だったことで、俺は落ち着いて息を吐いたが、
言い知れない不安は拭えていない。
当然だろう。見知らぬ女性二人。
若い外国のお客さんが、十字架を胸に下げた者達なのだから。
どちらも俺らと同じぐらいの年齢に見える。
栗毛の女性と、緑色のメッシュを髪に入れている
目つきの悪い女性。どちらも物腰からただ者じゃないと理解できる。
二人共白いローブのようなものを着こんでいた。
栗毛の女性は何処かで見たことがあるような?
キリスト教会の関係者。
エクソシストか?マズい。
こんなところで戦うわけにもいかないだろう。
「こんにちは、兵藤一誠くん、兵藤祐介君」
俺に微笑む栗毛の女性。
その隣にいる緑色のメッシュをいれた女性の傍らには、
布に巻かれた長い得物が置かれていた。
それだ。その得物から特大の危険を感じる。
ヤバいものが肌にピリピリと伝わってくる。
おそらく、俺達を悪魔を滅ぼす為のシロモノだろうな。
先ほどのあいさつで、ようやく栗毛の女性の正体が分かった。
「はじめまして」
無理やり作った笑顔でイッセーは挨拶する。
しかし、栗毛の女性は怪訝な表情で眉を吊り上げた。
まあ、そうなるよな。
「あれ?覚えてない?私だよ?」
「俺は覚えているさ、久しぶりだなイリナ」
「…へ、ユウスケの知り合いだったのか!?」
急な展開に驚いているイッセーへ母さんが一枚の写真を
取り出す。例の聖剣が映し出されたものだ。
そこへ写る子供を母さんが指差した。
「この子よ紫藤イリナちゃん。このときは男の子っぽかったけど、
今じゃ立派な女の子になってきて、お母さんもビックリしたのよ」
母さんの説明に驚愕するイッセー。
そう彼女は以前話をしていた、
俺の幼馴染だ。母さんの言う通り見違えたので、
最初見た時は気が付かなかったが、声を聴いてようやく気付けた。
「近いうちに、こっちに来るって聞いてたけど、
来るなら来るで連絡の一つでもよこせよ。
前に電話したことあったから分かったけど、
変わりすぎだろお前」
「お久しぶり、ユウスケくん、イッセーくん。
まあ、変わったのは仕方ないよね、あの頃、
私ったら男の子顔負けにヤンチャだったから。
でも、お互い、暫く合わない間に色々とあったみたいだね。
本当に、再会って何が起こるか分からないものだわ」
意味深な言葉。
これは、彼女は俺達の正体に気づいていたようだ。
―〇●〇―
「よく無事だったわね」
俺達はリアス先輩に抱き寄せられていた。
あのあと、イリナともう一人の教会関係者らしき者は談笑を
三十分ほどしてから帰っていった。
久しぶりに帰ってきた日本。
しかも幼い頃住んでいた町に再び来たので、
あの頃を懐かしんでついつい寄ってしまったらしい。
幼少時、親の仕事の都合でイギリスへ渡ったというが、
その仕事が教会関係とは人生何が起きるか分からないものだ。
イッセーとアーシアは出来るだけ関わらないようにしていた。
俺と母さんで相手をしていた。
特にアーシアと教会関係者を接触させたくなかったから、
用事を無理やり言いつけて自室に待機してもらっていた。
いざとなったら、俺とイッセーでいつでも戦えるように
覚悟も決めていたわけだが…何事もなくて良かった。
その後、リアス先輩が帰って来たのだが、
俺達が帰宅した時と同様の反応のように
血相を変えて部屋に入ってきたのだった。
俺達が無事なのを確認すると、間髪入れず俺達を
抱きしめてきたんだ。
「ケガは?何もされてない?どうなの、
イッセー、ユウスケ、アーシア?」
心底心配そうに訊いてくるリアス先輩。
「大丈夫です部長、俺達の事、悪魔だって
認識はしていたみたいですけど」
「流石に一般家庭で、母さんも普通の人間だから
手を出しづらかったんだと思います
まだ、話が通じる相手で幸いでした」
「私もお二人も無事です、部長さん」
リアス先輩は俺達をいっそう強くぎゅっと抱きしめて、
離すまいと大切そうにしてくる。
「ああ、イッセー。よかった…。貴方達に何かがあったら、
私は…。表の部活動が終わってから、
ソーナに呼び出されていてそこで話を聞いていたの。
この町に教会の関係者が潜り込んできていると。
しかも『聖剣』を手にしていると聞いたわ」
会長と話し込んだため、帰りの遅くなったリアス先輩だったが、
兵藤家が近くなった頃に異様な気配を家から感じたらしく、
急いできたそうだ。
家の中に入って、さらに聖なる力の濃度が高くなっていたため、
部長は一瞬青ざめたと告白した。よほどハラハラしたようだ。
「私のかわいい下僕達が危険な目に遭ったかもしれないと、
最悪の事態も覚悟してしまったのよ…?
あんな喧嘩別れしたままで貴方を失ったら、
私は死ぬその時まで後悔していたことでしょうね。
ごめんなさい。もっと貴方を大切にするべきだった…」
リアス先輩は俺達の無事を確認して、
安堵の息と共に涙を流していた。心配だったんだろう。
イッセーとも喧嘩した後だった。
リアス先輩を怒らせてしまったと悩んでたしな。
リアス先輩もそれをずっと気にしていたみたいだ。
落ち着いたところでリアス先輩が咳払いして話を進める。
「昼間に彼女たちと接触したソーナの話では、
彼女たちは私、この町を縄張りにしている悪魔
リアス・グレモリーと交渉したいそうなのよ」
「教会の者が、悪魔と?」
イッセーの問いにリアス先輩が頷く。
これは驚きの話だな。
長く敵対しているはずの悪魔とキリスト教徒。
それなのにあちらから交渉とは。
「つまり、契約ですか?それとも依頼?」
「…どういうつもりかはわからないけれど、
明日の放課後に彼女たちは旧校舎の部室に
訪問してくる予定よ。こちらに対して一切の
攻撃を加えないと神に誓ったらしいわ」
「信じられるんですか?」
俺の質問にリアス先輩が返答する。
「信じるしかないわね。彼女たちの信仰を。
信徒にとって邪悪な存在である悪魔に依頼をするぐらいなのだから。
相当切羽詰まっていて、かなりの厄介事であることは確実かしら。
…何か、嫌な予感がするわね。話ではこの町を訪れてきた神父が
次々と惨殺されているみたいだわ」
リアス先輩は目を細め、難しい表情となっていた。
…確かに怖い。堕天使側についたクソ神父のフリードですら、
俺達悪魔を心底軽蔑し、侮蔑し、嫌悪していた。
真っ当な信者ならば、その嫌悪感は最大なのではないだろうか?
――何かが起きそうだ。
そう感じられずにはいられなかった。
―〇●〇―
次の日の放課後。
俺達グレモリー眷属の悪魔達は部室に集められていた。
ソファーには、リアス先輩と朱乃さん
そして、例の二人が座っていた。
俺達眷属は部室の片隅で教会関係者とのやり取りを見守っている。
部室に彼女たちが入って来てから、肌寒いものを感じてならない。
悪魔の本能が彼女達の危険性を察知しているのだろう。
二人も真剣な面持ちで対応していた。
だが、一番危なっかしいのは木場だ。
彼女たちを怨恨の眼差しで睨んでいる。
何かあれば、いや、今この時点でも彼女たちに突然斬りかかりそうな
雰囲気を作り出していた。
木場の嫌いな現役信徒だもんな。
奴の過去を考えれば、腹の中は煮えくり返っているだろう。
この空気の中、最初に話を切り出したのは、
教会側、イリナだった。
「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、
プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた
聖剣エクスカリバーが奪われました」
エクスカリバーが奪われた!?
でも、エクスカリバーがなんでカトリック、プロテスタント、
正教会から盗まれたんだ?
エクスカリバーは複数本存在するのか?
「聖剣エクスカリバーそのものは現存していないわ」
俺、考えが顔に出ていたか!?
「御免なさいね。私の下僕に悪魔になり立ての子がいるから、
エクスカリバーの説明込みで話を進めてもいいかしら?」
リアス先輩の申し出にイリナは頷く。
「ユウスケくん、イッセーくん、エクスカリバーは
大昔の戦争で折れたの」
イリナが俺達の方へ顔を向けながら、そう言った。
折れたのか、エクスカリバー程の聖剣が!?
「今はこのような姿さ」
髪に緑色のメッシュを入れた女性が傍らに置いていた、
布に巻かれた長い物体を解き放つ。
現れたのは一本の長剣。
「これがエクスカリバーだ」
ぞわっ。
それを見た瞬間、全身の毛穴が開いたかのように感じ、
体中に冷たいものが走っていく。
恐怖。戦慄。畏怖。
たった一本の長剣に俺は強い拒否反応をしめした。
これは冗談ではなくヤバイものだ。
悪魔が触れれば、即死だと直感で理解する。
これが聖剣?
「大昔の戦争で四散したエクスカリバー。
折れた刃の破片を拾い集め、錬金術によって新たな姿となったのさ。
そのとき、七本作られた。これがその一つ」
なら、このエクスカリバーは本物ではなく、
破片で作られた新エクスカリバーなのか。
じゃあ、本来のエクスカリバーはこれ以上のものだってのか。
「私の持っているエクスカリバーは、『
七つに分かれた聖剣のひとつだよ。カトリックが管理している」
一度自分の得物を紹介したメッシュの女性は、
再び布でエクスカリバーを覆った。
よく見れば、その布には呪術の文字らしきものが記入されていた。
普段は封印しているのか。
まあ、抜き身で持ってたらヤバいからな。
イリナの方も長い紐のような物を懐から取り出す。
その紐が意志を持ったかのようにひとりでに動き出す。
――っ。
俺達の目の前で紐は形を変えて、一本の日本刀と化した。
「私の方は『
こんな風に形を自由自在にできるから、
持ち運びにすっごく便利なんだから。
このようにエクスカリバーはそれぞれ特殊な力を有しているの
こちらはプロテスタント側が管理しているわ」
自慢げにイリナは言う。
あのエクスカリバーからも同様の恐怖を感じる。
あれも俺達悪魔にとって相当危ないシロモノだ。
「イリナ…悪魔にわざわざエクスカリバーの能力を
喋る必要もないだろう?」
「あら、ゼノヴィア。いくら悪魔だからといっても
信頼関係を築かなければ、この場ではしょうがないでしょう?
それに私の剣は能力を知られたからと言って、
この悪魔の皆さんに後れを取るなんてことないわ」
自身満々にイリナは言う。
絶対に俺達に負けるはずがないという自信があるんだろうな。
昔から仲良くしてたが、こちらが悪魔と分かると
こうも態度が変わるとはな。悲しいもんだ。
まあ、この場に悪魔を簡単に殺せるエクスカリバーが
二本もあるんだからその自信も分からなくはないが、
そのとき、俺は近くから感じるプレッシャーに気づいてしまった。
――木場だ。
いまだかつて見たことない鬼の形相でエクスカリバーと、
彼女達を睨んでいた。
木場はエクスカリバーに恨みを持つ。
まさか、この場でエクスカリバーが出てくるなんて、
夢にも思わなかった。
木場もここで出会うなんて、思わなかっただろうな。
それが今目の前にいる。こいつの心中は察して余りあるだろう。
落ち着いてくれ、飛び出してくれるなよ、木場。
リアス先輩達は真摯な態度で敵対組織と話をしているんだ。
ここで、お前が飛び出せば全部パーだ!
下手すりゃ戦闘開始だぜ?
あのエクスカリバー相手に犠牲が出ないなんてことはないだろう。
「…それで、奪われたエクスカリバーがどうしてこんな
極東の国にある地方都市に関係あるのかしら?」
リアス先輩は相手が聖剣を出しても変わらずの態度で話を進める。
髪に緑色のメッシュを入れている目つきの悪い女性、
ゼノヴィアと呼ばれていた女性が話を続ける。
「カトリック教会の本部に残っているのは私のを含めて二本だった。
プロテスタントのもとにも二本。正教会にも二本。
残る一本は神、悪魔、堕天使の三つ巴戦争の折に行方不明。
そのうち、各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われた。
奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち運んだって話なのさ」
何故、この町に何か目的でもあるのか?
リアス先輩は額に手を当てて、息を吐いていた。
「私の縄張りは出来事が豊富ね。それでエクスカリバーを
奪ったのは?」
リアス先輩の問いにゼノヴィアは目を細める。
「奪ったのは『
その答えにリアス先輩は目を見開いた。
「堕天使の組織に聖剣を奪われたの?
失態どころではないわね。でも、確かに奪うとしたら
堕天使ぐらいなものかしら。上の悪魔にとって聖剣は
興味の薄いものだもの」
「奪った主な連中は把握している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」
「コカビエル…。古の戦いから生き残る堕天使の幹部…。
聖書にも記された者の名前が出されるとはね」
リアス先輩は相手の名前に苦笑していた。
エクスカリバーに堕天使の幹部か。
事態が大事になっているみたいだな。
彼女たちがここに来たのも、協力が目的か?
「先日からこの町に神父、エクソシストを秘密裏に潜り込ませて
いたんだが、ことごとく始末されている」
とゼノヴィアが話す。
俺達の知らない所でそんな事件が起きていたなんて…。
やっぱり、この町を縄張りにしている上級悪魔に協力の要請か?
しかし、俺の想像とは裏腹に彼女達はハッキリと言ってくる。
「私たちの依頼、いや、注文とは私達と堕天使のエクスカリバー
争奪の戦いにこの町に巣くう悪魔が一切介入してこないこと。
つまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いに来た」
ゼノヴィアの物言いにリアス先輩の眉が吊り上がる。
「ずいぶんな言い方ね。それは牽制かしら?もしかして、
私達がその堕天使と関わりを持つかもしれないと思っているの?
手を組んで聖剣をどうにかすると」
「本部は可能性がないわけではないと思っているのでね」
リアス先輩の瞳に冷たいものが宿った。これはかなりキレてるな。
わざわざ自分の領土にまで足を運んだ敵が、
自分達のやることに手を出すな、口を出すなと言ってきて、
さらに他の組織と手を組んだら許さないと好き勝手に言ってくれば
上級悪魔たるリアス先輩のプライドは黙っちゃいないか。
「上は悪魔と堕天使を信用していない。聖剣を髪側から
取り払う事ができれば、悪魔も万々歳だろう?
堕天使どもと同様に利益がある。それゆえ、
手を組んでもおかしくない。だから、先に牽制球を放つ。
堕天使コカビエルと手を組めば、我々は貴方達を完全に消滅させる。
たとえ、そちらが魔王の妹でもだよ。と、私達の上司より」
ゼノヴィアはリアス先輩の睨みに臆することなく淡々とした口調だ。
「…私が魔王の妹だと知っているということは、
貴方達も相当上に通じている者たちのようね。
ならば、言わせてもらうわ。私は堕天使等と手を組まない。
絶対によ。グレモリーの名にかけて、
魔王の顔に泥を塗るような真似はしない!」
拮抗状況の両者。
だが、ゼノヴィアはフッと笑った。
「それが聞けただけでもいいさ。いちおう、この町に
コカビエルがエクスカリバーを三本持って
潜んでいる事をそちらに伝えておかねば何か起こったときに、
私が、教会本部が様々なものに恨まれる。まあ、
協力は仰がない。そちらも神側と一時的にでも手を組んだら、
三すくみの様子に影響を与えるだろう。特に魔王の妹ならば尚更だよ」
ゼノヴィアの言葉を聞き、多少表情を緩和させたリアス先輩は息を吐く。
「正教会からの派遣は?」
リアス先輩の問いにゼノヴィアは答える。
「奴らは今回この話を保留した。仮に私とイリナが奪還に失敗した
場合を想定して、最後に残った一本を死守するつもりなのだろうさ」
「では、二人で?二人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを
奪還するの?無謀ね。死ぬつもり?」
呆れた声のリアス先輩だが、
イリナとゼノヴィアは決意の眼差しで言う。
「そうよ」
「私もイリナと同意見だが、出来るだけ死にたくないな」
「っ。死ぬ覚悟でこの日本に来たというの?相変わらず、
貴方達の信仰は常軌を逸しているのね」
「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、
リアス・グレモリー。ね、ゼノヴィア」
「まあね。それに教会は堕天使に利用されるぐらいなら、
エクスカリバーが全て消滅しても構わないと決定した。
私達の役目は最低でもエクスカリバーを
堕天使の手からなくすことだ。そのためなら、
私達は死んでもいいのさ。エクスカリバーに
対抗出来るのはエクスカリバーだけだよ」
スゴイ覚悟だな。これが信仰なのか?
俺には理解できない事だ。
神様のためになら死んでも構わないとはな。
「二人だけでそれは可能なのかしら?」
「ああ、むろん、ただで死ぬつもりはないよ」
リアス先輩の問いかけにゼノヴィアは不敵だ。
「自身満々ね。秘密兵器でもあるのかしら?」
「さてね。それは想像にお任せする」
「………」
「………」
そのやり取り以降、両者は見詰め合ったまま、会話も途絶した。
イリナとゼノヴィアが目で合図を送り合うと、立ち上がる。
「それでは、そろそろおいとまさせてもらおうかな。イリナ、帰るぞ」
「そう、お茶は飲んでいかないの?お菓子ぐらい振舞わせてもらうわ」
「いらない」
リアス先輩の誘いに手を振って断るゼノヴィア。
「御免なさいね。それでは」
イリナも手を合わせて御免と断る。
そのまま、二人はその場を後にしようとする。
が、二人の視線が一箇所に集まった。アーシアだ。
「兵藤の家で出会った時、もしやと思ったが、『魔女』
アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとは」
とゼノヴィアが言う。
『魔女』と呼ばれ、ビクっとアーシアは体を震わせた。
その言葉はアーシアにとって、辛いものだ。
イリナもそれに気づいたのか、アーシアをマジマジと見てくる。
「あなたが一時期内部で噂になっていた『魔女』になった
元『聖女』さん?悪魔や堕天使をも癒す能力を待っていたらしいわね?
追放され、どこかに流されたと聞いていたけれど、
悪魔になっているとは思わなかったわ」
「…あ、あの…私は…」
二人に言い寄られ、対応に困るアーシア。
「大丈夫よ。ここで見たことは上には伝えないから安心して。
『聖女』アーシアの周囲にいた方々に今の貴方の状況を話したら、
ショックを受けるでしょうからね」
「………」
イリナの言葉アーシアは複雑極まりない表情を浮かべていた。
「しかし、悪魔か『聖女』と呼ばれていた者。
墜ちるところまで墜ちるものだな。まだ我らの神を信じているか?」
「ゼノヴィア。悪魔になった彼女が
主を信仰しているはずないでしょう?」
呆れた様子でイリナは言う。
「いや、その子から信仰の匂い、香りがする。
抽象的な言い方かもしれないが、私はそういうのに敏感でね。
背信行為をする輩でも罪の意識を感じながら、
信仰心を忘れない者がいる。それと同じものが
その子から伝わってくるんだよ」
ゼノヴィアが目を細めながら言うと、イリナが興味深そうに
まじまじとアーシアを見る。
「そうなの?アーシアさんは悪魔になったその身でも
主を信じているのかしら?」
その問いかけにアーシアは悲しそうな表情で言う。
「…捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから…」
それを聞き、ゼノヴィアは布に包まれたものを突き出す。
「そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるといい。
今なら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、
我らの神ならば救いの手を差し伸べて下さるはずだ」
――っ。
俺はゼノヴィアの発言に怒りがこみあげてくる。
アーシアに近づくゼノヴィア。俺はアーシアを庇うように前に立つ。
「触れるな、てめぇ」
ハッキリした口調で俺はゼノヴィアに警告する。
「アーシアに近づいたら、俺は許さない。
てめぇはアーシアを『魔女』だと言ったな?」
「そうだよ。少なくとも今の彼女は『魔女』と
呼ばれるだけの存在ではあると思うが?」
ふざけるなよこいつ。
「ふざけるなッ!救いを求めるアーシアを誰も助けなかっただろう!?
アーシアはただ優しかっただけだ!それを、理解できないお前らは
どうかしてるんだ、誰も友達になってくれないなんて、
おかしいだろ!」
「『聖女』に友人が必要だと思うか?大切なのは分け隔てない
慈悲と慈愛だ。他者に友情と愛情を求めた時、『聖女』は終わる。
彼女は神からの愛だけがあれば生きていけたはずなんだ。
最初からアーシア・アルジェントに
『聖女』の資格はなかったのだろう」
当然だというかのようにゼノヴィアは口にした。
なんなんだよ、こいつらは!
理解できねぇよ!なんでこいつらはそんなにアーシアを悪者に
したいんだよ!間違っているだろう!
「自分たちが勝手にアーシアに理想を押し付けて、
思っていたものと違うだけで、悪者扱いなんて、
そりゃねぇだろう!?」
俺は今まで溜まっていたものが止められなかった。
ずっと、教会関係者に思いをぶつけたかった。
「アーシアだって辛かったんだ、助けてほしかったんだ!
それなのに、なにが神だ!何が愛だ!その神は
アーシアが助けてほしい時に何もしてくれなかった!
神なら奇跡くらい起こして見せろよ!」
イッセーも思いをぶつけるが、ゼノヴィアは冷静に答える。
「神は愛してくれていた。何も起こらなかったとすれば、
彼女の信仰が足りなかったか、もしくは偽りだっただけだよ」
教会の連中はこんな奴ばかりなのか?
こんな奴らのなかでアーシアは暮してたのかよ。
「君達は彼女のなんだ?」
ゼノヴィアの問いにハッキリと告げてやった。
「家族だ。友達だ。仲間だ。だから、アーシアを助けるし、
アーシアを守る!アーシアの信仰心は偽りでもなかったし、
足りないなんてことはなかった!
てめぇらの神こそ偽りだろうが!」
「ユウスケの言う通りだ、お前らがアーシアに手を出すなら、
俺はおまえらを全員的に回してでも戦うぜ」
俺達の挑戦的な言葉にゼノヴィアは目を細める。
「それは私達、我ら教会全てを敵に回す発言だぞ、
一介の悪魔にすぎない者が、大きな口を叩くね。
グレモリー、教育不足では?」
「ユウスケ、イッセー、お止め――」
俺達を落ち着かせようとしたリアス先輩だったが、
そんな俺達の前に木場が介入する。
「ちょうどいい。僕が相手になろう」
特大の殺意を体から発して、木場は剣を携えていた。
「誰だ、キミは?」
ゼノヴィアの問いかけに木場は不敵に笑った。
「君達の先輩だよ。失敗だったそうだけどね」
その瞬間、この部室内に無数の魔剣が出現していた。
アーシアを侮辱したゼノヴィアを許すことが出来ないユウスケ、
木場と共に聖剣に挑む。
また、イッセーもイリナと戦う事に、
鍛えた俺達の連携なら勝てるはずだ!
次回、第31話「聖剣対魔剣」
見てくれよな!
外伝でやってほしいコラボは?
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仮面ライダークウガ(五代雄介)
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仮面ライダーディケイド
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忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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その他(希望があれば感想へ)