ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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聖剣使いと戦ったユウスケだが、

木場との連携が取れず、

攻撃を当てる事さえ出来なかった。

イッセー、木場両者が聖剣を相手に敗北し、

一人では勝てないと感じ戦いは終了した。

そして、聖剣に勝てなかった悔しさからか、

木場が飛び出して行ってしまう。

このままでは木場が『はぐれ悪魔』になってしまう

どうなってしまうのか。


第32話「共同戦線」

「嫌だぁぁぁぁ!俺は帰るんだぁぁぁ!」

 

悲鳴をあげて逃げようとする匙。

 

それを小猫ちゃんが掴んで離さないでいた。

 

イッセーがエクスカリバー破壊作戦を提案したら、

 

小猫ちゃんはしばらく考え込んで

 

「私も協力します。祐斗先輩の事ですよね?」と察してくれた。

 

匙の方は話を聞くなり青ざめて逃げようとした。

 

それを小猫ちゃんが捕縛したと。

 

「兵藤!なんで俺なんだよ!おまえら眷属の問題だろう!?

俺はシトリー眷属だぞ!関係ねぇ!関係ねぇぇぇ!」

 

匙は涙を流しながら訴える。

 

「そう言ってくれるなよ。俺が知っている悪魔で協力

してくれそうなのはお前ぐらいなもんだったんだもんよ」

 

「そうそう、生徒会なら困った生徒を助けるのも仕事だろ?」

 

「ふざけんなぁぁ!俺がてめぇらの協力なんてするわけ

ねぇぇぇだろぉぉぉ!殺される!俺は会長に殺されるぅぅぅ!」

 

会長への恐怖が大分強いな。よほど怖いんだな、会長は。

 

「お前達の所のリアス先輩は厳しいながらも優しいだろうよ!

でもな!俺んところの会長はな!厳しくて厳しいんだぞ!」

 

日本語が可笑しいが、どれだけ怖いかは十分伝わった。

 

まあ、最後は一緒に怒られてやるさ、

 

いまだにぐずる匙を無理やり連れていき俺達は、

 

イリナとゼノヴィアを街中で探していた。

 

「なあ、小猫ちゃん。木場が聖剣計画の犠牲者で、

エクスカリバーに恨みを持っているのは知っているよね?」

 

イッセーの問いかけに小猫ちゃんは頷く。

 

「イリナとゼノヴィアが俺達の所へ訪れた時、

彼女たちはこう言ったんだ」

 

『協会は堕天使に利用されるぐらいなら、

エクスカリバーが全て消滅してもかまわないと決定した。

私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手から無くす事だ』

 

「つまり、彼女達は奪われたエクスカリバーを

最悪破壊して回収するってことだろう?」

 

「…はい、そうですね」

 

「なるほど、つまりイッセーは、その奪還作業を木場を中心に

手伝えないかと考えたのか。

確かに、三本あるんだから一本ぐらいなら、俺らが

協力しても構わないだろうしな」

 

「…祐斗先輩にそこでエクスカリバーに打ち勝ってもらい、

想いを果たしてほしいというわけですね?」

 

小猫ちゃんの問いにイッセーが笑顔で頷く。

 

まあ、木場の気が済めば、今まで通りの生活に戻るだろう。

 

「木場はエクスカリバーに勝って、自分と昔の仲間の復讐

を果たしたい。ゼノヴィア達は堕天使達からエクスカリバーを

破壊してでも奪いたい。意見は一致している。

あとは彼女達が俺ら悪魔の言葉に耳を傾けてくれるかどうかだ」

 

「…難しそうですね」

 

「うーん、そうだよな」

 

イッセーや小猫ちゃんのいう事は分かるが、

 

向うが悪魔と協力してくれるとは思わないがな。

 

しかもさ。

 

「…部長も他の部員には内緒」

 

小猫ちゃんの言う通りだ。

 

今回の件は、リアス先輩や朱乃さんに知られるわけには

 

いかない。悪魔と教会間での関係に支障が出るだろう。

 

それは、リアス先輩はよしとしないだろう。

 

『祐斗の為とはいえ、天使側の問題に首を

突っ込むべきではないわ』と。

 

上級悪魔だからこそ、立場がある。

 

俺達が、アーシアを奪還に行くときも大分反対されたからな。

 

「アーシアにも内緒だ、イッセー以上に顔に出ちゃうからな、

嘘を付き通すのは下手だろうし、アーシア自身が罪の意識に

耐えられないだろうしな。それに、その話し合いで、

またぶつかることがあったら関係も悪化するかもしれない」

 

そうならないように、俺がどうにか頑張らないとな、

 

「そういうことだ、だから、小猫ちゃんは降りてもいいよ。

匙も危なくなったら逃げろ。だけど、ユウスケはついて来いよな」

 

「今逃げさせろぉぉ!最悪じゃないか!

エクスカリバー破壊なんて勝手なことしたら、

会長に殺される!絶対に拷問だぁぁぁ!」

 

「もしかしたら、交渉が成立するかもしれないだろう?

そうなったら、お前にも協力して欲しいんだよ」

 

「うわぁぁぁぁ!勝手な言い分だぁぁぁぁ!

死ぬ!死んでしまうぅぅぅ!」

 

まあ、人では欲しいからな、

 

手を貸してくれそうな同年代の悪魔って理由で読んだからな。

 

「私は逃げません。仲間の為です」

 

小猫ちゃんにハッキリと、強い眼差しで言われた。

 

この子は意外と熱血なんだよな。

 

街中を探す事二十分。

 

極秘任務中の身だ白いローブを着ているとはいえ

 

そう目立つとは思えないし、簡単には見つからないだろうと、

 

思っていたが…。

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~」

 

「どうか、天の父に代わって哀れな私達にお慈悲をぉぉぉぉ!」

 

簡単に見つかった。

 

路頭で祈りを捧げる白ローブの女子二人。めっちゃ目立ってる!?

 

何やら相当困っているようだ。

 

通り過ぎる人々も奇異な視線を向けていた。

 

「なんてことだ。これが超先進国であり経済大国日本の現実か。

これだから信仰の匂いもしない国は嫌なんだ」

 

「毒づかないでゼノヴィア。路銀の尽きた私達はこうやって、

異教徒共の慈悲無しでは食事も摂れないのよ?

ああ、パンひとつさえ買えない私たち!」

 

「ふん。もとはといえば、おまえが詐欺まがいのその変な

絵画を購入するからだ」

 

ゼノヴィアが指差す方に聖人らしき者が描かれた下手な絵画があった。

 

あちゃぁ、これは確実に詐欺だな。

 

「何を言うの!この絵には聖なるお方が描かれているのよ!

展示会の関係者もそんなことを言ってたわ!」

 

「じゃあ、誰かわかるのか?私には誰一人脳裏に浮かばない」

 

絵画にはそれっぽい外国風の人物が貧相な服装をしており、

 

頭の上に輪っかがあり、背景には羽の生えた赤ちゃんがラッパを

 

持って宙を舞っている。

 

「…たぶん、ペトロ…さま?」

 

「ふざけるな。聖ペトロがこんなわけないだろう」

 

「いいえ、こんなのよ!私にはわかるもん!」

 

「ああ、どうしてこんなのが私のパートナーなんだ…。

主よ、これも試練ですか?」

 

「ちょっと、頭を抱えないでよ。貴方って、

沈む時はとことん沈むわよね」

 

「うるさい!これだからプロテスタントは異教徒だというんだ!

我々カトリックと価値観が違う!聖人をもっと敬え!」

 

「何よ!古臭いしきたりに縛られてる

カトリックの方が可笑しいのよ!」

 

「なんだと、異教徒め」

 

「何よ、異教徒!」

 

ついには顔をぶつけながら喧嘩を始めちまった。

 

ぐぅぅぅぅぅ…。

 

しかし、少し離れて様子を窺っている俺達にも届く腹の虫。

 

腹が鳴るなり、二人は力なくその場に崩れ落ちる。

 

「…まずはどうにかして腹を満たそう。

そうしなければエクスカリバー奪還どころではない」

 

「…そうね。それじゃ、異教徒を脅してお金もらう?

主も異教徒相手なら許してくれそうなの」

 

「寺を襲撃するのか?それとも賽銭箱とやらを奪うか?

どちらも止めとけ。ここは剣を使って大道芸でもしよう。

どの国でも通じるインターナショナルな娯楽だ」

 

「それは名案ね!エクスカリバーで

果物でも切れば路銀は溜まるはず!」

 

「まあ、その果物がないわけだが。仕方ない。その絵を切るか」

 

「ダメ!これはダメよ!」

 

再び喧嘩を始める二人。

 

このままだと警察のお世話になりそうなので、

 

俺達は二人の元へ近づいていく。

 

 

―〇●〇―

 

 

「うまい!日本の食事はうまいぞ!」

 

「うんうん!これよ!これが故郷の味なのよ!」

 

ガツガツとファミレスで注文したメニューを腹に収めていく

 

ゼノヴィアとイリナ。

 

その食いっぷりは本当に教会関係者かと思うな。

 

あのあと、俺達を見るなり、眉をひそめていたが、

 

「訊きたいこともあるから、食事でも行かないか?」

 

と訊いたら、一発OKだった。

 

ファミレスに着くまでの間は、「私達は悪魔に魂を売ったのよ」、

 

「これも信仰を遂行するためだ」などとぶつぶつ言っていた。

 

此処の会計はイッセーが出すと言っていたが、

 

二人の食いっぷりを見て小猫ちゃんも出してくれると言ってたが、

 

流石に後輩に頼るのは男が廃るからな、俺も出してやろう。

 

これも木場の為だ、この件が終わったら、木場のおごりで皆で

 

食事にでもいこう。

 

「ふぅー、落ち着いた。君達悪魔に救われるとは、世も末だな」

 

と、ゼノヴィア。

 

「おいおい、奢ってもらってそれか」

 

イッセーが口の端を引きつらせながら言う。

 

これから交渉するんだ、流石に強くは言えないな。

 

俺も文句は言いたかったが、ここはイッセーに任せるべく。

 

文句はぐっと我慢した。

 

「はふぅー、ご馳走様でした。ああ、主よ。

心やさしき悪魔達にご慈悲を」

 

『うっ!』

 

その瞬間、俺を頭痛が襲う。

 

他の皆も同様に頭へ手を当てていた。

 

どうやら、目の前で十字を切られて、

 

俺ら悪魔は軽くダメージを受けたようだ。

 

「あー、ゴメンなさい。つい十字を切ってしまったわ」

 

てへっとイリナは可愛らしく笑う。

 

水を飲み、息をついたゼノヴィアは改めて俺達に訊く。

 

「で、私達に接触した理由は?」

 

「っ!」

 

いきなり切り出されるとは思わなかったな。

 

まあ、偶然出会ったって感じで接触はしてないからな。

 

「あんたら、エクスカリバーを奪還する為にこの国に来たんだよな?」

 

イッセーが二人に目的を再度確認する。

 

「そうだ。それはこの間説明したはずだよ」

 

食事を摂ったばかりの為か、ゼノヴィアもイリナも今の所敵意を

 

出していない。

 

こんな一般人の多いファミレスで戦闘開始しても仕方ないだろうし、

 

いざ戦闘になっても俺達に圧勝する自身があるんだろう。

 

「エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

イッセーの告白に二人は目を丸くして驚いている様子だった。

 

余りの驚きに互いに顔を見合わせていた。

 

今後の関係は彼女達の返答次第だ、

 

彼女達の返答を固唾をのんで見守っていた。

 

すると、ゼノヴィアが口を開く。

 

「そうだな。一本ぐらい任せてもいいだろう。

破壊できるのであればね。ただし、そちらの正体がバレないように

してくれ。こちらもそちらと関わりを持っているように上にも

敵にも思われたくない」

 

ッ。

 

意外にも簡単に許可が下りた。

 

まあ、正体がバレないようにだから、

 

俺は変身できないだろうな。

 

変身したら、一発でばれるだろうしな。

 

「ちょっと、ゼノヴィア。いいの?相手はユウスケくん達とは言え、

悪魔なのよ?」

 

イリナは異を唱えている。まあ、それが普通の反応だろう。

 

「イリナ、正直言って私達だけでは三本回収と

コカビエルとの戦闘は辛い」

 

「それはわかるわ。けれど!」

 

「最低でも私達は三本のエクスカリバーを破壊して逃げ帰って

くればいい。私達のエクスカリバーを奪われるぐらいなら、自らの

手で壊せばいいだろう。で、奥の手を使ったとしても任務を終えて、

無事帰れる確率は三割だ」

 

「それでも高い確率だと私達は覚悟を決めてこの国に来たはずよ」

 

「そうだな、上にも任務遂行して来いと送り出された。

自己犠牲に等しい」

 

「それこそ、私達信徒の本懐じゃないの」

 

「気が変わったのさ。私の信仰は柔軟でね。

いつでもベストなカタチで動き出す」

 

「あなたね!前から思っていたけれど、信仰心が微妙におかしいわ!」

 

「否定はしないよ。だが、任務を遂行して無事帰る事こそが、

本当の信仰だと信じる。生きて、これからも主の為に戦う。 違う?」

 

「…違わないわ。でも」

 

「だからこそ、悪魔の力は借りない。代わりにドラゴンの力を借りる。

上もドラゴンの力を借りるなとは言ってない」

 

ゼノヴィアの視線がイッセーに向けられる。

 

「まさか、こんな極東の島国で赤龍帝と出会えるとは思わなかった。

悪魔になっていたとはいえ、ドラゴンの力は健在と見ているよ。

伝説の通りなら、その力を最大まで高めれば魔王並になれるんだろう?

魔王並の力ならエクスカリバーも楽々破壊できるだろうし、

この出会いも主のお導きと見るべきだね」

 

ゼノヴィアは嬉々として語った。

 

「た、確かにドラゴンの力は借りるなとは言ってこなかったけど…。

屁理屈すぎるわよ!やっぱり、貴方の信仰心は変だわ!」

 

「変で結構。しかし、イリナ。彼らはキミの古い馴染みだろう?

信じてみようじゃないか。ドラゴンの力を」

 

ゼノヴィアの言葉にイリナも黙り、承知の空気を出していた。

 

まあ、イッセーが魔王並の力を出す事は出来ないが、

 

木場に対して譲渡の力を使えばエクスカリバーにも勝てるだろう。

 

「OK。商談成立だ。俺はドラゴンの力を貸す。じゃあ、

今回の俺のパートナーを呼んでもいいか?」

 

そういうと、イッセーはケータイを取り出し、木場へ連絡を入れた。

 

 

―〇●〇―

 

 

「…話はわかったよ」

 

木場はため息を吐きながらもコーヒーに口をつけた。

 

ファミレスに木場を呼び出した俺達。

 

「今、例のエクスカリバー使いの二人と会っている。

木場にも来てほしい」

 

と、イッセーが伝えるとファミレスへ顔を出してくれた。

 

「正直言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは

遺憾だけどね」

 

「随分な言いようだね。そちらが『はぐれ』だったら、

問答無用で斬り捨てているところだ」

 

睨み合う木場とゼノヴィア。

 

これから共同戦線を組もうってんだから、喧嘩は無しだぜ。

 

「やはり、『聖剣計画』のことで恨みを持っているのね?

エクスカリバーと教会に」

 

イリナの問いに木場は目を細めながら「当然だよ」と

 

冷たい声音で肯定した。

 

「でもね、木場君。あの計画のおかげで聖剣使いの研究は

飛躍的に伸びたわ。だからこそ、私やゼノヴィアみたいに

聖剣と呼応できる使い手が誕生したの」

 

「だが、

計画失敗と断じて被験者のほぼ全員を始末するのが

許されると思っているのか?」

 

木場は憎悪の眼差しをイリナに向ける。

 

確かにイリナの言っていることは結果論だ、

 

その研究のおかげで得た物はあったのだろうが、

 

人の処分なんて、非人道的な行為はあまりにも残酷だろう。

 

仮にも神の信徒が行う事じゃない。

 

イリナも反応に困っている様子だ。

 

そこへゼノヴィアが言う。

 

「その事件は、私達の間でも最大級に嫌悪されたものだ。

処分を決定した当時の責任者は信仰に問題があるとされて

異端の烙印を押された。今では堕天使側の住人さ」

 

「堕天使側に?その者の名は?」

 

興味を惹かれた木場はゼノヴィアに訊く。

 

「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

 

そいつが木場の仇ってわけか。

 

「…堕天使を追えば、その者にたどり着くのかな」

 

木場の瞳には新たな決意みたいなものが生まれていた。

 

仇の名がわかっただけでも木場にとっては大きな前進なのだろう。

 

「僕も情報を提供したほうがいいようだね。

先日、エクスカリバーを持った者に襲撃された。

その際、神父を一人殺害していたよ。

やられたのはそちらの者だろうね。」

 

『!』

 

この場に居る全員が驚いた。

 

それもそのはずだ、俺達よりも先に敵と接触していたなんて、

 

俺達に黙っていたのは、やはり、関係無いと思っているからなのか?

 

木場にだって思う所はあるだろうが、

 

襲われたことぐらいは言ってほしかったぜ、

 

「相手はフリード・セルゼン。この名に覚えは?」

 

フリード! 堕天使と一緒にいた。あのイカレ神父だ!

 

アーシアの一件で敵対した白髪の少年神父だな。

 

まさか、まだこの町に潜伏していたとは!

 

木場の言葉にゼノヴィアとイリナが同時に目を細める。

 

「なるほど、奴か」

 

「フリード・セルゼン。元ヴァチカン法王庁直属のエクソシスト。

十三歳でエクソシストとなった天才。悪魔や魔獣を次々と

滅していく功績は大きかったわ」

 

「だが奴はあまりにやりすぎた。同胞すらも手にかけたのだからね。

フリードには信仰心なんてものは最初から無かった。

あったのはバケモノへの敵対意識と殺意。そして、

異常なまでの戦闘執着。異端に掛けられるのも時間の問題だった」

 

あの神父は教会でも手を焼くほどの存在だったのか。

 

「そうか。フリードは奪った聖剣を使って私達の

同胞を手にかけていたか。あの時、処理班が始末出来なかった

ツケを私達が払う事になるとはね」

 

忌々しそうに言うゼノヴィア。

 

「まあいい。とりあえず、エクスカリバー破壊の共同戦線といこう」

 

ゼノヴィアはペンを取り出すと、メモ用紙にペンを走らせ、

 

連絡先をこちらへよこした。

 

「何かあったらそこへ連絡をくれ」

 

「サンキュー。じゃあ俺とユウスケの方も」

 

「イッセー君のケータイ番号は叔母様から頂いているわ」

 

イリナが微笑みながら言う。

 

「マジかよ‼母さん!勝手な事を!」

 

「ユウスケ君のは前に教えてもらってるから大丈夫よ。

私の連絡先も以前教えたものと変わってないから」

 

イリナの言葉にイッセーが食いついてくる。

 

「おい、ユウスケ!いつの間に連絡先の交換なんてしてたんだよ!」

 

「落ち着けよイッセー。悪魔になる前からメールでのやり取りしてて

その時に番号教えてもらってちょくちょく電話もしてたんだよ」

 

「では、そういうことで。食事の礼、いつかするぞ。

赤龍帝の兵藤一誠、そして、兵藤祐介」

 

そういうとゼノヴィアは席を立った。

 

「食事ありがとうね、ユウスケ君!イッセー君!

また奢ってね!悪魔だけど、貴方達の奢りならアリだと主も

許してくれるはずだわ!ご飯ならOKなのよ!」

 

ウインクしながらイリナはお礼を言ってくる。

 

二人を見送り、残された俺達はたまらずに息を大きく吐いた。

 

ふぅぅぅ。

 

なんとか問題も起こさずに協力を取り付けることが出来たな。

 

最悪の場合悪魔と神側の争いの火種になっても可笑しくなかったからな

 

「…皆。どうして、こんなことを?」

 

木場が静かに訊いてくる。

 

木場にしてみれば、自分の怨恨をどうして助けてくれるのか

 

不思議なんだろう。

 

「ま、仲間だし。眷属だしさ。それにお前には助けられた事があった

からな。借りを返すってわけじゃないけど、今回はお前の力に

なろうと思ってさ」

 

「そうイッセーの言う通りだ。お前はクールキャラを装っているが、

意外と熱くなりやすい奴だからな。アーシアの時には、

俺達に手を貸してくれただろ?今度は俺達が手を貸す番さ」

 

「僕が下手に動けば部長に迷惑がかかるから。それもあるんだよね?」

 

「もちろん。あのまま暴走されたら、部長が悲しむ。まあ、

俺が今回独断で決めたことも部長に迷惑かけているんだろうけど、

お前が『はぐれ』になるよりはマシだろう?

結果オーライになっちまったが、教会の関係者と

協力態勢取れたんだしさ」

 

木場はそれでもまだ納得していない様子だった。

 

そこへ、小猫ちゃんが口を開く。

 

「…祐斗先輩。私は、先輩がいなくなるのは…寂しいです」

 

少しだけ寂しげな表情を小猫ちゃんが浮かべる。

 

普段無表情だからか、その変化はこの場に居る全員に衝撃を与えた。

 

「…お手伝いします。…だから、いなくならないで」

 

っ。

 

小猫ちゃんの悲痛な訴えは荒れていた木場の心に届いたようだ。

 

木場は困惑しながらも苦笑いする。

 

「ははは。まいったね。小猫ちゃんにそんなことを言われたら、

僕も無茶はできないよ。わかった。今回は皆の好意に

甘えさせてもらおうかな。皆のおかげで真の敵もわかったしね。

でも、やるからには絶対にエクスカリバーを倒す」

 

木場も俺達と協力する気になってくれたか!

 

小猫ちゃんも安堵したのか、小さく微笑んだ。

 

「よし!俺らエクスカリバー破壊団結成だ!

がんばって、奪われたエクスカリバーとフリードの

クソ野郎をぶっ倒そうぜ!」

 

イッセーの掛け声でやる気を出す俺達。

 

しかし、この場で一人だけ乗り気じゃない者がいる。

 

「…あの、俺も?」

 

手をあげながら、匙が訊いてくる。

 

「つーか、結構俺って蚊帳の外なんだけどさ…。結局、

何がどうなって木場とエクスカリバーが関係あるんだ?」

 

ああ、完全に忘れていたが、匙には事情も何も説明してなかったな。

 

匙にしてみれば、先ほどからの会話も

 

断片的にしか理解できんだろうしな。

 

「…少し話そうか」

 

コーヒーに口をつけたあと、木場は自分の過去を語った。

 

カトリック教会が秘密裏に計画した『聖剣計画』。

 

聖剣に対応した者を排出するための実験が、

 

とある施設で執り行われていた。

 

被験者は剣に関する才能と神器を有した少年少女。

 

来る日も来る日も辛く非人道的な実験を繰り返すばかり。

 

散々実験を繰り返され、自由を奪われ、人間として扱わず、

 

木場達は生を無視された。

 

彼らにも夢があった。生きていたかった。

 

神に愛されていると信じこまされ、ひたすら

 

『その日』が来るのを待ち焦がれていた。

 

特別な存在になれると信じて。

 

聖剣を使える者になれると信じて。

 

三百六十五日、毎日毎日何度も何度も聖歌を口ずさみながら、

 

過酷な実験に耐えたその結果が『処分』だった。

 

木場達は聖剣に対応出来なかった。

 

「…皆、死んだ。殺された。神に、神に使える者に。

誰も救ってくれなかった。『聖剣に適応出来なかった。』

たったそれだけの理由で、少年少女達は生きながら

毒ガスを浴びたのさ。彼らは『アーメン』と言いながら

僕らに毒ガスを撒いた。血反吐を吐きながら、

床でもがき苦しみながら、僕たちはそれでも神に救いを求めた」

 

木場の話を俺達は無言で聞いていた。

 

研究施設からなんとか逃げ出せた木場だが、

 

毒ガスはすでに彼の体を蝕んでいた。

 

一部の者を除いて、能力が平均値以下の被験者は

 

用なしと処分されたのだった。

 

逃げおおせた木場は、死ぬ寸前でイタリア視察に来ていた

 

リアス先輩と出会った。そして、今ここに至る。

 

「同志達の無念を晴らしたい。いや、彼らの死を無駄にしたくない。

僕は彼らの分も生きて、エクスカリバーよりも強いと

証明しなくてはいけないんだ」

 

…凄まじい過去だ。

 

アーシアも悲しい過去を持っていたが、

 

木場も俺達の想像を超える過去を過ごしていたんだな…。

 

正直、俺じゃあ木場の苦しみは理解することはできない。

 

ただ、復讐心だけで生きていくことは辛いだろう。

 

リアス先輩だって剣の才能を復讐以外で生かしてもらいたい

 

と言っていたしな。

 

「うぅぅぅぅ…」

 

沈痛な面持ちで木場の過去を聞いていた俺達だが、

 

すすり泣く声が聞えてくる。

 

匙だ。

 

匙は号泣していた。

 

ボロボロ涙を流して、大泣きしていた。

 

鼻水まで垂れ流して…。

 

匙は木場の手を取り言う。

 

「木場!辛かっただろう!きつかっただろう!ちくしょう!

この世に神も仏もないもんだぜ!俺はなぁぁぁ、

今非常にお前に同情している!ああ、酷い話さ!

その施設の指導者やエクスカリバーに恨みを持つ理由もわかる!

わかるぞ!」

 

こんどは力強くうんうんと頷きだしたぞ。

 

「俺はイケメンのお前が正直いけ好かなかったが、

そういう話なら別だ!俺も協力するぞ!ああ、やってやるさ!

会長のしごきをあえて受けよう!それよりもまず

俺達でエクスカリバーの撃破だ!俺も頑張るからさ!

お前も頑張って生きろよ!絶対に救ってくれた

リアス先輩を裏切るな!」

 

言ってることは滅茶苦茶だが、こいつも熱い奴だな。

 

そして、良い奴だ。いままで嫌な奴と思っていたが、

 

考えを改めさせてもらったよ。

 

「よっし!いい機会だ!ちょっと俺の話も聞いてくれ!

共同戦線張るなら俺の事も知ってくれよ!」

 

匙は気恥ずかしそうにしながらもランランと瞳を輝かせて言った。

 

「俺の目標はソーナ先輩とできちゃった結婚をすることだ!」

 

匙の告白を聞き、俺達は先ほどまでの熱い気持ちもどこへやら、

 

冷めた目で匙を見ていた。

 

だが、忘れてはならない。

 

此方にもどうしようもない変態が居たことを。

 

「匙!聞け!俺の目標は部長の乳を揉み、そして吸う事だ!」

 

イッセーも自身の野望を告白する。

 

お前の野望はハーレムじゃなかったのかよ。

 

その後、イッセーと匙は意気投合し自分達の野望を必ず叶えようと

 

二人で誓っていた。

 

「匙がイッセーを嫌っていた理由って同族嫌悪じゃねぇか…」

 

「…あはは」

 

「…やっぱり最低です」

 

号泣しあう二人の横で俺達はため息を吐いていた。

 

周りを見れば店内のいろんな人がこちらを奇異の目で

 

俺達を見ている。いまからでも他人のふりは出来ませんかね?

 

こうして『エクスカリバー破壊団』が結成されたのだった。

 




無事に教会との共同戦線を取ることに成功したユウスケ達、

気合を入れて聖剣を探す俺達。

そこで、イッセーが驚きの作戦を立案する。

その作戦とは!? 

そして、俺達はエクスカリバーに出会えるのか?

次回、第33話「仇敵」

見てくれよな

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)
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