目的は学園の視察のようだったが、
共に現れたのは、
もう一人のクウガ、東城雄輔だった。
クウガの出現に驚く一同、
また、東城から未完成と言われ
動揺するユウスケ、
クウガにはまだ秘密があるようだ。
東城雄輔と出会った日の夜、
俺は一人ベッドに座り、
今日の出来事を考えていた。
もう一人のクウガの出現。
以前、五代さんに出会っていた為、
他にクウガが存在するのは理解していた
つもりだ、だが、それは
別の世界での話だった。
確かに過去に俺とは違うクウガはいた。
だけどそれはこのベルトの前の所有者
のはずだ。
過去に暴れた『究極の闇』は
俺のクウガのことではなく、
向こうのクウガの話だったのか?
それに、未完成ってのは
俺が五代さん見たいに
他のフォームに変身できない
からか?
俺はそんな事をずっと
考えていた。
その時、
ガチャッ!
「ユウスケさん」
「ああ、アーシアどうしたんだ?」
部屋にアーシアが入ってくる。
「いえ、今日のユウスケさんの
様子が気になったので」
そう言って、アーシアはベットに腰掛ける。
「やはり今日出会ったあの人が
気になりますか」
アーシアはまっすぐ俺の目をみて言ってきた。
「ああ、そうだね。
俺は今までクウガという名に誇りを持っていた。
だけど、今日出会った東城は俺よりも上だった。
前に話したけど別の世界で他のクウガに合った
時も感じたんだ、
何で俺はあの人に出来る事が出来ないんだろうと。
今でこそナイトフォームを手に入れたけど、
それだけだ、あの男の話では俺は未完成らしい。
それがやっぱり悔しかったんだ。
努力はしているつもりだ、
だけど、俺には決定的な何かが欠けているんじゃ
無いかって最近は思ってるんだ」
アーシアは俺の話を黙って聞いてくれた。
すると、アーシアが突然膝枕をしてくれる。
「えっと、突然どうしたんだ?アーシア」
「いえ、ただ私がしたかっただけです。
ユウスケさんが努力しているのは
私も知っています。
ユウスケさんが何で悩んでいるかは
分かりません。でも、
ユウスケさんは弱くはありません。
以前、私の事を助けてくれました。
友達だって言ってくれました。
その言葉で私は救われたんです。
だから、ユウスケさんは
私のヒーローなんです。
あの、東城さんという方が
どんな方かは知りませんが、
私のヒーローのクウガは
兵藤祐介さん、ただ一人です」
「ありがとう、アーシア」
「どういたしまして」
俺は安心したのか、いつの間にか
眠ってしまっていた。
―〇●〇―
「ユウスケ、イッセー、アーシアちゃん。
あとでお父さんと一緒に行くからね」
朝から気合の入っている母さん。
玄関前でそんな事を言うが、
俺達よりもアーシアの授業風景を見たいようだ。
父さんも有給休暇を取ったと言っていた。
まあ、家の両親はアーシアを娘のように
可愛がっているから、
見たくなるのは分かるんだがな。
とうのアーシアも「はい!」と満面の笑みだ。
一緒に暮らしている「家族」の者が
来てくれるというのが、
たまらなくうれしいらしく、
アーシアはこの日を楽しみにしていた。
そして、授業参観の日。
授業参観とはいうが、
正確には「公開授業」だ。
親御さんが来ていいのは当然だが、
中等部の学生が授業風景を見学しても
いいことになっている。
その中学生の保護者も同伴で
見学可能という、結構自由だ。
自分の親御さんだけでなく、
駒王学園中等部の後輩たちも
見に来るとあって、
意外に高等部の俺達は
無駄な緊張したりする。
少しでもミスしたら恥ずかしいからな。
「…気乗りしないわね」
リアス先輩がため息を吐きながら言う。
どうにも授業参観が嫌らしい。
お父さんとサーゼクス様が
いらっしゃるようだけど、
やはり授業風景を親に
見られるのはリアス先輩でも嫌なのか。
まあ、紅髪のイケメンの男性が二人も
教室を訪れたらそりゃ話題になりそうだな。
奈美先輩も今回はさすがに記事にはしないと
言っていたな。
家の両親は息子達よりもアーシアだからな
イッセーも自分よりアーシアの
授業風景を納めてくれと言っていた。
多分帰ったあとはアーシアの授業の
上映会だな。
学校の玄関でリアス先輩と別れ
俺達は教室に向かう。
席に着くとスイッチと月詠が近づいてくる。
「ユウスケのところは両親が来るのか?」
「ああ、といっても目当てはアーシアだけどな」
「まあ、気持ちは分からんでもないがな」
俺の返事にスイッチは頷いて答える。
まあ、俺も実の妹のように溺愛してますとも、
「私、こういうの初めてなので、すごく楽しみです」
アーシアは心底楽しそうだ。
アーシアが楽しみなのはいいことだ。
「ユウスケ」
いつの間にかゼノヴィアが俺達に近づいてきていた。
ゼノヴィアはその見た目から男子からの人気も高いが、
その運動神経の高さから女子からの人気も高いらしい。
「どうしたゼノヴィア?」
「いや、私もこういうのは初めてだからな、
何をすればいいのか分からないからな
分からないことはユウスケに訪ねれば
何でも答えてくれるとアーシアが言ってたからな」
「ゼ、ゼノヴィアさん!」
ゼノヴィアの話にアーシアが顔を真っ赤にして
慌てている。
「頼りにされるのは嬉しいけどな。
今日は別に見学者がいるだけで、
普段と何も変わらないぞ、
ただ休憩時間も見られるけど、
二人はいつも通りで大丈夫だと思うぞ」
ぶっちゃけ、俺はイッセー達
変態三人組が何かやらかさないか心配だよ。
「わかった、ありがとう」
「どういたしまして」
すると、月詠が訪ねてくる。
「前から気になっておったのじゃが、
ユウスケとゼノヴィアは最初から
仲が良かったな前からの知り合いだったのか?」
悪魔のことは言えないからな。
俺達の関係か。
「まあ、そうだな、俺の幼なじみが
外国から帰国したさいに一緒にいたのが
ゼノヴィアだったんだよ。
出会いは険悪だったけど
今では仲はいいかな」
「そうだな、最初は決闘もしたが
今では気の良い仲間だな」
いや、決闘てもっとオブラートに包もうよ
ゼノヴィア!
「決闘か、何があったかは聞かないが、
ユウスケのいつものお節介がでたのだろう」
月詠がため息を吐きながら、
やれやれと肩をすくめる。
「最近、兵藤兄弟がモテていると
学園内で噂になってるぞ」
マジかよ。
そんな噂がたってるのか、
変な噂があったら早めに処理しないとな。
「おかしな奴はどこにでもおるからな
嫉妬で襲われても知らないぞ」
そんなことを月詠は言うが、
こればっかりは俺が悪いのかな。
色んな女に手を出してると思われてるのか?
「大丈夫です。そのときは私が守ります」
ありがとうアーシア、
でもそうならないことを願うよ。
「そうだな、もし襲われたら私も
守ってやろう」
何故かゼノヴィアがその台詞いうと
イケメンみたいだな。
「ありがとう二人ともでも、
流石に自分の身は自分で
守れるから大丈夫だよ」
流石に悪魔に勝てる人間はいないだろうしな。
ー◯●◯ー
授業が始まり、
解放された後ろの扉から
クラスメートの親御さんが入ってくる。
最初の授業は英語。
授業参観だからか
いつも以上に気合いの入った先生が
袋に入った長方形の物体をみんなに配る。
なんだこれ?
え、最初は英語だよな?
まあ、このクラスには
帰国子女のアーシアにゼノヴィア、
もいるからな俺も悪魔になってから
英語の発音は完璧になったからな
おかしな授業にはならないだろう。
そう思い、配られた物をよく見ると
それは紙粘土だった。
怪訝に思う俺達に先生が嬉々に言う。
「いいですかー、今渡した紙粘土で
好きなものを作ってみてください。
動物でもいい。人でもいい。
物でもいい。自分が今
脳に描いたありのままの表現を
形作って下さい。
そういう英会話もあります」
いや、ねぇよ!
普通に英語の授業しようぜ。
授業参観だからって。
いつもと違う授業しようとして
から回ってんじゃん。
チェーンの外れた自転車じゃねぇんだからさ。
「レッツトライ!」
レッツトライじゃねぇーよ。
「む、難しいです」
アーシアを見るともう制作中だった。
流石に順応力が高すぎませんか?
「アーシアちゃん、ファイトよ!」
「アーシアちゃん、かわいいぞ!」
聞き覚えのある声に後ろに振り向くと
いつの間にか両親がおり、
アーシアにエールをおくっていた。
アーシアが二人に気がつき
振り向いて嬉しそうに手を降る。
回りを見れば他の皆も各々
紙粘土をこねくりまわしていた。
俺がおかしいのかこれ!
仕方ないと俺も粘土をこね始めた。
しかし何を作るか。
頭に描いたもの…。
よし、この間、夢にでたあれを作るか。
俺は夢で見た、雪山での五代さんを
形作ってゆく。
全身から飛び出す。
刺々しくも力強いフォルム。
夢で見ただけなのに
俺の指は迷いもなく
究極の闇を形作ってゆく。
「兵藤君!」
粘土を作っていた俺に
先生が肩を叩き呼び掛ける。
俺はそこでようやく、
自分が夢中なって粘土を作っていたことに気づく。
「素晴らしいよ。兵藤くん。
君にこんな才能があったなんて!
この授業は成功だ!
僕はまた素晴らしい才能を開花させてしまった」
俺のての中のそれは、
ベルト等の細かい装飾まで良くできた物だった。
「これ、俺が作ったのか?」
色こそないがそれは夢で見た姿と瓜二つだった。
「さすがです、ユウスケさん!」
この後みんなにも褒められ
授業は終了した。
ちなみにアーシアはニンニンジャーの世界で見た
ワンマルを作り、ゼノヴィアは自身の聖剣を作っていた。
アーシアはともかく、ゼノヴィアは
女の子なんだから、他にあるだろうに。
ー◯●◯ー
昼休み
俺達は昼にイッセーと合流して
飲み物を買いに自販機まで来ると、
リアス先輩と朱乃さんに出会った
「これが究極の闇…。
貴方の夢に出てきたのね」
俺が撮った粘土の写真を見ながら
部長が呟く。
「興味深いわね後で詳しく調べてみるわ」
「部長俺が作った粘土も見てください!」
そういい、イッセーがリアス先輩の
ミニフィギュアを渡す。
「良くできてるわね」
そういい、リアス先輩が微笑みながら手でさわっている。
話を聞けば、俺達のクラスで成功したから
他のクラスの授業でも粘土を作っており、
イッセーはリアス先輩のミニフィギュアを作ったらしい。
何でもリアス先輩を想像したら勝手に手が動いたそうだ。
完全にエロパワーだな。
「あらあら、流石、毎日部長の体を
見て触ってるイッセーくんですわね」
朱乃さんも像の出来に驚きながらも
微笑を浮かべていた。
「私も今度作ってもらおうかしら。
再現するためなら脱ぎますわよ、
おさわり有りで」
「マジですか、朱乃さん!」
朱乃さんの言葉に食いつくイッセー。
すると、そんなイッセーの頬を
リアス先輩が引っ張る。
「ダメよ」
まあ、当たり前だな。
エロが動力だからな
そうじゃなければいい特技なんだがな。
「ところでリアス先輩、サーゼクス様は
いらっしゃったんですか?」
俺の質問にリアス先輩は
額に手を当ててため息をついていた。
「ええ、父も一緒に来たわ」
大分お疲れのご様子だ。
どんな授業になったのか気になるところだが、
これは聞かない方が良さそうだな。
「あ、部長、それに皆も」
そこへ木場も合流する。
彼も飲み物を買いに来たのか?
「あら、祐斗。お茶?」
リアス先輩が聞くと、
木場は廊下の先を指差す。
「いえ、何やら魔女っ子が撮影会をしてると
聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと
思いまして」
木場の返答に俺達は揃って首をかしげるのだった。
ー◯●◯ー
カシャカシャ!
フラッシュがたかれ、カメラを持った男どもが、
廊下の一角で何かを撮影していた。
人だかりができており、
何を撮っているかは分からなかった。
木場の話だと「魔女っ子」らしいけど…。
俺達は人垣をなんとかくぐり抜けて、
前の方に進む。
そこでは、見知らぬ美少女が
アニメキャラのコスプレをしている。
確か、『魔法少女ミルキー
スパイラル7オルタナティブ』のミルキーだったかな?
以前出会った。心は乙女、
体は漢なイッセーのお得意さんの
『ミルたん』が同じ格好をしていたな。
向こうと違ってミルキーにそっくりだな。
いや、あれと比べるのはダメだな。
彼女がステッキを回すと、
回りのカメラ小僧どもが、
興奮して写真を撮っている。
イッセーもチラチラ見えるパンツに興奮して
写真を撮ろうとスマホを構えていた。
すると、人垣を越えてきたリアス先輩が
俺達の隣に到着して、
魔法少女の姿を見るとあわてふためいていた。
「なっ!」
あまりの狼狽ぶりに俺達も驚く。
リアス先輩がここまで驚くとはな、
もしかして知り合いとかか?
よく考えれば家族の授業参観の日に
魔法少女の格好してくるのは
流石にやりすぎだよな。
「オラオラ!天下の往来で撮影会たー
いいご身分だぜ!」
そんなことを言いながら
生徒会の一員である匙が人だかりに飛び込んでくる。
生徒会のメンバーらしき女子生徒も
匙に続いて中心の撮影現場にやってくる。
「ほらほら、解散解散!
今日は公開授業の日なんだぜ!
こんなところで騒ぎを作るな!」
匙の仕事もさすがだな。
あれほどの人だかりが蜘蛛の子を
散らすようにいなくなっていく。
撮影をしていた男子生徒も匙にどつかれて
渋々去っていった。
残るは俺達と匙達、
そしてコスプレをした少女だけだ。
「あんたもそんな恰好をしないでくれ。って、
もしかして親御さんですか?
そうだとしても場に合う衣装って
ものがあるでしょう。困りますよ」
「えー、だって、これが私の正装だもん☆」
匙が注意するが、彼女はかわいらしく
ポーズを取り聞く耳を持たない。
その態度に奥歯をギリギリ鳴らす匙だが、
リアス先輩を確認すると頭を下げる。
「これはリアス先輩。ちょうどよかった。
今魔王様と先輩のお父様をご案内していた
ところなんですよ」
匙が廊下の後方へ顔を向けると、
ソーナ・シトリー会長先導の元、
紅髪の男性二人が近づいてくる。
「何事ですか?サジ、問題は簡潔に
解決しなさいといつも言って」
厳格な会長がそこまで言いかけ、
コスプレ少女を見かけるなり、言葉を止めた。
「ソーナちゃん!見つけた☆」
少女は会長を見つけると嬉しそうに抱き着いていく。
まさか、会長の知り合いか?
さすがの匙も対応に困るようだな。
ん?二人をよく見ると、
どこか似ているような気が…
疑問に思った俺。
サーゼクス様が構わずコスプレ少女に声を掛ける。
「ああ、セラフォールか。
君もここへ来ていたんだな」
セラフォール…?
その名前ってもしかして…。
「あの方は現四大魔王のお一人、
セラフォルー・レヴィアタン様。
そして、ソーナのお姉様よ」
「えええええええええええええッ!?」
イッセーの叫び声が廊下に響く。
まあ、イッセーはレヴィアタン様は
妖艶な女性だと思ってたらしいからな。
まさか実際は魔法少女のコスプレ好きとは…。
いや、魔法は使えるからコスプレではないのか?
まあ、魔王少女だなこりゃ。
「セラフォルーさま、お久しぶりです」
「あら、リアスちゃん☆おひさ~☆
元気にしてましたか?」
魔王様なのにノリが軽いな。
リアス先輩も反応に困っているな。
「は、はい。おかげさまで。
今日はソーナの授業参観に?」
「うん☆ソーナちゃんったら、酷いのよ。
今日の事、黙ってたんだから!
もう!お姉ちゃん、ショックで天界に
攻め込もうとしちゃったんだから☆」
そんな事で戦争勃発かよ!
冗談か本気か分からんな。
「イッセー。ユウスケ。ごあいさつなさい」
リアス先輩の言う通り、俺達は頭を下げて挨拶する。
「初めまして、自分はリアス・グレモリー様の
『
よろしくお願いいたします!」
「は、はじめまして、兵藤一誠。
同じくリアス・グレモリー様の下僕
『
よろしくお願いします!」
「初めまして☆私、魔王セラフォルー・
レヴィアタンです☆『レヴィアたん』
って呼んでね☆」
ピースサインを横向きでチェキする魔王様。
「ねぇ、サーゼクスちゃん。
この子達が噂のドライグちゃんとクウガちゃん?」
サーゼクス様を『ちゃん』付けか。
同格の魔王様だからこそなのか?
「そう、彼らは『
を宿す者、兵藤一誠くんと
過去の戦争時に現れ『究極の闇』と呼ばれた
『クウガ』の兵藤祐介くんだ」
「あらあら、グレモリーのおじさま」
「ふむ。セラフォルー殿。
これはまた奇抜な衣装ですな。
いささか魔王としてはどうかと
思いますが…」
「あら、おじさま☆ご存じないのですか?
今この国ではこれが流行りですのよ?」
「ほう、そうなのですか。
これは私が無知だったようだ」
「ハハハハ、父上。
信じてはなりませんよ」
なんて会話をグレモリー親子と
レヴィアタン様がしている。
「ぶ、部長、想像を遥かに超えて軽い
ノリなんですけど、そのレヴィアタン様が…」
イッセーの困惑ぶりにリアス先輩も
「ゴメンなさい」と謝ってくる。
まあ、説明がなかったら困惑するわな。
「言うのを忘れていた。いえ、
言いたくなかったのだけれど、
現四大魔王様方は、どなたも
こんな感じなのよ。プライベート時、
軽いのよ、酷いぐらいに」
ため息を吐きながらリアス先輩は言う。
公私の差が酷いのか、
いや、レヴィアタン様の公務時の姿は見たこと無いから
分からないけども、普段からこの格好なのか?
見れば、会長が顔を真っ赤にしていた!
姉のこの姿と言動が心底恥ずかしいみたいだな。
それに気がついたレヴィアタン様が
心配そうにのぞきこむ。
「ソーナちゃん、どうしたの?
お顔が真っ赤ですよ。
せっかくお姉さまである私との再開なのだから、
もっと喜んでくれてもいいのですよ?
『お姉さま!』『ソーたん!』
って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、
お姉ちゃんは!」
す、すごいな…、これが魔王様か。
会長は目元をひきつらせながら、
遺憾そうに言う。
「…お、お姉さま、ここは私の学舎であり、
私はここの生徒会長を任されているのです…。
いくら、身内だとしてもお姉さまの行動は、
あまりに…。そのような格好は容認できません」
「そんな、ソーナちゃん!
ソーナちゃんにそんなことを言われたら、
お姉ちゃん悲しい!
お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、
ソーナちゃんは知ってるじゃない!
きらめくスティックで天使、堕天使を
まとめて抹殺なんどから☆」
「お姉さま、ご自重ください。
魔王のお姉さまがきらめかれたら
小国が数分滅びます」
魔法少女なのにスティックの使い方
おかしいだろ!
もはや鈍器じゃん!
「なあ、匙。先日の堕天使幹部が襲来してきたとき、
会長はお姉さんを呼ばなかったけど
…これを見る限り、仲が悪いからって
わけじゃないよな?」
イッセーがそう思うのも無理ないな
この様子だとどちらかというと…。
「逆だ、逆。話ではセラフォルー・レヴィアタン様が
妹を溺愛しすぎているから、
呼ぶと大変なことになるってさ。
妹が堕天使に汚されるとわかったら、
何をしでかすかわからなかったらしいんだよ。
即戦争だよ。あそこはセラフォルー様を呼ばずに
ルシファー様を呼んで正解だ。
しかし、俺も初めてお会いしたけど、これは…」
やはり、そういうことか…。
過保護過ぎるほどのシスコンだな。
「うぅ、もう耐えられません!」
あの冷静沈着な会長が目元を潤ませて、
この場を走り去っていく。
「待って!ソーナちゃん!
お姉ちゃんを置いてどこに行くの!」
魔王少女がそれを追って走り出した。
「ついてこないでください!」
「いやぁぁぁぁん!お姉ちゃんを
みすてないでぇぇぇぇぇっ!
ソーたぁぁぁん!」
「『たん』付けはお止めになってください
とあれほど!」
シトリー姉妹の追いかけっこか…。
この学校を何かの拍子で壊さないといいけどな。
「うむ。シトリー家は平和だ。
そう思うだろう、リーアたん」
「お兄様、私の愛称に『たん』付けで
呼ばないでください…」
今度はグレモリー家でひと悶着が始まったな。
なるほど、リアス先輩は家では『リーア』って
呼ばれていたのか。
「そんな…リーアたん。昔はお兄様お兄様と
いつも私の後ろをついてきていたのに…。
反抗期か…」
ショックを受けた様子のサーゼクス様。
だけど、少しからかっている様子だな。
「もう!お兄様!どうして幼少時の私のことを!」
パシャ!
怒ったリアス先輩を写真に撮る先輩のお父様。
感無量のご様子だ。
「いい顔だ、リアス。よくぞ、ここまで立派に育って…。
ここにこれなかった妻の分まで
私は今日張り切らせてもらおうか」
「お父様、もう!」
魔王の一家って大分個性的なんだな。
普通の家庭と変わらないことに驚いたな。
歴史のある家だからもっとお堅いと思ってたな。
「魔王様と魔王様の御家は面白い共通点があるのですよ」
朱乃さんが微笑みながら愉快そうに言う。
「「共通点?」」
「魔王様は皆様面白い方々ばかりなのです。
そして、そのご兄弟は例外なく真面目な方ばかり、
うふふ、きっとフリーダムなご兄弟が魔王様になったことで、
真面目にならざるを得なかったのでしょうね」
リアス先輩も兄弟に苦労してるんだな…。
俺も他人事じゃないように思えたよ。
俺は横にいるイッセーを見ながら、
そんなことを考えていると、そこへ。
「おや、ユウスケにイッセーか」
「「父さん」」
学内を一通り見て回ったのか、
父さんと母さんが手を上げながら現れた。
「兵藤くん、此方のお二人がご両親かな?」
リアス先輩のお父様が俺達に訊いてくる。
「は、はい」
「俺達の父と母です」
「そうか。うむ」
リアス先輩のお父様が俺達の両親の前へ。
「初めまして、リアスの父です」
握手を求めながら、リアス先輩のお父様が
父さんへ手を差し出す。
相手の紅髪の紳士がリアス先輩のお父様だと知り、
父さんと母さんの表情が楽し気なものから
一変して緊張の色が濃くなった。
そりゃそうか、いきなりリアス先輩の
お父様に会えばそうなるよな。
「こ、こ、こここここここれは、どうも!
あっ、えっと、兵藤祐介と一誠の父です!
リアスさんにはお世話になっておりまして、
えーと、その…」
父さんが見てられないほど、テンパってしまっている。
「いえ、こちらこそ、
リアスがお世話になっておりまして、
いずれ、ご挨拶に伺おうと思っていたのですが、
なにぶん私もサーゼクスも多忙な身でして、
なかなか機会を作れませんでした。
この度、幸運に恵まれたようです。
今日はお会いできて光栄です」
「そ、そんな!私達も一度ご挨拶しなければ
いけないと父さんと、いえいえ、
夫と話していたのでしたのですわ」
母さんも言葉が可笑しくなってるぞ、
普段慣れていない言葉を使うから
混乱してるのか。
めっちゃはずかしいな。
まさか順番に家族の恥ずかしい所を
見るとはな。
リアス先輩もイッセーも俺も皆
顔が真っ赤になっている。
授業参観でもこの展開は
予想していなかった。
「うむ。落ち着いた場所でお話し
したいものです。ここは目立つ。
何よりもお互いの子供達が
恥ずかしいでしょう」
流石は年配者のリアス先輩のお父様だな。
魔王様達と違って常識があって、
空気を読めるとは。
それに比べて家の父さんはまだ緊張
しまくってるよ。
すると、リアス先輩のお父様が
木場へ手を挙げる。
「木場君」
「はい」
「すまないが、落ち着ける
場所まで案内してくれないだろうか?」
「はい。それでは、ご案内します」
木場は俺達の両親に一礼すると、
廊下を歩きだした。
「それではリアス、兵藤祐介君、
兵藤一誠君。私は少しお話をしてくる。
サーゼクス、あとは頼めるな?」
「はい、父上」
サーゼクス様は抜きで話をするのか、
この間あいさつしたばかりだから
今回は親同士での話のようだな。
「ユウスケ、イッセー、父さんと母さん、
ちょっと話してくるから」
「ああ、父さん、変な事言うなよ?」
「イッセーの言う通り、リアス先輩のお父様
に失礼のないようにね」
「任せろ」
本当に分かってるのかね。
木場の先導の元、父さんと母さんと
リアス先輩のお父様はこの場を後にした。
「リアス」
「なんでしょう。お兄様」
「ちょっと、いいだろうか。
すまないね、イッセー君、
妹を少し借りるよ。
朱乃くんも一緒に来てくれるかな?」
と、サーゼクス様がおっしゃる。
「はい」
朱乃さんも応じていた。
何の話をするのだろうか?
まあ、上級悪魔同士の
大切な話だろうから、
下級悪魔の俺達では
参加できないんだろうな。
「は、はい。俺もいいですけど…」
サーゼクス様はリアス先輩と
朱乃さんを連れて、
いずこかへ消えていってしまった。
俺達三人は残されてしまった。
「とりあえず、教室に戻るか」
「そうだな」
「はい」
こうして、俺達は一度教室へ
戻ることにしたのだった。
授業参観も無事に行われた。
リアス先輩がサーゼクス様と
される話とは。
そして、今まで秘匿されていた
人物がようやく姿を現す。
次回、第44話「僧侶」
見てくれよな!
外伝でやってほしいコラボは?
-
仮面ライダークウガ(五代雄介)
-
仮面ライダーディケイド
-
忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
-
その他(希望があれば感想へ)