データが消えてしまった。
それも何度も携帯で書いていると
そう言うこともあるんだね。
パソコンが欲しいぜ
気を取り直して本編をどうぞ
俺は今日の奈美先輩との依頼の為に、部室に向かって
いた。時刻は既に夕方だ、今日は休日の為人通りは
少ない。
「まさか、依頼であんな珍妙な生物に会うとは、
思わなかったぜ」
昨夜の奈美先輩との依頼は駒王町の池に夜な夜な
出現する人魚を見つける事だった。認識阻害をし
ていた悪魔関係者だと思った俺は先輩を連れて、
件の池まで行ってきた。そこでは、美しい歌声が
聞こえてきたので、期待して近づいた。だが、
そこにいたのは人間の足が生えたマグロという
意味不明な生物だった。誰だよ、こいつを見て
人魚って言ったやつは。出てこい!奈美先輩も
困惑しており、現実を受け入れられなかった。
何故マグロが池にいるのかわからなかったが、
どうやらこのマグロは同じ学校の阿部清芽先輩
の従えている魔獣だったみたいだ。
阿部先輩はテニス部の部長だが、代々魔獣使い
の家系らしく。他にも雪女やデュラハン等を
従えているらしい。何故マグロが池にいるか
聞いたところ。広い場所で思い切り歌いた
かったらしい。このマグロはエラ呼吸しかで
きず、水中でしか歌えない為、
ここに来たそうだ。
どうやってここまで来たのかは謎だが、
人魚の夢を壊す形で依頼の方は達成した。
イッセーがあの人魚に会う日が来たら、
さぞがっかりするだろう。
明日の依頼は夜の町に現れる。猫人間を探すらしい。
話を聞くに見た目は猫耳を付けたゴスロリらしく。
だがその体は筋骨隆々で強者の風格を漂わせているの
だと。その組み合わせが一緒になる姿は想像でき
ないが、多分悪魔だろう。
今夜あたり、リアス先輩に聞いてみるか。
「はわう!」
突然の声が後方から聞こえると同時にボスンと路面に
何かが転がる音がする。振り向くと、そこにはシスター
が転がっていた。手を大きく広げ、顔面から路面へ
突っ伏している。なんとも間抜けな転びかただな。
「大丈夫ですか?」
俺はシスターへ近寄ると、起き上がれるように手を
差し出した。
「あうぅ。なんで転んでしまうんでしょうか…ああ、
すみませんありがとうございますぅぅ」
声からして若いのが分かる。俺と同い年位か?
手を引いて、起き上がらせる。
ふわっ。
風でシスターのヴェールが飛んでいく。スッとヴェ
ールの中で束ねていたであろう金色の長髪がこぼれ、
露になる。ストレートのブロンドが夕日に照らされ
てキラキラと光っていた。そしてシスターの素顔へ
俺の視線が移動する。
っ。
俺は一瞬彼女の笑顔に心を奪われていた。グリーン
色の双眸があまりにも綺麗で引き込まれそうだった。
……。
しばし、俺は彼女に見入っていた。
「あ、あの……どうしたんですか…?」
訝しげな表情でシスターは俺の顔を覗き込んでくる。
「あっゴメン。つい、えっと…」
言葉が続かない。見惚れていたなんて言えないや。
この気まずい状況どうする、俺!
イッセーならフラグが立ったと喜ぶところだが。
女性との付き合った経験もない俺にはどうしたら
いいかわからないふいに彼女が肩にかけている
旅行鞄が視界に移る。
そういや、この町でシスターを見かけるなんて
相当なレアだな。俺も生まれて初めてだった。
とりあえず、飛ばされたヴェールを拾ってあげる。
「旅行ですか?」
俺の質問にシスターは首を横に振る。
「いえ、違うんです。実はこの町の教会に今日赴任
することとなりまして…あなたもこの町の方なの
ですね。これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる彼女。この町よ教会に赴任ねぇ。
人事異動かねぇ?
「この町に来てから困っていたんです。その…私って
日本語がうまくしゃべれないので…道に迷ったんです
けど、道行く人に言葉が通じなくて…」
困惑顔でシスターは胸元で手を合わせる。ということ
は、彼女は日本語が喋れないのか。なのに俺と言葉が
通じるのは、悪魔の力だ。以前、リアス先輩が言って
いた。
「悪魔になった特典のひとつに『言語』があるの。
悪魔になった瞬間から、あなたの言葉は全世界で通じ
るわ。あなたの声を耳にする人間は一番聞き慣れた言
語として受け入れるの。アメリカ人なら英語。スペイン
人ならスペイン語としてあなたの言葉が聞こえる。逆に
あなたが日本語以外の言語を耳にしてもすべて日本語と
して変換されて聞こえるわ」
その効果は英語の授業で実感した。俺は英語が全部日本
語として変換されて耳に届いた。英語の授業が日本語の
授業になって。大分シュールな授業風景だった。
英文を読めば、発音まで完璧となり、先生にも驚かれた。
流石に文字までは日本語には変換されなかったがな。
てなわけで俺は、急にバイリンガルになった。
「教会なら俺が場所を知っているよ」
町の外れに古びた教会があったはずだ、だが、
あそこは今使われていたかな。覚えてない。
「本当ですか!ありがとうございます!これも主の
お導きのおかげですね!」
涙を浮かべながら、シスターは俺に微笑む。だけど、
彼女の胸元で光っているロザリオを見ていると今まで
に感じたことのない拒否反応を覚えた。
もう俺は悪魔だからな、本来、関わってはいけない
関係だよな。でも困った人を放ってもおけない。
こうして、俺はシスターを引き連れて、教会へ向かう。
教会へ向かう途中、公園の前を横切る。
「うわぁぁぁん」
そのとき、子供の泣き声が聞こえてきた。
「大丈夫、よしくん」
母親がそばにいるから大丈夫かな。転んだだけらしい。
すると、後ろを歩いていたシスターが公園の中へ。
座り込んで泣いている子供の傍へシスターは近寄って
いった。俺も後を追う。
「大丈夫?男の子ならこのぐらいのケガで泣いては
ダメですよ」
シスターが子供の頭をやさしくなでる。言葉は通じ
ていないが、その表情は優しさに満ち溢れていた。
シスターがおもむろに自身の手のひらを子供がケガ
を負った膝へ当てる。
次の瞬間、シスターの手のひらから淡い緑色の光が
発せられ、子供の膝を照らしている。なんだ、あれ
は?魔力か?だが悪魔や悪魔と通じた者にしか使え
ない筈だ。見れば、子供のケガがみるみるうちに
消え去っていく。
手の光が、傷を治しているのか。もしかして。
セイクリッド・ギアか。特定の人間に宿る、
規格外の力。だと木場は言っていた。
俺はそうだと直感で感じた。いつの間にか、子供の
傷は塞がり、跡も残っていなかった。
すごい。
これもセイクリッド・ギアの力か。いろんな種類が
あるんだな。子供のお母さんも困惑している。信じ
がたい現象が目の前で起ればそりゃなるか。
「はい、傷は無くなりましたよ。もう大丈夫」
シスターは子供の頭を撫でると、此方へ顔を向ける。
「すみません。つい」
彼女は舌を出して、笑う。困惑していた母親は頭を
下げると、子供を連れてその場をそそくさと去って
しまった。
「ありがとう!お姉ちゃん!」
子供の感謝の言葉だ。
「ありがとう、お姉ちゃん。だって」
通訳すると、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
「…その力…」
「はい。治癒の力です。神様から頂いた素敵なもの
なんですよ。この力のお陰で以前いた所では『聖女』
と呼ばれていました」
微笑む彼女だけど、その顔はどこか寂しげだった。
苦労しているのだろうか、凄い力を持っているのに
こんな町に移動されるなんて、普通ならあり得ないし
な。あまり深く追及するわけにはいかないな。
此処で気の利いたセリフを言えれば良かったんだがな
ては苦労するのかもな。俺のベルトも始めてつけた時
は驚きしかなかったしな。
未だに使いこなせず、赤の姿になれないしな。
会話はそこで一旦途切れ、再び教会へと向かう。
先程の公園から数分の所に古ぼけた教会が建っていた。
この町の教会は此処しかないが、相変わらず古ぼけて
いる。此処が使われているなんて聞いたことないが、
遠目に見ても建物に灯が点いてるようだから誰かはい
るんだろう。オカルト研究部がある旧校舎と違って、
本当に誰の手も入っていないようで、ホラー映画の
舞台になりそうな外観だ。
ぞくり。
体中を嫌な汗と共に悪寒が走っている。俺は悪魔だ。
神様の関係する教会は敵地といえる。リアス先輩から
も教会と神社には近づくなと強く説明されている。
「あ、此処です!良かったぁ」
シスターは地図の描かれたメモと照らし合わせて安心
している。やはり此処で合っていたのか。日も暮れて
きたし、あまり長居は出来ないな。さっさと撤退しよう
「無事に着いたし、俺はこれで失礼するよ」
「待ってください!」
その場を去ろうとしたらシスターに呼び止められる。
「私をここまで連れてきてもらったお礼を教会で」
「いや、俺この後用事があるから」
「…でも、それでは」
困る彼女。ここまでのお礼にお茶ぐらいはって話だろう
けど。まだ敷地の外なのにここまで悪寒がするんだ、
中に入ったら何が起こるか分からない。最悪天使に囲まれ
てピンチになる。
「俺の名は兵藤祐介。みんなからはユウスケって呼ばれて
るからユウスケでいいよ。それで君の名は?」
俺が名乗ると、シスターは笑顔で答えてくれる。
「私はアーシア・アルジェントと言います!アーシアと
呼んでください」
「じゃあ、アーシア。また会えるといいな」
「はい!ユウスケさん、必ずまた会いましょう!」
ペコリ、深々と頭を下げるアーシア。俺も手を振って
別れを告げる。彼女は俺が見えなくなるまで、
見送ってくれた。本当にいい子だな。そして、
これが俺と彼女の数奇な運命、その出会いだった。
「二度と教会に近づいちゃダメよ」
その日の夜、俺は部室でリアス先輩に釘を刺されて
いた。というよりも怒られております。
「教会は私たち悪魔にとって敵地。踏み込めばそれだけ
で神側と悪魔側の間で問題になるわ。今回はあちらも
シスターを送ってあげた貴方の厚意を素直に受け止め
てくれたみたいだけれど、天使たちはいつも監視して
いるわ。いつ、光の槍が飛んでくるかわからなかった
のよ?」
マジかよ。敵地とは思っていたが、そこまで天使と悪魔
で仲が悪かったのか。完全に楽観視していたな。見つか
れば、悪即斬かよ。天使なら話し合いでどうにかなると
思っていたが、現実はそんなに甘くなかったか。
教会についた際に感じた悪寒は、悪魔の本能が危険を教
えていたからか。
「教会の関係者にも関わってはダメよ。特に『
は我々の仇敵。神の祝福を受けた彼らの力は私たちを滅ぼ
せるほどよ。
もう、それは死と隣合せるのと同義だわ。ユウスケ」
紅の髪を揺らしながら、リアス先輩は青い瞳で直視して
くる。その眼力には凄まじい迫力がある。それだけ真剣
だってことだ。
「はい、すみませんでした」
「人間としての死は悪魔への転生で免れるかもしれない。
けれど、悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する。無に
帰す。何もなく、何も感じず、何も出来ない。それが
どれだけの事か貴方に分かる?」
正直、わからない。返答に困っている俺をみて、リアス
先輩はハッと気づいたように首を横に振った。
「ごめんなさい。熱くなりすぎたわね。とにかく、今後
は気を付けてちょうだい。これはイッセー、貴方もよ」
「「はい」」
近くにいたイッセーはとばっちりを受ける形で、俺と
共に注意を受けた。リアス先輩との会話はそこで終わった。
「あらあら。お説教は済みました?」
「おわっ」
背後にいた朱乃さんが声をかけてきたが、イッセーは気づ
いていなかったらしく、驚いていた。
「朱乃、どうかしたの?」
リアス先輩の問いに朱乃さんがは少しだけ顔を曇らせた。
「討伐の依頼が大公から届きました。」
-〇●〇ー
はぐれ悪魔。そういう存在がいるらしい。爵位持ちの悪魔
に下僕としてもらった者が、主を裏切り、または主を殺し
て主無しとなる事件が稀に起こるそうだ。悪魔の力は強大
だ人間の時とは比べ物にならない。その力を自分の為に
使いたくなる者もいるだろう。そういう者達が、主の元を
去り、各地で暴れている。それが「はぐれ悪魔」らしい。
以前イッセーが堕天使のドーナシークとかいうスーツを
着た男にはぐれと勘違いされたらしい。はぐれ悪魔は害
を出す。見つけ次第、主人、もしくは他の悪魔が消滅
させることとなっているそうだ。それが悪魔のルールだ。
これは、他の存在でも危険視されていて、天使側、堕天
使側も「はぐれ悪魔」を見つけ次第殺す事になっている。
制約を逃れた、悪魔が野に放たれる事ほど、恐ろしいも
のはないそうだ。
俺は、イッセー、リアス先輩、木場、朱乃さん、
小猫ちゃんと共に町外れの廃屋近くに来ていた。
毎晩、ここで「はぐれ悪魔」が人間を誘き寄せて、
食らっているというのだ。それを討伐するように、
上級の悪魔から依頼が届いたらしい。
「リアス・グレモリーの活動領域内に逃げ込んだため、
始末してほしい」と。これも悪魔の仕事の一つだそうだ。
人間を食らう…。そういう邪悪な悪魔もいるってことだ。
時間は深夜。灯りの無い暗闇の世界だ。周囲は背の高い
草木が生い茂り、遠目に廃屋が見えている。暗闇でも目
が利くのは悪魔だからだ。不気味な雰囲気で目が利くの
も考えものだな。
「…血の臭い」
小猫ちゃんがぼそりと呟き、制服の袖で鼻を覆った。
血の臭い?俺は感じない。小猫ちゃんの嗅覚が凄いん
だな。周囲は静まり返っている。だが、これだけは
分かる。周囲に満ちている敵意と殺意が半端じゃな
いな。以前堕天使と戦った時に感じたものと同じだ。
「イッセー、ユウスケ、いい機会だから
悪魔としての戦いを経験しなさい」
「マ、マジっすか!?お、俺、戦力にならないと
思いますけど!」
イッセーは完全に腰が引けてるな。
「俺も勝てる気はしないんですが」
今までの白では不完全で勝負にならないと思う。
「そうね。それはまだ無理ね」
あっさり言い渡される。自分で言ったことだが、
ここまで即答されるとは。
「でも、悪魔の戦闘を見ることはできるわ。今日は
私たちの戦闘をよく見ておきなさい。そうね、ついで
に下僕の特性を説明してあげるわ」
「下僕の特性ですか?」
リアス先輩は説明を続ける。
「主となる悪魔は、下僕となる存在に特性を授けるの。
…そうね、頃合いだし、悪魔の歴史も含めてその辺を
教えてあげるわ」
リアス先輩は語り出す。
「大昔、我々悪魔と堕天使、そして天使を率いる神は
三つ巴の大きな戦争をしたの。大軍勢を率いて、どの
勢力も永久とも思える期間、争いあったわ。その結果、
どの勢力も酷く疲弊し、勝利する者もいないまま、
戦争は数百年前に終結したの」
リアス先輩の言葉に木場が続ける。
「悪魔側も大きな打撃を受けてしまった。二十、三十
もの軍団を爵位持った大悪魔の方々も部下の大半を長
い戦争で失ってしまったんだ。もはや、軍団を保てな
いほどにね」
今度は朱乃さんが説明してくれる。
「純粋な悪魔はそのときに多く亡くなったと聞きます。
しかし、戦争は終わっても、堕天使、神とのにらみ合
いは現在でも続いています。いくら、堕天使側も神側
も部下の大半を失ったとはいえ、少しでも隙を見せれ
ば危うくなります」
そしてリアス先輩が再び語る。
「そこで悪魔は少数精鋭の制度を取ることにしたの。
それが『
「「イーヴィル・ピース?」」
俺とイッセーは初めて聞く名前に首を傾げる。
「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲーム『チェス』
の特性を下僕悪魔取り入れたの。下僕となる悪魔の多く
が人間からの転生者だからって皮肉も込めてね。それ
以前から悪魔の世界でもチェスは流行っていたわけだ
けれど。主となる悪魔が『
言う私の事ね。そして、そこから『
『
軍団を持てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を
分け与えることにしたのよ。この制度ができたのは
ここ数百年のことなのだけれど、これが以外にも爵位
持ちの悪魔に好評なのよね」
「好評?チェスのルールがですか?」
「競うようになったのよ。『私の騎士は強いわ!』、
『いえ、私の戦車の方が使える!』ってその結果、
チェスのように実際のゲームを、下僕を使って上級
悪魔同士で行うようになったのよ。駒が生きて動く
大掛かりなチェスね。私たちは『レーティングゲーム』
と呼んでいるけれど。どちらにしても、このゲームが
悪魔の間では大流行。いまでは大会も行われている位
だわ。駒の強さ、ゲームの強さが悪魔の地位、爵位に
影響するほどにね。『駒集め』と称して、優秀な人間
を自分の手駒にするのも最近流行っているわ。優秀な
下僕はステータスになるから」
なるほど。生きている者を駒としか見てないのは
悪魔らしいのか、そこは文化の違いが伺えるな。
複雑だが、いずれは俺達もそのゲームに駆り出され
るのか。
「私はまだ成熟した悪魔ではないから、公式な大会
などには出場できない。ゲームをするとしても色々な
条件をクリアしないとプレイ出来ないわ。つまり、
当分はここにいる私の下僕がゲームをすることは
ないってことね」
「じゃあ、木場たちもそのゲームをしたことは
ないってことか?」
「うん」
イッセーの質問に木場は頷いた。
イッセーは木場のことイケメンだからと張り合って
るからな。木場に経験がないとわかり安堵している。
それぞれに駒の特性があるのなら俺達の『駒』は
何だ?
「部長、俺達の駒は、役割や特性って何ですか?」
イッセーが俺が気になっていたことを聞いてくれた。
「そうね、イッセーとユウスケは」
そこまで言って、リアス先輩は言うのを止めた。
俺にもその理由はわかる。全身を悪寒が駆け巡る。
立ち込めていた敵意と殺意がいっそう濃くなったの
を感じる。何かが俺達に近づいている!悪魔歴の浅
い俺でもすぐに理解できた。
「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いも
するぞ?甘いのかな?苦いのかな?」
地の底から聞こえるような低い声。何よりも不気味
さが半端じゃないな。横を見ればイッセーの膝が震
えていた。
「はぐれ悪魔バイサー。あなたを消滅しにきたわ」
リアス先輩は一切臆さず言い渡す。
ケタケタケタケタケタケタ…。
異様な笑い声が辺りに響く。
ぬぅ…。
暗がりから姿をゆっくりと表したのは上半身裸の
女性だった。しかし、女性の体は宙に浮いている。
「うぉ!」
裸の女性にイッセーが反応する。相手ははぐれ
悪魔なんだからもうちょっと危機感もてよ。
ずんっ。
重い足音。次に姿を現したのは巨大な獣の体
だった。女性の上半身とバケモノの下半身を
持った、形容しがたい異形の存在がそこにいた。
「うげ」
イッセーが現実に直面してゲンナリしてる。
何を期待してたのやら。はぐれ悪魔は両手に槍
らしき獲物を一本ずつ所持してる。バケモノの
下半身は四足であり、すべての足が太く、爪も
鋭い。尾は蛇で独立して動いている。大きさも
五メートル以上はある。これも悪魔なのか、
悪魔にもいろんなのがいるのか。
「主の元を逃げ、己の欲求を満たすためだけに
暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー
公爵の名において、貴方を消し飛ばしてあげる!」
「こざかしいぃぃぃぃ!小娘ごときかぁぁぁぁ!
その紅の髪のように、おまえの身を鮮血で染め上
げてやるわぁぁ」
吼えるバイサーだが、リアス先輩は鼻で笑うだけだ。
「雑魚ほど洒落のきいた台詞を吐くものね。祐斗!」
「はい!」
バッ!
近くにいた木場がリアス先輩の命を受けて飛び出す。速い。
なんて速さだ。反応出来なかった。
「イッセー、ユウスケ、さっきの続きをレクチャーするわ」
リアス先輩が言ってくる。レクチャー?
うんぬんですか?
「祐斗の役割は、『
『騎士』となった者は速度は増すの」
リアス先輩の言うとおり、木場の動きは徐々に速度を増して
いき、ついに目で追えなくなった。バイサーも槍を振るって
攻撃するが、まったく当たる気配がない。
「そして、祐斗の最大の武器は剣」
一度、足を止めた木場はいつの間にか手に西洋剣を
握っていた。それを鞘から抜き放つ。
銀光を放ちながら、長剣が抜き身となった。
スッ!
再びその場から消えた木場。次の瞬間、
バイサーの悲鳴が木霊する。
「ぎゃぁぁぁぁっ!」
見れば、バイサーの両腕が槍と共に切り落とされていた。
傷口から血が噴き出す。
「これが祐斗の力。目では捉えきれない速力と、達人級の
剣さばき。ふたつが合わさることで、あの子は最速のナイト
となれるの」
悲鳴をあげるバイサーの足元に小柄な人影、
あれは小猫ちゃんか。
「次は小猫。あの子は『
「小虫めぇぇぇっっ!」
ズズンッ!
バイサーの巨大な足が小猫ちゃんを踏み潰す!
イッセーは慌てているが、他のみんなは落ち着いている。
よく見ると、バイサーの足は少しだけ地から離れていた。
踏み潰しきれていない。
ぐぐぐ…。
小柄な少女がバイサーの足を少しずつ持ち上げる。
「『戦車』の特性はシンプル。バカげた力。そして、屈強
なまでの防御力。無駄よ。あんな悪魔の踏みつけぐらい
では小猫は沈まない。潰せないわ」
グンッ!
完全にバイサーの足を持ち上げてどかす小猫ちゃん。
「…ふっ飛べ」
小猫ちゃんは空高くジャンプし、バイサーの腹に拳を
鋭く打ち込んだ。
ドドンッ!
巨大なバイサーの体が後方へ大きくふっ飛んだ。
バカげた力とは納得だな。
「最後に朱乃ね」
「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」
朱乃さんがうふふと笑いながら、小猫ちゃんの一撃で
倒れこんでいるバイサーのもとへ歩み出す。
「朱乃は『
『
すべての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」
「ぐぅぅぅ…」
朱乃さんを睨み付けるバイサー。朱乃さんはそれを見
て、不敵な笑みを浮かべる。
「あらあら。まだ元気みたいですね?それなら、
これならどうでしょうか?」
朱乃さんが天に向かって、手をかざす。
カッ!
刹那、天空が光輝き、バイサーに雷が落ちた。
「ガガガガッッ!」
激しく感電するバイサー。じゅぅぅぅ、と煙をあげて
全身丸焦げとなってしまった。
「あらあら。まだ元気そうね?まだまだいけそうですわね」
カッ!
再び雷がバイサーを襲う。
「ギャァァァァッァ!」
感電するバイサー。すでに断末魔に近い声をあげている。
それにもかかわらず、朱乃さんは三発目の雷を繰り出し
ていた。
「グァァァァッッ!」
雷を落とす、その朱乃さんの表情は冷徹で怖いほどの
嘲笑を作り出していた。うわ。あの人、楽しんでるよ…。
笑ってる。
「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や水、炎
などの自然現象を魔力で起こす力ね。そしてなによりも
彼女は究極のSよ」
サラリと告白するリアス先輩。Sって話じゃない気
がするが。
「普段、あんなに優しいけれど、一旦戦闘となれば
相手が敗北を認めても自分の興奮が収まるまで決し
て手を止めないわ」
「…うぅ、朱乃さん。俺、怖いッス」
イッセーは完全にびびってるが俺もあのギャップには
引いている。
「怯える必要はないわ。朱乃は味方にはとても優しい人
だから、問題ないわ。貴方達のこともとてもかわいいと
言っていたわ。今度甘えて上げなさい。きっと優しく
抱きしめてくれるわよ」
「うふふふふ。どこまで私の雷に耐えられるのかしらね?
ねぇ、バケモノさん。まだ死んではダメよ?
トドメは私の主なのですから。オホホホホホッ!」
一番常識がある人だと思ったが、悪魔としての顔は恐ろ
しいな。それから数分間、朱乃さんの雷攻撃は続いた。
もはや拷問だな。
朱乃さんが一息ついた頃、リアス先輩がそれを確認して
頷いた。完全に戦意を失ったバイサーのもとへ、リアス
先輩が近づく。地面に突っ伏すバイサーに向かって、
リアス先輩は手をかざす。
「最後に言い残すことはあるかしら?」
リアス先輩が聞く。
「殺せ」
バイサーから発せられたのはその一言だけだった。
「そう、なら消し飛びなさい」
冷徹な一声。
ドンッ!
リアス先輩の手のひらから巨大でどす黒い魔力の塊が
打ち出される。巨大なバイサーの体を余裕で覆うほど
の魔力だ。魔力の塊はバイサーを包み込む。魔力が宙
に消えたとき、バイサーの姿も完全に消えていた。
リアス先輩の宣言通りに消し飛ばされたのだろう。
それを確認すると、リアス先輩は息をつく。
「終わりね。みんな、ご苦労様」
リアス先輩が皆にそういった。皆もいつもの陽気な
雰囲気に戻っていた。これで「はぐれ悪魔」討伐も
終わりか。これが悪魔の戦いか…。思っていたより
凄まじいものだった。堕天使相手に戦闘にもなって
いなかったのだと痛感した。そういえば俺とイッセー
も何かしらの駒に成ってるんだよな。
「リアス先輩、聞きそびれていたことが」
「何かしら、ユウスケ」
笑顔で応じてくれるリアス先輩
「俺とイッセーの駒は役割はなんですか」
チェスのルールと同じなら駒の数も関係するはず。
リアス先輩の下僕ではまだ会ってない駒もいる。
おれがなんの駒か気になるところだ。
「『
イッセーはそれを聞いてガッカリしてたが、おれはそう
は思わない『兵士』は一番可能性がある駒なのだから。
次回はあの下品な神父の登場さ
「悪いことをする人はお仕置きを」ってね
次回第6話「悪魔祓い」
お楽しみに
感想、評価待ってます!
外伝でやってほしいコラボは?
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仮面ライダークウガ(五代雄介)
-
仮面ライダーディケイド
-
忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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その他(希望があれば感想へ)