旧校舎に転移する三人だったが、
残された新校舎には
招かれざる客がやってきていた。
ユウスケ達は無事にギャスパーを
助けられるのか?
木場side
部長、イッセー君、ユウスケ君が転移の
魔方陣に消えてすぐ、
僕、木場祐斗の眼前では信じられない
展開が起ころうとしていた。
会議室の床に現れた魔方陣。
それを見て、三大勢力の首領面々は驚愕していた。
いや、アザゼルは笑い。
サーゼクス様は苦虫を嚙み潰したような
表情をされていた。
「———レヴィアタンの魔方陣」
え…?
僕はサーゼクス様の言葉に耳を疑った。
少なくとも僕の知っている、
セラフォルー・レヴィアタン様の
魔方陣の紋様はこれではない。
では、いったい。その疑問は直ぐに解消される。
「ヴァチカンの書物で見た事あるぞ。
あれは旧魔王レヴィアタンの魔方陣だ」
魔方陣を指差し、ゼノヴィアがそう呟く。
…なるほど、噂には聞いていた。
まだ存在していたってわけなんだね。
魔方陣から現れたのは、二人の女性。
一人の姿は胸元が大きく開いていて、
深いスリットも入ったドレスに身を包んでいる。
もう一人は、動きやすい服装に
西洋騎士の籠手のみを着け、
腰には細剣を携えた女性だった。
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
不敵な物言いで、ドレスの女性は
サーゼクス様に挨拶する。
「先代レヴィアタンの血を引く者。
カテレア・レヴィアタン。
これはどういうことだ?」
サーゼクス様はそう言われる。
やはり、旧魔王の一族!
話を聞いた事があった。
旧四大魔王が滅び、
新しい魔王を立てようとした時に
徹底抗戦を最後まで唱えたのが、
旧魔王の血を引く者達だったという。
すでに戦力が疲弊しきった戦後の悪魔達は、
最後の力を持って、タカ派の旧魔王軍の一門
全てを冥界の隅へ追いやったと聞く。
「旧魔王派の者達はほとんどが
『
———っ!……なんてことだ。
ここに来て、旧魔王派が。
「新旧魔王サイドの確執が
本格的になったわけか。
悪魔も大変だな」
アザゼルは他人事のように笑うだけだ。
「貴方もそちら側ですか、ギーラ」
ミカエル様がもう一人の女性に語り掛ける。
「ええ、個人的にこちらに協力すれば
私の目的も達成できますからね」
「教会に聖騎士として忠誠を誓った貴方が
裏切るとは残念ですよ」
「私が忠誠を誓ったのは一人だけで
元々教会には誓った覚えはないんですよ」
どうやら、教会側でも派閥争いがあるのかもしれない。
「カテレア先程の話は言葉通りと
受け取っていいのだな?」
「サーゼクス、その通りです。
今回のこの攻撃も我々が受け取っております」
「———クーデターか」
そう、これはクーデター。
現魔王派に対する旧魔王の反乱だ。
こんなときに、こんな場面で宣言するなんて…。
しかも彼女たちはテロリストの集団に手を貸している。
「…カテレア、何故だ?」
「サーゼクス、今日この会談のまさに
逆の考えに至っただけです。
神と先代魔王がいないのならば、
この世界を変革すべきだと、
私達はそう結論付けました」
神の不在、三大勢力の和平、
それを全て知った上でのクーデターか。
しかも考えていることは
ここにいる方々とは全く逆の道。
「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?
そうとは思えないんだがな」
アザゼルの問いかけにカテレアは息を吐くだけだ。
「彼は力の象徴としての、
力が集結するための役を担うだけです。
彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、
もう一度構築します。
新世代を私達が取り仕切るのです」
———ッ!
こんなことが起きるなんて。
外で暴れている魔術師達は
彼等の賛同者というわけだ。
「貴方の目的もそれですか?ギーラ」
ミカエル様が聖騎士に訊ねる。
「いえ、私の目的は兵藤祐介と戦う事ですが
この場にいるはずですが、いないとなると
邪眼の彼を助けに行ったのですかね
どうやってこの包囲網を出たのかは
分かりませんが私はこの場に
もう用はありません
カテレア、ここは任せてもいいですか?」
聖騎士がこちらへ背を向ける。
「構わないわ、もともと私の獲物
なのだから」
マズイ!?
彼女はユウスケ君の元へ向かう気だが、
僕達が彼女を止める間もなく、
一瞬にして転移していってしまった。
どのような手段を使ったかは分からなかったが。
先程のアザゼルの話が本当ならば、
旧魔王派、魔術師、聖騎士の他にも
堕天使や天使からも反逆者が出ている事になる。
他の勢力の力なのかもしれない。
…なんで皆戦いを望むんだ?
…そんなに和平が嫌なのか?
サーゼクス様は皮肉気に笑う。
「…天使、堕天使、悪魔の反逆者が集まって
自分達だけの世界、自分達が支配する
新しい地球を欲したわけか。
それのまとめ役が『ウロボロス』オーフィス」
トップは神すらも恐れた最強のドラゴン。
伝説では「
よりも強いと聞いている。
無限の力を有した神に等しいドラゴンだと。
「カテレアちゃん!どうしてこんな!」
セラフォルー様の叫びにカテレアは
憎々し気な睨みを見せる。
「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の
座を奪っておいて、よくもぬけぬけと!
私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!
私こそが魔王に相応しかった!」
「カテレアちゃん…。わ、私は!」
「セラフォルー、安心なさい。今日、
この場で貴方を殺して、私が
魔王レヴィアタンを名乗ります。
そして、オーフィスには新世界の
神となってもらいます。
彼は象徴であればいいだけ。
あとの『システム』と法、
理念は私達が構築する。
ミカエル、アザゼル、そしてルシファー
サーゼクス、貴方達の時代は終えてもらいます」
カテレアのその言葉にサーゼクス様も
セラフォルー様もミカエル様も表情を陰らせていた。
しかし。
一人だけ、愉快そうに笑う者がいた。
「くっ…。くっくっくっくっ」
彼だけは。
心底おかしそうに。
悪童らしい邪悪な笑みを見せていた。
「アザゼル、何が可笑しいのです?」
カテレアmp表情と言動には
明らかに怒りが含まれている。
「ハハハ。お前 いや、おまえら、
こぞって世界の変革かよ」
「そうです。それが一番正しいのですよ、
アザゼル。この世界は」
「腐敗している?人間が愚か?
地球が滅ぶ?おいおいおい、
今時流行らないぜ?」
腹を抱えて笑うアザゼル。
カテレアは目元を引きつらせていた。
「アザゼル、貴方も貴方なのですよ。
それだけの力を有していながら、
今の世界に満足などと…」
「言ってろ。お前らの目標はあまりに陳腐で
酷すぎる。なのにそういう奴等に限って
やたらと強いんだよな。まったく、
傍迷惑だ。レヴィアタンの末裔、
お前らの台詞、一番最初に死ぬ敵役のそれだぜ?」
「アザゼル!貴方はどこまで私達を愚弄する!」
カテレアは激怒し、全身から魔力のオーラを迸らせる。
一触即発の空気だ。
「サーゼクス、ミカエル、俺がやる。
手を出すんじゃねぇぞ?」
アザゼルが立つ。
堕天使の総督が戦闘高揚でもしているのか
のように薄暗いオーラを放ち始めた。
「……カテレア、降るつもりはないのだな?」
サーゼクス様の最後通告だ。
カテレアは首を横に振った。
「ええ、サーゼクス。貴方はいい魔王でした。
けれど、最高の魔王ではない。
だから私達は新しい魔王を目指します」
「そうか。残念だ」
その確認を見ると、アザゼルは窓の方へ手を向ける。
ドンッ!
光の一撃に窓際全域が吹っ飛んだ!
なんてことを!
アザゼルは十二もの黒き翼を展開する。
その羽は常闇よりも暗い。
「旧魔王レヴィアタンの末裔。
『終末の怪物』の一匹。
相手としては悪くない。
カテレア・レヴィアタン、
俺といっちょハルマゲドンでも
シャレこもうか?」
アザゼルの迫力ある挑戦状に
カテレアも不敵な笑みで応じる。
「望むところよ、堕ちた天使の総督!」
ドッ!
アザゼルとカテレア・レヴィアタンが
この場から飛び立ち、
校庭の遥か上空で光と魔の攻防戦を
繰り広げ始めた。
どちらも凄まじいまでのオーラの質量だ。
僕達とは次元が違う。
対応に苦慮する僕だが、
こうなった以上は魔王様をお守りするか、
部長を追うか。
そんな僕へサーゼクス様が、
「木場祐斗君。私とミカエルはここで
この学園を覆う結界を強化し続ける。
アザゼルとカテレアが暴れる以上、
被害は大きくなるかもしれない。
できるだけ外へ被害を出したくないからね。
悪いのだが、グレイフィアが魔術師転送用
の魔方陣の解析が済むまでの間、
外の魔術師達を始末してくれないか?」
魔術師討伐の命をくださる。
魔王様からの直接の命令だ。
光栄の極みだ!
「はい」
「ありがとう。妹の騎士が君で良かったよ。
その
揮ってくれたまえ」
「はっ!ゼノヴィア、一緒に来てくれ!」
「ああ、私もリアス・グレモリーの『騎士』だ。
木場祐斗、私達は二振りそろってこそだと思う。
いざ、参ろうか」
僕とゼノヴィアはお互いに頷き合うと、
校庭へ切り込んでいった。
―〇●〇―
「はっ!」
僕の聖魔剣が魔術師の体を
防御障壁の魔法ごと斬り払う。
これで何人目だろうか?
かなりの魔術師を斬り倒したが、
すぐに魔方陣から新たな刺客が召喚されてくる。
「キリがないな」
ズバァァァァァンッ!
聖剣デュランダルから斬撃と共に波動が放たれ、
校庭を縦横無尽にえぐっていく。
その攻撃が魔術師を大勢屠る。
ゼノヴィア、もう少し学び舎を大切にしようよ。
デュランダルはそれほど扱いづらい?
カッ!ドッ!
ドオオオオオオオオオオッ!
空から聞こえてくる轟音と、眩い光。
上を見上げてみれば、
アザゼルとカテレア・レヴィアタン
が激しい攻防を行っていた。
アザゼルが自分の身の丈を遥かに超える
極太の光の槍を幾重にも出現させ、カテレアに投げ放つ。
カテレアは空中に幾重もの防御方陣を張り巡らせて
光の攻撃を防いでいる。
その攻防の余波で校庭のあちこちが
大きなダメージを受けていた。
新校舎を魔王様方が守っていなければ
建物の方にも深刻な崩壊を与えていたであろうはずだ。
この学校の敷地全体が強力な結界
に囲まれているのも幸いだった。
じゃなければ、周囲の住宅街にも被害を出していた。
アザゼル、またはカテレアの避けた極大の攻撃が
結界にぶつかるたび、冷や冷やする。
実力では、アザゼルの方が上だと思うのだけど、
カテレアは予想以上に食い下がっていた。
本来ならばカテレアに下僕の眷属悪魔が
いてもおかしくない。しかし、
彼女達旧魔王派は現在悪魔が導入している
「
カテレアには補佐役の『女王』も身辺を守る
『騎士』もいないだろう。
そのカテレアは、懐から小瓶を取り出し、
中に入っていた小さな黒い蛇らしきものを吞み込んだ?
刹那。
ドンッ!
空間が激しく振動し、
駒王学園全域に力の波動を波立たせる。
カテレアの全身から放つ魔力が膨れあがり、
不気味なオーラを漂わせていた。
サーゼクス様やセラフォルー様に迫る質量だ…。
先程吞み込んだ蛇はいったい…。
アザゼルが無数の光の槍を彼女に向けて放つが、
それをカテレアは右腕を横になぐだけで
難なく消失させてしまった。
そんなバカな!
堕天使総督アザゼルの力は今日この場に
いる方々の中でも一、二の力だというのに!
僕の眼前で、さらに驚くべき事態が巻き起こる。
カテレアと空中で戦うアザゼル。
その横合いから、予想外の一撃が
堕天使の総督を襲った。
―〇●〇―
俺は気づいた時、部室に立っていた。
最後はドタバタしてたが、転移は成功し。
ただし。
「———ッ!まさか、ここに転移してくるとは!」
「悪魔め!」
室内は不気味なローブを着た魔術師が占拠していた。
「ぶ、部長!ユウスケ先輩!イッセー先輩!」
ギャスパーの声のした方へ視線を向ければ
そこにはギャスパーが椅子に縄でくくりつけられていた。
だが、頭部には紙袋の切れ端が。
被っていたのか。
ギャスパーの無事を確認し、
リアス先輩もホッとしていた。
「ギャスパー!良かったわ。無事だったのね」
「部長…。もう、嫌です…」
しかし、ギャスパーは途端に泣き出した。
「僕は…死んだほうがいいんです。お願いです。
部長、先輩。僕を殺してください…。
この眼のせいで、僕は誰とも
仲良くなんてできないんです…。
迷惑ばかりで…臆病者で…」
ギャスパーは涙をボロボロとこぼしていた。
敵に捕らわれ、利用され、
俺達に迷惑掛けたと思っているんだろう。
リアス先輩はそんなギャスパーに優しく微笑む。
「バカなことを言わないで。
私は貴方を見捨てないわよ?
あなたを眷属に転生させた時、
言ったわよね?
生まれ変わった以上私の為に生き、
そして自分が満足できる行き方も見つけなさいと」
でも、リアス先輩の言葉はギャスパーに届かず、
奴は首を横に振る。
「…見つけられなかっただけです。
迷惑かけてまで僕は…生きる価値なんて…」
「貴方は私の下僕で眷属なの。
私はそう簡単に見捨てない。
やっとあなたを解放させることができたのに!」
「そうだぞ、ギャスパー部長も
俺達もお前を見捨てないからな!」
「そうだ、一人で見つからないなら俺達も
お前の生きる理由を一緒に探してやるさ!」
たかが神器一つ使いこなせなくたって受け止めて。
ガンッ!
俺達の目の前でギャスパーが女の魔術師に殴られる。
魔術師はギャスパーの髪を掴み、冷笑を浮かべていた。
「愚かね、貴方達。
こんな危なっかしいハーフヴァンパイアを
普通に使うなんてバカげているわ。
旧魔王派の言う通りね。
グレモリー一族は情愛が深くて力に溢れている
割には頭が悪いって」
魔術師はリアス先輩を侮蔑的な視線で見ていた。
「さっさとこんなヴァンパイアを洗脳して、
道具として有効的に使えばもっともっと評価を
得ていたのではないかしら?
敵対している堕天使の領域にこの子を
放り込んで神器を暴走させれば、
幹部の一人でも退けたかもしれないわ。
それをしないのは何?
もしかして、仲良しこよしで下僕を扱う気なの?」
「こ、この」
リアス先輩を侮辱され怒ったイッセーが
魔術師に殴りかかろうとしたが、
リアス先輩はイッセーを手で制止する。
「私は…自分の下僕を大切にするわ」
リアス先輩は冷静に返していた。
ヒュッ!ボン!
魔術師が小さな魔力の弾をリアス先輩に放つ。
リアス先輩に当たり制服の一部を消し飛ばす。
「生意気な口ね。それに悪魔のクセに
美しいのも気に入らないわ、グレモリーの娘」
女魔術師の嫉妬にまみれた言葉。
魔術師はギャスパーの首元に刃を突き付ける。
「動くとこの子が死ぬわ。ちょっと遊びましょうよ」
魔術師は手を突き出し、さらに魔術を放とうとしている。
リアス先輩は言われた通り避ける気配を見せない!
マズイ!
魔力の弾が再び放たれる瞬間、
イッセーがリアス先輩の前に立ち、盾となる!
ボンッ!
弾はイッセーの首より下の部分に当たっていた。
位置的にリアス先輩の顔を狙っていたようだ。
すると、リアス先輩はイッセーの後ろから出てきて
ギャスパーに優しく語り掛ける。
「ギャスパー、私にいっぱい迷惑を掛けてちょうだい。
私は何度も何度も貴方を叱ってあげる!
決してあなたを放さないわ!」
さすがは先輩だな。
俺に言われたわけじゃないが、
感動したぜ、
さて、ギャスパー、お前はここまで言ってもらえて、
ただ黙ってる男じゃないよな。
「ぶ、部長…僕は…僕はっ!」
泣き出すギャスパー。
だが、それは今までのような
恐れからでも悲しみからでもない。
うれしくて泣いている事に俺は気づいた。
「ギャスパァァァァァアアアッッ!」
イッセーは室内に響き渡る大声を張り上げる!
「逃げるなッッ!恐れるなッッ!泣き出すなッッ!
俺も!部長も!ユウスケも!朱乃さんも!
アーシアも木場も小猫ちゃんもゼノヴィアも!
皆、仲間だ!絶対にお前を見捨てないッッ!
仲間外れなんかにしないぞォォォォオオオッ!」
「そうだなイッセー、言いたいことは
言われたが、俺達にとってお前は欠かせない
大事な仲間だ!ここがお前の居場所だ!
それを忘れるな!ギャスパー!」
「ブーステッド・ギア!」
『
イッセーの左腕に赤い籠手が装着される。
「部長!『女王』に昇格します!」
リアス先輩が頷き、イッセーが『女王』に昇格する。
「アスカロン!」
『
新たな音声と共に神器の甲から伸びたのは、
神社で手に入れた聖剣アスカロン!
女魔術師達がイッセーを警戒するが、
イッセーは剣の切っ先を自分の手元へ。
ザシュ。
イッセーは刃で右の掌を自ら斬った。
「イッセー…?」
「お前!何やってんだ!」
イッセーの行動を怪訝そうに見ているリアス先輩。
俺も何がしたいのか判らなかったが、
イッセーはどうやら聖剣の力を切っていたようで、
悪魔とドラゴンに特攻を持つ剣でダメージは
そこまでないようだった。
「だけどな、ギャスパー!
自分から立たなくちゃ始まらないんだぜ?
女の子に活を入れて貰ったら、
あとは立てッ!
てめぇにも立派なもんついてんだろうが
ぁぁぁぁっぁぁあっっ!」
イッセーが左腕を突き出すと、
血の付いたアスカロンがギャスパー
の方へ伸びていった!
魔術師達が反応するよりも早く、
アスカロンについた血は
ギャスパーの口に付着する。
「飲めよ。最強のドラゴンを宿している
とかいるとかいう俺の血だ。
それで男を見せてみろッ!」
イッセーの言葉にギャスパーは強い眼差しで頷いた。
ギャスパーが舌で口元についた
イッセーの血を舐めとる。
ギャスパーが血を口にした瞬間、
この室内の空気が一気に様変わりした。
不気味で言い知れない悪寒が俺の全身を駆け巡った。
椅子に繋がれたギャスパーへ目を向けた時。
消えた!
ギャスパーが椅子に座っていない!
椅子に残っているのはギャスパーを繋いでいた縄だけだ。
女魔術師達もギャスパーが突然消えた事に驚き、
辺りを見渡す。室内全域に視線を配らせると。
チチチチチ。
不気味な鳴き声が聞こえてくる。
部室の天井近くを無数のコウモリが飛んでいた。
赤い瞳をしたコウモリの群れは
一斉に女魔術師達に襲い掛かる。
「クッ!変化したのか、吸血鬼め!」
「おのれ!」
毒づく彼女達は手をコウモリに向けて、
魔術の弾を撃ちだそうとするが、
何かにして下へ引っ張られて体制を大きく崩した。
女魔術師達の影から黒い手が無数に伸びていた!
影から出てきた手は、
彼女達を影のなかへ引っ張ろうとしていた。
「吸血鬼の能力か!」
「くらえ!」
ドンッ!
影へ魔術の弾を撃ちだすが、
影の手は何事もなく霧散するだけだ。
その間にもコウモリは魔術師の体を包み込んで、
各部位を噛んだ。
「血を吸うつもりか!?」
「いや、私達の魔力も吸いだしているぞ!」
苦戦している魔術師達。
コウモリと影から伸びる手になすがままにされていた。
これって。ギャスパーのヴァンパイアとしての力か?
「イッセー、ユウスケ、あれが本来ギャスパーが
秘めていた力の一部よ。イッセーの血を飲んだ事で、
解放されたのね」
とリアス先輩が言う。
やはり、あれはギャスパーの力か。
「くっ!ならば、こうするまでよ!」
魔術師達が手の照準をこちらへ向ける!
俺達を狙うつもりか!
俺はすぐさま二人の前に出て盾となる!
ドシュッ!
撃ちだされた無数の魔術の弾が俺達を狙うが。
それら全部が、空中で停止した。
これはっ!
『無駄ですよ。貴女達の動き、
攻撃は全て僕が見ています』
室内に響き渡るギャスパーの声。
コウモリの赤い目が輝いていた。
そうか、コウモリの視線から神器を発動しているのか!
しかも修行と違い、魔術師の弾だけを
ものの見事に停止させている!
イッセーの血を飲んだ影響か、
神器を使いこなしている!
『僕は貴方達を停めます!』
カッ!
無数のコウモリが赤い瞳を光らせ、
この部屋にいる全ての女魔術師の
時間を停止させてしまった。
『イッセー先輩!トドメです!』
「任せろ!」
イッセーは駆け出し、魔術師達にタッチしていく。
そして部屋の中央でポーズを取りながら、叫んだ。
「
バババッ!
時間を停止させられた魔女たちの衣服がはじけ飛んだ。
ブッ!
鼻血を噴き出しながら、
イッセーは勝利の笑みを浮かべていた。
「ギャスパー、俺達が組めば無敵だ」
『はい!』
ペチッ。
「そうじゃないでしょ?」
リアス先輩がため息を吐きながら、
イッセーの頭を小突いた。
トドメどころか倒せてないしな。
欲望を優先しすぎだ。
こうして俺達は無事にギャスパーを救出する事ができた。
―〇●〇―
魔術師を倒した俺達は魔術師達を縛り上げて、
部室の魔方陣へ置いていた。
全員を置き終わるとリアス先輩が魔方陣を展開させ、
魔術師達を冥界にある役所へ送る。
そこで捕縛されて、牢屋に入れられるという。
これでテロリストの生きた証人が手に入った訳だ。
マジで、イッセーの
「先輩、手は大丈夫ですか?」
コウモリや影から元の姿に
戻ったギャスパーが訊いていた。
今はアザゼルから貰った腕輪をしている為、
神器の暴走も起きないだろう。
「ああ、このぐらいのケガは慣れっこだ。
これでも堕天使の攻撃で腹に
風穴があいた事もあるんだぞ」
いや、それ人間だったころの死因じゃん。
「うえええええっ!ほ、本当ですか…?
せ、先輩はバイオレンスですね…」
「まったくだ、お前が持ってるアスカロンは
悪魔にもドラゴンにも効く聖剣だぞ、
能力切ったからって無茶しすぎだ
一瞬キモ冷やしたぞ」
「悪かったって。それで、
ギャスパー俺の血を飲んで、どうだ?」
「はい、一時的に力が底から沸き上がりましたけど…
今は元の状態に戻ってます」
そうか、やはり時間制限付きか。
それでも血を飲めば十分なほどに戦力になるな。
「うん。全員、あちらへ転送したわ!
さて、イッセー、ユウスケ!、ギャスパー!
魔王様の元へ帰るわよ!」
『はい!』
俺達は返事をして、部室を後にしようとした。
「あら、もう終わってしまったのね」
声の方へ視線を向けると、
部室へ聖騎士ギーラが入ってきたところだった。
「あ、たしか、ミカエルさんと一緒にいた」
「ええ、ミカエル様に言われて応援に来たのだけど
必要なかったみたいね」
部屋を見渡しそういうギーラさん。
なにかおかしいと俺は思った。
「ええ、テロリストなんて俺達にかかれば
敵じゃないですよ!」
「そのようね、必要ないかもしれないけど、
ミカエル様の所まで護衛するわ
一緒に行きましょう」
そう言って俺達に外へ出るように促すギーラさん。
イッセーが部屋を出ようとしたが、
俺は手でイッセーを止める。
「な、なんだよユウスケ」
「いや、気になることがあってな、
ギーラさん、貴方なんで無傷なんですか?
ここに来るまでの間に魔術師達と戦った筈なのに
怪我も追ってないし、剣すら抜いてないのは
可笑しいでしょう」
俺の言葉に他の皆はギーラさんを警戒する。
「たしかに、戦いはしてませんが、
それは私が隠れながら来ただけですよ
そんな警戒する事はないでしょう?」
変わらぬ態度でそう訊ねるギーラ。
「俺は転移する前に貴方の声を聴いたんだよ。
アンタはテロリストの仲間で、
だから戦闘は行わなかった。
白龍皇達からは隠れてただろうが、
魔術師達からは狙われることはなかったんだろ」
俺の話にギーラはため息を吐きながら剣を抜いた。
「まさか、こんな早くバレるとは、
後ろから邪魔者を始末したかったんですが」
ギーラは剣を構えこちらを警戒している。
「どうぞ、変身してください。
生身の貴方と戦っても意味がないので
さっさとしてください」
コイツは何を考えてるんんだ?
「言われなくても、変身!」
俺は『
近くに飾ってあった剣を構える。
「さあ、クウガ、一対一の一騎打ちと行きましょう」
俺は能力で剣を変化させ、騎士の速度で駆け出し、
ギーラの懐に入り両手の剣でギーラに斬りかかる。
ガギィンッ!
驚いた事にギーラは細剣で俺の剣を受け止めた。
「なっ!そんな剣でどうやって!」
あんな剣で受け止めた事もそうだが、
クウガになった俺の力に負けない力が
この女性のどこにあるんだ?
「あなたに改めて名乗りましょう。
私の名は『メ・ボダウ・バ』
今回のゲゲルで貴方の相手を務める者です」
そういうとギーラの肉体が変化して
人型の昆虫に姿を変える。
「こいつ、ザビネと同じ昆虫型か」
「ええ、最も向こうは私より上の階級なので
強さは彼女の方が上ですが私も能力では
負けてませんよ!」
ボダウが後ろに下がるとこちらに剣先を向ける。
「ショット・ボム!」
剣先から複数の火種がこちらへ飛んでくる。
今避けると皆に当たる!
ドオォォォォンッッ!
「く、まだだ!」
「ユウスケこっちは障壁を張るから
気にせず戦いなさい!」
「ありがとうございます。リアス先輩!」
剣の技術では負けてしまう。
なら魔法を撃つタイミングで懐に入れば!
「ショット・ボム!」
ダッ!
俺は騎士の最大速度で相手が反応する前に懐に入る。
取った!!
ドオォォォンッッ!
「っ!足元が…爆発した…?」
ボダウに近づいた瞬間足元が赤く光り爆発した。
「キラーマイン。フフフ、地雷を仕掛けただけですよ
どんなに早くても通り道に仕掛ければ
貴方でもあたるでしょう」
ボダウが笑いながら、こちらへ剣先を再度向ける。
「ユウスケ先輩!避けてください!」
ギャスパーが叫ぶが俺は爆発の衝撃で動くことができなかった。
「ショット・ボム!」
ドオォォォンッッ!
俺は爆発をもろに受けてイッセー達の元まで吹き飛ばされる。
『ユウスケ!』
皆が近づいて俺を起こすが俺は変身がとけてしまい生身に戻る。
「…くそ、強すぎる!」
「貴方が今まで戦ったのはズのザインでしょう。
私は『メ』です『ズ』と違いゲゲルに能力をつかえます。
私の能力『
「貴方の目的は何?
何故、ユウスケを狙うの!」
「私はあの方の復活の為、
そちらのクウガに『ザザグド・ゲゲル』を行います
そしてクウガには死んでもらいます」
ボダウがそう答えた。
あの方の復活!?
分からないが、させる訳にはいかないし、
俺は死ぬ気もない!
「そんな事、私がさせると思う!」
「どう思おうと、貴方の勝手ですよ。
私も私の願いの為に勝手に彼を殺しますので」
俺は起き上がりリアス先輩を制止する。
「待ってください。リアス先輩、
コイツの指名は俺です。
まだ俺は戦えます!下がっていてください」
「ユウスケお前そんな傷で!」
「ユウスケ…」「ユウスケ先輩…」
「グロンギ族が何故俺を狙うのかは
分かりませんがこれはグロンギとクウガの戦いです
他の人の助けは野暮ってものですよ」
「分かったわ。ならせめてこれを使いなさい」
そう言って、リアス先輩はフェニックスの涙を
取り出して渡してきた。
俺はそれを飲み干して傷を癒す。
「ゆ、ユウスケ先輩なんで
そんなになってまで戦えるんですか?」
ギャスパーが涙を流しながら訊ねてくる。
そうだよな、仲間が血を流すのは嫌だよな。
でもな…。
「前にも言ったろ、皆の笑顔を守りたいからだ、
こいつらは何をするか分からない。
ここで負ければ次は皆に牙が向くかもしれない。
皆で戦えば勝てる戦いだろうけどな。
男が一騎打ちを申し込まれて、
複数人で戦えば男が廃るってもんだ!
お前も男なら!褌締めて勝負を黙って見届けろ!」
「は、はい!ユウスケ先輩!
信じてます!先輩が勝つって!」
涙を拭いながらギャスパーが答える。
すると、ギャスパーの胸から淡い緑色の光が飛び出し、
俺のベルトに吸い込まれる。
ドクンッ!
「これは?」
気が付けば俺は
「今なら、もしかして」
俺は腰に手をかざす。
腰にベルトが出現し、
中央の宝玉が翡翠色に輝いていた。
俺はいつものポーズを取り。
自身を変えるあの言葉を叫ぶ。
「変身!」
俺の体が変化していく。
皮膚が固く変化していき、
黒い皮膚に緑色の装甲を身に纏い、
肩にはグレモリーの魔方陣が彫られた
銀色の装甲を纏う。
腰からは銀色の装飾が施された黒のローブを付けている。
クウガの新たな姿。
『
「新たな姿!、ですが、
私も負ける訳にはいかないのです!」
「ショット・ボム!」
「風よ!」
『Aero』
俺が手をかざすと
自身の周りに風が巻き起こり
風のバリアが現れた。
ドオォォンッ!
風に阻まれた。
そして、近くに床に落ちていた木の棒を拾う。
すると、木の棒は細剣へと姿を変える。
「今度はこっちの番だ!凍れ!」
『Blizard』
剣を指揮棒の様に振るうと目の前に
氷の礫が生まれて散弾のように放たれる。
「クッ!チェイン・エクスプロージョン!」
低速の火種を無数に生み出し、氷の礫にぶつけて相殺する。
「魔法戦を行うスタイルですか、
長引けばこちらが不利ですね。それなら、
『ブリリアント・デトネーション』!」
ボダウが剣先に魔力を収束させると、
無数の火種が雨の様な密度で放たれる。
「時よ!」
『Stop』
俺が剣を上にかざし叫ぶと、
全ての火種とボダウがその動きを止める。
「こ、これはハーフヴァンパイアの能力!?」
そこで、ようやくボダウの余裕の表情が崩れる。
「さすがにこれだけの実力者は完全には停止出来ないか
これが俺のいや俺達の絆の力だ!」
「炎よ!」
『Fire』
俺が剣を相手に向け照準を合わせると、
無数の火弾が生まれボダウに向け放たれる。
途中、ボダウの放った火種を呑み込み
火は更に大きくなりボダウに命中する。
ドガァンッッ!!
「そ、そんな、私が…こんな所で?」
ビキッ!ビキッ!
ボダウの体に幾つもの紋章が浮かび上がると
ベルトに向け罅が入っていく。
「すみません…オルガ様」
最後に見せた表情は、どこか悲しげなものだった。
ドカアァァァァァァァァァアアンッッ!
ボダウが力尽き倒れると
ベルトが爆発し弾け飛んだ。
こうして、突如行われた
「ササグド・ゲゲル」はクウガの勝利で
幕を閉じたのだった。
会談に襲撃してきた旧魔王派
その目的は現魔王の暗殺
更にギャスパーを助け、
新たな力でグロンギを退けたユウスケ達、
だが、今回の襲撃の黒幕はまだ表れていない。
どんな展開がユウスケ達を待っているのか。
次回、第50話「裏切り」
見てくれよな
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仮面ライダークウガ(五代雄介)
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仮面ライダーディケイド
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忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
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その他(希望があれば感想へ)