家が豪邸になってしまったが、
リフォームもそうそう冥界へ行くことに、
冥界では何が待ち受けているのか!
旅立ちの日。
俺達は最寄りの駅にやってきていた。
皆、服装は駒王学園の制服姿。
冥界入りするなら、
これが一番の正装だと
リアス先輩に言われたからだ、
冥界に行くのに駅に用事があるのか?
俺は疑問に思いながら、
リアス先輩についてきたが、
当のリアス先輩と朱乃さんはツカツカと
駅に設置されているエレベーターの方へ向かう。
確か六人程しか乗れなかったのは覚えているが、
リアス先輩と朱乃さんが先に入ると言う。
「じゃあ、まずはイッセーとユウスケと
アーシアとゼノヴィア来てちょうだい。
先に降りるわ」
「降りる?」
リアス先輩の言葉を怪訝に思う俺達。
なぜなら、この駅に地下はないからだ、
「ほら、目をパチクリしてないで入りなさい」
リアス先輩は苦笑しながら手招きしてくる。
俺達新人悪魔組はお互い顔を見合わせ
ながらもリアス先輩に応じた。
「慣れてる祐斗達は後から奈美達と
一緒に来てちょうだいね」
「はい、部長」
と、木場がリアス先輩に言うと
エレベーターの扉は閉まる。
皆、大きな荷物を持っているものだから、
結構中は狭い。階層表示はやはり
「1」と「2」しかなかった。すると、
リアス先輩がポケットからカードらしきものを
取り出すと電子パネルに向ける。
ピッ。
何かの電子音。
何かに反応したのか?すると。
ガクン。
下へ降りる感覚が俺を襲う!
下があるのか!?
驚きを隠せない俺とイッセーとアーシア!
ゼノヴィアだけは反応薄で首を傾げているだけだ。
リアス先輩と朱乃さんは俺達三人が
驚いている様を見てクスクスと小さく笑っていた。
「この駅の地下にね、秘密の階層があるの」
「部長、俺、この町で育ちましたけど、
そんなの初めて知りましたよ!」
「それはそうよ。悪魔専用のルートだもの。
普通の人間は一生たどりつけないわ。
こんな風にこの町には悪魔専用の地域が
結構隠れているのよ?」
この町には俺の知らない部分が
まだあるのかと驚愕した。
それもそうか、
悪魔関連の物が一般人に
知られるわけにはいかないか。
こんど、他の施設なんかも教えてもらうか、
下がる事一分程、ついにエレベーターは停止した。
扉が開き、「さあ、どうぞ」
とリアス先輩に促されて、
イッセーに続いて出た俺の視界に映ったのは
だだっ広い人工的な空間だった、
地下の大空洞か!?よく見れば、
その造りは駅のホームに似ていた。
だが、模様や造りが人間界に
あるそれと少し違っていた。
線路もあるからやはり駅なのだろうか。
少し待っていると、エレベーターから
木場や奈美先輩達がやってきた。
「全員揃ったところで、三番ホームまで歩くわよ」
リアス先輩と朱乃さん先導の元、
俺達は歩き出した。しかし、広い空間だな。
俺達が普段使っている上の駅と比べても
何倍も規模があると思うな。
天井も大分高いな。
これだけ広いのに俺達意外に人の気配が無い。
空間を照らす壁の灯りは魔力的な
怪しい輝きを放っている。
通路を進んでいくと俺達の
目の前に列車らしきものが現れた。
それは俺達の知る列車とは
違い独特なフォルムをしていた。
鋭角な見た目で、悪魔の紋様が多く刻まれている。
よく見ればそれはグレモリーの紋様だった。
それにサーゼクス様の紋様もあった。
これは、もしかして。
「グレモリー家所有の列車よ」
リアス先輩が堂々と答えてくれる。
凄いな。
リアス先輩の御家は列車も所有してるのか、
プシュー。
俺達が驚いている間にも列車の自動ドアが開く。
リアス先輩先導の元、俺達は列車の中へと
足を踏み入れたのだった。
リィィィィィィイイイイィィン。
発車の汽笛が鳴らされ、列車は動き出す。
俺達は列車の中央に座ることになった。
リアス先輩は列車の一番前の車両で、
眷属は中央からうしろの車両になるそうだ。
専用の車両だから細かいしきたりがあるのか。
対面する座席で、俺とアーシアが一緒に座り、
対面の席に奈美先輩とゼノヴィアが座っていた。
隣の席にはイッセーと朱乃さん、
ギャスパーと小猫ちゃんが座っていた。
その後ろの席に木場とロビン先生が座っており、
更に端っこでアザゼル先生が既に眠っていた。
走り出して数分。列車は暗がりの道を進む。
この列車、動力は冥界にある独特の燃料らしい。
俺もまだ冥界について知らない事が多いな。
「どのくらいで着くんですか?」
イッセーが朱乃さんに訊く。
「一時間程で着きますわ。この列車は次元の壁を
正式な方法で通過して冥界にたどり着けるように
なってますから」
「魔方陣でジャンプして冥界入りだとてっきり思ってました」
俺は疑問を朱乃さんに訊ねる。
「そうよね、まさか列車で別の世界に行くなんて
思ってもみなかったわ」
俺の質問に奈美先輩が同意する。
「通常はそれでもいいのですけれど、
今回は奈美もいるし、イッセー君達
新眷属の悪魔は正式なルートで一度入国
しないと違法入国として罰せられるのです。
だから、イッセー君達はちゃんと正式な
入国手続きを済ませないといけませんわ」
「えっ!?マジですか!?俺、以前、魔方陣から
ジャンプして部長の婚約パーティに乗り込んじゃいましたけど!?」
たしかに、俺とイッセーは以前
グレイフィアさんに貰った
転移魔方陣で冥界に行っているんだ。
まさか到着と同時に牢屋に直行とかならんよな。
俺達の心配をよそに朱乃さんは小さく微笑む。
「あれはサーゼクス様の裏技魔方陣によって、
転移したものですから、特別みたいですわよ?
もちろん、二度は無理ですけれど」
「そ、そうなんですか…。
あっち行ったら即監獄行きは勘弁ですよ…」
俺達は少し安堵した。
俺達はまだ悪魔をのルールに疎いからな、
下手したら俺達よりアーシアやゼノヴィア
のほうが詳しいからな。
「特例ですから、裏技魔方陣の件は大丈夫ですわ
けれど、主への性的接触で罰せられるかもしれませんわね」
と、朱乃さんが頬に手を当て、
うふふと笑いながら言う。
「なんですと!?」
それじゃあ、イッセーはアウトだな。
すると、朱乃さんがイッセーの手を取り
自身の体に誘導する。
あれ、いつもならこのタイミングで
小猫ちゃんから鋭い突っ込みが来るはずだが…。
視線をそちらへ送ってみれば、
窓の方を見ている小猫ちゃんの姿。
横であれだけ騒いでるのに無視か!
いつもの小猫ちゃんらしくないな。
隣のギャスパーも話しかけづらそうだ。
と、そこへ。
「まったく、油断も隙も無いわね朱乃。
だいたい、主と下僕のスキンシップ
はごく自然なことよ」
怒気を含んだ声が響く。
声の方を向けば、紅いオーラを全身から放っている
リアス先輩の姿が、大分怒っているようだな。
あれ、確かリアス先輩は先頭車両に居るはずでは、
「主から奪うっていうのも燃えますわね」
挑戦的な視線で朱乃さんはリアス先輩へ微笑む。
「あ、朱乃、いい加減に」
「リアス姫。下僕とのコミュニケーションも
よろしいですが、例の手続きはよろしいですかな?」
リアス先輩の怒りの声を遮って、
第三者がひょっこりと現れた。初老の男性だ。
服装からして、車掌だろうか?
「ゴ、ゴメンなさい…」
「ホッホッホッ。あの小さな姫が男女の話とは。
長生きはするものですな」
男性の楽しそうな笑いに
リアス先輩は顔を真っ赤にしていた。
男性は改めて帽子を取ると、俺達に頭を下げる。
「初めまして、姫の新たな眷属悪魔の皆さん。
私はこのグレモリー専用列車の車掌をしている
レイナルドと申します。以後、お見知りおきを」
丁寧な挨拶に俺達も立ち上がり、一礼した。
「こ、こちらこそ、初めまして!
部長、リアス・グレモリー様の『兵士』、
兵藤一誠です!宜しくお願いします!」
「同じく『兵士』の兵藤祐介です!
宜しくお願い致します!」
「アーシア・アルジェントです!
『僧侶』です!よろしくお願いします!」
「ゼノヴィアです。『騎士』、
今後もどうぞお願いします」
新人悪魔全員が挨拶した。
「今回同行することになった。
リアスさんの同級生の大空奈美です」
「同じく同行者のニコ・ロビンです」
全員が挨拶を済ませると車掌さん
レイナルドさんは何やら特殊な機器を取り出し、
モニターらしきもので俺達を捉える。
「あ、あの…?」
反応に困る俺達、リアス先輩や
朱乃さんは知っている様子だ。
「これは貴方方を確認、
照合する悪魔世界の機械です。
この列車は正式に冥界へ入国する
重要かつ厳重を要する
移動手段です。もし、偽りがあった場合、
大変なことになりますもので。
今のご時世、列車を占拠されたら大変なのです」
なるほど、あの機械で俺達が
本物かどうか確認しているのか。
リアス先輩が微笑みながら告げる。
「貴方達の登録は駒を与え、
転生した時冥界にデータとして
記載されたわ。だからそれを
その機械で照合させるのよ。
奈美やアザゼル達に関しては
事前にデータを送っておいたは
問題ないわ。皆、本物だから」
俺の前にレイナルドさんが来て、「ピコーン」と
軽快な音が鳴って、俺達の照合はパスされた。
「姫、これで照合と同時に
ニューフェイスの皆さんの
入国手続きも済みました。
あとは到着予定駅までゆるりと
お休みできますぞ。寝台車両やお食事を取れる
ところもありますので目的地までご利用ください」
レイナルドさんはニッコリと微笑む。
「ありがとう、レイナルド。
あとはアザゼルかしら?」
リアス先輩が先生のほうに視線を向けるが、
先生はぐっすり眠りこけていた。
「…よくもまあ、ついこの間まで敵対していた
種族の移動列車で眠れるものね」
リアス先輩はあきれ顔だったけど、少し笑ってた。
「ホッホッホッ。堕天使の総督様は平和ですな」
レイナルドさんも愉快そうに笑っている。
本当、剛胆というか、大胆不敵だな。
「ふふふ、総督さんは勝手にスキャンしてくれて
構わないと思うわ」
ロビン先生の許可を得て、
レイナルドさんが寝ている
アザゼル先生の照合を行い。
全員無事に入国手続きを済ませるのだった。
―〇●〇―
発車から四十分ほど過ぎた頃、
トランプなどで時間を潰していた俺達に
アナウンスが聞こえてくる。
『もうすぐ次元の壁を突破します。
もうすぐ次元の壁を突破します』
レイナルドさんの声だ。
「外を見てごらんなさい」
と、リアス先輩は俺とイッセー、
アーシア、ゼノヴィアに言う。
本来、上級悪魔で主たるリアス先輩は
前方の車両にいなきゃだめらしいが、
一人では寂しいらしく俺達の車両で過ごしていた。
俺達はリアス先輩に言われるまま、
アーシアと一緒に窓に張り付いた。
景色が暗がり一色から変わり、風景が出現する!
「山だ!木もある!ハハハハッ!
すげぇ!すげぇぇぇぇっ!」
イッセーは大声ではしゃいでいた。
隣のアーシアも「すごいすごいです!」
と興奮気味だった!
そう言う俺も目の前の景色に
驚いて声も出なかった。
そこには俺の知らない
幻想的な世界が広がっていた。
「もう窓を開けてもいいわよ」
リアス先輩の許しも出て、俺は窓を上げた。
すると、風が入り込んでくる。
前の時にも感じたがどこか人間界とは違っていた。
ぬるりとした感触というか、独特なものを感じる。
だが、外はちょうどいい気温だと思う。
寒くもなく、暑くもなく。
窓から後方を見てみると、黒い穴らしきものから
列車が出てきたようだった。
あれが、次元のトンネルか!?
何はともあれ俺達は冥界入りをしたんだな。
席から改めて冥界の風景を見る。
山もあって、川もある。
木々も生い茂り、森だって存在していた。
町も見えるあそこで悪魔が暮らしているのか。
よく考えれば海外旅行もした事ないしな。
初めての異文化が悪魔とは
人生は何があるか分からんな。
「ここはすでにグレモリー領よ」
リアス先輩が自慢気に口にする。
「じゃあ、今走ってるこの線路も含めて
全部部長の御家の土地ですか!?」
驚くイッセーの問いにリアス先輩は頷いた。
じゃあ、さっきの町の住民は領民かよ。
「グレモリーの領土って
どれぐらいあるんですか?」
イッセーの質問だ。
確かに俺も気になる東京都
と同じくらいの広さかね。
木場が席の上からひょっこり
顔を出して応えてくれる。
「確か、日本で言う所の
本州丸々ぐらいだったかな」
………は?
俺は木場の答えに一瞬耳を疑った。
予想の遥か上をいったな。
「ほ、本州ぅぅぅぅぅ!?」
大声を張り上げるイッセー。
リアス先輩も木場も頷いていた。
「冥界は人間界、地球と
同程度の面積があるけれど、
人間界ほど入口はないわ。
悪魔と堕天使、それ以外の種族を
含めてもそれほど多くもないし。
それと海もないからさらに土地が広いのよ」
リアス先輩がそう説明してくれた。
グレモリー領は日本とほぼ同じ大きさか、
そりゃ、姫なんて呼ばれるか、
「本州ぐらいと言ってもほとんど手付かずなのよ?
ほぼ森林と山ばかりよ」
広さだけあって管理はされてないって事か?
イッセーはまだ解ってないようだ。
隣のアーシアも「?????」状態だった。
ゼノヴィアに至っては考えるのを止めたのか、
木場と冥界の刀剣について話し始めたぐらいだ。
リアス先輩は何かを思い出したのか、
ポンと手を叩く。
「そうだわ。イッセー、ユウスケ、アーシア、
ゼノヴィア。あとで貴方達に
領土の一部を与えるから、
欲しい所を言ってちょうだいね」
「りょ、領土、もらえるんですか!?」
「貴方達は次期党首の眷属悪魔ですもの。
グレモリー眷属として領土に住むことが
許されるわ。朱乃や祐斗、小猫、ギャスパーだって
自分の敷地を領土内に持っているのよ」
リアス先輩は魔力で「ポン!」と宙に地図を
出現させると俺達に広げて見せてくれる。
知らない地形だが、どうやら、
グレモリー領の地図らしい。
リアス先輩はニッコリ微笑んで言った。
「赤い所は既に手が入っている土地だから
ダメだけれど、それ以外の所はOKよ。
さあ、好きな土地を指で刺してちょうだい。
貴方達にあげるわ」
俺もついに領土持ちかよ。
父さん、母さん俺は見知らぬ土地で
凄い事になってるよ。
駅に訪れた俺達は
列車で冥界へと向かった。
到着したのはグレモリー家のお城だった。
次回、第57話「実家」
見てくれよな!
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