自身の夢を持つユウスケ。
そしてシトリー眷属との
試合に向け修行を開始する
グレモリー眷属一同。
今回は総督の手も借りる事に
一体どんな修行が待ち受けているのか。
次の日。
俺達はグレモリー家の
広い庭の一角に集まっていた。
皆、動きやすいジャージを着て、
庭に置かれたテーブルと椅子に
皆座って早速修行開始前の
ミーティングを行う。
俺達のデータと思われる資料を
持った先生が話を始める。
「先に言っておく。いまから俺が言うものは
招来的なものを見据えての
トレーニングメニューだ。
直ぐに効果が出る者もいるが、
長期的に見なければならない者もいる。
ただ、お前らは成長中の若手だ。
方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。
さて、まずはリアス。お前だ」
先生が最初に呼んだのはリアス先輩だった。
「お前は最初から才能、身体能力、
魔力全てが高スペックの悪魔だ。
このまま普通に暮らしていても
それらは高まり、
大人になる頃には最上級悪魔の
候補となっているだろう。
だが、将来よりもいま強くなりたい、
それがお前の望みだな?」
先生の問いにリアス先輩は力強く頷く。
「ええ。もう二度と負けたくないもの」
「なら、この神に記してある
トレーニング通り、
決戦日直前までこなせ」
先生から手渡された紙を見て、
リアス先輩は首を傾げる。
「…これって、特別すごい
トレーニングとは思えない
のだけれど?」
「そりゃそうだ。基本的な
トレーニング方法だからな。
おまえはそれでいいんだ。
全てが総合的にまとまっている。
だからこそ、基本的な練習だけで
力が高められる。
問題は『王』としての資質だ。
『王』は時によって、
力よりも頭を求められる。
魔力が得意じゃなくとも、頭の良さ、
機転の良さで上まで上り詰めた
悪魔だっているのは知っているだろう?
期限までお前はレーティングゲームを知れ。
ゲームの記録映像、記録データ、
それらすべてを頭に叩き込め。
『王』に必要なのは、
どんな状況でも打破できる思考と機転、
そして判断力だ。眷属の下級悪魔が
最大限に力を発揮できるように
するのがお前の仕事なんだよ。ただ、
これも覚えておけ、実際のゲームでは
何が起こるかわからない。
戦場と同じだ」
基本おちゃらけてるが、
こういう時は頼りになるよな。
「次に朱乃」
「…はい」
先生に呼ばれるものの、朱乃さんは不機嫌だった。
朱乃さんはどうにもアザゼル先生がいや、
堕天使が苦手のようだ、
父親が堕天使なのと関係しているのだろうか?
そんな事を考えていたら、先生はそのことを
真正面から朱乃さんに言う。
「フェニックス家との一戦、
記録映像で見せてもらったぜ。
なんだありゃ。本来のお前のスペックなら、
敵の『女王』を苦も無く退けられたはずだぞ、
ましてや、相手は本気を出してないんだからな。
なぜ、堕天使の力を振るわなかった?
雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、
『雷光』にしなければお前の本当の力は発揮できない」
堕天使の血を引く朱乃さんは
悪魔の弱点である光の力も使えるのか。
今まで使わなかったのは自身にも
ダメージがあるからだと思っていたが
違うのか?
「…私は、あのような力に頼らなくても」
朱乃さんは複雑そうな様子だ。
「否定するな、自分を認めないでどうする?
最後に頼れるのは己の力だけだぞ?
否定がお前を弱くしている。
辛くとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。
お前の弱さは今のお前自身だ。
決戦日までにそれを乗り越えて見せろ。
じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。
『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」
「………」
先生の言葉に朱乃さんは応えなかった。
だが、、自分でもどうするべきか分かってる筈だ、
後は彼女の心の強さを信じるしかないだろう。
「次は木場だ」
「はい」
「まずは
で一日保って見せろ。それに慣れたら、
実戦形式の中で一日保たせる。
それを続けていき、状態維持を
一日でも長く出来るようにしていくのが
お前の目的だ。あとはリアスのように
基本トレーニングをしていけば十分に強くなるだろうさ。
剣系神器の扱い方は後でマンツーマンで教えてやる」
さすが、神器のエキスパートだな。
「拳銃の方は…
お前の師匠にもう一度習うんだったな?」
「ええ、一から指導してもらう予定です」
木場に剣の師匠がいるのか。
どんな人なのかな?
「次、ゼノヴィア。
お前はデュランダルを今以上
に使いこなせるようにすることだ。
それと気になることがあるから
身体検査も合わせて行っていく」
「気になる事?」
ゼノヴィアは先生の言葉に首を傾げる。
「ああ、以前お前は光の巨人に
なったそうじゃないか
体に何かしら異変が起きてないか
調べる必要があるんだ
俺の考えが正しければ
お前はもっと強くなるぞ」
にやける先生だが、
直ぐに笑みを止めて
ギャスパーに視線を向ける。
「次にギャスパー」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
大分ビビってるな。
まあ、引きこもりには
きつい事ばかりだからな・
「そうビビるな。お前の最大の壁は
その恐怖心だ。何に対しても恐怖する
その心身を一からきたえなきゃいかん。
元々、血筋、神器共にスペックは
相当なものだからな。
『僧侶』の特性、魔力に関する技術向上
もお前を大きく支えてくれている。
専用の『引きこもり脱出計画!』なる
プログラムも組んだから、
そこでまずは真っ当な心構えを
出来るだけ身につけて来い。
全部が無理でも人前に出ても
動きが鈍らないようにしろ」
と先生は言う。
まあ、その通りだな。
力自体はとてつもなく強力だ。
後は心の方面を強くしないとな。
「はいぃぃぃぃぃぃっ!
当たって砕けろの精神で
やってみますぅぅぅ!」
お前が言うと本当に砕けそうだな。
「同じく『僧侶』のアーシア」
「は、はい!」
アーシアも気合入ってんな。
常日頃から、自分が皆の役に
立っていないかもしれないと
感じていると、言っていたな。
まあ、おれはそうは思わないがな。
アーシアの回復能力はずば抜けている。
そこに自信を持つべきだ。
「お前も基本的なトレーニングで、
身体と魔力の向上。そして、
メインは神器の強化にある」
「アーシアの回復神器は最高の物ですよ。
触れるだけでどんな怪我でも瞬時に
治しますしね」
十分回復速度もある。あと他に何を強化するのか?
「それは理解してる。
回復能力の速度は大したもんだ。
だが、問題はその『触れる』って点だ。
味方がケガしてるのに、
わざわざ至近距離にまで行かないと
回復作業ができない」
なるほど、アザゼル先生がどう
強化しているか分かったよ。
「もしかして、アーシアの神器は
範囲を広げられるの?」
リアス先輩の言葉に先生が肯定する。
「ご名答だ、、リアス。こいつは
裏技みたいなものだが、
『
効果範囲の拡大にある」
「アーシアの神器は遠距離も可能なんですか?」
俺の問いに先生は頷いた。
「俺達の組織が出したデータの
理論上ではな。神器のオーラ
を全身から発して、
自分の周囲にいる味方を
まとめて回復なんてことも可能なはずだ」
なるほど、癒しの波動ってことか。
それはいい一定のエリアに行けば
まとめて回復できるなら
今後の戦いの戦術は大きく変わるな!
「だが、問題は敵味方の判断が
出来ずに回復させてしまいそうなことだ。
敵味方を判別し、味方だけを
回復できればいいんだがな…。
アーシアの生来のものが不安だ」
「アーシアがやさしいからですね?」
俺の言葉に先生は肯定する。
「ああ、アーシアは戦場で敵のケガした
奴を視認したとき、そいつのことも
回復してやりたいと心中で
思ってしまうだろうな。
それが敵味方判別の神器能力の
妨げになる。おそらく、
アーシアは判別する力を
得られないだろうさ。
いま言った回復範囲拡大は
このチームにとっては
諸刃の剣となりかねない。
それでも範囲拡大は覚えるべきものだ」
アーシアは優しい子だ
敵である悪魔を回復させてしまうしな。
先生が気にするのも当然か。
「だから、もう一つの可能性を見出す。
回復のオーラを飛ばす力だ」
「そ、それは、ちょっと離れた所に
居る人へ、私が回復の力を送る
ということですか?」
アーシアが何かを投げるジェスチャーをする。
「ああ、直接飛ばす感じだな。
たとえば、ユウスケが十メートル先で
戦闘してて、ケガをしているとき、
お前がユウスケに向けて回復の力を
飛ばすのさ。さっきのが一定のフィールド
限定なら、いま説明したのは
飛び道具バージョンだな。
直接触れなくても回復できるようになる」
「そ、そりゃ、すげぇ!
アーシア大活躍できるぜ!」
イッセーがアーシアの手を取って
はしゃいでいた。
アーシアも先生が教えてくれた情報に
驚きんながらも喜んでいる様子だ。
「直接触れて治すよりも多少パワーは落ちるだろうが、
それでも遠距離の味方を回復できるのは
戦略性が広くなる。前衛に1人か2人飛び込ませて、
後方で回復のアーシアとアーシアを護衛する
誰かを配置すれば、理想的なフォーメーションが
組めるだろうさ」
先生は俺達のフォーメーションの
想定までしていたのか、
というか、そういうのが
好きなんだろうな。
先生の意見にリアス先輩が同意する。
「王道だけれど、だからこそシンプルに
強い戦術フォーメーションだわ。
通常、味方を回復する術なんてフェニックスの涙か、
調合された回復薬ぐらいですものね。
アーシアの神器は汎用性と信頼性に関して、
それらよりも遥かに上だわ」
「そうだ。アーシアの悪魔をも治す
神器の力はこのチームの象徴的な
持ち味、武器と言える。
あとはアーシアの体力勝負だ。
基本トレーニング、
ちゃんとこなしておけよ?」
先生の言葉にアーシアは深く頭を下げた。
「は、はい!頑張ります!」
頑張れアーシア!
いざという時は俺がアーシアを守る
不動の盾になってやるからな!
「次はユウスケ」
「はい!」
ついに俺の番か。
「お前も基本トレーニングを行え、
それに加えて俺考案の耐性強化の
トレーニングだ、お前はフォームチェンジで
戦闘スタイルを多彩に変化出来るが、
耐久力と持久力が低いのが問題だ、
今回の修行でその克服と
『戦車』の姿になる事を目指す」
痛い所を突かれたな、
確かに俺はトオドとの戦いでは
爆破を食らって即ダウンしてしまったし、
ボダウと雄輔との連戦でスタミナ切れ起こしたからな。
今後は多くの敵と戦うだろうしな。
流石のアーシアの神器でも
体力までは回復できない
この機に改善しなくては!
「それとなお前には
クウガのつまりリント族
についても勉強してもらう」
リント族、クウガのベルトを
作った部族だよな。
なんで修行で勉強も?
「リント族についてはロビンが
担当する。自分の力について
碑文から分かっている事を
知る事でお前の成長の
手助けになるかもしれないと
ロビンの奴が言うもんでな」
俺の成長の手助け。
先代のクウガの修行方法でも
しるされているのだろうか?
「次は小猫」
「…はい」
小猫ちゃんは相当気合が入っている様に見える。
ここ最近は調子が悪そうだったのに、
今日は妙に張り切ってる。
「お前は申し分のないほど、オフェンス、
ディフェンス、『戦車』としての素養を
持っている。身体能力も問題ない。
だが、リアス。の眷属には『戦車』
のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」
「……わかっています」
ハッキリ言う先生の言葉に小猫ちゃんは
悔しそうな表情を浮かべていた。
最近様子が可笑しかったのは
それを気にしてたからか?
「リアス眷属でトップのオフェンスは
現在木場とゼノヴィアだ。
禁手の聖魔剣、聖剣デュランダル、
凶暴な兵器を有してやがるからな。
ここに予定だが、イッセーの禁手と
ユウスケの『戦車』が入ると」
オフェンスか、『騎士』の姿でも
出来なくはないが、やるなら
やはり『戦車』の姿の方が良いんだろうな。
「小猫、お前も他の連中同様、
基礎の向上をしておけ。
その上で、お前が自ら封じて
いるものをさらけ出せ。
自分を受け入れなっければ
大きな成長なんて出来やしねぇのさ」
「…………」
先生の言葉に小猫ちゃんは何も応えなかった。
先程まであったやる気も『さらけ出せ』の一言で
消失してしまったようだ。
小猫ちゃんも何か抱えている物があるのだろう。
「大丈夫、小猫ちゃんなら
ソッコーで強くなれるさ」
イッセーが小猫ちゃんに気軽に言い、
頭を撫でようとしたが、
その手は小猫ちゃんに払いのけられていた。
「…そんな、軽く言わないでください」
イッセーが小猫ちゃんの地雷を踏んだようだ、
小猫ちゃんのこんな険しい表情初めて見た。
空気が重くなった中、先生は時計を気にしていた。
「さて、最後はイッセーだ。お前は…。
ちょっと待ってろ。そろそろなんだが…」
空を見上げる先生。つられて、
俺や眷属も空を見上げる。
何かあるのか?
空を見上げる俺の視線に
大きな影が写る。
それがとんでもない速度で向かってくる。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
地響きと共にそれは目の前に飛来してくる!
土煙が舞い、それがおさまった後、
眼前に現れたのは巨大な怪物。
大きく裂けた口!狂暴な牙!
太い腕に、太い脚!横に広がる両翼!
このフォルムはまさか!
「ドラゴン!」
イッセーの呟く声に先生が答える。
「そうだ、イッセー。こいつはドラゴンだ」
ドラゴン!イッセーにも宿っているが、
実物は初めて見た!
「アザゼル、よくもまあ
悪魔の領土に堂々と
入れたものだな」
巨大なドラゴンは口の端を
吊り上げて言った。
「ハッ、ちゃんと魔王様直々の
許可を貰って堂々と入国したぜ?
文句でもあるのか、タンニーン」
先生はこのドラゴンと顔見知りなのか。
「ふん。まあいい。サーゼクスの頼み
だというから特別に来てやったんだ。
その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」
「ヘイヘイ。てなわけで、イッセー。
こいつがお前の先生だ」
先生が巨大なドラゴンに指差して、イッセーに言う。
「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇえええっ!
この巨大なドラゴンが!?」
「久しいな、ドライグ。聞こえるのだろう?」
ドラゴンはイッセーの方に語り掛けるように
語り掛けてくる。すると、イッセーの左腕が
勝手に赤く輝き、ブーステッド・ギアが出現する。
『ああ、懐かしいな、タンニーン』
籠手の宝玉からドライグの声が響く。
「知り合いか?」
イッセーが訊ねると『ああ』と肯定した。
『こいつは元龍王の一角だ。「五大龍王」
のことは以前話したろう?
こいつタンニーンは「六大龍王」だった頃の
龍王の一匹だ。聖書に記された龍を
タンニーンと言うのだが、コイツを指している』
「タンニーンが悪魔になって、
『六大龍王』から『五大龍王』に
なったんだったな。いまじゃ、
転生悪魔の中でも最強クラス。最上級悪魔だ」
と先生が言う。
ドラゴンから悪魔に転生!
なぜそうなったのか気になる所だな。
「『
その火の息は隕石の衝撃に匹敵するとさえ言われている。
未だ現役で活動している数少ない伝説のドラゴンだよ。
悪いがタンニーン、この赤龍帝を宿すガキの
修行に付き合ってくれ。
ドラゴンの力の使い方を一から教えてやって
欲しいんだよ」
アザゼル先生はタンニーンにそう頼み込む。
アザゼル先生の頼みにタンニーンは嘆息する。
「俺がしなくてもドライグが
直接教えればいいのではないか?」
「それでも限界がある。
やはり、ドラゴンの修行といえば」
「元来から実戦方式。なるほど、
俺にこの少年をいじめ抜けと言うのだな」
先生のあとに言葉を続けるタンニーン。
どうやらイッセーの修行は
過酷なものとなるようだな。
「ドライグを宿す物を鍛えるのは初めてだ」
タンニーンが目を細めながら楽し気に言う。
『手加減してくれよ、タンニーン。
俺の宿主は想像以上に弱いんでな』
「死ななければいいのだろう?任せろ」
「期間は人間界の時間で二十日間ほど、
それまでに禁手に至らせたい。
イッセー、死なない程度に気張れや」
そう言い残すと先生は手を振って去っていく。
「さて、各自各々に修行
メニューをこなすこと。いいわね」
『はい!』
イッセーに対してはスルーでいいのか。
「イッセー、気張りなさい!」
リアス先輩が親指を立てて
エールを送る。
「リアス嬢。あそこに見える山を
貸してもらえるか?こいつをそこに連れていく」
タンニーンが指で遥か先の山を指差す。
「ええ、鍛えてあげてちょうだい」
「任せろ。死なない程度に鍛えてやるさ」
タンニーンがイッセーを手に掴むと、
バッと羽ばたく!
「部長ォォォォォォッ!」
イッセーが泣きながらリアス先輩に
手を伸ばすが当の本人は
笑顔で手を振っていた。
俺は手を合わせてイッセーの
無事を祈る事しかできなかった。
ついに始まる修行。
ユウスケの修行に付き合う奈美
その手にはアザゼルが作り出した。
棒のようなものが、
次回、第61話「人工神器」
是非見てくれよな。
感想、評価待ってます。
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