だが次週こそは2回投稿目指すぜ
悪魔祓いに襲われた翌日の昼俺とイッセーは
学校を休んで、公園のベンチに座っていた。
何故こういう事になっているかと言うと、
神父に負わされた傷が癒えるまでの間、
学校と夜の活動の休みをもらったからだ、
先日の神父にやられた銃傷が思いの外、ダメージが残り、
足は未だ完治していない。
リアス先輩が言うには、神父に力を与えた堕天使の光力が濃いそうだ。
学校が病欠なのだから外にいるのは可笑しいが、
今は気分転換したかったから二人で公園に来た。
学校の方はリアス先輩の方で何とかしてくれるだろう
何せあの学校はリアス先輩の所有物なのだから。
イッセーも腹に受けた傷が完治せずにいた。
「やっぱり悔しいよな…」
「ユウスケもそう思うよな」
思わず心の声が出てしまった。
「ああ、あの子は自分を殴るイカレた神父がいる職場になんて
居たくないだろうけど、連れ出す力も守る力も無いしな」
「神父にボコボコにされたしな。部長が来なかったら
俺達死んでたよな」
俺が独断で動けばリアス先輩に迷惑がかかるしなぁ。
「…強くなりたい」
俺は思わずつぶやいた。
「リアス先輩達が来る直前にベルトが又、俺に映像を見せたんだ、
それは、自分以外の全てを滅ぼす程の力だった」
「……」
イッセーは黙って俺の話を聞いていた。
「あの力は恐ろしいものだ、だけど、一番恐ろしいのはあの場で、
その力を使おうとした俺自身だ。怒りに飲まれて、
あの姿に変身してたら、神父には勝てたかも知れないが、
イッセーやイッセーもこの手で殺してたかもしれない」
そう、あの姿は俺の闇そのものだった。
「俺だってこの
そもそも使い方さえわからない、なら、二人で強くなろうぜ!
俺はこの籠手を使いこなす。お前はその力に頼らない
戦い方を見つける。それしかないだろう!」
珍しく、イッセーが熱く語る。
そうだな、黒ではなく赤い姿になればいいだけだ、
「そうだな、うだうだ考えるのはもうやめだ
二人で強くなってあの堕天使と神父に2人で一発殴ってやろうぜ!」
ぐぅ~。
「そういや、朝から何も食べてないっけ」
「しまらないけど、元気になった証拠だな」
「とりあいず飯食って帰ろうぜ」
そういうとイッセーがベンチから立ち上がる。
「そうだな、先ずは傷を癒して筋トレを始めよう!
それと木場にも剣の使い方を教えてもらおうかな」
「イケメンに物を習うのは遺憾だが仕方ないな」
目標も新たにし、重い腰をベンチから上げたその時、
視界に金色が移り込んだ。
ハッと思い顔を向けるとそこには見知った金髪の
少女が立っていた。あちらもこちらに気づき、
お互い、その出会いに驚いていた。
「…アーシア?」
「…ユウスケさん?」
「良かった無事だったんだな」
「はい。ユウスケさんもご無事で良かったです」
俺を見たアーシアは気が抜けたように
安堵の表情を浮かべていた。
「そうだ、紹介するよ俺の弟のイッセーだ」
俺はアーシアにイッセーを紹介する。
「ど、どうも、ユ、ユウスケの弟でイッセーと申します」
イッセーは美少女を前に完全に緊張していた。
「昨日ユウスケさんと一緒にいた方ですね
初めまして、アーシア・アルジェントといいます
よろしくお願いいたします」
アーシアはイッセーにお辞儀して挨拶をする。
「ああよろしく」
「とりあいず、腹も減ったし、飯でも食べに行こうぜ、
アーシアはお昼もう食べたのか?
マックで良ければ俺達と一緒に食べないか?」
「マックは分かりませんが、お昼はまだなので
ご一緒してもいいでしょうか」
俺の昼飯のお誘いに不安そうに聞いてくるアーシア。
「こちらの方から頭を下げてもお願いしたい!」
イッセーがふざけて答えているが。
迷惑なんて有り得ない。そうして、俺達三人でマックへと
向かうことにした。
ー〇●〇ー
「あぅぅ…」
不思議な光景だった。マックのレジでシスターが困惑している。
「あ、あの注文は…」
対応に困っているのは店員も同じだった。
昼飯に俺とイッセーはアーシアを連れて繁華街のマックを訪れていた。
どうやら、アーシアはこの手の店に入る事自体初めてだったらしく。
注文に四苦八苦していた。
俺が手伝うと申し出たのだが、
「大丈夫です。一人で何とかして見せます」と胸を張りながら
宣言したもんだから見守っていたのだが…。
よくよく考えれば、彼女は日本語を喋れないじゃないか。
その事実に気が付き、俺が隣からフォローを入れる。
「すみません。俺と同じメニューでお願いします」
「わかりました」
店員さんもそれで注文を受け取ってくれた。
アーシアは軽いショックを受けているようだ。
「がーん」と効果音が聞こえてきそうだ。
普段どうやって買い物してるのか疑問だな。
「あうぅ、情けないです。ハンバーガーひとつ買えないなんて…」
「まあ、言葉が伝わらないのは仕方ないよ、
まずは日本語を勉強するしかないよ」
「はい!頑張ります!」
落ち込む彼女を励まして、俺とアーシアは
ハンバーガーのセットメニューを受け取って
先に席を確保してくれたイッセーの元へ向かう。
店内を移動中、どの男性客もアーシアを目で追っていた。
シスターが珍しいってのもあるだろうけど
目を引くほどかわいいからな。
そりゃ、見かけた男なら誰でも二度見以上してしまうだろうさ。
イッセーの待つ席へ到着し、俺達とアーシアで対面に座った。
「はい、おまちどうさん」
持ってきていたイッセーの分を渡してやる。
「待ってたぜ、もう腹ペコだよ」
イッセーは待ちきれないとハンバーガーにかぶりついた。
俺も食べようとしたとき、
アーシアがハンバーガーをマジマジと見つめるだけで
なかなか食べようとしない。
もしかして、食べ方が分からないのか?
マジか、なんてベタな展開だよ。
「アーシア、こうやって包み紙を少しだけ開いて
一気にかぶりつくんだよイッセーみたいにね」
「ふぁんだ?」
イッセーは急に話を振られて「何だ?」
といったのだろうが、口に物がはいっているから
何と言っているのかわからんな
「そ、そんな食べ方があるなんて!す、すごいです!」
…なんて新鮮な反応だろうか。
「ポテトもこうやって手づかみで食べるんだ」
「なんと!」
フライドポテトを食べる俺を興味深そうに眺めるアーシア。
「いやいや、感心してないでアーシアも食べな」
「は、はい」
ハンバーガーに小さくかぶりつく彼女。
もぐもぐと口を動かし食べ始める。
「お、おいしいです!ハンバーガーっておいしいんですね!」
目を輝かせながら言ってるよ、この子。普段は何を食べてるんだ?
「ハンバーガー食べたことないの?」
「はい。テレビではよく見ていたのですが、
実際に食べるのは初めてです。感動です!おいしいです!」
「え!じゃあ普段は何を食べているの?」
ハンバーガーにかぶりついていたイッセーが思わず尋ねる。
「パンとスープが主です。お野菜やパスタのお料理も食べますよ」
なんとも質素だな、やっぱり教会ってそんなもんなのかな?
「へぇ、すごいな俺だったら物足りないかもな」
イッセーはそう言っているが、高校生なら確かにそれでは足りないよな。
「なら、今日ぐらいはいいだろよく味わって食べようぜ」
「はい、おいしく頂きます」
パクパクと本当においしそうに食べているアーシアを見ると
こっちまで嬉しくなるな。連れてきて良かったよ。
しかし、アーシアはなんであの公園にいたんだ?
休み時間で出てきたと言っていたが、
どうも気になる。何かにおびえながら移動していた。
聞きたいことは多くある。
俺を見た瞬間気が抜けたように安心してたのは俺が無事だったから
だけじゃないと思う。
だがそれは、彼女自身から話してくれた方がいいと思う。
俺ならいつでも力になるし、イッセーも居るから一人じゃない。
だけど、部長たちの事もある。気軽にこちらから首を
突っ込むことはできない。もどかしいがな
今は、ハンバーガーを嬉しそうに食べているし、
今を憂鬱な気分にさせるのもかわいそうだ。
うん、そうだな。今日はそうしよう。
俺の中で一つの結論が出る。
「アーシア」
「は、はい」
「今日は目一杯遊ぶぞ」
「え?」
「次はゲーセンだ」
「勝負だイッセー!」
ブゥゥゥン!
アクセルを踏み、カーブで手早くギアチェンジ!
一気にCPUの車を抜き去る。
だが、そこで後ろから来たイッセーに抜かれてしまう。
「早いです!早いですユウスケさん!イッセーさん!」
しまった!イッセーは今まで帰宅部だからな
友達とよくゲーセンに行っていたんだった。
経験が違うか。だがアーシアの前でかっこ悪いところは
見せられないぜ!
仕掛けるポイントはこの先の五連続ヘアピンカーブ!
ブゥゥゥン!
「オーバースピードだぞユウスケ!ぶつかるぞ!」
ガゴアアアアア!
カーブのガードレール脇の溝を利用して
カーブを強引に曲がりイッセーを抜き去る。
「噓だろこのゲームそんなところまで再現されてるのかよ」
『WIN!』
俺の勝利を告げる文字が画面に映し出される。
「まさかあそこでユウスケに抜かれるとは」
「グッドゲームイッセー次も負けないぜ」
ふとアーシアが視界から消えていた。
「アーシアがいないから探してくるよ」
「あいよ、俺はまだこのゲームやってるよ」
そんなに悔しかったのかよ。俺はレーシングエリアから離れ
周りを見渡すと、アーシアはクレーンゲームの前に張り付いていた。
「どうした?」
「はぅ!い、いえ…。べ、別に何でもないです」
俺が声を掛けると、何やら誤魔化してくる。
「何か欲しいのか?」
クレーンゲームの中身を見ると、
人気キャラクターの『ラッチューくん』の人形があった。
ネズミが元のかわいいマスコットキャラだ。
そういや、このキャラクター日本発なのに世界的に
人気だったな。だからアーシアも知っているのか。
「アーシア、ラッチューくん好きなのか?」
「え! い、いえ、そ、その…」
アーシアは顔を紅潮させ、俯きながら
恥ずかしそうに頷いた。
「よし。俺が取ってやる」
「えっ! で、でも!」
「いいから、いいから、俺がとるよ」
俺はコインを投入して、クレーンを動かし始めた。
クレーンゲームは得意ではないが、
このクレーンは三本爪でわりかしやりやすい。
回数重ねればとれるだろう。
一度目はいいところで人形を落とし、2回、3回と同じ
事が続く、アーシアを見ると不安になっているが、
4度目でやっと人形を落とし口に入れる事ができた。
「よっしゃー!」
俺は思わずガッツポーズを取りながらも人形を拾い
アーシアへ渡してあげる。
「ほら、アーシア」
人形を受け取ったアーシアは心底嬉しそうに
その人形を胸に抱いた。
「ありがとうございます、ユウスケさん。
この人形、大事にしますね」
「ああ、そんな人形で良かったら、また取ってあげるよ」
そうは言ったものの、彼女は首を横に振る。
「いえ、今日頂いたこのラッチューくんは今日の
出会いが生んだ素敵なものです。
この出会いは今日だけのものですから、
この人形を大事にしたいです」
…なんとも恥ずかしいセリフだ。
でもこの子が言うとなんか様になるな
ここまで喜んでくれると取ったかいがあったよ。
「よし!まだまだこれからだ!アーシア、
今日は一日遊び尽くすぞ!まずはイッセー
と合流だついてこい!」
「は、はい!」
俺はアーシアの手を引き、ゲーセンの奥へ向かった。
ー〇●〇ー
「あー、遊びすぎたな」
「は、はい…少し疲れました…」
「いやぁ、ここまで遊んだのは久しぶりだなユウスケ」
三人で苦笑しながら、歩道を歩いていた。
既に空は夕日となっている。
ハハハ、学校休んで夕方まで思う存分遊んでしまった。
部活もサボっているから奈美先輩に見つかったら
お説教だな。
結構、クタクタになっていた。俺もイッセーもアーシアも。
でもゲーセンや色んな店に行くとそのたびに
反応が新鮮で、横で見ていても飽きなかった。
「ととと」
俺はふいに訪れた足の違和感に躓きそうになった。
「いたた」
と、痛みも少しだけ走る。
例のケガだ。クソ神父に撃たれた銃創がいまだに痛む。
完治はもう少し先かな。
「…ユウスケさん、ケガを?もしかして、
先日の…そしたらイッセーさんも」
アーシアの表情が曇った。
まずったな。せっかくの楽しい時間を送っていたのに、
嫌なことを思い出させてしまったかもしれない。
けれど、アーシアはその場で身をかがめて、
俺の幹部を調べだしていた。
「ズボン、あげてもらってもいいですか?」
「あ、ああ」
裾を上げてふくらはぎを露にする。
銃創が残っていた。
アーシアがそこへ手のひらを当てる。
俺のふくらはぎを温かく、やさしい光が照らす。
本当に、温かい光だ。緑色の光。アーシアの瞳と
同じで奇麗だよ。彼女の優しさが光に込められている
ような気がした。
「これでどうでしょうか?」
アーシアの光が止まり、俺に足を動かすように促してくる。
俺は軽く動かしてみた。
おっ。これはすごい。
「すごいよ、アーシア。違和感がなくなった!
痛みも感じない」
そしてアーシアは俺にやったようにイッセーの傷も
癒してくれた。
「すごいな、アーシアは。治療の力、
すごい力だけど、これって、
「はい。そうです」
やはりそうか。
「やっぱりか、俺も
対して役に立っていないけど。いまのところは」
イッセーの告白にアーシアは目を丸くしていた。
「じゃあユウスケさんも…」
「いや俺は
似たような力は手に入れたけど、これは別の力らしいしね」
「ははは、なんか俺の効果とかまあだ分からないし、
ユウスケみたいに変身するわけでもないからな。
それに比べたら、アーシアの力はすごいよ。これって、
人や動物、俺達みたいな悪魔まで治せるんだね」
少しして、彼女の頬を一筋の涙が流れる。
それは一度だけではなく、徐々に流れ出した。
彼女はその場で咽び泣き出した。
「おい、イッセー何泣かしてんだよ!」
「え、やっぱり俺のせいなのか?ご、ごめんよアーシア」
俺達はどうしたらいいか分からず、アーシアを連れて
座れる場所を探した。
街路樹に設けられたベンチへ俺とアーシアは腰をおろす。
「すみません二人は悪くないんです。私が勝手に泣いてるだけです」
「そこまで泣くってことは君に何かあったんでしょ
良ければ俺達に話してくれよ」
そこで彼女の口から語られたのは「聖女」と祭られた少女の末路だ。
欧州のとある地方で生まれた少女は生まれてすぐに両親から捨てられた。
捨てられた先の教会兼孤児院でシスターと他の孤児達と共に育てられる。
子供の頃から信仰深く育てられた少女の身に力が宿ったのは、
八つの頃だ。偶然、負傷をした子犬のケガを不思議な力で
治療したところをカトリック教会の関係者に見つけられる。
それから、少女の人生は変わりだす。
少女は、カトリック教会の本部に連れて行かれ治癒の力を
宿した「聖女」として、担ぎ出された。
訪れる信者に加護と称して、体の悪い所を治療してあげる。
噂は噂を呼び、少女は多くの信者から「聖女」として
崇められた。
少女の意思など関係なしに。
待遇に不満はなかった。教会の関係者は良くしてくれるし、
ケガをした人を治すのは嫌いではない。
自分の力が役に立つのが嬉しかったぐらいだ。
神様が授けてくれたものに少女は感謝した。
だけど、少しだけ寂しかった。
少女には心を許せる友人が一人もいなかったからだ。
どの人も優しくしてくれて、大事にしてくれる。
だが、誰も少女の友達になってくれる人は居なかった。
理解していた。
彼らが裏で自分の力を異質なものを見るような
目で見ていることを。人間ではなく、
まるで、「人を治療できる生物」のような感じで。
ある日、転機が訪れる。
たまたま少女は自分の近くに現れた悪魔を治療して
しまったのだ。
ケガをしていた悪魔。少女は見捨てられなかった。
悪魔といえど、ケガをしているなら、
治さなくちゃいけない。
生来の優しさがそうさせたのだろう。
それが少女の人生を反転させた。
その光景を偶然見ていた教会関係者の一人が、
それを内部に報告する。
内部の司祭は、その事実に驚愕した。
「悪魔を治療できる力だと⁉」
「そんなバカなことがあるはずがない!」
「治療の力は神の加護を受けた者にしか
効果を及ぼせないはずだ!」
そう。治療の力を持った者は世界の各地にいた。
けれど、悪魔を治療する力は規格外だった。
治療の力は悪魔と堕天使には効果がない
というのが常識として教会内部で認知されていたからだ。
事例は過去にもあったようだ。
神の加護を受けない悪魔、そして堕天使すらも治療できる力。
しかし、それは「魔女」の力として恐れられていた。
そして教会の司祭達は少女を異端視するようになる。
「悪魔を癒す魔女め!」
聖女として崇められた少女は、悪魔を治療できるというだけで
今度は「魔女」と恐れられ、呆気なくカトリックから捨てられた。
行き場のなくなった少女を拾ったのは極東にある
「はぐれ
つまり、堕天使の加護を受けなければならなくなったのだ。
間違っても少女は一度も神への祈りを忘れたことなどない。
感謝も忘れたこともない。なのに少女は捨てられた。
神は助けてくれなかったんだ。
一番ショックだったのは、教会で自分を庇ってくれる人が
一人も居なかったこと。
少女の味方は誰もいなかった。
「…きっと、私の祈りが足りなかったんです。
ほら、私、抜けているところがありますから。
ハンバーガーだって、一人で買えないぐらい
バカな子ですから」
少女 アーシアは笑いながら、涙を拭った。
俺は、かける言葉を失っていた。
想像を絶する彼女の過去を知り、
どうやって声をかけていいか
分からなくなっていたんだ。
先ほどのように、彼女は悪魔の傷ですら
治してしまう治療の力を持った
「これも主の試練なんです。私が全然ダメなシスターなので、
こうやって修行を与えてくれているんです。
いまは我慢のときなんです」
笑いながら自分に言い聞かせるようにアーシアは言う。
もう、それ以上は言わなくてもいいんだよ…
「お友達もいつかたくさんできると思ってますよ。
私、夢があるんです。お友達と一緒にお花を買ったり、
本を買ったりして…おしゃべりして…」
彼女は涙を溢れさせていた。
見ていられないほどだった。
きっと、ずっと我慢してきたんだ。
ずっとずっと自分の意思を心の奥へ引っ込めて、
神の加護を待っていたんだ。
おい。おい、神様!
どういうことだよ⁉なんでこの子を救わないんだよ!
誰よりもあんたの救いを求めるあの子を!
誰よりもあんたへの敬意を払っているあの子を!
何で何もしてくれないんだ!
俺は神様のことは何も知らないし、信仰もしてない
しかも悪魔だしな。
だけど、声をかけるぐらい俺にだってできる。
与えたものだろう!
それのせいで不幸になるなんて
こんなのないだろう!
それなら俺は、俺のやりたいことをやるだけだ!
俺は彼女の手を取る。涙に濡れる彼女の目を
真っ直ぐ見つめながら俺は言う。
「アーシア、俺達が友達になってやる。
いや、俺達、もう友達だ」
俺の言葉にアーシアはキョトンとしている。
「悪魔だけど、大丈夫だ。アーシアの命なんて
取らないし、代価もいらない!
気軽に遊びたいときに俺を呼べばいい!
あー、携帯の番号も教えてやるからさ」
「ああ、俺だって友達だまたユウスケと
俺とアーシアで遊びに行こう」
「…どうしてですか?」
「どうしてもこうしてもあるか!
今日一日俺とイッセーとアーシアは
遊んだろう?話したろう?
笑いあったろう?なら、俺達は友達だ!
悪魔だとか人間だとか、
神様だとかそんなの関係ない!俺達は友達だ‼」
「…それは悪魔の契約としてですか?」
「違うさ!俺達は本当の友達になるんだ!わけの
わからないことは抜きにして!
話したいときに遊んで、買い物だって付き合うさ」
我ながら下手な会話だと思う。
けれど、アーシアは口元を手で押さえながら、
再び涙を溢れ出させていた。
でも、今度の涙は哀しそうなものではない。
「…ユウスケさん。私、世間知らずです」
「これから俺と一緒に町へ繰り出せばいいさ!
いろんなものを見て回れば、そんなこと問題ないさ」
「…日本語もしゃべれません。文化もわかりませんよ?」
「俺とユウスケで教えてやるよ!
ことわざまで話せるようにしてやらぁ!俺達に任せろ!
なんなら日本の文化遺産でも見て回ろうぜ!
サムライ!スシ、ゲイシャだぞ!」
「…友達と何を喋っていいかもわかりません」
俺はアーシアの手を強く握ってやる。
「今日一日、普通に話せたじゃないか。それでいいんだよ。
俺達はもう友達として話していたんだ」
「…私と友達になってくれるんですか?」
「ああ、これからもよろしくな、アーシア」
その言葉に彼女は泣きながら笑って頷いてくれた。
これでOKだ。俺達は友達だ!
辛い過去の出来事。俺にはどれくらい辛かったのかは
わからないかもしれない。
でも、これから彼女を楽しませる自信はある!
悪魔とシスターの友達でもいいじゃないか。
最初はダメな関係だとは思ったけど、
そんなもの、あんな話を聞いたら関係無い。
俺はこの子と絶対に友達としてこれからも出会う。
それは誰にも邪魔はさせない。
俺達がアーシアを守る!
「無理よ」
俺の心中を否定するかのように、
第三者の声が耳に入った。
声がした方向へ顔を向けた時、俺は絶句した。
そこにはよく知った顔があったからだ。
天野夕麻の姿がそこにあったからだ。
「ゆ、夕麻ちゃん…」
イッセーの驚いた声音に、
彼女はクスクスとおかしそうに笑っている。
「へぇ。生きてたの。しかも悪魔?噓、
最悪じゃないの」
「…レイナーレさま…」
アーシアが天野夕麻をそう呼んだ。
レイナーレ?ああ、そうか、忘れていたよ。
天野夕麻は堕天使だ。
なるほど、堕天使レイナーレ。それが彼女の本当の名前か
「…堕天使さんが、何か用かい?」
イッセーが話しかけると彼女は嘲笑する。
「汚らわしい下級悪魔が気軽に私へ話しかけないで
ちょうだいな」
堕天使は心底汚らわしいものを見るかのような
侮蔑的な目で俺を睨む。
「その子、アーシアは私たちの所有物なの。返して
もらえるかしら?アーシア、逃げても無駄なのよ?」
逃げる?どういうことだ?
「…嫌です。私、あの教会へは戻りたくありません。
人を殺すところへ戻りたくありません。
…それにあなたたちは私を…」
はっきりとアーシアは嫌悪の言葉を返す。
何があった?あの教会で何かあったのか?
「そんなこと言わないでちょうだい、
アーシア。あなたの
は私たちの計画に必要なのよ。ね、私と一緒に帰りましょう?
これでもかなり捜したのよ?あまり迷惑を掛けないでちょうだい」
近づいてくるレイナーレ。
アーシアは俺の陰に隠れる。
彼女の体は恐怖で震えていた。
俺も彼女を庇うように前へ出る。
「待てよ。嫌がってるだろう?レイナーレさんよ、
あんた、この子を連れて帰ってどうするつもりだ?」
「下級悪魔、私の名を呼ぶな。私の名が汚れる。
あなたに私たちの間のことは関係ない。
さっさと主の元へ帰らないと、死ぬわよ?」
レイナーレは手に光を集めだす。
槍か?
一度、それで俺達は殺されている。
「はあぁ」
俺の体が白の戦士へと変貌する。
「セ、セイクリッド・ギア!」
イッセーが天に向かって叫ぶと、左腕が光を覆い、
赤い籠手へ変貌していく。
例のポーズをとらなくっても
を発動するように練習していたからな。
イッセーの
レイナーレは一瞬虚を衝かれるが、すぐに哄笑を上げる。
「上の方々にあなたの
が危険だからと以前命を受けたわけだけれど、
どうやら、上の方々の見当違いだったようね!」
心底笑うように堕天使は嘲笑う。
何がおかしいんだ?
「あなたの
もののひとつなのよ『
と呼ばれるもの。所有者の力を一定時間、倍にする力を
持っているけれど、あなたの力が倍になったところで
全く怖くないわ。そっちの白い方も鎧の
にしては、防御力は皆無のようだし下級悪魔にお似合いの代物ね」
痛い所をつかれたな。だがそれでも、アーシアを連れて逃げる
位はできる!
だが、何処へ逃げる学校か?
だめだ。部長たちに迷惑をかける。
俺の家?家族にどう説明すればいいんだ?
…ちくしょう。俺、友達って言ったのにアーシアを
どうするかわからねぇ。
いや!そんなことは後で考える!
まずは目の前の堕天使を倒す!
「
俺の力を倍にしてくれんだろう⁉動いてみせろ!」
『Boost‼』
イッセーの籠手から音声が発せられた。
ズンッ。
鈍い音がする。俺の腹部に突き刺さるものがあった。
光の槍だまた投げられた。
横を見ればイッセーも同じように腹に槍をくらっていた。
「力が倍になっても、こんなに弱めて撃った槍すら跳ね返せない。
一の力が倍の二になったところで、私との差は埋められないわ。
よくわかったかしら?下級悪魔達」
倒れ込む俺達。
ヤバイ。光は毒。悪魔にとって毒なんだ。
しかも腹部、これは。
激痛と死を覚悟した俺達だが、体に痛みが走ることはなかった。
俺達の体を緑色の光が包み込んでいたからだ。
見れば、俺達の体をアーシアが治療してくれていた。
俺達の腹部へ手を当てて治癒してくれている。
光の槍が小さくなり、次第に消えていく。
痛みは一切感じない。むしろ、
逆にアーシアの温かさを感じるぐらいだ。
「アーシア。その悪魔を殺されたくなかったら、
私と共に戻りなさい。あなたの
は我々の計画に必要なのよ。その力、『
はそこの下級悪魔くんの
違って希少な
応じないのなら、その悪魔を殺すしかないわ」
レイナーレは冷酷な提示をしてくる。
俺達の命が人質か!そうはさせるか!
「うるせぇ!お前なんかに」
「わかりました]
俺の言葉を遮って、アーシアは堕天使の提出を受け入れる。
「アーシア!」
「ユウスケさん、イッセーさん。今日は一日
ありがとうございました。本当に楽しかったです」
彼女が浮かべる満面の笑み。
俺達の腹部の傷は完全に塞がった。
それを確認すると、アーシアはレイナーレ
の方へ進みだす。
「いい子ね、アーシア。それでいいのよ。問題ないわ。
今日の儀式であなたの苦悩は消え去るのだから」
レイナーレはいやらしい笑みを浮かべていた。
儀式ってなんだ。不吉な単語じゃないか。
俺はアーシアへ叫ぶ。
「アーシア!待てよ!俺達友達だろ!」
「そうだ!行く必要はないさ」
「はい。こんな私と友達になってくれて本当に
ありがとうございます」
俺はアーシアを守ると誓ったんだ。
「お、俺がアーシアを!」
振り返った彼女の表情はいまだ満面の笑みに包まれている。
その笑顔に俺は一瞬見入ってしまった。
「さようなら」
それが彼女の別れの言葉だった。
アーシアの体をレイナーレの黒い翼が覆う。
「下級悪魔、この子のおかげで命拾いしたわね。
次に邪魔をしたら、そのときは本当に殺すわ。
じゃあね、あなたたち」
嘲笑う堕天使は、アーシアを抱いたまま
空高く飛び上がる。
そして、空のかなたへ消え去ってしまった。
後に残されたのは、黒い羽根と俺達、
そして、ラッチューくんの人形が路面に落ちていた。
何も出来なかった。
何が「アーシアを守る」だよ。
俺は地面に膝をつき、何度も何度も拳を
アスファルトへ打ち付けた。
激しく歯嚙みして、悔しくて涙が流れてくる。
「やめろユウスケ…もう手が!」
ちくしょう。ちくしょう。
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおっ!
「アーシア…」
俺は空へ消えた友達の名を呼んだ。
返事は返ってこない。
「アーシアァァァァァァァァァァッッ!」
俺は自分の非力さを呪った。
堕天使に連れ去られたアーシア
アーシアを助けるためユウスケは
仲間と共に教会へ行く
次回第8話「教会」
お楽しみに
外伝でやってほしいコラボは?
-
仮面ライダークウガ(五代雄介)
-
仮面ライダーディケイド
-
忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
-
その他(希望があれば感想へ)