ハイスクールD×D~古代の戦士~   作:ヤマト・ゼロ

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ディオドラの眷属達を倒して行き
残すは王と騎士の二人のみ
先を進むユウスケ達だったが
騎士との戦いで信じがたい
アーシアの過去の真実を
聞かされる


第80話「真実」

ディオドラの『騎士』が待っているであろう神殿に足を

踏み入れた時、俺達の視界に見覚えのある者が待ち構え

ていた!

 

「や、おひさ~」

 

こ。こいつは白髪の神父。

 

「「フリードッ!」」

 

そう、俺達の前に現れたのはクソ神父だった!また、

懐かしい顔だな。エクスカリバー事件の時以来か、

まだ生きてるとはな。

 

「まだ生きていたんだなって、思ったっしょ、

イッセー君、ユウスケ君?イエスイエス。僕ちん

しぶといからキッチリキッカリ生きてござんすよ?」

 

というか、どうしてここにフリードがいるんだ?

此処には、『騎士』二人がいたはずだろ。

 

「おんや~、もしかして『騎士』二人をお捜しで?」

 

心を見透かしたかのような発言。嫌な笑みが頭にくる。

フリードは口をもごもごすると、ぺっと何かを吐き

出した。見れば、それは人間の指だった!

 

「俺様が食ったよ」

 

何を言ってんだ、こいつは…。食っただと…?

疑問に感じる俺達だが、小猫ちゃんは鼻を押さえながら

目元を細めた。

 

「…その人、人間を辞めてます」

 

小猫ちゃんが忌むようにそう呟いた。

奴はにんまりと口の端を吊り上げると、

人間とは思えない形相で笑い出す!

 

「ヒャハハハハハッハハハッハハハハッ!てめぇらに

切り刻まれた後、ヴァーリのクソ野郎に回収されてな

ぁぁぁぁぁあっ!腐れアザゼルにリストラ食らってよ

ぉぉぉぉおおっ!」

 

ボコッ!ぐにゅりっ!

 

異様な音を立てながら、フリードの体の各所が不気味

に盛り上がる!神父の服を突き破り、角と思わしきも

のが体から生えていく。全身が隆起していき、腕も脚

も何倍も膨れ上がった。

 

「行き場を無くした俺を拾ったのが『禍の団(カオス・ブリゲード)

の連中さ!奴ら!俺に力をくれるってよっ!

ふははははっははははっはっ!」

 

背の片側だけコウモリのような翼が生え、もう片方に

は巨大な腕が生えてきていた。顔も原形をとどめない

ほど変質し、突き出した口には凶暴な木場が生えそろう。

ドラゴンのような頭部になっていた。

 

なんて奴だ!全身めちゃくちゃだ!統合性なんてあり

ゃしない!あんな不格好な体じゃあ、それぞれの特性

をいかせないだろう。どんな頭してたら、こんな人体

改造するんだよ!変化を遂げた眼前の巨躯の生物はフ

リードの面影など、一切残さない異形の存在だった。

他の皆も顔をしかめていた。

 

「ヒャハハハハハッ!ところで知ってたかい!ディオ

ドラ・アスタロトの趣味をさ。これが素敵にイカレて

て聞くだけで胸がドキドキだぜ!」

 

突然、フリードはディオドラの話をし出した。

 

「ディオドラの女の趣味さ。あのお坊ちゃん、大した

好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって!そ、

シスターとかそういうのさ!」

 

女の趣味?しかもシスターって…。

俺はアーシアの姿が思い浮かんだ。 

…まさか?

 

「しかも狙う相手は熱心な信者や教会本部になじみが

深い女ばかりだ。俺様の言ってることわかるー?さっ

き君たちがブッ倒してきた眷属悪魔の女達は元信者ば

かりなんだよ!自分の屋敷にかこっている女共も同じ!

ぜーんぶ、元は有名なシスターや各地の聖女様方なん

だぜ!ヒャハハハ!マジで趣味良いよなぁぁっ!悪魔

のお坊ちゃんが教会の女を誘惑して手籠めにしてんだ

からよ!いやはや、だからこそ、悪魔でもあるのか!

熱心な聖女様を言葉巧みに超絶うまいことやって堕と

すんだからさ!まさに悪魔のささやきだ!」

 

「ちょっと待てよ。じゃあ、アーシアは」

 

俺の言葉にフリードは哄笑を上げる。

 

「アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオを書

いたのは元をただせばディオドラ・アスタロトなんだ

ぜ~。シナリオはこうだ。ある日、シスターとセッ〇

スするのが大好きなとある悪魔の坊ちゃんは、チョー

好みの美少女聖女様を見つけました。会ったその日あ

らエッチしたくてたまりません。でも、教会から連れ

出すにはちょいと骨が折れそうと判断して、他の方法

で彼女を自分のものにする作戦にしました」

 

…ち、ちょっと、待てって、それじゃあ、アーシアは。

 

「聖女様はとてもとてもおやさしい娘さんです。神器

に詳しい者から『あの聖女さまは悪魔をも治す神器を

持っているぞ』というアドバイスをもらいました。そ

こに目を付けた坊ちゃんは作戦を立てました。『ケガ

した僕を治すところを他の聖職者に見つかれば聖女様

は教会あら追放されるかも☆』と!傷痕が多少残って

もエッチできりゃバッチリOK!それがお坊ちゃんの生

きる道!」

 

―あのとき、彼を救った事、後悔してません。―

 

俺の脳内で、笑顔でそう言ったアーシアが思い出される。

 

………。

 

なんだよ。それ。なんなんだよ、それはよ…。

 

俺達を嘲笑うかのようにフリードはトドメとばかりに

言った。

 

「信じていた教会から追放され、神を信じられなくな

って人生を狂わせられたら、簡単に僕の元に来るだろ

うと!ヒャハハハハ!聖女様の苦しみも坊ちゃんにと

ってみれば最高のスパイスなのさ!最底辺まで堕ちた

所を掬いあげて、犯す!心身共に犯す!それが坊ちゃ

んの最高最大のお楽しみなのでした!今までもそうし

て教会の女を犯して自分のものにしたのです!それは

これからも変わりません!坊ちゃんの ディオドラ・

アスタロト君は教会信者の女の子を抱くのが大好きな

悪魔さんなのでした!ヒャハハハッ!」

 

俺は。心の底で生じたどす黒い感情を我慢できそう

になかった。

 

握りしめる拳からは血が垂れている。それは横の

イッセーも同様に拳から血が噴き出している。俺

がフリードを激しく睨み、一歩前に出ようとした

その時だった。俺の肩を木場が掴む。

 

「ユウスケ君。気持ちはわかる。だが、君のその

想いをぶつけるのはディオドラまで取っておいた

方がいい」

 

冷静な物言いだ。だが、俺の怒りはそんな容易く

収まらねえよ!

 

「お前、黙ってろって言う」

 

そこまで言って、木場の顔を見て気づく。

 

木場の瞳は怒りと憎悪に満ちてた。

 

「ここは僕が行く。あの汚い口を止めてこよう」

 

迫力のある歩みで木場は俺の横を通り過ぎていく。

 

俺の怒りが一瞬冷めてしまいそうなほど、木場の全身から

放たれるオーラは攻撃的な殺意に包まれていた。

 

木場は異形の存在と化したフリードの前に立ち、

手元に聖魔剣を一振り創り出す

 

「やあやあやあ!てめぇはあのとき俺をぶった斬り

やがった腐れナイトさんじゃあーりませんかぁぁぁっっ!

てめぇのおかげで俺はこんな素敵なモデルチェンジを

しちゃいましたよ!でもよ!だいぶ強くもなったんだ

ぜぇぇ?ディオドラの『騎士』二人をペロリと平らげ

ましてね!そいつらの特性も得たんですよぉぉぉぉっ!

無敵超絶モンスターのフリードくんをよろしくお願い

しますぜぇ、色男さんよぉぉぉぉっ!」

 

木場は剣を構えると冷淡な声で一言だけ言う。

 

「君はもういない方がいい」

 

「調子くれてんじゃねぇぇぇぞぉぉぉぉっ!」

 

憤怒の形相となったフリードは全身から生物的な

フォルムの刃を幾重にも生やしてこちらへ。

 

フッ!

 

木場が視界から消え。

 

バッ!

 

刹那、俺達の眼前にいたモンスターのフリードは

無数い切り刻まれて四散した!

 

「にだ、それ。強すぎんだろ…」

 

頭部だけになったフリードは床に転がり、

大きな目をひくつかせていた。

 

まさかの一撃か!

 

フリードが攻撃の姿勢を見せた途端に勝負は一瞬で

決した。神速で切り刻んだろうが、俺の目では捉え

きれなかった。

 

「…ひひひ。ま、お前らじゃ、ディオドラの計画も

裏にいる奴らも倒せないさ。何よりも神滅具所持者

の恐ろしさをまだ知らねぇんだからよ…。ひゃはは」

 

ズンッ!

 

頭部だけで笑っていたフリードに木場は容赦なく剣

を突き立て、絶命させた。木場は聖魔剣についた血

を空で払う。飛び散った血液が半円を描いた。

 

「続きは地獄の死神相手に吼えるといい」

 

俺はその光景に心の中の黒い物が消えていくのを

感じる。ざまあないな。

 

木場の奴更に強くなったか?

フリードの実力が全然わからなかったな。

あいつとは腐れ縁だったが最後はあっけなかったな。

 

木場は俺達に振り返り言う。

 

「行こう、皆!」

 

俺達はうなずき合い、ディオドラの待つ最後の

神殿へ走り出したのだった。ディオドラ。

俺はお前だけは絶対に許さない!

 

 

ー〇●〇ー

 

 

アザゼルside

 

俺はレーティングゲームのバトルフィールドで旧魔王派

の悪魔どもをある程度片付けていた。残りは部下達だけ

で十分だろう。俺は部下にあとを任せて、とある場所へ

宙を飛んで向かっていた。ファーブニルを宿した宝玉の

反応がこちらに向いている。オーディンの力で部下と共

にこちらへ転送してきてすぐに懐の宝玉がさらに輝きを

増した。俺はその人影の前に降り立つ。

…腰まである黒髪の小柄な少女。黒いワンピースを身に

着け、細い四肢を覗かせている。

少女は端整な顔付きだが、目線をフィールド中央に並ぶ

いくつもの神殿の方へ向けていた。

 

…俺は目を細め、静かに言う。

 

「お前自身が出張ってくるとはな」

 

少女は俺の声に反応し、こちらへ顔を向けた。薄く笑う。

 

「アザゼル。久しい」

 

「以前は老人の姿だったか?今度は美少女様の姿とは

恐れ入る。何を考えている?オーフィス」

 

そう、こいつは『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス!

禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップ!間違いないぜ。

こいつから漂う不気味で言いようのないオーラは

オーフィスのものだ。以前会った時はジジイの姿だった

が、今回は黒髪少女かよ。まあ、こいつにとって姿なん

てものは飾りに過ぎないか。いくらでも変えられる。

こいつ自身が出張ってくるってことは、今回の作戦はそ

れほどこいつにとって重要でデカいのか?神殿の方に視

線を向けているってことは、そっちに作戦の中心がある

ってことかもしれない。

 

…ユウスケ、イッセー、リアス、あいつらを向かわせた

のはマズかったかもな。

 

「見学。ただ、それだけ」

 

「高みの見物ね…。それにしてもボスがひょっこり現れる

なんてな。ここでお前を倒せば世界は平和か?」

 

俺は苦笑しながら光の槍の矛先を突き付けるが、

奴は首を横に振った。

 

「無理。アザゼルでは我を倒せない」

 

ハッキリ言ってくれる。だろうさ。俺じゃあお前を

倒しきれない。それはわかっている。が、お前をこ

こで倒せば『禍の団(カオス・ブリゲード)』に深刻な大打撃を与えるのは

確実なんだよな。

 

「では、二人ではどうだろうか?」

 

バサッ。

 

羽ばたきながら、舞い降りてきたのは巨大なドラゴン!

 

「タンニーン!」

 

元龍王のタンニーン!

こいつもゲームフィールドの旧魔王派一掃作戦に参加

していたのだが、一仕事終えてこちらに向かってきた

ようだ。タンニーンは大きな眼でオーフィスを激しく

睨む。

 

「せっかく若手悪魔が未来をかけて戦場に赴いている

というのにな。貴様が茶々を入れるというのが気に入

らん!あれほど、世界に興味を示さなかった貴様が今

頃テロリストの親玉だと!?何が貴様をそうさせたと

いうのだ!」

 

俺もタンニーンの意見にうなずき、さらに問いだす。

 

「暇つぶしなんて今時流行らない理由は止めてくれよな。

お前の行為ですでに被害が各地で出てるんだ」

 

そう、こいつがトップに立ち、その力を様々な危険分

子に貸し与えた結果、各勢力に被害をもたらしている。

死傷者も日に増えていた。もう無視できないレベルだ。

何がこいつを突き動かし、テロリストの集団の上に立

たせた?俺はそれだけがわからなかった。今まで世界

の動きを静観していた最強の存在が何故今になって動

き出したのか?そのオーフィスの答えは予想外の物

だった。

 

「静寂な世界」

 

………。

 

一瞬、何を言ったか理解できなかった。

 

「は?」

 

俺は再び問い返す。するとオーフィスは真っ直ぐとこ

ちらを見つめて言った。

 

「故郷である次元の狭間に戻り、静寂を得たい。

ただそれだけ」

 

っ!

 

そ、それが理由だってのか?次元の狭間。簡単に言う

なら、人間界と冥界、人間界と天界の間にあるような

次元の壁のことだ。世界と世界を分け隔てる境界。

そこは何も無い「無の世界」と言われて言る。オーフ

ィスがそこから生じたのは知ってはいたが…。

 

「…ホームシックかよと普通なら笑ってやるところだが、

次元の狭間ときたか。あそこには確か」

 

俺の言葉にオーフィスはうなずいた。

 

「そう、グレートレッドがいる」

 

次元の狭間は現在、奴が支配している。なるほど、

オーフィスは奴をどうにかして次元の狭間に戻りたい

のか。まさか、それを条件、グレートレッドを追い出

すのを条件に旧魔王派の悪魔や他の勢力の異端児に懐

柔されたってのか?そのとき、俺の脳裏にひとつの可

能性が過ぎる。

 

そうか、ヴァーリ。お前の目的は!

 

俺の思考が何かを出そうとしたとき、オーフィスの横に

魔方陣が出現し、何者かが転移してくる。

そこに現れたのは貴族服を着た一人の男。

 

そいつは俺に一礼し、不敵に笑った。

 

「お初にお目にかかる。俺は真のアスモデウスの

血を引く者。クルゼレイ・アスモデウス。

禍の団(カオス・ブリゲード)』真なる魔王派として、

堕天使の総督である貴殿に決闘を申し込む」

 

…ハハハ、こいつはまた…。首謀者の一人がご登場っ

てわけだ。俺は頭をポリポリとかきながら、つぶやく。

 

「旧魔王派のアスモデウスが出てきたか」

 

ドンッ!

 

確認するや否や、、そいつは全身から魔のオーラを

迸らせた。色がどす黒いな。こいつもオーフィスの

力を得たか。

 

「旧ではない1真なる魔王の血族だ!カテレア・

レヴィアタンの敵討ちをさせてもらうッ!」

 

カテレアの男か何かか。まあいい。今回の首謀者を

打ち倒せるのならば、またとない機会だ。

やらせてもらおうか。

 

「いいぜ。タンニーン、お前はどうする?」

 

「サシの勝負に手を出すほど無粋ではない。オーフィスの

監視でもさせてもらおうか」

 

こいつも根っからの武人だね。ドラゴンにしておくのが

もったいないぐらいだ。

 

「頼む。さて、混沌としてきたが、俺の教え子共は

無事にディオドラのもとにたどり着いている頃かな」

 

俺がふいに口にしたことだが、オーフィスは

それを聞き、首を横に振る。

 

「ディオドラ・アスタロトにも我の蛇を渡した。

あれを飲めば力が増大する。倒すのは

容易ではない」

 

「ハハハハハハハハハハハハッ!」

 

俺はオーフィスの言葉に爆笑した。わかってねぇ!

わかってねぇよ、オーフィス!

 

「なぜ、笑う?」

 

怪訝に首をかしげるオーフィスに俺は告げた。

 

「蛇か。そりゃ、けっこうだ。だが、

残念なことにそれじゃ無理だな」

 

「なぜ?我が蛇、飲めばたちまち強大な力を得られる」

 

「それでも無理だ。先日のゲームじゃ、ルール上、

力を完全に発揮できなかったがな」

 

俺やタンニーンの修行、あれがいかなるものか、

ディオドラ・アスタロトは身をもって知ることに

なるだろう。あいつらの修行相手が竜王と総督だ。

片方は禁手(バランス・ブレイカー)に至った!もう片方の

成長速度は目見張るものがある。少し目を離したすきに

新たな力を手に入れてやがる。今もまた新たな力を手に

しているのかもな。俺はファーブニルの宝玉を取り出し。

例の人工神器の短剣を構えた。

 

「さて、ファーブニル。付き合ってもらうぜ。相手は

クルゼレイ・アスモデウス!いくぜ、禁手化ッッ!」

 

次の瞬間、俺は黄金の全身鎧に包まれていた。

ユウスケ、イッセー、お前たちを制限するものは

ここのどこにも無い。

 

暴れて見せろッ!

 

と、俺がカッコ良く決めようとしていたところで乱入する

転移用魔方陣があった。その紋様は。そうか、お前自ら

出張るか。輝く魔方陣から現れたのは、紅髪の王

サーゼクス。

 

「サーゼクス、どうして出てきた?」

 

俺の問いに奴は目を細める。

 

「今回結果的に妹を我々大人の政治に巻き込んで

しまった。私も前へ出てこなければな。いつもア

ザゼルばかりに任せては悪いと感じていた。クル

ゼレイを説得したい。これぐらいしなければ妹に

顔向けできそうにないんでね」

 

ったく、こいつは…。

 

「…お人好しめ。無駄になるぞ?」

 

「それでに現悪魔の王として直接訊きたかった」

 

俺は構えていた槍を一度引いた。

 

サーゼクスを視認した途端、

クルゼレイの表情が憤怒と化す。

 

「サーゼクス!忌々しき偽りの存在ッ!直接現れ

てくれるとはッ!貴様が、貴様らさえいなければ、

我々は…ッ!」

 

見ろ。これが現実だ。奴らにとって、お前の存在は

最大級に忌むべきものなんだよ。

 

「クルゼレイ。矛を下げてはくれないだろうか?

今なら話し合いの道も用意できる。前魔王の血筋

を表舞台から遠ざけ、冥界の辺境に追いやったこ

と、いまだに私は『他の道もあったのでは?』と

思ってならない。前魔王子孫の幹部たちと会談の

席を設けたい。何よりも貴殿とは現魔王のアスモ

デウスであるファルビウムとも話してほしいと考

えている」

 

サーゼクスの言葉は真摯だ。それゆえ、

クルゼレイの感情を逆撫でる。

 

無駄だ、サーゼクス

 

もともと、こいつらにお前達現魔王の言葉は届かない。

お前は甘いんだ。

 

激高するクルゼレイ。

 

「ふざけないでもらおう!堕天使どころか、天使

とも通じ、汚れ切った貴様に悪魔を語る資格など

ないのだ!それどころか、俺に偽物と話せという

のか!?大概にしろッ!」

 

俺は嘆息するとクルゼレイに言う。

 

「よく言うぜ、てめぇら『禍の団(カオス・ブリゲード)』には三大勢力の

危険分子が仲良くあつまっているじゃないか」

 

奴は口の端を吊り上げる。

 

「手を取り合っているわけではない。利用しているのだ。

忌まわしい天使と堕天使は我々悪魔が利用するだけの

存在でしかない。相互理解?和平?悪魔以外の存在は

いずれ滅ぼすべきなのだ!それをなぜわからない!?

悪魔こそが!否!我々、魔王こそが全世界の王で

あるべきなのだよ!オーフィスの力を利用することで

俺達は世界を滅ぼし、新たな世界を創り出す!

そのためには貴様ら偽りの魔王共が邪魔なのだ!」

 

あー、こりゃダメだ。典型的な雑魚の親玉の発想だ。

既に種として悪魔の存在自体が危ういかもしれない

ってのに何を考えているんだか…。

 

サーゼクス、心中複雑かもしれないが、よっぽど

お前の方が王をやっているぜ?旧魔王がこんなだ

から、悪魔は滅びの道へ向かっていこうとしていたんだ。

考え、認識、それらの根底からの相違。両者の溝は深く、

決して埋まらない。

 

サーゼクスは寂し気な目でつぶやいた。

 

 

クレイゼイ。私は悪魔という種を守りたいだけだ。

民を守らなければ、種を繁栄しない。甘いと言われ

てもいい。私はミライアル子供たちを導く。

今の冥界に戦争は必要ないのだ」

 

「甘いッ!何よりも稚拙な理由だッ!それが悪魔の

本懐だと思っているのか!?悪魔は人間の魂を奪い、

地獄へ誘い、そして天使と神を滅ぼす為の存在だッ!

もはや、話し合いは不要!サーゼクスよ!偽りと

偽善の王よッ!ルシファーとは!魔王とは!

全てを滅する存在だっ!滅びの力を持っていながら、

何故横の堕天使に振る舞わない!?やはり、貴様は

魔王を名乗る資格などないッ!この真なる魔王で

あるクルゼレイ・アスモデウスがお前を滅ぼして

くれるッ!」

 

それがサーゼクス、現魔王と旧魔王の子孫、

両者の最後の話し合いだった。

 

サーゼクスはオーフィスに語り掛ける。

 

「…オーフィス。貴殿との交渉も無駄なのだろうか?」

 

「我の蛇を飲み、誓いを立てるなら。もうひとつ、

冥界周囲に存在する次元の狭間の所有権、それ、

すべてもらう」

 

服従と冥界の閉鎖、ってことか。

 

冥界を背負う魔王がそれに安易に応じるわけには

いかないだろう。

 

サーゼクスは…を仰ぎ瞑目する。次に目を開けた時その瞳

には背筋が凍るほど冷たいものが映りこんでいた。

 

それを確認したクルゼレイは距離を取り、両手に巨大な

魔力の塊を創り出していく。

 

「そうだ!それでいい!そのほうがわかりやすいのだよ、

サーゼクスッ!」

 

クルゼレイは最初からこうなることを望んでいた。

…サーゼクス、お前の話は最初っから通るわけがなかった

のさ。それでもおまえは話したかったんだろうな。

 

自分の想いを。冥界の想いを。サーゼクスが右手を

突き出し、手のひらを上にかざした。

 

そこに魔力が圧縮していく。サーゼクスの魔力が徐々に

異様なオーラを放ち始める。滅びの魔力。

サーゼクスは強い口調で言う。

 

「クルゼレイ、私は魔王として今の冥界に

敵対する者を排除する」

 

「貴様が!魔王を語るなッ!」

 

クルゼレイが巨大な魔力を両手から掃射する。

サーゼクスは動じず、手のひらに生まれた

魔力を無数の小さな球体に変えて、前方に撃ちだした。

 

ギュパ!ギュゥゥゥンッ!

 

クルゼレイの攻撃はサーゼクスの魔力に触れた途端、

削りとられたように消滅していく。サーゼクスの

撃ちだした小さな魔力の球体は意思をもつかのように

宙を縦横無尽に動き回り、クルゼレイの攻撃を打ち消

していった。消しきれない攻撃はサーゼクス自身が避

けたり、防御障壁を作り出すことで防いでいく。

そのクルゼレイの口内へ滅びの球体がひとつだけ

入り込む。

 

ドウッ!

 

クルゼレイの腹部が一度だけ膨れ上がった。それが

収まると同時に奴の魔力が一気に減少していく!

 

サーゼクスの奴、クルゼレイが飲んだ蛇を取り

払ったのか?

 

サーゼクスがぼそりと呟く。

 

「『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクステインクト)』。腹に入っていたオーフィスの

『蛇』を消滅させてもらった。これで絶大な力を

振るえないだろう」

 

パワーアップの源である蛇を消されたことで、先ほど

まで余裕の表情を見せていたクルゼレイに明らかな

焦りの色が見えてくる。

 

サーゼクスの攻撃、本物を始めてみた。サーゼクスが

魔王に選ばれた理由の一つそれは圧倒的なまでの消滅

魔力だ。

 

触れたものを全て消す。塵芥すら残さない絶対的な滅び。

物は小さいのにとんでもない威力だ。絶大な滅びの力を

溢れさせず、巨大にもさせず、最小のサイズでとどめ、

それを複数同時に手足のように操る。緻密なコントロール

と並外れた才覚が必要な技術だ。それをサーゼクスは有し

ている。

 

「おのれ!貴様といい!ヴァーリといい、なぜこうも

『ルシファー』を名乗る者は恵まれた力を持っていな

がら、我々と相容れないッ!?」

 

クルゼレイは毒づきながらも再び両手に魔力を放出

しようとした。

 

ギュパンッ!

 

が球体のひとつがクルゼレイはの腹部に触れ、

腹を丸ごと削り取った。滅びの魔力は小さくても

威力は十分だった。触れた瞬間、周囲のものを

根こそぎ消していく。

 

「…な、なぜ…本物が偽物に負けねばならない…?」

 

口から血を吐き出しながら、クルゼレイは無念の

血涙を流していた。

サーゼクスは瞑目し、手を横にゆっくりと薙ぐ。

その瞬間、クルゼレイは宙を無数に飛びあ回る

滅びの球体にその体を全て打ち消されていった。




神殿の中を進み、
遂にアーシアの元へたどり着く
ユウスケ達、だがそこで待っていたのは
ディオドラだけではなかった。
突然の乱入者にユウスケは立ち向かう!


次回、第81話「金色の僧侶」

是非見てくれよな!

外伝でやってほしいコラボは?

  • 仮面ライダークウガ(五代雄介)
  • 仮面ライダーディケイド
  • 忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
  • その他(希望があれば感想へ)
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