それは新たな乱入者の行いだった。
新たな敵は何者なんだ!?
そして、消えたアーシアの行方は!
木場side
僕達は一瞬何が起こったかわからなかった。
いや、いまでもよくわからない。
ディオドラ・アスタロトと神滅具の装置をユウスケ君が
打倒し、アーシアさんの救出も無事完了して、僕と眷属
達はこの場から退避しようとしていた。その瞬間、
アーシアさんがまばゆい光の中にきえていった。
…何が起きた?
「神滅具で創りしものが、神滅具ですらない者の攻撃で
散るとは、霧使いめ、手を抜いたな。計画の再構築が
必要だ」
聞き覚えのない声だ。
声のした方へ視線を送ると、そこには見知らぬ男性が
宙に浮いていた。
マントも羽織っていた。
…なんだ、この体の芯から冷え込む
ようなオーラの質は…。
部長がその男性に訊く。
「…誰?」
「お初にお目にかかる、忌々しき偽りの魔王の妹よ。
私の名前はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真の魔王
ベルゼブブの血を引く、正統なる後継者だ。先ほどの
偽りの血族とは違う。ディオドラ・アスタロト。この
私が力を貸したというのにこのザマとは。先日のアガ
レスとの試合でも無断でオーフィスの蛇を使い、計画
を敵に予見させた。貴公はあまりに愚行がすぎる」
旧ベルゼブブ!
こんなときに!アザゼル先生がおっしゃっていた今回
の首謀者がご登場とは…。
腹を貫かれ風前の灯火のディオドラ・アスタロトが
旧ベルゼブブの末裔シャルバ・ベルゼブブに懇願する
様な顔となった。
「ぐふ。シャ、シャルバ!た、助けてくれ…。」
ビッ!
シャルバが手から放射した光の一撃が
ディオドラの胸を容赦なく貫いた。
「哀れな。あの娘の神器の力まで教えてやったのに、
モノにもできずじまい。たかが知れているというもの」
嘲笑い、吐き捨てる様にシャルバは言う。
ディオドラは塵と化して霧散していった。光の力?
天使、堕天使に近しい能力か?それとも『
は悪魔が天使や堕天使の力を使える研究が進んでいる
のだろうか?
僕の視界にシャルバの腕に取り付けられた見慣れない
機器が映る。…あれが光を生み出す源か?
やはり、アーシアさんは…。皆ももう気づき始めて
いるようだ。
ゼノヴィアは体をわなわなと怒りに打ち震えさせていた。
「さて、サーゼクスの妹君。いきなりだが、貴公には
死んでいただく。理由は当然。現魔王の血筋をすべて
滅ぼすため」
シャルバは冷淡な声だ。瞳も憎悪に染まっている。
よほど現魔王に恨みがあるのだろう。主張と家柄、
そして魔王の座を取り上げられ、冥界の端に追い
やられたことを根深く恨んでいるのだろうね。
「グラシャラボラス、アスタロト、そして私達
グレモリーを殺すというのね」
部長の問いかけにシャルバは目を細める。
「その通りだ。不愉快極まりないのでね。私達真の
血統が、貴公ら現魔王の血筋に『旧』などと言われ
るのが耐えられないのだよ」
シャルバは嘆息した。
「今回の作戦はこれで終了。私達の負けだ。まさか、
神滅具でもないクウガが神滅具の中でも上位クラス
のディメンション・ロストに勝つとは。想定外とし
か言えない。まあ、今回は今後のテロの実験ケース
として有意義な成果が得られたと納得しよう。
クルゼレイが死んだが問題ない。私がいれば
ヴァーリがいなくても十分に我々は動ける。
真のベルゼブブは偉大なのだから。さて、去り際
のついでだ。サーゼクスの妹よ、死んでくれたまえ」
「直接現魔王に決闘も申し込まずにその血族から
殺すだなんて卑劣だわ!」
「それでいい。まずは現魔王の家族から殺す。
絶望を与えなければ意味がない」
「外道ッ!何よりもアーシアを殺した罪!
絶対に許さないわッ!」
部長は激高し、最大まで紅いオーラを
全身から迸らせた!
朱乃さんも顔を怒りに歪め、雷光を身にまとい始めた。
僕も許すつもりはない!アーシアさんは…やっと過去
の全てとケリをつけたんだ!彼女の大好きなユウスケ
君がそれをぶち破ることで全てが終わったんだ!
彼女は改めていまの幸せを噛みしめることができる
ようになったんだ!それを目の前の存在が奪い去った!
僕の大切な仲間を消し去った罪!その命で償いきれない
だろうけど、それでもこのテロリストには死んでもらおう!
「アーシア?アーシア?」
っ。
イッセー君がふらふらと歩きながらアーシアさんを
呼んでいた。彼は僕たちの中でも情に熱い男だ家族
同然のアーシアさんが消えてしまって彼は…。
「アーシア?どこに行ったんだよ?ほら帰るぞ?
家に帰るんだ。父さんも母さんも待ってる。か、
隠れていたら、帰れないじゃないか。ハハハ、
アーシアはお茶目さんだなぁ」
イッセー君は…アーシアさんを探すように辺りを
見渡しながら、おぼつかない足取りで…。
「アーシア?帰ろう。もう、誰もアーシアをいじ
める奴はいないんだ。ほら、帰ろう。アーシア、
なあ、どこに居るんだよ?おい、ユウスケ。
アーシアはどこ行ったんだ?お前が魔法で帰した
のか?なあ、何とか言ってくれよ」
イッセー君はユウスケ君に話しかけるが、
彼も現実を受け入れられないのか生気が無く
イッセー君の言葉に反応を示さなかった。
正直見てられなかった。
その光景を見て、小猫ちゃんとギャスパーくんが
嗚咽を漏らしていた。朱乃さんも顔を背け、
頬に涙を伝わせている。
部長はイッセー君をやさしく抱いていた。
僕もこみあげてくるものお止められなかった…。
「部長、アーシアがいないんです。やっと帰れる
のに。先生が言っていた神殿の地下に隠れなきゃ。
でも、アーシアがいないと…。…と、父さんと
母さんがアーシアを娘だって。俺もユウスケだっ
てアーシアを妹だと。アーシアも俺達の父さんと
母さんを本当の親のようにって…。俺の、俺達の
大切な案族なんですよ…」
うつろな表情でイッセー君はつぶやき、部長は
彼の頬を何度もなでてあげていた。
「……なんでだ?なんでアーシアが?俺はまた
…救えなかったのか?…何が必ず守るだ…。
俺は…、俺は…。なんでいつも無力なんだよ
…どうして俺は…」
ユウスケ君は地面に座り込み。ぶつぶつと
嘆いていた。
「…許さない。許さないッ!
斬るっ!斬り殺してやるっ!」
叫びながらゼノヴィアがデュランダルと
スパークレンスでシャルバに斬りかかる!
「無駄だ
ギャンッ!
シャルバは聖剣と光剣の二刀を光り輝く防御障壁で
弾き飛ばし、ゼノヴィアの腹部へ魔力の弾を撃ち込
んできた!
ドオオンッ!
地に落ちるゼノヴィア。
剣も放り投げられ、床に突き刺さった。
「……アーシアを返せ…。…私の…友達なんだ…っ!
…やさしい友達なんだ…。誰よりもやさしかったんだ
…ッ!どうして…ッ!」
ゼノヴィアは床に叩きつけられて変身も解除されても
手元から離れていった剣を求め、握ろうとする。
シャルバはユウスケ君とイッセー君に向かって言った。
「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴンに陳腐な
クウガ。まったくもって、グレモリーの姫君は趣味
が悪い。そこの汚物に陳腐。あの娘は次元の彼方に
消えていった。すでにその身も消失しているだろう
死んだ、ということだ」
ユウスケ君はシャルバの話を聞いても反応がなく
うつむいている。だが、イッセー君は視線を宙に
浮かぶシャルバを捉える。
そのまま、じっと見つめ続ける。その姿は異様に
見えた。無表情のまま、じっとシャルバの顔だけ
を見続けていたんだ。
『リアス・グレモリー、いますぐこの場を離れろ。
死にたくなければすぐに退去したほうがいい』
ドライグの声。僕達にも聞こえるように発声したようだ。
退去?どういうことだ?部長も僕同様に怪訝な表情を
していた。ドライグの声は次にシャルバへと向けられる。
『そこの悪魔よ。シャルバといったか?』
イッセー君が部長を振り払い、立ち上がる。
『お前は』
死人のようなおぼつかない足取りで、イッセー君は
シャルバの方へ向かっていく。そして、シャルバの
真下に来た時、ドライグの声音はイッセー君の口元
から発せられた!それは心身を底冷えさせるほど、
無感情の一声だった。
『選択を間違えた』
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
オオオオオオオオオオオオオオオンッッ!
神殿が大きく揺れ、イッセー君が血の様に赤い
オーラを発していく!そのオーラは次第に高まり、
大きくなっていって、神殿内全域を赤い輝きで
照らし始めていた。肌に伝わるこのオーラの質で
理解できる!あのオーラは…危険だッ!
イッセー君の口から、呪詛のごとき、呪文が発せ
られる。その声はイッセー君のものだけじゃない。
老若男女、複数入り交じった不気味なものだった。
『我、目覚めるは―』
〈始まったよ〉〈始まってしまうね〉
『覇の理を神より奪いし二天龍なり―』
〈いつだって、そうでした〉
〈そうじゃな、いつだってそうだった〉
『無限を嗤い、夢幻を憂う―』
〈世界が求めるのは―〉〈世界が否定するのは―〉
『我、赤き龍の覇王と成りて―』
〈いつだって、力でした〉〈いつだって、愛だった〉
《何度でもお前達は滅びを選択するのだなっ!》
イッセー君の鎧が変質していく。さらに鋭角な
フォルムが増していき、巨大な翼まで生えていった。
両手両足から爪のようなものが伸び、兜からは角の
ようなものがいくつも形作られていく。
―その姿はドラゴンそのものだった。
そして、全身の宝玉各部から、絶叫に近い声が
老若男女入り乱れて発声される!
「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう―」」」」」」
『
ゴオオオオオオオオオオオオオッ…。
イッセー君の周囲が弾け飛ぶ!床が、壁が、柱が、
天上が、その全てが破壊されていく!イッセー君の
鎧が放つ、血のように赤いオーラによって!
「ぐぎゅああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああっ!
アーシアァァァッァァァァッァァァァァァァァッッ!」
獣の叫びにも似た声をイッセー君が発し、
その場で四つん這いになり、翼を羽ばたかせる。
ビュッ!
空を切る音!速い!僕の目でも捉えきれなかった。
「ぬううううううっ!」
シャルバの悲鳴が聞こえてくる。振り向けば、
小型ドラゴンと化したイッセー君がシャルバに
襲い掛かる!
しかし、僕達がイッセー君の変化に驚く中、
一人だけ変わらず地面にうつむき続ける
ユウスケ君に異変があった。
「ハハハ…。アーシアが死んだ?…、俺が弱いから…
いや、ありえないか…、これはあれだ、またアークル
が見せる夢か…。じゃないとアーシアが死ぬなんて
ありえないだろう」
「ユウスケ君これは夢じゃない現実だ!
気をしっかり持つんだ」
ユウスケ君の肩をゆすり声を掛ける。
「ハハハ、夢だよ。夢なんだよ。こんな夢を見せて
何になるってんだ…。夢なら…、夢なら気に入らない
もの全部ぶっ壊せばいいんだ」
彼が突然笑い出したかと思うと胸から時計の様な
物が浮かび上がり光り出し、紫色と白色の光が
放射状に放たれて。黒い幕がユウスケ君を包み込む。
『クウガァ!』
すると、黒い幕が大きくなり、繭になったかと思うと
中から巨大な甲虫の様な怪物が現れた。
「クウガ…?」
誰かが呟いたことだが、それはまるでクウガをより昆虫
のクワガタムシに近づけたような、人間の体型からかけ
離れた異形の姿を持ち、その姿はさながらグロンギを想
起させる。角は長いものが三本あり、クワガタよりも
カブトムシに近い。その刺々しい身体の造形から、
クウガの面影が殆ど残っていないバケモノのような外見だ。
ブゥゥゥウウウウウウンッ!
偽クウガが背中の虫のような羽を広げて
空中にはばたき、シャルバを観測している。
対するシャルバはというと、イッセー君が噛みつき、
肩に食らいつくところだった。
兜に口の様な物が生まれ、その牙でかじりついたのだろう。
ぶちぶちぶち…。肉を引きちぎる音。
「おのれっ!」
シャルバが右腕で光を作り出し、イッセー君に放とうとするが
「邪魔だぁッ!」
ユウスケ君がイッセー君を弾き飛ばしてシャルバの右腕を
鋭い爪で切断するっ!
イッセー君を助けたのか?
「ぐおっ!」
激痛に苦悶の表情を見せ離れるシャルバ!
鮮血が神殿の床に散っていく!
弾き飛ばされたイッセー君はというと上手く両足両足で
着地すると、先ほどの衝撃で噛み千切った肩肉を床に
吐き出した。赤い鎧は鮮血と混ざり合い、不気味な
光沢を放っていた。
「げごぎゅがぁぁ、ぐおおおおおおおおおおおおおお
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
すでに…人の言葉を発していない…。全身に点在する
宝玉から龍の腕が、あるいは刃が生えていき、しだい
に人の姿すらも保てないほどの異形さを見せてきていた。
「ふざけるなっ!」
地に降り立ち、激高したシャルバが残った左腕で光の
一撃を放つ!その帯状の一撃は極大といえるほどの
規模だった。
赤龍帝の翼が光り輝く!まるで白龍皇のようだ!
シャルバの放つ光の波動がユウスケ君に襲いかかる
瞬間。
『
その音声が鳴り響き、光の波動が半分に―。
さらに半分!縮小は留まることを知らず、
シャルバの攻撃はペンライトの光ほどの
弱弱しさと化しユウスケ君を傷つける事
は無かった。
これは―イッセー君が以前に奪ったという白龍皇の
力!それすらもこれほどまでに使うのか!
「ヴァーリの力か!おのれ!どこまでもお前は
私の前に立ちふさがるというのだなッ!
ヴァーリィィィィィィッ!」
吼えるシャルバが次に放ったのは光ではなく、
魔力の波動だった!大きい!絶大なオーラの波
が今度はイッセー君に襲い掛かる!
ドオゥン!
バジイィィィィィッ!
その攻撃をユウスケ君が口から火炎弾を放ち
激突した衝撃で軌道をずらして弾いた。
あれほどの攻撃をたった一発で!
しかし、シャルバ・ベルゼブブはヴァーリに
恨みを持っているのだろうか?旧ベルゼブブ
と旧ルシファーの子孫。立場的に二人の間に
溝があるのかもしれない。
なっ!僕はイッセー君の変化に気づく。
赤龍帝の兜に生まれた口が大きく開いた!
口内の奥にレーザーの発射口みたいなものを
覗かせている。一瞬の閃光!
ビィィィィィッ!
マスクから生みだされた赤いレーザーが
一直線に伸び、ユウスケ君のすぐ横を通り、
シャルバの左腕を吹き飛ばしていく!
レーザーの威力は留まることを知らず、神殿の床、
壁、天井に一直線の細い痕を残していった。刹那。
ドオオオオオオオオンッ!
放たれた場所から爆発が巻き起こった!爆炎が上がり、
粉塵を周囲に散らしていく。
「ぬああああがあああああっ!」
イッセー君が咆哮をあげ、全身に莫大なオーラを
漂わせると床が大きく抉れて、巨大なクレーター
が生まれていった。オーラを漂わせるだけで
周囲が消し飛びそうになる!
「ば、化け物め!こ、これが『
いうのか!?冗談ではない!わ、私の力はオー
フィスによって前魔王クラスにまで引き上げら
れているのだぞ!?データ上のブーステッド・
ギアのスペックを逸脱しているではないか!
そっちのクウガとて先ほどの戦いと姿が違うで
はないかあの力は何だ?」
シャルバの顔がついに恐怖に包まれた。
その瞳には怯えの色が強く、イッセー君と
ユウスケ君を恐怖の対象として見ている。
僕達は―呆然と見ているしかなかった。
部長は目を見開き、全身を震わせていた。
朱乃さんもゼノヴィアも小猫ちゃんもギャスパー君
も二人を恐れる様に見ている。僕も全身の震えが止
まらなかった。
―あれは、怪物だ。もう、元の二人じゃない。
イッセー君―赤龍帝は体勢を変えていく。両翼を大きく
横に広げ、顔をシャルバに真っすぐ向けた。
ガシャッ。
何かがスライドしていく音。見れば鎧の胸元が開き、
何かの発射口が姿を現していた。
ドゥゥゥゥゥゥ…。
静かな鳴動のあと、赤いオーラがその発射口に集まって
いく。それは次第に大きくなり、寒気がするほどの圧縮
されたオーラがあの発射口に溜まっていっている…っ!
横に広がった両翼も赤く輝き、不気味な赤い光が辺り
一帯に広がっていく。
「くっ!私はこんなところで死ぬわけには!」
シャルバが残った足で転移用魔方陣を描こうとするが
その足が動きを停める。
「…と、停めたというのか!私の足を!」
ユウスケ君がシャルバに手をかざしており、その手からは
緑色の光を放っていた。…ビショップの姿の時魔法を
発動したというのか!?赤の姿で別の形態の力が使える
というのか!?もはや、僕達の知る彼とは違うというのか!
『
『
神殿内に幾重にも鳴り響く、赤龍帝の神器が発する音声。
そして、チャージされた発射口から、膨大な量の赤い
オーラが照射されていく!
まずい!このままでは僕達も巻き込まれる!
「部長、一時退却しましょう!
この神殿から出るべきです!」
「イッセー…私は…」
部長はイッセー君を求めようと歩み寄ろうとするが、
僕はそれを制止する。
「すみません!」
僕は部長を抱きかかえていく。朱乃さんがゼノヴィアに
肩を貸し、小猫ちゃんとギャスパー君も僕の後に続いた!
「バ、バカな…ッ!真なる魔王の血筋である私が!
ヴァーリに一泡も吹かせていないのだぞ!?ベルゼブブ
はルシファーより偉大なのだ!おのれ!虫ごときが!
ドラゴンごときが!クウガめ!赤い龍め!
白い龍めぇぇぇぇっ!」
ズバァァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!
放射された赤い閃光にシャルバは包まれ、
神殿と共に光の中へ消え去っていった。
ー〇●〇ー
「っ…」
僕は神殿を出た後、聖魔剣を幾重にも創り出し、
シェルターみたいなものを形作って眷属をそこ
へ避難させた。
神殿の崩壊する音が無くなったのを確認すると、
剣を解放し、外の様子に目を配らせる。
神殿は完全に崩れ去っていた。
赤龍帝の力は此処までのものなのか…。
「おおおおおおおおおおおん…」
イッセー君は瓦礫と化した神殿の上に立ち、
天に向かって悲哀に包まれた方向をしている。
ドカァアアアアアアアン!
神殿の瓦礫の中から両手に大楯を持った
ユウスケ君が飛び出してくる。
あの偽物のクウガは武器を生み出す力も
有しているのか!
「ガアアアアアアアアアァツ!」
イッセー君は目の前に現れたユウスケ君を
新たな敵と認識したようで、威嚇する。
「ふざけた奴が、てめぇも気に入らないな!」
それにたいして、ユウスケ君も両手の盾
を剣へと錬成する。
もう、シャルバ・ベルゼブブもディオドラ・アスタロト
もいない。当た階は終わったはずなのに、二人は
鎧を解除するどころか、今にも殺し合いを始めそうだ。
…どうすればいい。どうすれば二人は元に戻る?
部長を始め、他の眷属も二人の様子を
見ているしかなかった。
「困っているようだな?」
第三者の声?そのとき、空間に裂け目が生まれる!人が
潜れるだけの裂け目あら現れたのは白龍皇ヴァーリ。
もう一人のクウガ東城。それと、古代中国の鎧を着た男
初見だがおそらく孫悟空の美猴だろう。そしてもう一人
は背広を着た見知らぬ男性だった。
その男性が手にしている剣はいままで見た事もないほど
神々しいオーラを放っていた。すぐにわかった。
イッセー君が出会ったという、聖王剣コールブランドの
所持者だ。
「ヴァーリ」
部長はヴァーリの登場に驚いていた。が、すぐに攻撃の
姿勢を作り出す。僕達も戦闘の構えを取っていた。けど、
彼らから敵意は感じられなかった。
「やるつもりはない。見に来ただけだ。赤龍帝の
『
に『
がこの強固な作りのバトルフィールドで起こったのは幸い
だったな。人間界でこれになっていたら、都市部とその周
辺が丸ごと消える騒ぎになっていたかもしれん。それにあ
のクウガの異質な姿も気になるな。只の暴走ではないな。
ユウスケは何かわかるか?」
「いや、あの姿は俺も初めて見る。前に偽物と言ったこと
があるがあの姿はまさに偽物のクウガだな」
部長はヴァーリに訊く。
「…この状態、二人は戻るの?」
「クウガの方は初めて見るから分からないが、赤龍帝の
方は完全な『
もあれば、このまま元に戻れず命を削り続けて死に至る
場合もある。どちらにしてもこの状態が長く続くのは
兵藤一誠の生命を危険にさらすことになるな」
やはり、危険な状態なのか…。
と、美猴が僕のもとに歩み寄る。
その腕には見知った少女が抱きかかえられていた。
「ほらよ、お前らの眷属だろ、この癒しの姉ちゃん」
美猴から渡された少女はアーシアさんだった!
「アーシア!」
「アーシアちゃん!」
部長と朱乃さん、皆がアーシアさんの元に集まる。
見たところ、外傷はない。気絶しているようだけど…
息はしている!
「生きています!」
僕の一声に皆、涙ぐんだ。僕もこみ上げてくるものが
あった。良かった!本当に良かった!
「でも、どうして…」
僕が疑問を口にすると、コールブランドの持ち主が答える。
「私達がちょうどこの辺りの次元の狭間を探索して
ましてね。そうしたら、この少女が次元の狭間に
飛んできたのですよ。ヴァーリが見覚えあるといい
まして、ここまで連れてきたのです。しょう運が良
かったですね。私達が偶然その場に居合わせなかったら、
この少女は次元の狭間の『無』に当てられて、
消失していくところでした」
なるほど、そういう理由か。でも、良かった。
アーシアさんが無事で。
「うわぁぁぁぁぁぁあんっ!」
ゼノヴィアがアーシアさんの無事を確認し、安堵のためか、
その場に座り込んでなきじかうってしまった。
僕はゼノヴィアの元にアーシアさんを下す。彼女は
アーシアさんを大事そうに抱きかかえ、笑顔でうれし涙を
流していた。
「あとはイッセーとユウスケだけれど」
部長が二人に視線を送る。二人は未だに
戦いを続けていた。
「アーシアの無事を伝えればあの状態を解除できるかしら」
部長の案にヴァーリは首を横に振る。
「危険だ。死ぬぞ。ま、俺は止めはしないが」
ヴァーリと東城に朱乃さんと小猫ちゃんが詰め寄る。
「頼める間柄ではないけれど、それでもお願い。彼らを
助けるのに手を貸して。白龍皇とクウガの貴方達なら、
彼らの意識を取り戻す役割を担えるのではなくて?」
「…お願いです。私達も全力を尽くしますから、
あの人たちを救うために力を…」
二人ともイッセー君達のことを強く想っている。
すぐに否定するかのように思えたヴァーリだったが
あごに手をやり考える。
「とりあえず、二人の分断から行うべきだな。このまま
放置すればいずれどちらかが倒されるかもしれない
偽クウガの方はユウスケ。任せていいか?」
「いいだろう。あの偽物は俺が相手しようじゃないか。
ある程度弱らせれば、変身も解除できるだろう。
赤龍帝の方はお前たちに任せるぞ」
東城が構えると赤きクウガに姿が変わり、黒い靄と雷に
包まれ浮かび上がり靄が晴れるとそこには黒いボディに
金色のラインによる縁取りが施されており、ベルトは
バックルが金色になっており、宝玉の色も輝きを失い、
黒になって、目も黒になっている。
「さあ、行くぜ!」
東城はそう言い走り出す。
あれは、まさかあの姿が『究極の闇』なのか…。
その力はすさまじく瞬く間にユウスケ君を殴り飛ばして、
引き離すのだった。
怒りに飲まれて暴走する二人。
二人を救うためにはどうすればいいか
そして、ユウスケを助けるために
あの男が新装備を手に駆け付ける!
次回、第83話「メモリー」
是非見てくれよな!
外伝でやってほしいコラボは?
-
仮面ライダークウガ(五代雄介)
-
仮面ライダーディケイド
-
忍者戦隊、忍風戦隊、手裏剣戦隊揃い踏み
-
その他(希望があれば感想へ)