転生先はアニメ遊戯王みたいな平行世界   作:火壁

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 烙印のパーツ買っただけで諭吉が飛んでいきました。


兄は下の者を舐めがち

 デュエルフェスも終わりを告げ、俺と秋奈は互いの親の迎えを待つために会場の入り口前にあるベンチで座っていた。主に秋奈の住んでいる場所がどのような場所であるかを聞いた。そして家族、主に兄弟の事を。

 

 「という事は秋奈にも兄がいるのか」

 

 「うん、今日も一緒に来てたんだけど……どこかに行ったまま最後まで見つからなくて」

 

 兄っていうのは弟や妹を何だと思ってるんだか。なんか秋奈の兄は女癖が悪い気がする。

 

 「それは災難だった……な……」

 

 「ん? どうしたの勝ちゃ……ん……」

 

 俺が見ている方向に秋奈も振り返る。そこにいたのは俺の父さんともう一人は……誰だ?

 

 「いやー助かりましたよ石木さん、何分こちらの土地勘は欠片も無いもので……石木さんがいなかったら道に迷っていたと思います」

 

 「いえいえ、新しい同僚のよしみですから。それに子供がデュエリスト同士でフェスに参加してるんですから睦月さんのお子さんならうちの子も仲良く出来ると思いますよ」

 

 凄く仲良さげに歩いてる。石木って呼んでたし秋奈の父親ってところか。秋奈も鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるし間違いない。

 

 「おお勝俊!迎えに来たぞ」

 

 「それはいいけどその人は誰? 凄く仲良さげだけど」

 

 「ああこの人は父さんの同僚の“石木 透真”さんだよ。ここに来るまでに道に迷いかけた父さんを助けてくれたんだ」

 

 「何やってんだよ父さん……」

 

 元の世界でも地図を読めなかったから何となく察してたけど、それが転じて秋奈の父さんと知り合ったのは良いのか悪いのか……秋奈も透真さんに問い詰めてるし、予想外だったんだろう。

 

 「でも秋奈に友達が出来たのは嬉しいよ。無理を通して竜也に付き添いを任せてた甲斐があった」

 

 「その兄さんは来て早々私を置いて何処かに行ったけどね」

 

 「なんだって!?」

 

 「何なら秋奈が高校生からカツアゲされそうになってたから俺も知り合えたんですよね」

 

 「カツアゲ!?」

 

 「どういう事だ勝俊、そんな話聞いて無いぞ!」

 

 「そりゃ今言ったし言えるタイミング無かったじゃん」

 

 それよか父さん達が知り合ってた事にこっちは驚きなんだよ。

 

 「全く竜也め……すまない勝俊君。娘を助けてくれて」

 

 「大丈夫ですよ。デュエルで揉め事を解決出来るんなら俺が出るのが手っ取り早いし、俺自身があの高校生に対してカチンときたんで」

 

 透真さんは頭を深々と下げ、俺に謝るけど俺は全く気にしていない。寧ろ秋奈と出会えた切っ掛けになったからあれはあれで良かったとすら思える。

 

 「それで、今竜也は何処に?」

 

 「それが……何処にいるのか……」

 

 「またぶらついているのか……フェスも終わったというのに困った奴だ」

 

 「その竜也って人、なんで妹の秋奈を置いて何処かに行ったんですか?」

 

 なんとなく理由というか答えは察してるけど取り敢えず聞いてみる。すると透真さんは苦笑いしながら答えてくれた。

 

 「竜也は……根は良い子なんだけどね。女の子と遊ぶのが好きというか、それ優先というか……」

 

 段々と歯切れ悪くなるが、要するに女の子優先で同じ女の子である秋奈をほったらかしているという事だ。見つけたらデュエルで潰さないと……

 

 「でもフェスも終わるって言うのにいったい何処に……ん?」

 

 「お父さんどうし……あぁ……」

 

 透真さんが何かを見つけた事を察した秋奈もその視線の先へ目を向けると、小さく嘆息する。その先にいたのは

 

 

 

 

 「いやぁ今日はとてもいい日だったよ。皆ありがとう」

 

 「えーたっちゃん行っちゃうのいやーもっと一緒にいてよー」

 

 「僕もそうしたいんだけどね、愚妹がいないと親がうるさいんだ。今日はあくまでもアレの付き添いだからね」

 

 「そんな妹ほっといていいじゃーん。別にいてもいなくても変わらないんだからさー」

 

 「ほんとそれな。たっちゃんの邪魔しかしないとかクソじゃん」

 

 「本当なら僕一人で来ても良かったんだけどね。アレがフェスに当選したものだから仕方なかったんだ」

 

 「ふーん運だけはいいんだ」

 

 「てかたっちゃん送り届けたならさっさと帰れよw」

 

 

 

 

 なんだあれは……あそこまで頭の悪い会話をあんな大音量で垂れ流すとはたまげたなぁ……

 

 「秋奈、もしかしてあれが」

 

 「はい……お兄さんです……」

 

 秋奈が羞恥に顔を赤くしてる。“地霊使いアウス”の容姿だからか殊更に可愛い。目を逸らすなもっと見せろ。

 

 そんな役得を体感していたいがそうもいかない。件の兄がこちらに気付き向かって来た。得意げな笑みを浮かべて近づいてきて俺の目の前に立つ。

 

 

 

 

 

 ……え?

 

 「君、さっきプロデュエリストの方丈英山を倒してた子だよね? 名前は……分からないや!」

 

 「まあ自己紹介もしてないし、睦月勝俊だ」

 

 「タメ口なんて態度がなってないが、まあいい。僕はプロの卵“石木竜也”。人呼んで“栄光の道を歩く男”!!」

 

 ……すっごい見てて恥ずかしくなるようなポーズをとってキメ台詞らしい二つ名を名乗ってるけど妹の秋奈は頭を抱えながら首を横に振ってる。呆けている俺を馬鹿にするように竜也が続ける。

 

 「君がプロを倒したのは実際驚いたよ。まあ僕ならもっと余裕で勝てただろうけどね。何せ僕はプロを輩出し続けているデュエル塾“流星塾”の塾生なんだから」

 

 「流星塾?」

 

 アークファイブのような要素が突然出てきたけど、この世界の俺の記憶を含めてそんなもの知らない。知っているだろう秋奈が口を開いた。

 

 「デュエルを教える塾だよ。基本ルールとか塾特有の戦術を教えるのが特徴だね。私は入っていないけど」

 

 「流星塾は高い倍率を誇る有名塾。弱小デュエリストには入る資格すら無いのは当然だ!」

 

 妹の秋奈を当然の権利のように貶すのは絶対的な自信か、はたまた虚勢か、その答えを知るには

 

 「ならデュエルといこうぜ。あんたの実力が本物か知りたくなった」

 

 「プロに勝った程度で調子に乗るな。君程度が僕に適うはずが無いだろう」

 

 「まあ受けないならそれでもいいさ。あんたの評価が知れるからな」

 

 「何だと?」

 

 「デュエリストがデュエルを受けない理由は三つ。

 

 一つ、そのタイミングでデッキを持っていない。又はデッキと呼べる代物がない。

 二つ、デュエル出来る状態じゃない。風邪とか事故後とかな。

 三つ、デュエルしても自分が負ける未来が見えるからしたくない。

 

 こんなところだな。もし三つ目だとしたらあんたは臆病者の負け犬だが、今の状態を見るとそうとしか思えないな」

 

 「このガキ……!」

 

 竜也はこめかみに青筋を立てて俺を睨みつける。それを気にせず俺は続ける。

 

 「一つ目のデッキの未所持だが、こんなイベントにデッキを持たずに来るアホはいない。二つ目は健康状態を参照するが、あんたは見る限り健康そのもの。そもそも風邪ひいてたり病気抱えているのにイベントに参加するなんてヤツはいない。よって二つ目も無い。よって消去法で三つ目だ。しかし恥ずかしくないんだな。デュエリストが聞いて呆れる」

 

 プロを倒したという箔もついた俺の実力は彼にとって未知数に映る。あの時使ったデッキの別展開でも予想しているんだろうか。少し考えるそぶりを見せると口元を歪ませた。

 

 「いいだろう。デュエルを受けよう。ライフはそっちに合わせて4000でやるかい?」

 

 「そっちに合わせて構わない。もう何回もやってるし、今更だ」

 

 「ふふっ……じゃあ見せてあげよう。僕の実力を!」

 

 

 

 「「デュエル!!」」

 

 睦月勝俊

  VS

 石木竜也

 

 LP8000

 

 「僕の先攻、僕は“ブレイドナイト”を召喚。カードを3枚伏せてターンエンド。ブレイド・ナイトは手札が一枚以下の場合、攻撃力が400ポイント上がって攻撃力は今2000だよ」

 

 「随分静かな立ち上がりだな。俺のターン、ドロー。早速で悪いがあんたのプランを全壊させてもらうぜ」

 

 「?」

 

 「手札から魔法カード“ハーピィの羽箒”を発動!相手の魔法・罠カードを全て破壊する」

 

 「何!?」

 

 俺の発動した羽箒が竜也の伏せカードを葬り去る。しかし流石に竜也もされるがままでは無かった。

 

 「伏せ(リバース)カード“スケープ・ゴート”発動!羊トークン4体を特殊召喚!」

 

 伏せられていたスケープ・ゴートで竜也の残ったモンスターゾーンを羊トークンが埋める。しかし他のカード“攻撃の無力化”と“DNA改造手術”が破壊された。

 

 「これで不安要素は消えた。お前を倒すプランは完成しつつあるぜ。俺は魔法カード“コール・リゾネーター”を発動。デッキから“リゾネーター”モンスター“クリムゾン・リゾネーター”を手札に加え特殊召喚。こいつは自分フィールドにモンスターが存在しなければ特殊召喚出来るモンスターだ。更に魔法カード“コマンド・リゾネーター”を発動。手札の“リゾネーター”である“クリエイト・リゾネーター”を捨てて、デッキからレベル4以下の悪魔族モンスター“風来王 ワイルド・ワインド”を手札に加え特殊召喚だ。こいつは自分フィールドにチューナーモンスターが存在すれば特殊召喚出来る。

 

 レベル4の風来王 ワイルド・ワインドにレベル2のチューナーモンスタークリムゾン・リゾネーターをチューニング。シンクロ召喚“レッド・ライジング・ドラゴン”」

 

 俺の召喚したシンクロモンスターに周囲が気圧されたように騒然とする。これでもまだ展開途中なんだけど。

 

 「ふ、ふふふ……確かにシンクロ召喚まで出来るとは予想外だった。しかしその攻撃力ならまだ倒すのは容易だよ!」

 

 「何勘違いしてるんだ?」

 

 「?」

 

 「まだ俺のメインフェイズは終了してないぜ!レッド・ライジング・ドラゴンの効果発動。シンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の“リゾネーター”1体を対象に特殊召喚出来る。この効果を発動するターン、俺はシンクロ召喚以外でエクストラデッキから特殊召喚出来なくなるけどな。クリムゾン・リゾネーターを特殊召喚。クリムゾン・リゾネーターの効果発動。俺のフィールドに存在するモンスターがこのカードと闇属性・ドラゴン族・シンクロモンスターのみの場合発動。手札・デッキから同名以外の“リゾネーター”を2体まで特殊召喚する。“シンクローン・リゾネーター”とクリエイト・リゾネーターを特殊召喚。

 

 レベル6レッド・ライジング・ドラゴンにレベル2のチューナーモンスタークリムゾン・リゾネーターをチューニング。シンクロ召喚“レッド・デーモンズ・ドラゴン”」

 

 「攻撃力……3000……?」

 

 「この程度で諦めんなよ。あと一回シンクロ召喚やるんだから。俺はレベル8シンクロモンスターレッド・デーモンズ・ドラゴンにレベル1チューナーモンスターシンクローン・リゾネーターとレベル3チューナーモンスタークリエイト・リゾネーターをダブルチューニング!!」

 

 「シンクロ召喚で……チューナーモンスターを2体使うだって!?」

 

 「いでよ“スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン”!!!」

 

 スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン ☆12 闇

 ATK3500/DEF3000

 

 スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンに視線が集まり、場はフェス同様の騒ぎをみせる。ギャラリーも増えてきた。

 

 「シンクローン・リゾネーターがシンクロ召喚の素材となって墓地へ送られた場合、墓地の“リゾネーター”であるクリエイト・リゾネーターを手札に加える。そしてバトルフェイズだ。スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力は墓地のチューナーモンスター1体につき500ポイントアップする。つまり攻撃力は」

 

 スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン

 ATK3500→5000

 

 「攻撃力……5000……!」

 

 「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンでブレイド・ナイトを攻撃。バーニングソウル!!」

 

 石木竜也

 LP8000→5000

 

 「ぐぅおおおおおおお!!!」

 

 「カードを一枚伏せてターンエンド。さあ、あんたの実力見せてくれ」

 

 とはいっても竜也の手札は一枚、フィールドは羊トークンのみ、壊獣あったら泣くけどあのデッキは()()()()()()()()()

 

 恐らくは羊トークンを使って“F・G・D(ファイブ・ゴッド・ドラゴン)”を召喚する気だったんだろう。初代のKCトーナメント編でデュエルロボが使ってたのを覚えてる。流石にサブギミックとして何か入ってるだろうけど攻撃力で言えばスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンを超える事は出来ない。

 

 「僕の……ターン!……くそっ」

 

 どうやら目当てのカードは来なかったようだ。次の俺のターンで終わりらしい。

 

 「この程度でイキってたのか。とんだ拍子抜けだな」

 

 「なん……だと……?」

 

 「あんたの実力がこの程度なら流星塾というのも大した事ないんだな。そこで教えてるのは相手への煽り方とイキり方だけか?」

 

 「……るな」

 

 「ん? なんだって?」

 

 「ふざけるな!僕の先生を馬鹿にする事は許さん!」

 

 どうやら逆鱗だったようだな。でも

 

 「ねじ伏せられるのは強者のみ。さあかかって来い!」

 

 「言われなくてもやってやるさ!僕は魔法カード“手札抹殺”を発動。お互いに手札を捨て、捨てた枚数のカードをドローする」

 

 「流石に一矢報いろうとはするよな。俺は1枚捨てて1枚ドロー」

 

 「僕も同じく1枚捨ててドロー。そして捨てられたカードは“ライト・サーペント”。このカードは手札から墓地へ送られた場合、墓地から特殊召喚出来る。そして来い()()()()()()()()()!!」

 

 竜也がライト・サーペントを出した場所はメインモンスターゾーンの真ん中。やっとエクストラデッキをまともに使うデュエリストが現れたか。

 

 「アローヘッド確認!召喚条件は【モンスター3体】、羊トークン3体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!! リンク召喚“パワーコード・トーカー”!!」

 

 パワーコード・トーカー LNK3 炎

 ATK2300

 

 「パワーコード・トーカーの効果発動!フィールドのモ表側表示ンスターを対象にその効果をこのターン無効にする!」

 

 「これでスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの攻撃力が3500に戻るという訳だな」

 

 「そうだ。そしてパワーコード・トーカーはダメージ計算時、自身のリンク先のモンスターをリリースして元々の攻撃力の倍に出来る。これで「それはどうかな?」な、何?」

 

 「伏せ(リバース)カードオープン“スカーレッド・レイン”。自分フィールドのレベル8以上のモンスターが存在する場合、レベルの一番高いモンスター以外のモンスターを全て除外する」

 

 「レベルの一番高いモンスター以外……でもそれならパワーコードは」

 

 「参照するのはレベルの一番高いモンスターだけ。それ以外は参照しない。リンクモンスターも除外される」

 

 「な……!」

 

 スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンの咆哮が轟く。高まったエネルギーが形をつくり、竜也のフィールドを蹂躙する流星群を化す。ライト・サーペントと羊トークンはなす術なく破壊され、パワーコード・トーカーはいくつか躱す事が出来たが、それでも降り注ぐ破壊の雨からは逃れられなかった。

 

 「そ、そんな……僕のモンスターが……全滅……?」

 

 「そして除外されなかったモンスターはこのターン終了時まで自身以外のカード効果を受けない。スカーレッド・ノヴァを効果で除去しようとしても無駄だ」

 

 尚、リリースは死ぬ。

 

 「ぼ、僕はこれでターンエンド」

 

 「ライト・サーペントは手札入れ替えの際に活用出来ると踏んだ故か? もう少し練り直せるデッキだな。まあそれは俺の考える事じゃないか。俺のターン、このままバトル。スカーレッド・ノヴァ・ドラゴンでダイレクトアタック!!」

 

 LP5000→0

 

 「ぐぅ……ああああああああああああ!!!」

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 他のデュエリストより伸びしろはあると感じたが、今一つ足りないな。そこは時間が解決するとは思うが、それはこいつ自身の問題だしいいか。

 

 「そんな……僕が……何も出来ずに負けるなんて……」

 

 「なーんだ。こんなガキに負けるとか、大したことないじゃん」

 

 「ほんとほんと、散々イキってた割にこの程度かよって感じw」

 

 「じゃああんたらもやるか?」

 

 「「え?」」

 

 竜也を馬鹿にするように笑っていた取り巻きの女性達へ俺はデュエルディスクを構える。馬鹿にするって事はそれだけの力量があるって事だもんな?

 

 「タッグで構わないぜ? お前達にどれだけの実力があるのか、これで確かめてやる。さあどうした? デュエルディスクを構えろよ」

 

 「え、いや……」

 

 「わ、私達は……デュエルは見る専っていうか、デッキはあるけど」

 

 「なら出来るな。さあデュエルだ」

 

 「「え、ええぇ……」」

 

 恐らく今の俺は小学生には似つかわしくないデュエリスト特有の顔芸でもしてるんだろう。皆の俺を見る目が闇マリクを見る遊戯達のそれだわ。

 

 「こら、勝ちゃん。皆怖がっちゃってるよ。勝ちゃんのデュエル見て勝ちゃんとデュエルしたいなんていう人いると思う?」

 

 「秋奈……だが俺はあいつらとデュエルしないといけない。デュエルで人を馬鹿にするなら、潰される覚悟を持ってるはずだろ」

 

 「そんなに覚悟キマッてる人そういないよ。皆さん、勝ちゃんとデュエルしないのなら早いところ帰った方がいいと思います。勝ちゃん、このままにしとくと無理やりにでもデュエルしようとしかねませんから」

 

 失礼な。ちゃんと話し合い(デュエル)で決着つけるさ。

 

 「デュエルを話し合いって言わないの」

 

 心を読まれた……だと……!

 

 「っ……ふん!」

 

 「そんなヤツ知らねーしバーカバーカ!」

 

 三下のような捨て台詞を吐くと取り巻き達は走り去っていった。ギャラリーも散り、俺達だけになる。

 

 「……笑え、笑えよ。僕は君を馬鹿にしていたというのに、このザマだ」

 

 意気消沈した竜也は俯いて自嘲する。そんな竜也に透真さんが近寄る。

 

 「竜也、今日は秋奈の付き添いという事でフェスの参加を許可したはずだ」

 

 「……」

 

 「遊び歩くのはいい。でもお前にはお前のやる事が、秋奈を守るという役目があった。お前がそれを守らなかったから秋奈は高校生に傷つけられたんだそうだ」

 

 「っ!あ、秋奈が……!」

 

 「そうだ。それを助けてくれたのがそこの睦月さんの息子さんだ。お前の尻拭いをしてくれた相手に対してお前の態度は決して褒められたものではない」

 

 「……」

 

 竜也は何も答えない。それを見越していたのか透真さんは視線を俺に向け、竜也が何か言いかけたのを頑として聞かない姿勢を見せる。

 

 「勝俊君、虫のいい話とは思うが今日の事は許してもらえないだろうか。秋奈については私達の家の問題で、竜也の事も私達が甘やかした結果だ。これから正していく。それをもって許していただきたい」

 

 透真さんが持ち掛けた話は確かに虫のいい話だった。でも

 

 「いいですよ。彼がほったらかしにしたから秋奈と会えたんだし、悪いだけじゃなかった」

 

 秋奈と会わなかったら彼女が陽菜の転生体とも知らなかったし、それも竜也の身勝手な行動がもたらしたものだ。

 

 「勝俊君……ありがとう」

 

 「……」

 

 竜也は何も言わないが、まあいいだろう。

 

 「今日はもう帰りましょう。最後に連絡先だけもらえますか?」

 

 「勿論。これだよ」

 

 透真さんから自宅の電話番号を、秋奈からはメールアドレスを教えてもらった。

 

 「ありがとうございます。秋奈、なにかあったら連絡するよ」

 

 「うん、ありがとうね」

 

 「よーし、それじゃあ帰るか」

 

 父さんの一声で皆歩き始めた。でもこの後秋奈といられないと考えると少し寂しいかな……

 

 「あ、そういえば勝俊」

 

 「どうしたの?」

 

 「石木さんの家はうちの近くだからいつでも会いに行けるぞ」

 

 「マジで?」

 

 前言撤回。楽しくなりそうだ。




 先攻ワンキルデッキ組みました。
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