父さんと引っ越してから二日経ち、すっかり記憶の彼方に消えていたデュエルフェスの日になった。あの町が田舎だったからデュエルのレベルが低かったのか、それを確かめる為、そしてレアなパックもあるらしいからそれを手に入れる事も大切だ。こちらに来てから一回しかパックを剥いてないし、何か掘り出し物があるといいな。
「勝俊、本当に大丈夫か?父さんは仕事に行くが、何かあったらすぐに電話するんだぞ?」
「大丈夫だよ父さん。そうならないように注意してるから」
「しかしそれであんな事になったんだ。心配だってする。くれぐれも無理はするな」
父さんはそれだけ言うと仕事に行った。心配してくれてるんだろうけど仕事優先だから本当はそこまでなんだろうさ。
「さーて、軍資金もたっぷりあるし、パック買って開封式だ!」
俺は喜々として物品コーナーに駆けた。
人混みの中では走らないようにしよう!勝俊との約束だぞ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「大方買えた。鞄もいっぱいだな」
限定のファイル、スリーブ、デッキケース、そしてパック。複数買いや予備も合わせて軍資金の六割を使ってしまった。小学生から万以上を使うって教育上よろしくない気もするが、精神的には高校生だし大丈夫……か?
「まあ後は特別デュエルを待つだけ……だが」
こういうイベントはトラブルもあるものだ。悲しいが
「へっ!こんなカードしか無いのにデュエルフェスに来るんじゃねえよ!」
「そうだそうだ!デュエルフェスはお前みたいな雑魚のイベントじゃねえんだよ!」
下品な笑いをあげて小学生の女の子のであろうカードを投げ捨てる。高校生グループだろうけどにしてもマナーも無いなんてな。
「アンティルールだ。お前の限定パックと有り金、全部寄越せ」
「そ、そんな約束……してない……」
「うるせえ!負けたんだから俺の言う通りにすればいいんだよ!」
ギャラリーも遠巻きにしか見ていない。黙らせるくらい出来るだろうに、いやー俺がやるっきゃないかー(棒)
「んぉ?なんだお前」
「邪魔だ」
「っ!おい!」
高校生をどかし、床に散らばったカードを拾って女の子に渡す。爽やか(笑)な笑顔も忘れずに。
「ほら、君のカードだろ?」
「え、えっと……」
「まあまあ、後は任せて。こういうのには慣れてるから」
慣れざるを得なかったんですけどね。高校生に向き直り、デュエルディスクを構える。
「俺とも、デュエルしてもらおうか」
「なんだとこのガキ!この俺が誰か知らないみたいだな」
「全く知らん。誰だお前は」
高校生グループは昔のアニメみたいにズッコケる。本当にこんなリアクションあるんだ。
「知らないようだから教えてやる。俺は結閃高校のエース!“
「エースがこんなみみっちい事してるって事は、その高校のレベルもたかが知れてるな」
間髪入れずに入れたコメントにギャラリーから笑いが吹き出す声が聞こえる。俺の考えに共感する人は多いようだ。
「て、てめえ……もうキレたぜ。そのデュエル受けてやる。泣いて謝っても遅いからな」
「ライフはそちらに合わせよう。その方がやりやすいだろ?」
「舐めやがって、後悔しやがれ!」
「「デュエル!」」
睦月勝俊
VS
鯉登良治
LP8000
「先攻は俺が貰うぞ。俺はフィールド魔法“炎王の孤島”を発動!その効果で手札・フィールドのモンスター1体を破壊し、デッキから“炎王”モンスターを1体手札に加える。“炎王獣 ガネーシャ”を手札に加え、召喚!これでターンエンドだ」
流石に高校生なだけあってシナジーも考えるか。しかも破壊したのは“ネフティスの鳳凰神”。次のターンには来るが、これなら問題ない。
「俺のターン、ドローしてメインフェイズ。あんたのフィールドのガネーシャをリリースして“海亀壊獣ガメシエル”を相手フィールドに特殊召喚!」
「何!?」
ソリットビジョンの海がガネーシャを飲み込み、亀がモチーフとなったモンスター、ガメシエルが現れた。攻撃力を上げる結果となったが、今時決着を付ける時以外攻撃力なぞ飾りでしかない。
「俺のフィールドを強固にしてくれてありがとうよ。攻撃力の計算をするのもデュエリストなんだぜ~?」
「お前のガネーシャ、面倒な効果を持ってるのは知ってるんだよ。強がりはやめろ」
鯉登は小さくだが確かに舌打ちする。どうやら図星らしいな。
「俺のターンは始まったばかりだ。“ダイナレスラー・パンクラトプス”を特殊召喚。このモンスターは自分フィールドのモンスターの数が相手より少ない場合、特殊召喚出来る。パンクラトプスの効果発動。“ダイナレスラー”を1体リリースし、相手フィールドのカード、炎王の孤島を破壊する!」
「!炎王の孤島は破壊されたら、フィールドのモンスター全てを破壊する……」
ガメシエルには申し訳ないけど、これで道は見えた。
「“ダイノルフィア・テリジア”を召喚。召喚時、デッキから“ダイノルフィア”罠カードを魔法・罠ゾーンにセットする。“ダイノルフィア・ドメイン”をセット。手札の“幻創のミセラサウルス”を墓地へ送り、魔法カード“ワン・フォー・ワン”を発動。デッキからレベル1の“珠玉獣-アルゴザウルス”を特殊召喚。アルゴザウルスの効果発動。フィールドの恐竜族モンスターであるアルゴザウルス自身を破壊し、デッキからレベルの同じ爬虫類族・海竜族・恐竜族モンスター1体、または“進化薬”魔法カードを手札に加える。“究極進化薬”を手札に加え、発動!墓地の恐竜族であるパンクラトプス、恐竜族以外のモンスターであるガメシエルを除外し、手札・デッキからレベル7以上の恐竜族モンスター“
究極伝導恐竜 ☆10 光
ATK3500/DEF3200
「攻撃力……3500がワンターンで!」
「バトルフェイズ! テリジアで攻撃!」
鯉登
LP8000→6500
「くぅ!」
「究極伝導恐竜でダイレクトアタック!」
LP6500→3000
「があああっ!!」
「カードを1枚伏せてターンエンド。さあ、あんたのターンだ」
「お、俺の……」
鯉登の手は震えてる。ここまで一方的とは思わなかったか、思っていたとしても俺が負けると考えてたんだろうな。
「全く呆れたものだ。もうギブアップかよ」
「な、なんだと!」
「戦意を失った奴と戦う気は無い。もうやめろ。サレンダーも認めてやる」
本来デュエルモンスターズにサレンダーは無いが、この世界では許されている。デッキに手を置けばそれはサレンダーのサインになる。
「……ふざけるな!そんな事、許されるものかーーー!俺のターン!このスタンバイフェイズにネフティスの鳳凰神は復活する!」
「あ、それダメ。カウンター罠“神の通告”を発動」
「え?」
「ライフ1500を払って自分または相手がモンスターを特殊召喚する際にそれを無効にして破壊する。ネフティスは墓地での効果でそれを無効、墓地では破壊されないから次のあんたのスタンバイフェイズに復活しない。オーケー?」
LP8000→6500
「な……」
「それで、何か他にあるか?」
「……モンスターをセットして、カードを1枚伏せてターンエンド」
「ならエンドフェイズに
ダイノルフィア・ケントレギナ ☆6 闇
ATK4000/DEF0
勝俊
LP6500→3250
「ここで……攻撃力4000!?」
「しかし、ケントレギナはデメリットで俺のライフ分攻撃力を下げる。つまり今は750だ」
「な、なんだよ。ビビらせやがって……」
「だが、これで俺のターン、しっかりトドメさしてやるよ。ケントレギナの効果発動!ライフを半分払い、墓地の“ダイノルフィア”通常罠カードを除外し、ケントレギナの効果は除外した罠カードその発動時の効果と同じになる!」
勝俊
LP3250→1625
「再びテリジアとディプロスをデッキから墓地へ送り、融合召喚!“ダイノルフィア・ステルスベギア”!!」
ダイノルフィア・ステルスベギア ☆6 闇
ATK0/DEF2500
「こ、攻撃力0かよ。同じのが出てくると思ったけどそんな事無かったな」
「俺の目的はライフを削る事だ。これでケントレギナは2375。削り切るには十分だ」
「そ、そんなライフを削る事前提のデッキってなんだよ!」
本当に何なんだろうね。でもケントレギナ可愛いしいいでしょ。
「バトルフェイズ!究極伝導恐竜で裏守備モンスターに攻撃!」
伏せモンスター→炎王獣 ガネーシャ
「ガネーシャは破壊されるが、これで効果が発動「しないぞ」……は?」
「究極伝導恐竜の効果、守備モンスターを攻撃したダメージステップ開始時に発動出来る。相手に1000ダメージ与えてその守備モンスターを墓地へ送る」
「だ、だけど破壊されるなら……」
「破壊の段階は踏まない。ただ墓地へ送るだけだ」
「そ、そんなのアリかよ……」
鯉登
LP3000→2000
「ケントレギナでダイレクトアタック!」
LP2000→0
「お、俺がこんなガキにいいいいいいい!!」
正に敵役のような断末魔をあげながら吹っ飛ばされる。そして俺は女の子に向き直り
「ガッチャ!! これからは、楽しいデュエルをしようぜ!」
三本指を伸ばし、キメ顔(爆)を作って笑ってみせた。
4ターンで終わると文字数少ない……少なくない?