ヒト並みウマ娘 作:aa
あれ、待っている人いる…?
ワイワイガヤガヤ…
そこには、大勢の着飾った人々が行き交っていた。
嬉しそうな声、悲しそうな声、いろんな声が聞こえてくる。
その聞こえてくる声たちのなかでも特に聞こえてくるのは
楽しそうな声だった。
歩くと、いい匂いが漂ってくる。
それもそのはず、美味しそうな露店が沢山並んでいる。
甘辛いソースが絡んでいる焼きそば。
揚げている音が聞こえる唐揚げ。
甘い匂いが鼻から離れないりんご飴。
どれも美味しそうだ。
でも、それに気を取られている暇はない。
もうあの人は着いているだろうか…。
出来れば先に待っていたいのだが…。
約束の場所が見えてきた。
残念ながら先に待っていたいという願いは叶えられなかったようだ。
今日は夏祭り、デートをする日。
◆
私の名前はグラスワンダー。
デートをすることになったのは、数日前に遡って話さなければならない。
「・・・うーん」
トレーニングの休憩中、横にいたトレーナーさんが突然唸りだした。
「どうされたのですか?なにか、悩みごとでも?」
「えーと、もうすぐ祭りがあるじゃない?今年はいつもと違って合宿に来てる子どもが多いじゃない?それで去年より見回りとか注意しないといけなくなったの。それはいいんだけれど、トレーニングする所も少なくないから見回りをする大人が少ないのよね…ここは祭りの日は休みにする予定だから、見回り組に入るんだけど…絶対キツいんだろうなぁ…って聞いてる?グラス?おーい?」
夏、祭り…
メンシアさんと行ってみたい。
けれど、あの人は人気だし、もう誰かと行く予定が出来ているかも…
「・・・ほおん?なるほど、一緒に祭りに行きたい人がいるが、行けないと思って誘えないんだなー?」
「っえ!?な、何をいって…」
「顔に出てたわよ?もう、そう思うなら一回誘ってみたら?」
「で、でも…」
「でもじゃないわ!デートに誘うことさえ出来ないウマ娘なんて、G1なんて夢のまた夢!分かったらとっとといきんしゃーい!」
「は、はい!」
私はうなずいて、メンシアさんのところまで走っていった。
「っふ、若いって良いわね…」
◆
「あ、あの!メンシアさん!」
「お?ぐーちゃんじゃん。どしたの?」
「わ、私と夏祭り行きませんか!」
「ええよ」
「ですよね…もう約束…え?」
「いいよーって言ったよ?」
「良いんですか!?スペちゃんとか、夕莉さんとかとは行かないんですか?」
「夕ちゃんはスズカさんが走るらしいからトレーナーとして付いてるんだって。スーちゃんはトレーナーさんにはお世話になってるから見回りの手伝い。あと二人同じグループの子がいるんだけど、その子たちは一緒にまわるらしいよ?なんでも同じ者同士らしい。何が同じなんだろ?」
・・・これは予想外だった。もう約束をしているものだと思っていた。
集合場所を決めた後、私はトレーニングに戻った。
「・・・ふふ、おめかしなきゃ、ね」
◆
「これで大丈夫かしら…?」
私は白の生地に水色のアサガオの刺繍がされている浴衣を青い帯で巻いて着ていた。
「・・・よし、行こう」
悩んでいてもしょうがないと思い、私は約束の場所へ行くことにした。
道中美味しそうな匂いに誘われてしまいそうになったが、スぺちゃんじゃあるまいしと、逃げるように急いだ。
そろそろ約束の場所が見えてくるはず。
先に待っていたいが・・・残念ながらそれは叶わないようだ。
メンシアさんはそこにいた。
「すいません、遅れてしまいました…」
「いやいや気にしなくてもいいよ~待つのも楽しかったし」
「・・・そう言ってくれると嬉しいです」
「浴衣きれいだねー。ぐーちゃんがきれいだからかな?」
「ふふ、とても女性たらしですね?そういうメンシアさんは着ていないですが…?」
「えっ服は着てるよ?もしかして見えてないの?」
「違います!浴衣ですよ!」
「分かってるよー!動きずらい服苦手なだけだよ、持ってないし」
「そうですか…見てみたかったです…」
「しょうがないなぁグラ太君は。じゃあ今度一緒に買いに行こう?もう遅いかもしれ「はい!ぜひそうしましょう!」食いつきがすごい。
まあここでしゃべってばっかもあれだし、そろそろ行こうかー」
「そうですね、そうしましょう」
◆
私達は一緒に屋台をまわることにした。
「あ、金魚すくい」
「ぐーちゃんやりたい?」
「いえ、寮は動物を飼うのを禁止していますから」
同居人は平然と飼っているが。
「じゃあ、私の家で育てるよ。丁度母さんが魚飼いたいって言ってたし」
「金魚でいいんでしょうか…では、お言葉に甘えて」
早速捕まえよう、そう思ったが…
「ぜ、全然つかまりません…」
「もしや金魚すくい初めて?」
「実は、そうなんです…」
これで五回目の挑戦、しかし、
「あ…」
破れてしまった…
「よっしゃ、まかせてみ?」
「まさか、得意なんですか?」
「ふっふっふ、実は…」
あ、破けた
「超苦手!」
「苦手なんですか!?なら、無理してやらなくてもよかったのに…」
「かっこいいとこ見せたかったんだけどねー。そんなうまくはいかなかったよ」
「・・・もう、たくさん見てますよ」
「お?なんか言った?」
「いえ、何も」
◆
この後も、いろんなところをまわっていった。
たこ焼きや唐揚げを分け合ったり、かき氷を食べて笑いあったり、焼きそばの屋台でなぜか焼きサバを焼いている葦毛のウマ娘を見つけたりして、楽しんでいた。
すると、メンシアさんが何か見つめていることに気付いた。
目線の先には射的があった。
「やりたいんですか?射的」
「ん?ああ、そうだね、ちょっと欲しいものがあって」
「なんですか?」
「キーホルダー。ちょっとやってみていい?」
「いいですよ、メンシアさんがやりたいなら」
「よっしゃー!当てるぞー!」
そう言って、お金を払い、銃を構えた。
パン! ポス
「当たった!やったぜー!」
「一発で当てるなんて、流石です!」
「まあ、たまたまだけどね。ほい、これ」
「え?くれるんですか?欲しくてやったんじゃあ…」
「うん。ぐーちゃんに似合うと思って。いらなかったらいらないでいいんだけど」
渡されたのは青い鳥のキーホルダー。
幸せの…青い鳥…
「ありがとうございます、一生大切にしますね」
「そんなに嬉しかったの?そう言ってくれると私も嬉しいよ」
「大好きです…メンシアさん」
「私もだよ?ぐーちゃん」
メンシア「キーホルダーきっと似合うんだろうなぁ」←特に考えなし