ヒト並みウマ娘 作:aa
ガンちゃんのお願いの詳細を聞くため、私とガンちゃんは中庭に移動した。
「・・・で、改めて聞くけど誰を説得してほしいの?」
「はい、ライスシャワーさんです」
「どうして、というか何を説得してほしいのよ?」
「・・・ライスさんは、もうレースには出ない、出たくないと言っているんです」
「つまり、出るように説得してくれと」
「はい。私も説得するというMissionをCompleteしようとはしたのですが、逃げられてばかりで、失敗してるのです」
「途中の英語なんか滑らかだったね。なんで出たくないって言ってるんだろう…あのレースが絶対関係してるんだろうけど…まあ本人から聞くことにしようか」
「!では…」
「よし、どこにいるか分かる?」
「任せてください。このミホノレーダーを使えばあっという間に…」
◆
「見つけられました」
「タイム四十分ジャスト!早いな…強いて言うならただのしらみつぶしだったけど」
ここは裏庭、物陰に隠れている私達を除けば、ライスさん一人…!
「どうしますか?このまま行っても逃げられますが」
「・・・・ここで待ってて。一人で行ってくる」
そういって私はライスさんの前に…いや後ろだな、に立った。
「!だ、誰ですか…?」
「だ、誰ですか…?と聞かれたら、答えてあげるが世の情けってね。ドーモ。ライス=サン。メンシアです。」
「え、えっと、メンシアさんですか?」
「あ、そうですそうです。前のレース見ましたよ~。かっこよかったです!」
「・・・まさか、あの時、声を出してた…?」
「あらやだ、認知されてたんだ。嬉しい」
「・・・なんの…用ですか?」
「どうしてレース出たくないんですか?」
「・・・あなたも…レースに出ろって言うんですか?」
「いや?言いませんけど?」
「え…?」
「まあ確かにガンちゃん…ブルボンさんに説得してくれとは言われたけど、なんで出たくないのか聞きたかっただけだし。やめるやめないは個人の勝手だし」
「・・・そんなこと、ライスに言う人、初めてです」
「えっ他に言う人いそうだけど…そうそう、もっかい聞きますね、なんで出たくないんですか?あっ聞かれたくなかったら言わなくていいです大丈夫です」
「・・・ライス、幸せの青いバラに…ヒーローになりたかったんです。皆を笑顔にできる、ヒーローに。でも…ダメだった。レースに出ても、皆を不幸にするだけ…ライスが勝ったら、不幸にしちゃう…」
「へー、勝つとは思ってるんですね」
「え…?」
「いや自分が勝ったらって、勝つ自信はあるんだなって」
「そ、そんなつもりじゃ!」
「いいじゃないですか!自信があることはいいですよ!特に勝負事をする人は大事だと思います!」
「・・・」
「っと、ちょっと話ずれちゃいました?ヒーローになりたいんですね。でも、誰かが言ってましたよ。
ヒーロー…英雄は、英雄になろうとした瞬間、失格なんですって」
「!…じゃあ…じゃあ…!」
「だから、なにもしない?それも私は違うと思います。たとえ、弱かったり、運がなかったり、不幸だったとしても、それがなにもしない理由にはならない」
「っ・・・」
「惑わしてばっかりですいません。でも、最後に道を決めるのは周りじゃない。自分自身。まあ、レース以外にもいろいろ人を幸せに出来ることなんて、たくさんあると思いますけどね。自分で探すべきですよ。・・・あ、そうだ。最後に一つだけいいですか?」
「な、なんですか?」
「あなたの走りで、私は笑顔になりました。あなたは私のヒーロー。誰がなんと言おうともね。多分、あなたのライバルになれる人も同じ考えですよ。では、これで~」
◆
と、言ってきたものはいいもの…
「私矛盾言ってない?大丈夫?これ」
「まあ、英雄は~ってくだりはいらなかったかも」
「えっもう言ってきたんですよね?今さら悩みます?」
「・・・」
怖くなって夕ちゃんと美羽ちゃんのとこまで来たよ!ガンちゃんもいるよ
「正直、ガンちゃんが望んだものじゃないでしょ。それは本当にごめん。でも、人の生き方は自分以外に決めれる人はいない。そう思っているから、私は」
「いえ、問題ありません。確かにレースに出てほしいと思う感情は私のものでした。勝手に決めていいものではありません」
「・・・でも、見たかったな~あの走り。正直見てきたなかで一番好きかも」
「メンシアちゃんまだレースあんまり見たことないでしょ。でも確かによかったな~」
「・・・スズカさんに言いつけておきましょうか」
「一番はスズカさんに決まってるって!」
「あ、あの!」
呼ばれた方を見てみるとそこにいたのは
「ライスさん?」
「「あ、じゃあ私はこれで」」
「逃げられた!…えーと、なにか?」
「た、確かにヒーローになろうとしたら、もうなれないかもしれない…でも!ライスの走りで、少しでも、少しでも笑顔になる人がいるなら、走り続けたい!誰かのヒーローになれるなら、なりたい!だから…だから、ライスは、走ります!」
「まさか、その宣言をするために探してたんですか?」
「ひゃっ!お、おかしかったですか?」
「いやいや、最光ですよ。で?ガンちゃん。どう思う?」
「ライスさん…私にとっても、あなたはヒーローです。ですが、私のエゴであなたを引き留めるわけにはいけない。それでも…エゴを言わせてください。どうか走ってくれませんか?私の…ヒーロー」
「・・・ふふ」
「?なにかおかしな点が?」
「ライス、走るって宣言しに来たのに、『走って』ってお願いされるなんて…」
「・・・!そうでした。そう、言ってました」
「ブルボンさんも、恥ずかしがるんだね?」
「み、みないでください!」
もうそこに、メンシアはいなかった。