ヒト並みウマ娘 作:aa
ライスシャワーさん…ライちゃんの説得から数日後、私達は普通に仲良くなっていた。
「め、メンシアちゃん!今度ブルボンさんと一緒に、新しく出来たカフェに行かない?」
「え、いいの?行く行く!夕ちゃん達もいい?」
「うん、もちろんいいよ。じゃあまた後で連絡するね」
「はーい。ありがと、ライちゃん」
ライちゃんと会話して、別れた後私は本来の目的の
新しいメンバーにカレンチャンを加えたり、美羽ちゃんが並走を付き合ってあげてたり、いろいろ変化している今日この頃。
「いかがお過ごしでしょうか~」
「誰もいないと思って独り言を喋っていると危ないよ、キミ」
「うお!?ビックリした~…」
目の前から急にウマ娘が出てきて脅かす方も悪いと思うんですけど…
「っと、邪魔になってました?すいません、退きますね」
「いや、そんなことはない。目的はキミだからね、メンシアベレージ君」
「・・・」
「おっと、名前を知られていることが不愉快だったかい?すまないねぇ、情報は先に「名前をフルでよぶ人始めてかも…」そこかい?」
「いやそんなことなかった。ルドちゃんに初めてあったときもフルだった」
「ルドちゃん…というと、あの生徒会長か。あの皇帝をあだ名で呼べるとはキミはなかなか凄いねぇ?」
「・・・」
「・・・?どうしたんだい、そんなに私の顔を見つめて」
「ちょっとねっとりした感じで、トリガーって言ってみてくれませんか?少し憎む感じで」
「えっ急になんだいキミ…『トリガー』…これでいいかい?」
「すごーい!似てる~!」
「何にだい!?…これじゃ話が進まない、名乗らしてもらうよ。私の名前はアグネスタキオン。
突然だが、この薬を飲んでくれないか?」
「え、いいですよ」
「まあまあ、そんなに怪しいものじゃ…え?」
「じゃあ、いただきます」
ゴクッ
ピカー
「・・・キミもなかなか、イカれてるようだね」
「ま ぶ し い。えっこれどうなってんの?え?え?」
「安心してくれ、光ってるだけだ」
「そっかぁ、ひかってるだけかぁ」
「私が言うのもなんだがそれで安心するのかキミは…で?身体に何か変化はないかい?」
「光ってます」
「違うそうじゃない。いやあってるんだが…少しジャンプしてくれ」
「はーい、よっと」
「よく言うことを聞くね。怪しいとは思わないのかい?ジャンプは変化なし…」
「えー?トレセンの制服着てますし、私の勘が言ってます。悪い人じゃないって」
「・・・勘、か。まあいい。本題だ。この廊下を少しでいい、走ってくれ」
「はいはい、走りました」
「・・・おかしい、どこを間違えた?」
「えーと、私は「ヒト並みにしか走れない、だろう」え、知ってるんですか。なら…」
「キミは!走りたくないのかい!?」
「うおっ!?ビックリした!」
「キミもウマ娘だろう?なら、速くなりたいはずだ!」
「・・・えーと、なんでこんなことしてくれてるか、教えてくれますか?」
「・・・いいだろう」
◆
私は、ガラスの脚なんだ。
本気で走れば、容易く割れてしまう、ガラスの脚。
この脚を、壊れない『強化ガラス』にするために、そして閃光をも超えるために、日々研究を続けていた。
ある日、研究に行き詰まってると、ある噂が聞こえてきた。
ヒトと同じ速度でしか走れないウマ娘がいるとね。
そうキミさ、メンシアくん。
それを聞いた時は、そんなウマ娘がいるのかと思ったよ。
興味本意で様子を見に行くと、本当にヒト並みにしか走れないキミを見た。
そこで、思い出したのさ。
プランBを。
私には元々プランが二つあった。
一つは、自分自身が限界に挑むプランA。
そしてもう一つは私ではない別の誰かを私がサポートし、限界に挑むプランB。
心の中ではもう分かっていたんだ。
プランAなんて限りなくゼロに近い成功率なんだ、と。
◆
「そこでキミを見つけたんだ。運動能力が低いが、それ故に実験を手伝ってくれるだろうと!」
「へー。あ、話の途中で光が消えました」
「真面目に聞いていたのかい?まあいい、一応聞いておこう。私のプランBに付き合ってくれるかい?」
「嫌ですけど」
「そうかそうか、いやなのkえー!?ど、どうしてだい!?」
「前から言ってますけど、私別に走りたくないですよ?ウマ娘の本能限りなくゼロに近いし。それに…」
「・・・それに?」
「自分で作った夢を諦める人のためには動きたくないから」
「・・・っ」
「昔からの友達ならともかく、今あったばかりの人にお願いされてもできません。人の夢のために動いても、私の夢じゃないんです。本気で挑めません」
「私が…私がどれほどの思いで決めたか分かっているのか!」
「分かりませんよ!簡単に自分の夢を他人にまかせられる人なんか分かるか!」
「・・・私だって…私だって走りたいさ。じゃあどうすればいいんだ…」
「・・・ライスシャワーは一度は走るのをやめようとしたんです」
「らしいね…」
「でも、走るのをやめなかった。それは、いろんな人に支えられてたからです」
「それがどうしたって言うんだ…」
「私は、誰かの夢にはなれないし、叶えることは出来ない。でも、支えることはできる」
「・・・まさか」
「実験台でも何でもなってやる!だから自分で自分の夢を…プランAを!やりましょう!」
「・・・」
「・・・」
「・・・くっ…くくっ…ふぅうはっはっはっは!」
「うお、ビックリした!?」
「最初に戸惑いなく薬を飲んだ時にイカれてると言ったが…キミはイカれすぎてるね!」
「褒められてる?これ」
「褒めてるさ!さぁ、キミと仲良くしているチームのとこまで連れていくんだ!」
「え、なんで?」
「そっちの方が楽だからさ!丁度良く私にはトレーナーがいなくてねぇ」
「・・・まあ、なんとかなるか~」
すまないね、メンシアくん。そして、ありがとう。