ヒト並みウマ娘 作:aa
「どうして倒れるほど走ってたんですか?」
私は公園にあった自動販売機で買ったスポーツドリンクを渡しながら訪ねた。
「・・・最近模擬レースで勝ててないんです」
「ホントにそれだけですかー?ほかに理由がありそうですけど。あと敬語いいですよ、私より年上ですよね?サイレンススズカさん?」
「!どうして私の名前を知っているの?」
「えっ自分が有名なことご存じない?結構有力視されてるんですよ?」
「私は走るのが好きなだ…け…」
そこでスズカさんの顔が曇った。はっはーん?
「さては今楽しく感じてないですね?」
「どうしてわかるの?」
「結構顔に出てましたけど…今どういう走りされてるんですか?」
「先行…だけど…?」
「いやー出来なくもないですけど、一番いいのは逃げでしょ。それで芝のマイル、中距離が得意な脚」
「見ただけでわかるの?」
「いやー素人の感想ですよ?本職の人には負けますよ!」
「トレーナーでも少ない方だと思うけど…実はトレーナーさんの指示で先行にしてるの。そのときから走るのが楽しく感じれなくて…」
「先行は勝ちの定石って言いますもんね。でも向きませんよ。スズカさんには逃げが一番ですよ!抗議したりしなかったんですか?」
「一度相談したんだけど―」
◆
「あの、トレーナーさんちょっといいですか?」
「どうしたスズカ?」
「あの、一度逃げで走ってはいけませんか?」
「・・・スズカ」
「は、はい」
「逃げなんかよりも先行の方が安定する。スズカも勝ちたいだろ?」
「で、でも「それとも勝ちたくないのか?」・・・分かりました」
◆
「―てことがあって」
「下手くそですね。ホントにトレーナーなんですか?」
「結構きつく言うのね…」
「だって、本人がやりたいって言ってるのに、試しすらしないなんて、トレーナーとしてどころか人として下手くそですね」
「凄く言うわね!?」
「それと次の模擬レース
逃げで走って見てください」
「!?でっでもトレーナーさんに怒られ「子どものヤンチャを一つ二つ聞けない大人なんていいんですよ」ウソでしょ…」
「走りたいんでしょ?自分の人生なんです。他人の言うことばっか聞くんじゃなくて、自分のやりたいことをすればいいんです!」
「・・・わかった、走ってみる。ありがとう、相談に乗ってくれて」
「いやいやこちらこそ話してくれて嬉しかったです!こんな貴重な体験もう一生出来るかどうか…!」
「ふふ、大げさに言うわね。見に来てくれる?次の模擬レース」
「ええ!もちr…いまなんて?」
「?次の模擬レース見に来てくれる?って」
「どこでやるんですか…?」
「トレセンだけど…」
「一般の人は入れないのでは?」
「次の模擬レースは確か一般公開してるって聞いたような…」
「え、
ええええええええええ!?」
◆
「で、一人では心細かったから私を誘ったと」
「ダメだった?」
「ダメだと思う?」
「いや?」
「「ぐへへへへ」」
「今回は道案内ありがとうねスーちゃん」
「いえ!私も気になっていたので!スズカさんの走り!」
「ありゃ、面識アリ?」
「同じ部屋なんです!」
そういえばトレセン寮だったね。
「じゃ、いきますかー!」
「「おー!」」
◆
うん、コンディションはバッチリ。あの子は―そういえば名前を聞いてなかったわね、いるかしら?
あ、スペちゃんと…誰だろう?友達?といるわね。
スペちゃんが手を振ってくれた。あの子も。
ふふ、なぜだか分からないけれどいける気がする!
◆
結果は圧勝だった。
「凄いですスズカさん!」
「私の目は間違っていなかった」
「夕ちゃんトレーナーにでもなったら?才能あるよ絶対」
「そんなことないよー。私より凄い人なんてたくさん―」
「いないでしょ」「いないと思いますよ?」
「そんなことより!行ったら夕ちゃん?多分喋りたがってると思うよ」
「いやーそんなこと「私もそう思います!行ってあげてください!」スーちゃんまで…わかった。行ってくるよ」
◆
どこかなーっといたいた。・・・あれはスズカさんのトレーナー?
「なんだあの走りは!俺は先行で行けと言ったよな!?」
「で、でも「口答えするな!お前は俺の言うことだけ聞いてればいいんだ!」…ぅう」
「さっきから聞いてみれば最悪ですねあなた」
「だ、誰だ!」
「サイレンススズカの一ファンですよ。やっぱり、トレーナーとしても人としても下手くそという私の感想は間違っていなかったみたいです」
「なんだと…!?」
「嫌がっているのに先行で走らせ、しかも聞かなければ暴言。何が間違っているんですか?」
「うるさいっ!今度こそ、今度こそ…!勝たなければ、俺は解雇される…!俺はこんなところで消えていい存在じゃないんだ…!今までのやつが雑魚だったから…!あいつらが、あいつらが悪いんだ!」
「べらべらべらべらよく喋る!ウマ娘はお前の道具じゃないんだ!恥を知れ!」
「お、お前ええ!!!」
「!っ危ない!」
殴られる!私は顔に来るであろう衝撃に耐えるため、目をつむろうとした。
その時だった。
「ゴルシちゃん、たいあたり!」
「ゴルゴル~!」
「グハッ!?」
目の前の男は横から来た美女のドロップキックで吹き飛んでいった。いや、そんなことより
「たいあたりじゃなくてドロップキックじゃん!」
「なにいってんだおめー。体で当たってんだから、体当たりだろ」
「そうだよ夕ちゃん。もしかして、ゴルゴル星の教科書真面目に読んでなかったなー?」
「どこだよ!こっちは生まれも育ちも地球だよ!まだ人類全てが地球に住めなくなってないから!」
「でも大丈夫なの?一応暴力だよ?」
「おいおい探偵ゴルシちゃんをなめんなよ?こいつは前からろくでもねえことをしてた。そんための証拠を集めてたんだが、決定的なのはなかなか手に入らなかったんだ。だが今回の出来事をお前とスズカが言ってくれりゃ、アタシが持ってる証拠をぶつけたら完全勝利よ!ただ、スズカのトレーナーがいなくなるって問題があるんだが…」
「私の大切な人を傷つけようとしたトレーナーなんかいらないわ」
「おっしゃー!お前ら後でこいよー!メンベレもいくぞー!見てたんだからなー!理事長とこまでレッツゴー!」
「えっどこ!?私知らない!」
「スペに聞けー!」
と二人は走り去っていった。
「嵐のような二人だったわね…今回はありがとう。私の代わりに沢山言ってくれて」
「いや、私は特に何もしてないですよ。あの二人に言ってください」
「それでも言わせて、ありがとうって」
「照れますね、なんか」
「・・・一つお願いがあるのだけれど、いい?」
「なんですか?」
「名前を、教えて?」
「私の名前?知らなくてもいいt「お願い」…分かりました」
「では、名乗らせていただきます!夕莉っていいます!」
「改めて、スズカといいます。よろしくね?」
「…よろしくお願いします!」