しかも二日連続。
本当に申し訳ありません。
さて、いつもの特訓に豪水というメンバーがいない中、俺は河川敷にて『超電磁砲』の習得に励んでいた。
「ですが御坂さん?電磁砲を再現する、と言っても、そもそも電磁砲というのは、二本のレールで弾丸を挟んで、膨大な電力を流し込むことによって生まれる斥力を利用して弾丸を撃ち込むモノですわよね?他は何とかなるにしても、レールはどうなさるつもりですの?」
白井がやたら詳しいが、まさしくその通りだ。原作では御坂美琴が普通に『超電磁砲』を撃っていたが、どうしてあんな風に撃てるのかが分からないのだ。あれは電磁砲とはまた違うんじゃないかなー、と密かに思っていたりする。
まあとにかく。
「一発だけ試しに撃ってみるか」
「……はあ!?そ、そんな軽いノリで…!」
白井よ、これは俺がLEVEL5になるために通過しなければならない試練なんだ。習得できないと、俺はLEVEL5になんてなれないぜ。
俺はポケットに突っ込んであったゲームセンターのコインを取り出し、コイントスをするような形で腕を前に突き出す。昨日ゲームセンターでたっぷりと遊んできました。……一人で。
「白井ー。危ないと思うから離れてろよー」
「だからどうしてそんなに軽いノリなんですの!?というか、いったいどこに!どういう風に撃つつもりですの!」
まあ見てろって。どうなるか分からないけどな!
俺は手に乗せているコインに電気を流し始める。流し込む電気量はできるだけ多く。斥力が発生するくらいは流し込まないと。
次第に俺の腕からバチバチと青白い光が発生し始めた。もう大丈夫かな。
俺はコインを高く上に弾く。キィーンという音とともに、上空に舞うコイン。勢いよく上に弾かれたコインは途中で勢いを失い、そのまま吸い込まれるように俺の指へと落下していく。
あれ?これ成功するんじゃね?え、予想以上に上手くいってるんだけど。
どうせだから撃ちだす際にもうちょっと電気を…!そう考えた俺は、コインが自分の指に触れる瞬間を待つ。
そして、コインがついに俺の指に触れ───
「………………おっふ」
───なかった。コインは俺の指をスルーしてそのまま地面へ一直線。溜めに溜めた電気は当然やり場がない。この量じゃ散らせることもできぬ。
「………」
「あ、あの?どうしてこちらを凝視なさるんですの…?」
既に俺の腕からはバチバチと溢れんばかりの電気がほとばしっている。
「………白井」
「ま、まさか…」
「…暴発しちゃうかも☆」
その日、河川敷付近が眩しく光り輝いたのは言うまでもないだろう。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「まったく!あと少しで死んでしまうところでしたわ!」
「いやー、悪い悪い」
俺の能力が暴発してから、俺達は近場の喫茶店に訪れていた。そこで俺は白井に説教を食らっている。
「先程の行動は軽率すぎますわ!ただでさえあなたの能力は強力だというのに、あんなところで技の実践だなんて!」
確かにその通りだ。何も反論できねえ。
「それに!後先考えずに発電して暴発してしまうなんて、それでもLEVEL4の能力者ですの!?」
そんなにぷりぷり怒ってたらシワが増えるぞー、だなんて口が裂けても言えない。心の中に留めておこう。
「今、失礼なことを考えましたね?」
「イエ、ナニモカンガエテマセンヨ?」
ど、どうして考えてることが分かったんだ…!お前の能力は空間移動のはずだろ!
「強いて言えば、乙女の勘ですわね」
乙女の勘。なんて便利な言葉なんだろう。それだけである程度の修羅場を乗り越えることができるな。
「し、白井はLEVEL4になれる目処はついてるのか?」
このままじゃ説教がダラダラ続きそうなので、俺は話を変えることにした。
「露骨な話の変え方ですこと…。まあいいですわ」
見透かされとりますやーん…。なんて手強いんだ白井…!
「……御坂さん、LEVEL4になるためにはどうすればいいのでしょうね…。自分を空間移動するビジョンが全く浮かびませんの…」
あー、能力の行使にはイメージも重要だしな。それがイメージできないとなれば、まずどのように演算すればいいのかも分からないだろう。いや、演算式自体は理解できてるのか?うん、全然分からんな。俺なんか最初の頃はほぼ無自覚に演算してたんだよなー。
「イメージできないのか。うーん…。イメージの固定化を手っ取り早くするには、同じ空間移動能力者の空間移動を実際に見ることだけど、それは不可能だし……」
人が瞬時に消えるイメージねぇ。……あ、そうだ。いいこと思いついた。
「白井、まずは人形を空間移動させればいいんじゃないか?」
「人形を?」
そう、人形だ。まずは自分ではなく、自分に模した人形を空間移動させたらイメージがしやすいのではなかろうか。
「そう。人形の腕に風紀委員の腕章を付けて、髪型をツインテールにした白井似の人形だ」
俺は白井にそう言うと、白井は少し考えるような素振りを見せる。考えが安易だったかな。
「……やらないよりはやる方がましですわね。御坂さん、私、その人形遊びをやってみますわ」
おお!それは良かった!…ん?人形遊び?ち、ちょっとそれは失礼じゃないか…?
「人形遊びって…」
「あら、申し訳ありませんわ」
白井はわざとらしく謝ってきた。こいつ、さっきの暴発を根に持ってるな?ちょっとねちっこいぞ白井。バーカバーカ。
「ふふ、では何か注文しましょうか。少しお腹が減りましたの」
俺が心の中で白井を罵倒していると、白井は注文をしようと提案してくる。
「そうだな。何か軽食でも頼むか」
「あ、もちろん御坂さんの奢りですわよ?」
し、白井ィ…!なんて図々しいやつなんだ…!いや、命が無くなっていたかもしれないって考えたら安いモノだけどさ。
白井に奢らされることが決定してから、注文する品を決め、俺はBLTサンド、白井はシフォンケーキを注文した。そもそも、BLTサンドって軽食なんだろうか。疑問だ。
待っている間、二人で他愛もない会話をしていると、注文した品が運ばれてきたので、それぞれ注文した品を頂きながら話していると、次第に話が豪水の追跡についてに変わっていった。
「なあ、豪水の追跡についてなんだけどさ」
「ええ、明日に決行ですわよね」
話を振ったら異様にウキウキし始めた白井。追跡って言い方を変えればストーキングなんだよな。やっぱり白井には変態の素質が…?
「し、集合場所はどこにしようか」
白井の中に秘められている変態の可能性に戦慄していたので、少しどもってしまった。乙女の勘でバレてないよな…?
「私が御坂さんと林田さんの寮部屋に行きますわ。二人の部屋に遊びに行く、という形であれば、ごく自然に集合できると思いますの」
真剣な顔つきでストーキングの計画を練る白井。もう既に秘めたる変態が目覚めつつあるのか…。まだ小学五年生だというのに…。
「じゃあそうしようか。三人が揃うのも久しぶりだもんな」
いかん、落ち着くんだ御坂魅琴。ここはあくまでポーカーフェイスだ。冷静さを装え。例え白井が変態でも、俺が気にする必要はないじゃないか。
俺は乱れた思考を落ち着かせ、普段通りの態度で返事をする。
「確かに、林田さんにお会いするのも久しぶりになりますわね。……ですが、えと、何でしょう。ストーキングをするとなると変に背徳感が…」
もはや白井は手遅れだったようです。お前ってやつは…!
白井が変態の原石であったことに嘆きつつも、俺達は着々と豪水の追跡について話し合っていくのであった。
おや…?黒子の様子が…?