森田先輩の熱血指導(?)から一ヶ月。俺は森田先輩の元、能力強化の為の特訓に勤しんでいた。その特訓の内容なのだが…。
『いいか!
『今から超能力の発動に必要な演算力を鍛える特訓をする!内容は至ってシンプルだ!限界と思うまで能力を発動し続けろ!その間俺はお前の演算を邪魔するような行動を取るからな!…え?具体的には何をするかって?そりゃあ炎を出すに決まってるだろう。さあいくぞ!そらそらそらそらァ!!』
といった感じである。もうね、やることが色々と酷い。なんでやる事なす事全てにおいて炎を飛ばしてくるんだよ。いや、ちゃんと知識は備わってるし、言っていることも筋は通っているんだ。だけど、あんた俺を殺す気だろ。真心が一切こもっていない。
不意に放たれた炎を咄嗟に躱して着弾地点を恐る恐る見てみたけど、地面は真っ黒焦げになって見る影もなくなってたし。先輩のLEVELいくつなんだよ。もう俺炎が怖いよ。あの人じゃなくて木田先輩に頼めばよかった。
さて、炎にトラウマを持ってしまったが、現在俺は学校で授業を受けている。え?内容?まあ、とても小学一年生がするような授業じゃないとだけ言っておこうか。
で、クラス割りが発表されてから自己紹介があったんだけど、俺と同い年のルームメイトの
『俺の名前は
ここまでは良かったんだ。そう、
『そして、俺のルームメイトの御坂魅琴は!将来LEVEL5になるすっげー男なんだぜ!』
何を言っとるんじゃ貴様はァァァァァ!?
気付けば俺は席を立ち上がっていた。そのせいで皆の目線が俺に注目してしまっていた。
(な、なにか言わないと…!)
そう思った俺は、ここで自らの小学生ライフに爆弾を投下する発言をしてしまった。
『お、俺はいずれこの学園都市の頂点に立つ!だから、挑戦したい奴がいればいつでもかかってこい!勝負してやる!』
何を言っとるんじゃ俺はァァァァァ!?
言った瞬間にやべえ、やべえよ…とか思ってたけど、反応があったのは豪水だけだった。
『それでこそ森田先輩の一番弟子だ!良いぞ魅琴!ひゅーひゅー!』
俺は心底奴を嬲り殺したいと思った。これが殺意というやつか…!
ちなみに、学園都市に入った時期がずれてるのに入学した日が同じなのは、学園都市の小学校の時期が五月に統一されているからだ。学園都市に入ることになる子供達は、外部で幼稚園や保育園を三月末に卒園してからすぐに学園都市に入り、能力開発を受ける。だが能力開発は、言ってしまえば脳を弄っているのと同じだ。なので、弄られた後は、しばらく感覚が通常とはずれているようになるらしい。そこで学園都市は、一ヶ月のいわゆる準備期間を用意した。その一ヶ月で、新しくなった脳と、外部とは違う進んだ環境に慣れてから、晴れて入学する、ということだそうだ。
色々と思い出していると、授業の終わりを告げるチャイムが教室内に鳴り響く。かなり長い時間思い出していたようだ。
今日は先程の授業が最後だった為、皆はそれぞれの友達と駄弁りながら帰る用意をしている。が、俺には話す相手はいない。唯一話すことができる豪水は別の奴と話している。
つまりだ。端的に言えば、俺はぼっちなのである。
あの発言以来、俺は周りから浮くようになった。バトルジャンキーとか言われてるらしい。自分で至極当たり前だと思ってしまったぜ。悲しい。
「おーい、魅琴!帰ろうぜ!」
一人心の中で嘆いていると、ぼっちの発端が俺に声を掛けてきた。
「そおいっ!」
「のふぁあッ!?」
一日一撃。それが俺の日課になっている。こうでもしないと気が収まらない。俺の来たるべき6年間を返しやがれ。
「お、お前なぁー…。今の状況はお前自身の責任でもあるんだぞ!全て俺が悪いわけじゃないだろ!」
それを言われたらどうしようもなくなってしまう。ぐぬぬ…。
「とりあえず!今から森田先輩との特訓だろ?さっさと帰るぞ!」
「ちょっと今日は急用が」
「ぼっちの癖に何言ってんだ」
この子辛辣…!やめて!あの人の炎は見たくないの!私を止めないでぇ!
「ほーらいくぜー」
「いやぁ!引き摺らないで!やめて!お願いだから!後生だからぁ!」
終始叫びっぱなしな俺を見る皆の目は、とても冷たかった。あ、泣きそう…。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
結局今日の放課後も森田先輩との特訓に参加することになったので、とりあえず動きやすい格好に着替える。はあ、嫌だなあ。
「準備はできたかお前達!よし、じゃあ行くぞ!」
特訓の場所は河川敷。あそこは開けた場所だから、特訓にはちょうどいいそうだ。
河川敷に到着。今から門限の七時まで特訓をするのだが、
それがもう滅茶苦茶しんどい。今日はどんな
「今日の特訓はこの前に行った演算力を鍛える特訓だ!内容は覚えてるだろ?さっさと構えろ!」
「はい!師匠!」
「いい返事じゃねえか林田!」
…なぜ豪水が一緒に特訓に参加しているのかというと、あいつ自身が希望したからだ。豪水曰く、自分だけ特訓を受けることができないのはズルい!とのこと。森田先輩は、豪水にやる気があるか確認をすると、あっさりと参加を承諾した。もうその時の豪水の喜び方といったら物凄かった。ぴょんぴょん跳ね回って奇声を上げてたよ。まあ年齢を考えればそれも当然か。
「それじゃあ、はじめ!」
そう言うと、森田先輩は炎を乱発してきた。うおお!ちょ、危なっ!あつっ、熱い!死ぬ!死ぬぅ!
「ほらほらほらほらァ!」
もう絶対楽しんでるだろあの人!声がちょっと嬉しそうだもん!
「ほっ!よっ!はっ!」
俺は必死に躱しているが、豪水はどこか余裕を持って炎を躱している。なんだ、この差は。
「いいぞ、その調子だ林田!」
「あ、ありが、とぉ!ござい、ますッ!」
感謝の言葉を伝える余裕まであるとは。毎回思うがどうしてあんなに余裕があるんだろう。俺なんて、
「ぬおお!ほあ!うぬぉ!ぎいやあっ!」
地球とは別の言語を発しているのに。
「どうした御坂!電気をちゃんと手から発生させ続けろ!」
このお!もうやけくそだ!やってやるしかねえ!
俺は脳に全神経を集中させ、演算を開始する。手からは微量の電気がパチパチと発生し始めた。よし、このままこれを持続させて炎を交わし続ければ…!
「いいぞ御坂!お前はどうしていつも最初から全力を出さないんだ!もっと熱くなれよ!」
ちょ、ここでその言葉を言うか。それ他の人のセリフや。取っちゃあかん。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
そろそろ日も落ち出す頃、ようやく地獄の特訓が終わった。ああ、死ぬかと思った…。
「よし、今日も良くやったお前達!明日も全力だ!」
「はい!師匠!」
───拝啓、外部のママン、パパンへ。いずれか俺は、死ぬかもしれません。
もうこれいやだ。