常盤台の雷撃王子   作:天駆ける丼

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投稿するのが遅れてしまった…!

ち、違うんだ!こうなったのは全て俺を縛り付ける宿題のせいなんだ!だから俺は悪くねえ!


『卒業と進級』

ぼっちであることに嘆きつつも、厳しい特訓に耐え抜く日々を過ごし、あれよあれよという間に森田先輩と木田先輩の卒業式の日がやってきた。

 

 

「し、師匠ぉォ~ッ!!木田先輩ぃィ〜ッ!!お、俺、寂しいです!」

 

 

豪水は俺の隣で号泣している。うわ、ひでえ顔。涙と鼻水がだらだら出てやがる。ちょ、おま、俺の服で拭き取ろうとするなあほ。

 

 

「ふふ、騒がしい一年だったけど、楽しかったよ」

 

 

なんて爽やかな対応なんだ木田先輩。これはときめく女子も多いだろう。実際、さっきまで女子に囲まれて苦笑いで対応してたしな。それにしても、随分とませてるなー。今の女子小学生は。

 

 

「御坂!林田!今までよく特訓についてきてくれた!」

 

 

森田先輩が俺達に感謝の言葉を口にするなんて…。これは天変地異の前触れか!

 

 

中々失礼なことを考えていたが、もちろんこの考えが森田先輩に伝わることはない。ただ、木田先輩は俺の顔を見ながらニコニコしていたが。触れないと能力を使えないだなんて嘘だろ。この一年間でも怪しいと思ったことがいくつあったか。

 

 

「俺はこのまま中学へと上がる。だからお前達の特訓を見てやることはあまり出来なくなるだろう」

 

 

森田先輩は一呼吸置くと、「だから!」と叫んで、

 

 

「俺がお前たちに特別メニューを用意した!」

 

 

ドドーン!!と効果音が付きそうな迫力で二枚の紙を掲げる先輩。おっふ…。特訓から逃れることはできないのか。

 

 

豪水はなんか滅茶苦茶嬉しそうな顔をして先輩に感謝をしている。鼻水は垂れたまんまだ。うわ、急にこっちを向くな。鼻水が飛ぶだろ。

 

 

「魅琴!これからも頑張ろうぜ!」

 

 

その笑顔が眩しい…。どうしたらあの特訓を楽しくこなせるのだろうか。これが子供の元気か。体が子供でも中身が十六歳を超えていたらだめなのか。

 

 

「うん、喜んでくれたようだな。これからも精進するんだぞ」

 

 

ちょっとー?俺は喜んでないんですけどー。むしろ絶望してたんですけどー。

 

 

「おーい!森田!木田!記念撮影するからこっちに来いよー!」

 

 

特訓いやいやと心の中で駄々を捏ねていると、先輩達のクラスメイトがこちらに声を掛けてきた。どうやら記念撮影をするようだ。

 

 

「行ってください、記念撮影ですよ?」

 

 

先輩二人がこっちの様子を伺っているようだが、とりあえずは先輩を向こうに送り出すことにした。記録に残すことは大事だからな。

 

 

記念撮影の場所へと向かう先輩達の背中を見ながら、俺はポツリと呟く。

 

 

「…ありがとうございました、先輩達」

 

 

今思い返してみれば、断るつもりで臨んだDNAマップの提供を承諾してしまい、これから殺される為に生まれてくる命に対する罪を抱え、本当に少しの間だけだが、塞ぎ込んでしまった時期があった時に、彼らは俺を救ってくれた。

木田先輩はいつも俺の心の変化を感じ取っては助言をしてくれたし、森田先輩は特訓こそ厳しかったが、俺達の成長を心から喜んでくれた。

 

 

特訓のおかげでLEVELはおそらく2に上がっているはずだ。色々言ってはいるが、感謝の念を忘れたことはないのだ。それはこれから先も忘れることはないだろう。

 

 

…よくよく考えれば、俺、精神年齢でいえば一番年上なんだよな。うわあ、なんか恥ずかしいし情けない思い出がたくさんある。…うわあ、うわあぁ…。十二歳に説き伏せられる俺って…。

 

 

大切だが忌まわしき過去に悶絶しながら、俺はこちらに戻ってきた先輩達を迎えるのだった。

 

 

 

 

 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

 

 

 

あれからまた時が経ち、俺は小学二年生に進級していた。そして、今日は俺と豪水にとって大事な日でもある。

 

 

「よーし、お前ら。今日は年に一度の能力測定だからな!」

 

 

ジャージを着た若い男性教師が俺達にはきはきと告げる。そう、今日は能力測定が行われる日なのだ。

 

 

「ふっふっふ。今日という日をどれだけ待ったことか!」

「まだ俺が話している途中だ林田!席に座れ!」

 

 

急に含み笑いをしながら立ち上がる豪水に、先生はピシャリと言い放つ。まああそこまではないが、俺もこの日を楽しみに待っていた。能力がどれだけ強くなっているのだろうか。ワクワクが止まらないぜ!

 

 

「じゃあそれぞれに割り当てられた場所を言うから、その後は各自移動しろー」

「「「はーい!」」」

 

 

うんうん、子供が元気なのはいいことだ。俺?俺はいいんだよ細かいことは気にするな。

 

 

 

 

さて、電撃使い(エレクトロマスター)に割り当てられた測定場所に到着したわけだが、かなりの数がいるな。二桁はいってるだろう。まあポピュラーな能力だからな、数が多いもの当然か。

 

 

「よし、じゃあ名前を呼ばれたらこちらに来るように。呼ばれない間は待機しておけよ。喋ってもいいが、あまり騒ぎするなよ」

 

 

担当の先生が俺達生徒に釘を刺すと、手に持っている名簿に書かれている名前を読み出す。

 

 

いよいよ始まったか。緊張するな。

 

 

能力測定自体は二回目だが、実際に能力を行使して測定するのは初めてである。というか、一回目の測定が終わった後に憑依したから、測定回数は一回か。まあ、すごく緊張をしている、ということは確かだ。

 

 

チラッと測定場所の方を見ると、生徒─恐らく上級生─が測定の為に能力を行使していた。

 

 

机の上に置かれている鉄分を含んだ正方形の物体。その生徒は、電撃使いの能力を応用して発動できる磁場を発生させて、その物体を浮かしていた。その額には汗が伝っている。LEVELは高くないのだろう。もう既に限界そうだ。

 

 

「うっ…く…!うあぁ!」

 

 

ゴトン!と鈍い音が鳴り響く。あ、結構重そう。ちょっとやばいかも。

 

 

「よし、では次。近藤」

「はい!」

 

 

どんどん次の人が呼ばれていく。恐らく、磁場をどれだけ展開できるかの持続性、単純な電磁力の強度を測定基準にしているのだろう。森田先輩と鍛えていたのはより実戦的な能力の使用だからなー。詰んだかも。

 

 

「では次。御坂」

 

 

ついに俺の名前が呼ばれた。さて、頑張ってやるぜ!

 

 

「よし…」

 

 

集中だ。集中して能力を行使するんだ。脳に全神経を集中させる感じで…。

 

 

俺は物体に手をかざし、目を瞑って演算を開始した。

 

 

磁場を発生させるのはかなりのレベルを要求される。それ故に、磁場を発生させて何らかの物体を少しでも浮かす、または大きな距離を動かすことができれば、無条件でLEVEL2に認められる。電撃を用いて測定するのはLEVEL3になってからだそうだ。

 

 

…能力を発動させてからどれほど時間が経っただろうか。目を瞑っているので、目の前の物体がどうなっているのか分からない。あほか、何をやってるんだ俺は。

 

 

集中を切らさないように目を開ける。すると、正方形の物体がふわふわと浮かんでいた。

 

 

「おおっ!」

 

 

発動に成功した嬉しさで、思わず声を上げてしまった。そのせいで集中力が切れ、物体が机の上にゴトン!と落ちてしまった。

 

 

「あっ…」

 

 

し、しまったー!もうちょい続けることができたのに!うわあ!もったいねー!

 

 

「…うん、よし。教室に戻っていいぞ。では次、───」

 

 

ああ、なんてもったいないことを…。LEVELが上がってたから良かったけど、もしそうじゃなかったら、一年間の努力を無駄にしてしまうことになる。それだけはしないように気を付けないと。

 

 

俺は先程の反省をしながら、俺は教室に戻った。

 

 

 

 

時は過ぎて終礼の時間、能力測定結果が紙に記されて手渡される。結果は豪水と一緒に見る為、まだ見ていない。どちらのLEVELが高いかを賭けてもいるので、俺としては絶対に負けられない。

 

 

起立、気を付け、礼。終礼の挨拶を言い終えた瞬間、俺は豪水の席に駆けつける。

 

 

「分かってるよな?豪水」

「当たり前だろ?LEVELが低い方は───」

 

 

「「一日十個限定特大メロンパンを奢る!」」

 

 

税抜き2500円。

 

 

「よし、じゃあ一斉に見るぞ」

「おう!じゃあいくぞ…いっせーの!」

 

 

『御坂魅琴:LEVEL2』

 

『林田豪水:LEVEL2』

 

 

ひ、引き分け…!くそ、あの時集中力を切らさないようにしてたら…!

 

 

「…また次の機会に持ち込みだな」

「…ああ」

 

 

能力が上がったことに喜びながらも、メロンパンを手にすることができない悲しさを胸の内に秘めて、俺達は次の能力測定の為に能力を強化することを誓ったのだった。

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