もうホモ小説なんて呼ばせない(半ギレ
「
「そう、風紀委員だ」
朝一番、急に風紀委員になりたいと言い出す豪水。どうしたんだ。豪水。特訓のことしか考えてない頭に革命が起きたか。
「俺達も今年で上級生になるだろ?能力も順調に強くなっていってるし、いつ下級生が危険な目に遭うか分からないからな。守るための建前が欲しいんだよ」
何と俺達、今年で小学五年生になるのだ。そして能力のLEVELも、俺と豪水のどちらもがLEVEL4にまで上がっていた。LEVEL4といえば、戦闘面においては軍隊で軍事的価値を得られるほどの強力な力だ。俺の現在の最大電圧は5億ボルトだし、豪水にいたっては、心臓と脳さえ潰されなければ再生が可能らしい。LEVEL5になると、理論上では心臓さえも再生できる、ということらしい。どんな化物だよ…。
それはともかく。
風紀委員といったら、確か基本は校内の治安維持が目的だったはず。校外で犯行に及んだ人物などを取り押さえた場合は管轄外の仕事をしたとして、ほぼ確実に始末書を書かされる。さらにだ。風紀委員になるためには十三種類の適性試験と四ヶ月間の研修を受けなければならない。俺はそんな面倒臭いことをしてまで風紀委員になりたくない。
「お前、あんなに面倒臭い試験受けるのか?」
俺がそう尋ねると、豪水はポカンとした顔をして、
「え?風紀委員になるのに試験なんてあるのか?」
と言い放った。こいつ、消し炭にしてやろうか…!
「あのなあ!風紀委員になるためには、十三種類の適性試験と四ヶ月間の研修を受けなくちゃならねえんだぞ!?それくらいちゃんと調べとけよ!」
なんでこいつはこんなに馬鹿なのだろうか。いや、この場合は馬鹿とは言わないか。こいつはアホだ。
この学園都市は、強烈な個性を持った能力者達が上に立てる仕組みになっている。能力を発現した際、俺達能力者は『
「そんな事をする暇があったら、能力を鍛える方が有意義だろ」
何に置いても能力の特訓を最優先にし、先生では押さえつけることが出来ない
だが、こいつは先生が押さえることが出来ない、つまり問題児なのだ。とても風紀委員になれるとは思えない。十三種類の適性試験の時点で落ちそうだ。
「…はあ。もういいや。受けるだけ受けてみればいいだろ。俺は知らん」
「え?魅琴は受けねえの?」
受けるわけないだろアホが。俺はクローン達を助けるためにLEVEL5を目指してんだ。風紀委員に入ったら思うように動けないだろ。
「受けねえよ。あんまり興味ないし」
「えーっ!?一緒に受けようぜ!」
「だが断る」
豪水の顔の目の前に指を突き立てながら、キメ顔で断る俺。うーん、決まった。…おい、なんだその目は。お前にそんな目をされる筋合いはねーぞこのヤロー。
「ま、応募とかの手続きはしといてやるよ。お前じゃ出来そうにないし」
豪水は極度の機械音痴だからな。パソコンを触らせたら故障しちまう。
「きた!魅琴のビリデレ!」
「誰がビリデレだゴルァ!!」
完全に切れたぞォ!!貴様を消し炭にしてやる!そこに直れィ!
その後、豪水を追いかけるだけで一日を費やしてしまい、凄まじく後悔をしたことをここに記しておく。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
おっす!俺の名前は林田豪水!いずれはこの学園都市の能力者の頂点に立つ男だ!魅琴からは馬鹿だのアホだの言われているが、そんなことはない。ん?何でそんな事が言えるのかって?それは俺はLEVEL5になるからだ!まあ森田先輩が先にLEVEL5になるだろうから、その後を追うような形になるけどな!
さて、そんな俺だが、現在は風紀委員になる為の試験を受けに来ている。今ちょうど適性試験を行ってる最中だ。
魅琴曰く、適性試験は十三種類あると言っていたが、そんなに多いわけがないだろうと高を括っていた。が、あいつの言っていたことは本当だった。一番最初に行ったのは、いわゆるアンケートみたいなもので、担当の
風紀委員に必要な状況判断力、戦闘力、決断力、その他etc…。
これらの適性試験をペーパーテストで行うのだが、これを全て
嘘だろ…?と思ったが、もう試験は始まっている。後戻りなんて出来なかった。
「…時間です。筆記用具を机の上に置いて下さい」
や、やっと終わった…!俺はかつて感じたことのないような解放感を味わった。完全に風紀委員を嘗めてたぜ…。
テストを回収し終えると、警備員がこちらを向いて話をし始める。
「これで適性試験は終了です。この後は解散となりますので、速やかに寮に帰るように。道草なんてもっての外です」
彼女は警備員らしく俺達に釘を刺す。ぐっ…!帰りにゲーセン寄ろうかと思ってたのに!頭堅いんだよバーカバーカ!
まあ心の中でしか言えない上に、今はそれをする気力さえ湧かない。あー…、疲れたー…。
皆が帰っていく中、俺は一人で机の上にスライムよろしく項垂れる。その際に置いておいたシャーペンが体に当たり、床へと落ちていった。
「あー。拾わなきゃ」
俺はそう呟くと、よっこいしょ、という掛け声と共に体を起こす。目線を前に向けると、そこに一人の女の子が立っていた。小柄で可愛らしいなー。もしかして俺より年下か?
「ペン、落としましたわよ」
そう言って女の子は俺のペンを拾ってくれる。いやー、ありがたいなー。言葉遣いも品がいいし、どこかのお嬢様なのだろうか。
「ああ、ありがと…う!?」
ど、どういうことだってばよ!少女が手にしていたペンが急に俺の顔の前に現れたぜ!す、すげー!
「あっ!も、申し訳ありません!あなたの手元に
「空間移動?」
空間移動っていうと…なんだっけな。もの凄く珍しい能力だー、っていうのは魅琴から聞いてるけど、どれくらい珍しいのか分からない。
「ええ、
五十八人!?こりゃまたすごい能力だなー。お近づきになっとこうかな。
「すっげえなそれ。なあ、お前の名前を教えてくれよ」
俺がそう言うと、彼女は澄ました顔をして、
「人に名乗らせる時は、自分から名乗るのが礼儀ではなくて?」
と返してきた。確かにその通りだ。森田先輩曰く、礼儀を軽く見るのは言語道断。全く、俺もまだまだのようだな。精進しないと。
「ああ、すまんすまん。俺の名前は林田豪水。かっこいい名前だろ?」
俺がそう言うと、彼女は「え、ええ…」とだけ言われた。なんで皆は俺の名前を聞くと苦笑いするのだろう。
「お前の名前は?」
さて、俺の名前は言ったので、今度こそ女の子に名乗ってもらおう。
「私の名前は、白井黒子ですの。よろしくお願いいたしますわ」
───この少女が後に、俺こと林田豪水とその親友、御坂魅琴に大きく関わっていくことになるなんて、その時の俺はまだ知る由もなかった。
黒子の口調がイマイチ掴めない…。