「お姉さん、遅いですね・・・」
「複雑な街だから迷ってるのかも!探してくる!」
今日はココアさんのお姉さんがやってくる日です。ココアさんもこの日のために色々と準備をしてきました。
けれども待てども待てども、なかなかお姉さんはやってきません。しびれを切らしたココアさんはそのお姉さんを探しに行きました。
「最初は道に迷いまくっていたのに、たくましくなったな」
「ココアさん、お姉さんの来る日を楽しみにしてましたから」
ボクには兄弟がいないので、そんなココアさんの様子が少し羨ましく思えたりします。
ピロリン♪
「ん、メール?」
リゼさんのスマホにメールが届いたようです。
『かわいいうさぎ見つけた!』
「姉はどうした!!」
さっきの発言は撤回する必要があるかもしれません。
カランカラン
「いらっしゃいま・・・せ」
そんなココアさんと入れ違いでサングラスにマスクという明らかに怪しい出で立ちの人が入ってきました。
「ご注文は・・・」
「じゃあ、ココア特製厚切りトーストで」
ココアさんの手作りパンを注文しました。どんな格好でもお客さんはお客さんなのでいつもと変わらず応対はします。
「あの風貌・・・スパイか運び屋か・・・?」
「他の発想はないんですか?」
「このパン!モチモチが足りない!!」
注文のパンを食べたお客さんが突然叫び出しました。
「やっぱり運び屋か!!」
リゼさんが警戒して銃を向けます。ボクも思わず警戒モードになってしまいます。お店はボクが守らないと。
「この小麦粉で本当のパンの味を教えてあげる」
「「誰!?」」
そのお客さんは顔を隠していたマスクとサングラスをバッと取り払いました。
「私です!!!」
「「本当に誰!!?」」
「そっかぁ。ココアは私を探して入れ違いになっちゃったか。相変わらずそそっかしいなぁ」
危ない人だと思ったお客さんはココアさんのお姉さんでした。
「改めまして、ココアの姉の保登モカです。よろしくね」
顔立ちはココアさんに似ていますが髪が長く、背も高いので大人の女の人と言う印象が強いです。あとどことは言いませんが一部体型も違います。
・・・ココアさんが大人になったらこうなるのかな。
「あなたがここのマスターの息子さんのチノくんね。ココアがお世話になってます」
「あっ、いいえ。こちらこそ」
雰囲気や礼儀もすごく大人っぽいです。ココアさんのお姉さんと言うのでもうちょっと活発な人だと思ってました。
「チノくん。中学生でお仕事なんてすごいねー」
「・・・っ!いいえ。喫茶店の跡取りとして当然です」
頭を優しく撫でられて委縮してしまいます。とても柔らかく暖かい手で優しく撫でられました。こういうことを言うのは何ですがまるで母親のような安らぎがあります。
「フフフッ」
「?」
あれ。この感じ・・・。普段いつも誰かさんから感じる気配が・・・・・。
「チノくん、ホントにモフモフなんだねー」
「えっ。あのっ」
「ギューッ。それにあったかーい」
ボクはモカさんに捕まり、まるでココアさんがいつもしてくるかのようにモフモフされました。このモフモフ癖と男子に対する警戒のなさ、間違いなく姉妹です。
「あっ、あの・・・。モカさん・・・・・」
「この感じ。弟たちよりココアを思い出すなー」
ボクは何とか抜け出そうとしましたが、モカさんがきつく抱きしめてくるのでなかなか抜け出せません。
それに。
モニュンッ
ひときわ大きな胸が体に押し当てられて抜け出そうという気がどんどんとろけていく。焼きたてのパンのように暖かくふかふかで、どこからか良い香りも漂ってきて脳がクラクラしてくる。こんなこと考えちゃいけないと分かってるはずなのに、考えないようにすればするほど五感が鋭敏になり、よりモカさんを感じてしまう。
それにしてもこの大きさ。ボクの身の回りにいるどんな女の人より大きい気がする・・・。ココアさんどころか、下手すればリゼさんよりも・・・・・。
「チノ、何か失礼なこと考えてないか?」
「・・・・・・・・・考えてないです。」
「こっちを見て言え」
リゼさんの後ろに炎が燃えてる気がしたのでボクはそれ以上考えるのをやめました。
「探す必要なかったじゃない」
「馴染みすぎて三姉妹みたいね」
私たちはココアと一緒にお姉さんを探していた。でもラビットハウスを覗いてみるともうとっくにお姉さんは到着していて、すっかりお店に馴染んでた。
「ココア?さっきから黙ってるけどどうした・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
((血の涙流しそうになってるーーーーーー!!!))
こんなココア、見たことなかった。
カランカラン
「おうココア、おかえ・・・り・・・・・」
「こ、ココアさん・・・・・・?」
「ココアー!久しぶりーー!!お姉ちゃんだよーーー!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ココア?」
「チノくんが・・・・・」
「えっ?」
「チノくんが私のお義兄ちゃんになるなんてダメーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「「何の話(ですか)!!?」」
色々とゴタゴタしましたが何とか姉妹二人が会えてよかったです。ココアさんもなんだかんだで嬉しそうです。
「ココアー」
「ダメだよ!しっかり者の姉で通ってるんだから!!」
そうでしょうか?
「実は一つ報告が。私、数日間ここに泊めさせてもらうことになってるんです!!」
「ホント!?」
えっ!?何も聞いてないのですが!?
モカさんはみんなの反応をうかがって楽しんでます。人をびっくりさせることは好きなのでしょうか。ココアさんと血のつながりを感じます。
血のつながり・・・。姉妹・・・。兄妹・・・・・。
モカさんが止まった日の夜。大はしゃぎしてたココアさんとモカさんですがあっという間に寝てしまいました。
「寝坊助さんなところもそっくりですね」
ボクは二人が風邪をひかないようにそっと毛布を二人にかけました。幸せそうな顔をして寝ています。
寝顔を見るとますます二人はそっくりです。やはり姉妹だからか、顔や性格など色んな所が似通うのでしょう。ボクには兄弟姉妹がいないので分かりませんが。
「・・・・・・・・・・・・・」
『お姉ちゃんに任せなさい!』『お姉ちゃんに任せなさい♪』
「口癖までそっくりでしたね」
姉オーラは全然違いました。けれども他人を暖かい気持ちにさせるところは全く同じでした。
ボクが本当に弟だったら・・・。そんなことを一瞬考えましたがやめました。
とりあえずは、今のままでいいです。
「おやすみなさい。二人とも」
ボクは二人を起こさないように、ゆっくりと部屋を出ました。
「・・・・・。いい弟を持ったみたいだね♪」
区切りもいいしちょっと長くなりそうなので二部構成にします。
追記:当初モカに弟がいないというような台詞を言わせていましたが、確認したところモカは一番上の長女でした。本当に申し訳ありませんでした。今後は本編確認をさらに強化し設定ミスがないように致します。