ご注文はチノくんですか?   作:岩ノ森

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チノ君とナツメとエル

 「チョコシナモンモカチーノ、お待たせしましたチノ」

 「フユさんナイス笑顔です」

 「ホント・・・?やった」

 ブライトバニーで住み込みのバイトをしているフユさん。笑顔がぎこちなくて不安と言っていましたが、どうやら自然な笑顔も板についてきたみたいだ。

 早速フユさんから貰ったコーヒーを片手に席に向かう。するとフユさんは僕の後ろにいたお客さんを接客していた。

 「カフェラテ、テイクアウトで」

 「かしこまりました」

 「どうして!?」

 何故か僕の時と全然違う不敵な笑みだった。

 

 

 ブラバでチマメご飯の約束をしていたのにマヤさんが寝坊・・・。

 残念だけどお昼休み終わる前にお店に戻らないと。

 (フユさんまた学校で)

 そうフユさんに手を振ってブラバを出ようとすると。

 「「あー!」」

 甲高い声が背後から聞こえてビクッとする。以前にも聞いたような声。

 「チノ!チノだ!!」

 「捕獲しなきゃ!」

 「エルさん!?ナツメさん!?」

 そこにいたのはエルさんナツメさん両姉妹だった。この街に越してきてマヤさんメグさんと同じ学校に通っているらしい。

 エルさんナツメさんは僕の両腕を素早くガシッと掴んできて。

 「大丈夫!拉致じゃないから!」

 「チノの喫茶店に案内してもらうだけ!」

 「これじゃ案内できません!!」

 僕をいずこへと連れ去って行った。

 

 

 チノが金髪の綺麗な女の子二人に連れ去られた。

 地元だから仲のいい女の子も多いんだろうな・・・。

 ・・・・・ホントにチノってモテるんだ。

 何となくモヤモヤする気持ちを抑えながら仕事に戻ろうとしたら。

 「もーっ!ブラバ行きたいって言ったのマヤちゃんなのにー!!チノ君と入れ違いになっちゃったじゃん!!」

 「ごめーん!」

 入れ違いで二人の女の子が入ってきた。

 「いらっしゃいませ」

 「あれ?この街で初めて見る顔!もしかして転入生!?」

 「私たち高1!同い年?」

 二人ともすごくフランクに話しかけてきてくれた。

 「う・・・うん」

 私も、チノみたいにできるかな・・・。

 

 

 

 「すみません。着替えで遅くなりました」

 着替えている最中、エルさんナツメさんのことはココアさんに預けてある。せっかく僕に会いに来てくれたのに待たせてしまって申し訳ない。

 「お店番ありがとうございます。ココアさん・・・」

 「もうちょっとゆっくりしてて良かったのに~」

 「早速たらしこんでる!!」

 ココアさんは出会って早々にエルさんナツメさんと談笑していた。

 いや、お二人の方は談笑というより怖がって見えるけど・・・?

 「ここって子供が来ちゃいけない場所じゃないの・・・?」

 「もしかして夜になったらおじさんに変身する?」

 「するよ!」

 「しません!!」

 うちの店はどういうイメージを持たれてるんですか!?

 

 

 「なるほど・・・。昼は喫茶店で夜はバータイムかぁ」

 話を聞いてみると以前うちに来た時に、うっかり僕とリゼさんのお父さんがお店番している時間に来てしまったらしい。それでそんな勘違いを・・・。

 「チノさんもバーで働くの?」

 「えっ。そうですね・・・」

 先のこと、と思ってあまり考えてなかった。でもいずれは働くことになるだろう。

 前のクリスマスみたいに、お父さんと二人で。

 「ええ、いずれ。そのために頑張ります」

 その時は、もう一人傍にいてほしい人がいるけど。

 「チノさんもお髭生やすの?」

 「ええっ!?そ、それは・・・どうでしょう?」

 「ぷっ!」

 「ちょっ!ココアさん!笑わなくても!!」

 「ごめんごめん。お髭のチノ君なんて想像できなくて・・・。クススッ!」

 「バカにしないでくださーい!」

 僕だって年を取っていけばそれなりにダンディに・・・・・。

 「なれますかね・・・?」

 「ワシに聞くな」

 

 

 「ラテアートはお二人をイメージしてみました」

 「太陽と月・・・すてき!」

 そんなこんなでようやくお二人にコーヒーを出すことになった。ラテアートもサービスです。

 「ずっと飲みたかった・・・。チノさんのコーヒー」

 「この味・・・大好き」

 「・・・っ~~~」

 真正面から褒められて嬉しさと恥ずかしさが同時にこみ上げてくる。気に入ってもらえて良かった。

 「・・・・・・・」

 そう思ったらココアさんがギュッと僕を抱きしめてきた。

 「わっ!ちょ、ココアさん!?何を!?」

 「ううん。ただ何となく・・・」

 照れる僕を見てヤキモチを焼いたのだろうか。かわいいけどお客さんの前なんですが・・・。

 「チノさん・・・?マヤと付き合ってるんじゃないの?」

 「え?」

 「ココアさんとも付き合って・・・。3人も恋人がいるの!?」

 「えっ!?」

 旅行の時の誤解がエスカレートしてる!?

 「ちっ、違います!僕が付き合ってるのはココアさん一人で!」

 「じ、じゃあマヤとメグは!?」

 「遊びで女の子つまみ食いしてるの!?そんな顔してホントはオオカミさんなの!?」

 「ち、違!」

 「チノ君・・・?」

 「いえホントに違うんです」

 顔を真っ赤にして尋問してくるエルさんナツメさんと、目の光を失くしてこっちを見てくるココアさんの対比が怖い。

 「と、ところでちょっと相談があるんだけど・・・」

 「いいよ、うちの妹になりな」

 「ココアさん」

 人たらしなのは僕の彼女も同じだ。

 

 

 

 「ええ!?チノが双子に連れ去られた!?」

 「勢いよく・・・。仲いいなって」

 「神紗家に拉致られたんだ!」

 拉致られたチノと入れ違いで入ってきた二人は、チノのお友達だったみたい。

 本当にチノは女の子の友達が多いね・・・。

 「敵は手ごわいぞ!応援要請しなきゃ!!」

 「そ、そんな深刻にならなくても・・・」

 「甘いよ!あの二人チノを婿養子に迎え入れようとしてるんだから!!」

 「えっ!!?」

 突然のこと過ぎて自分でも驚くくらい大きな声が出た。

 ココ姉と付き合ってるんじゃ・・・?それ以前に二人いっぺんに結婚って無理なんじゃ・・・?

 「一旦ラビハ行こう!リゼたちにも応援かけて・・・!」

 二人はブラバから超特急で出ていこうとした。

 「あっ、笑顔ならもうちょっと力抜けばいいと思うよ」

 「フランクにね!」

 初めて会う私にアドバイスしてくれた・・・。

 やっぱりチノの友達は温かい人たちばかりだ。

 「またね!フユ!」

 「アドバイス・・・ありがとっ・・・!また・・・ねっ!マヤ、メグ・・・!」

 あまり大きな声でお礼を言えなかった。でもちゃんと気持ちは込めた。

 次会ったらもっと大きな声で伝えよう。

 さて、お仕事に戻ろう・・・・・・・・・・・。

 

 「チノが婿に行くってどういうこと!!?」

 さっきのお礼よりもはるかに大きな声を出してしまった。

 

 

 

 「ココアちゃん助けてー!!」

 「チノが拉致られて専属バリスタの婿になっちゃうー!!」

 やっとのことでラビットハウスにたどり着いた私たち。

 そこにいたのは。

 「いらっしゃいませぇ。会員証のご提示お願いします」

 「エルちゃん!?」

 「よよよようこそいらっしゃいやがりました。Rabbit Houseです」

 「ナツメ!?」

 バーテンダー姿の神紗姉妹がいた。

 「二人とも挨拶とか色々とおかしいです!」

 「「思ってた状況と違う」」

 

 

 

 「そっか~。ラビットハウスで職業体験してたんだ~」

 焦って損しちゃった。でも一安心・・・。

 「攫うならもっと本気でやるよ」

 「「えっ」」

 じょ、ジョークだよね・・・?

 「フフフ」

 目が本気だ!

 「ナツメたち、まさかこの間の私たちリスペクト~?」

 「そっ、そんなわけないしっ!!」

 そう言いながらナツメさん、顔真っ赤かだ。ホントに二人とも仲いいな~。

 「チノさんココアさんみたいに姉弟で働くのっていいなって思っただけ!!」

 「チノ君!やっぱり私たち姉弟に見られ・・・!」

 「だったらもっとしっかりしてください。お姉ちゃん」

 「あ、うん。頑張るね・・・。私お姉ちゃんだからね・・・・・」

 ココアちゃんの顔も真っ赤かになってた。

 「ナツメさんのための冗談ですよ。真に受けすぎです」

 「・・・・・冗談なんだ」

 「あっ」

 ココアちゃんの顔がみるみる青く・・・・・。

 「おいチノこら」

 「チノくん・・・」

 「チノさんそれはない」

 「チノさんそれじゃあナイフでお腹刺されちゃうよ!?」

 「ごめんなさい・・・・・・・・」

 圧倒的にチノ君にとってアウェーな空間だった。

 

 

 

 「ほんとは・・・ホテルでおもてなししてもらったことが忘れられなくて。私たちもやってみたいなって・・・・・」

 「そうだったんだ。じゃあ今の二人の姿、他のみんなにも見てもらいたいな~」

 「そのことなんだけど・・・」

 エルちゃんがおずおずと話しかけてくる。どうしたんだろ。

 「何で学年も学校もバイト先もバラバラなのにあんなに仲いいの!?何であのメンバーで旅行行ったの!?」

 「エル直球すぎ!気になるけど!!」

 確かに旗から見れば不思議かもしれない。

 「言われてみれば・・・」

 「改めて考えると・・・」

 「えっと、それは・・・」

 妹たちも不思議だって思ったみたい。

 「バラバラだから集まるだけで嬉しいし楽しいから、いつの間にか集まっちゃうんだよ」

 性格も、好きなものもみんなバラバラ。

 だからお互いを好きになると思うんだ。

 

 ガチャッ

 「言われた通り最強装備で来たわ!さぁチノ君奪還よ!!」

 「ごめんなさい武器が重くて・・・。今日は後方支援に徹するわ・・・・・」

 「よーしまずは作戦会議だ!全員分の武器も用意したぞ!!!」

 「ほら!いつの間にか集まっちゃった!」

 「この集まり方はおかしいです!!」

 

 

 

 「誤解だったの」

 「人騒がせな」

 「やっぱりね」

 「せっかくだからお茶していくわ」

 静かだった店内が、いつの間にか騒がしくなっちゃった。

 「あっ、ナエちゃんが働いてる!」

 「ラビットハウスにたどり着けたのね」

 「また会えて嬉しいぞ」

 みんな私たちのこと覚えててくれたんだ・・・。

 これって・・・。あの時みたい・・・。

 「騒がしいですよね、すみません。いつもはもっと落ち着いた雰囲気で・・・」

 「ううん、ゴーストホテルの時みたいで楽しい」

 「場所は変わっても空気は変わらないんだね」

 本当に、どこにいるかなんて関係ないんだ。

 

 

 「そういえばマヤ」

 「ん?」

 「私たち、まだチノさんのことあきらめてないから」

 「「「えっ」」」

 「うん、結婚してないってことはまだ私たちにもチャンスあるからね」

 「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

 

 

 

 「チノはさー、女たらしなの治そうよ」 

 「いや、女たらしってわけじゃあ・・・」

 「こんなにたくさんの女の子に囲まれといてー?」

 「すいません・・・・・」

 マヤさんメグさんは不機嫌そうだった。別に女の子を囲ってる自覚はないのですが・・・。

 「冗談だよ」

 「チノ君あったかくて優しいから、自然とみんな集まっちゃんだよ」

 「二人とも・・・、ありがとうございます・・・!」

 僕だけの仕業じゃない。

 マヤさんやメグさん、それにココアさんたち。みんな温かくてお互いを大事にできるからお互いのところに集まるんだ。

 「それよりほら早く!更衣室へレッツゴー!」

 そんなこんなで僕らは更衣室へ向かっていた。あれでもなぜ更衣室へ?

 「あった・・・!」「私たちの制服・・・!」

 ロッカーには赤と水色の少し小さめの制服があった。これを探していたんですね。

 「今はブラバに負けないようパワーアップしてるところだから」

 「シフト入ったらまた3人で集まれるね」

 「・・・はいっ!」

 チマメ隊も3人とも全然違う。

 だからこれからもずっと友達なんだ。

 

 

 

 「私たちがバイトするならやっぱりブライトバニーかな?」

 「でもブラバはマヤたちがライバル視してるし・・・。嫌われたくない」

 マヤたちならそんなことで嫌うことはないかもだけど、やっぱり不安だ。

 とりあえずこの街にもブラバあるし入ってみよう。

 「2名いいですか?」

 同い年っぽい店員の子に話しかける。

 「どうぞ・・・中へ・・・。早く・・・ね・・・?」

 「「やっぱいいです!!」」

 ホラー映画の幽霊みたいな不敵な笑みで応対されて一目散に逃げた。

 

 (マヤとメグのアドバイス、難しい・・・)

 フランクにしてみたつもりだったんだけど。

 

 




ブラバ組早くアニメに出てほしいですね
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