「今年もこの日がやってきました。球技を通じて他校との繋がりを強く・・・」
今年も球技大会の時期がやってきたよ。今回は生徒会長の提案でシャロちゃんたちがいるお嬢様校と対抗試合になったんだ。
「今年の球技大会はいつも以上に賑やかになりそう」
「楽しみだねー」
もしかしたらシャロちゃんと対戦になるかも。友達だけど真剣勝負に手は抜かないよ。
それにマヤちゃんたち妹ズにも試合を見られるから姉としてしっかりしないとね!
「委員長―!」
「今はもう生徒会長だ」
「他校をつないだ架け橋として歴史に残るわね」
「当日は頭ごきげんようなお嬢様共をぎゃふんと言わせるぞ!」
「それが本音かぁ」
まだライバル意識燃やしてるみたい。
「あれ?そういえば男子のみんなはどうするの?」
「ああ、男子はいつも通り校内で対抗試合だ」
「せっかく他校のみんなが来てくれるのに、残念ね」
「そうでもしないと展開が合わないからな」
「展開?」
「フユさんは球技大会何するんですか?」
「バトミントン。チノは?」
「サッカーに決めました」
昼休みにフユさんと一緒に昼食を取りながら話していると、今度ある球技大会の話になった。
「そっか。見に行くね」
「ありがとうございます。じゃあうんと練習しないとですね」
「運動、得意なの?」
「あんまり・・・。またリゼさんに教えてもらわないと」
中学の時のバトミントンみたいにまた必殺技を教えてもらおう。今度こそ成功させるんだ。
「・・・・・・・」
「どうしました?」
「リゼさんとも仲いいんだね」
フユさんはまるで尻尾と耳をふんにゃりさせている子猫みたいに落ち込んでいた。友達の落ち込んでいる姿はこれ以上見たくない。
「僕もフユさんの試合見に行きます」
「ホントに?うれしい」
機嫌が治ったみたい。良かった
「楽しみにしてます」
「任せて。敵は全部殲滅する」
「そこまでしなくても」
やっぱりフユさんは少しズレてるのかも。僕もあまり人のことは言えないけど。
「・・・楽しみだね。球技大会」
「僕もです」
大好きな人に自分の頑張ってる姿を見てもらえる。
こんなに素敵なことはないだろうから。
チノがフユと青い春を過ごしているさなか。
(香風くん、風衣葉さんと今日も青春してる・・・)
(俺ら既に負けてるよな・・・)
他の男子たちからは真の敵認定されていた。
「チノ君はサッカーかー」
「チノがサッカーなんて、何だか意外だな」
「がんばります」
ラビットハウスでも今度の球技大会についての話に花が咲いていた。
「私はまたバレーボールにしたんだ。見に来てねチノ君」
「はい。応援に行きます」
男子の部と女子の部では時間が違うので見学の時間は大丈夫だろう。学年ごとに時間も区切られているのでココアさんの試合を見る余裕もあります。
「私も応援しに行くからね!」
「ありがとうございます」
大好きな恋人が自分の頑張りを見に来てくれる。
想像するだけでやる気が満ち溢れてきてしまう。
「・・・・・・・・・・・」
「? リゼさん?」
「お前らだけずるいぞ」
「リゼちゃん拗ねてる?」
「まあ・・・・・」
「大学生になっても拗ねるんだねー」
「年は関係ない」
リゼさんは卒業して大学に入ったから今回の球技大会には参加できない。卒業した翌年に限ってココアさんの高校と親善試合だなんてより残念だろう。
・・・・・そうですよね。大人だって寂しいと思う時くらいある。
「あ、あの!お土産持って帰りますから!」
「球技大会のお土産って何だよ?」
「グラウンドの砂とか!」
「ぱ、パンフレット!」
「いらん!」
怒らせちゃっただろうか。無意識に仲間外れにしてしまったのかも・・・。
「とびっきりの土産話しか認めない!!」
「「リゼせんせー!!」」
大丈夫だったみたい。大人になってもリゼさんはリゼさんでした。
「ところでリゼさん」
「ん?」
「もし時間があったら球技大会の練習に付き合っていただけませんか?」
「・・・いいだろう。今回も厳しく行くぞ!」
「はい!」
いくつになっても変わってほしくないものがある。
いつまでもリゼさんには僕たちの教官でいてほしい。
「むー!私も一緒に練習したいー!」
「千夜とやるんなら流れ弾に気を付けないとな」
「木組みの街で未解決事件はごめんです」
「もー!私たちだって日々成長してるんだからねー!」
新しい世界に来ても、ラビットハウスは変らないままみたいだ。
リゼさんとの練習を繰り返している間に、いつの間にか大会当日となりました。うちの学校にお嬢様学校の女子生徒の皆さんが来て、学内が一層華やかになっています。
「他の学校の生徒がいると緊張するね」
「リラックスしていきましょう」
と言いつつ僕も緊張しています。大勢の目の前で自分の運動神経を見てもらうなんて、失敗したら・・・と思うと少し不安です。
「チノ」
「はい?」
「部は違うけど・・・一緒に頑張ろう」
「・・・はい」
一緒の試合には出れないけど、隣には友達がいる。
友達の応援に答えなきゃ。
「ところで、他の男子の皆さんもソワソワしてますね」
「お嬢様学校の女子たちにいいところ見せたいんだよ」
「そうですよね。みんな失敗は怖いけど頑張って克服しようとしてるんですね」
「・・・・・チノ」
「はい?」
「良かったね。日頃からハーレムで」
「え?」
「ココアさーん!」
「ココ姉、がんばっ・・・て!」
「チノ君!フユちゃん!」
そんなこんなでココアさんと千夜さんの試合が始まった。相手には臨時の選手として出ているシャロさんがいる。
「千夜―!」
「甘兎魂見せつけちゃえー!」
「マメちゃん!」
「シャロさんこっちみてー♪」
「エル!学校では先輩って言わなきゃ!」
「ナエちゃん!」
マヤさんメグさん、ナツメさんエルさんも応援しています。学校が離れても、友情は変わらないみたいで嬉しい。
(妹たちが見てる)
(この試合)
(本気で行くわ!)
「3人とも気合入ってる」
「妹たちにいいところ見せようと必死なんでしょう」
学校が離れても、思考は変わってないみたいだ。
「おい見ろよ。あの花の髪飾りの先輩」
「ん?」
「ああ、すっげーキレーだよな」
他の男子がうわさをしている。ココアさんのことを言ってるのだろうか。
「俺、黒髪の先輩の方がいいな」
「大和撫子って感じ」
「相手の先輩も綺麗だね」
「きっと家はすごいお金持ちでキャビアとか食べてるんだろうなー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ココアさんたちのことを褒めてくれてる。それは嬉しい。
でもそれと同じくらい何かの危機感も感じていた。
ザッ
「ひぃっ」
「凄い圧が・・・」
いつの間にかフユさんと豆苗隊も集まってバリケードを作っていた。
チノ達が男子に向けていたプレッシャーは。
(なんか後ろからすごいプレッシャーを感じるよ!?)
(下手なプレーなんてできないわ!)
(この勝負死んでも勝つ!)
ココアたちにも余波が届くほどだった。
ココアたちの学校に来たのは学園祭以来。私がいなくても二人は楽しそうにしてる。
ジェラシー覚えちゃうから二人が選ぶであろうバレーは選ばないようにしてたのに。
「1回戦終了―!」
そんなこと考えている間に二人のチームに先手を取られた。
「シャロさん、ドンマイです!」
「次で逆転しましょう!」
「ありがとう・・・」
友達がいないわけじゃないけど、あの二人の輪に入れないとやっぱり寂しい。
・・・だからバレー選ぶのは嫌だったのよ。
「「シャロちゃーん!」」
と思ってたら二人がこっちに駆け寄ってきた。
「シャロちゃんナイスファイト!」
「接戦だったわね!」
「・・・あんたたち、敵側の応援に来ていいの?」
「ううん!今回は学校の枠を超えた友情を育むためだから!」
「敵とか味方とか関係ないわ」
この二人はいっつもそう。
こっちの気持なんか知らずに、すぐに輪の中に入り込んでくる。
この二人と同じ学校だったら・・・。
「それにね、嬉しいんだ」
「嬉しい?」
「こうして試合してると同じ学校の生徒になったみたいで」
「シャロちゃんが向こうで友達と仲良くしてるって聞いたとき、安心したけど少しジェラシーしちゃったから」
「ジェラシー?あんたたちが?」
「「うん!」」
そっか。
寂しかったのは私だけじゃなかったんだ。
「うっ」
「シャロちゃん!?泣いてるけど大丈夫!?」
「どこか打ったの!?保健室に!!」
「違うわよっ」
みんな同じ気持ち。
「敵対してたのにあんたたちがおバカすぎるから、笑い泣きしちゃっただけよ」
だから離れててもきっと繋がれる。
「ほら!第2試合では負けないわよ!後輩たちにいいところ見せなくちゃ!」
「そうだった!友達だとは言え負けないよ!!」
「チノ君たちのハートは私たちがゲット♪」
「それはこっちの台詞よ!」
この球技大会、楽しいかもね。
「あなたたちシャロちゃんの友達?」
「シャロちゃん向こうではどう?購買の特売に突っ込んだりしてない?」
「ええ、気品に満ちた方だと思ってたけど、近頃はとっても面白いのよ」
「最近だと愉快なジョークも飛ばしてくれるの」
「ええー!?どんなのどんなの!?」
「あんたらー!うちの学校の生徒まで絆すなー!!」
いつまでたっても、いつも通りみたい。
「グスッ、すごい良い話だな」
「これぞ学校間を超えた友情だ!」
「そうです。ココアさんたちはすごいんです」
「先輩たちー!愚かなスケベ心丸出しでごめんなさいー!!」
「やっぱ男子って丸出しにするんだ・・・」
自分の学校の生徒たちを絆していることにココアたちが気付くのはもう少し先の話。
長くなりそうなので分けました。後編はチノ君の試合を書く都合上もっとモブ男子の出番が多くなりそうです。苦手な方はご注意ください。