ご注文はチノくんですか?   作:岩ノ森

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チノくんとシャロ

 「ふぅ、買い出しも済んだし、あとは帰るだけですね」

 喫茶店の買い出しを終えて、ボクは帰る途中でした。

 そしてそのさなか事件は起こりました。

 ファサァ・・・

 (ん・・・?)

 歩いているボクの顔の上に何か布のようなものが落ちてきました。

 取り上げて見てみると白い色をした、何かレースのようなものでできていました。よく見ると可愛らしいリボンも付いています。

 これって・・・

 「私のパンツ!!待ってぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 向こう側からシャロさんが凄い勢いで走ってきました・・・。

 

 

 「ホントにごめんなさい・・・」

 「い、いえ・・・・・」

 ボクは今、シャロさんの家に上がり込んでいます。何でもシャロさんが迷惑をかけたお詫びをしたいとのことです。

 それはいいんですがさっきからお互いの顔を見ることができません。

 (シャロさんって、ああいうの履くんだな・・・)

 そんな雑念を心の中で頭を振って振り払います。最近こういうの多いような・・・。

 それに緊張している理由はそれだけではありません。

 (女の子の家に上がり込むの初めてだな・・・・・)

 他の女の子の部屋に上がり込んだことがないのもドキドキを加速させていました。(ココアさんはうちに上がり込んでいる方なのでまた別) 部屋の中からハーブだけではない、いい香りが漂っているような気がします。

 「はい、できたわよ」

 「あ、ありがとうございます」

 出されたのはシャロさん特製のハーブティーです。シャロさんのバイト先でも出しているのでホントに紅茶が好きらしいです。

 「・・・! 美味しいです」

 「そう、よかった」

 お互いようやく微笑んで目を合わせることができました。ハーブの効能でしょうか。

 「このハーブ、シャロさんが自分で育てているんですよね。すごいです」

 「フフ、ありがとう。育ててみると意外と楽しいわよ」

 表情も口調もすっかり柔らかくなりました。ひとまず良かった・・・。

 でもこうしてみるとホントにシャロさんは綺麗です。お嬢様というかお姫様のような雰囲気も漂っているような気がします。

 「今度うちにも来てください。今日のお返しにごちそうしますから」

 「ありがとう、でも、私コーヒー飲めないし・・・」

 シャロさんはコーヒーで酔う体質のようです。この間もヤケコーヒーをしていた時、酔った勢いで抱き着かれて大変でした・・・。

 「それならマシュマロココアをお出しします。それなら酔わないでしょう」

 「ホントに!?それならごちそうになろうかしら」

 喜んだ顔をしてくれました。こちらとしても一人でも多くのお客さんに来てもらうとうれしいのでウィンウィンです。

 「チノくんってよく気が利くし、優しいわね。ココアが弟にしたくなるのもわかるわ」

 「そ、そうですかね・・・」

 いきなり予想外の方向から褒められて頬が熱くなる。外見にまで出てなければいいんだけど・・・。

 「・・・ボクもシャロさんみたいな姉が欲しかったです」

 「えっ」

 「頭もいいし、優しくて綺麗ですし、頑張り屋さんです。姉だったらみんなに自慢できると思います」

 「あ、ありがと・・・」

 よくおじいちゃんから人から褒められたらその人のことも褒めろ、と言われています。これで良かったのでしょうか。

 ・・・・・よく考えるとすごく恥ずかしいことを口走った気が・・・・・。

 「す、すいません!急に変なことを・・・」

 「い、いえ。こっちこそ・・・・・」

 また変な空気に逆戻りです。これ以上変なことを言わないようおいとましよう。

 と思った時でした。

 ピョンッ

 「あっ」

 「ワイルドギース!」

 シャロさんの家に同居しているうさぎさんです。お散歩から帰ってきたのでしょうか。

 「あっあっ」

 「きゃっ」

 そのワイルドギースに脚を取られてしまいました。そして足がもつれて・・・。

 ドサッ

 ボクがシャロさんを、その、いわゆる押し倒す形になってしまいました・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 何分か、そのままの体勢でお互い見つめ合ってました。シャロさん、ホントに顔が綺麗だ・・・・・。

 「・・・・・あの、チノくん・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 話しかけられても、頭に入ってこないくらいには呆けてた。鼻腔にハーブの爽やかな香りと女の子特有であろう柔らかい匂いが流れんでくる。

 「手をどけてもらえると、嬉しいかな・・・・・」

 「・・・・・・。えっ・・・・・・・・・・・?」

 下の方に目をやると。

 ボクの手がシャロさんの胸にあたって、いや鷲掴みにしていた。

 「―――――――――――ッ!!」

 驚愕のあまり、跳ねのけていた。それでもまだ手に、慎ましやかながらも確かあった、柔らかい感触が残っている。

 「ご、ごめんなさい――――――――――――――ッッッ!!!」

 ボクは頭を床にこすりつけて、許しを請うた。外はすっかり暗くなっていた。

 

 

 

 「・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・」

 チノくんが帰った後、私はベッドの上でボーッとしていた。色々ありすぎたので頭を落ち着かせる時間が欲しかった。

 「今度ラビットハウスに行ったら謝ろう・・・」

 色々チノくんに迷惑をかけてしまった。向こうも気に病んでなきゃいいんだけど。

 なんでも男の子を部屋に上げるなんて初めての経験だったし。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 『ボクもシャロさんみたいな姉が欲しかったです』

 「―――――――――――――――――――ッ!!!」

 さっき言われたことを思い出して悶える。別に本気で言ったんじゃないんだろけど。

 ・・・・・押し倒されたときのチノくんの目、意外と男らしかったな・・・。男の子らしく筋肉もあったし・・・・・。

 そんな考えが頭によぎり、顔を枕で覆った。

 今夜は眠れそうにないな・・・。

 




チノくんみんなにドギマギさせられて、みんなをドギマギさせてほしい
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