電車から降り、石のアーチをくぐり抜けるとそこは・・・。
「う、みー!!」
辺り一面、真っ青な大海原が見えた。
「目的達成したわね」
「良い旅だったわ・・・」
「まだ何も始まってない!」
「宝の地図なんですが、実は2種類あって・・・。目的地が違うかもです」
「じゃあ2チーム必要ね」
どうチーム分けしようか迷っていると。
「みんなー、アイス買ったわよー」
「レモン味とソーダ味どっちがいい?」
「!」
千夜さんとリゼさんが2種類のアイスを買ってきた。これでチーム分けできるかもしれない。
「では皆さん、どっちが食べたいか一斉に」
『せーのっ』
ソーダ組
「はじけてくよー!」
「へーい!」
「ノリに巻き込まないで!」
ココアさん、マヤさん、シャロさん。
レモン組
「・・・・・・・」
「えっと、こっちは・・・」
「ビタミンパワーをぶつけるわ!」
「一番体力ないだろ」
僕、メグさん、千夜さん、リゼさん。
というチームになった。
「じゃあ開始―!」
「またここで待ち合わせねー!」
早速宝探しが始まり、僕たちレモン組はソーダ組と別れた。
「この分かれ方って・・・」
「どうした?」
「チノ君の言いたいこと、何となくわかるよ」
「メグさん・・・」
「精神年齢が大人組と子供組・・・とか?」
「向こうはほっとけない感じだものね」
「その発想はなかったです」
「とりあえず私たちも散策開始だ!」
『おー!』
僕たちは宝探しを開始した。
おしゃれな花飾りを見てみたり。
小さな売店の限定アイスを食べてみたり・・・。
「千夜メグのまったりしたオーラに持ってかれてた!」
「地図見直しましょう!!」
「まずはガラス玉を探そう、って書いてあるな」
「そんなの一体どこに・・・」
「みんな~、ラムネ買っちゃった~」
「どうぞ~」
「さっきから飲み食いばっかだな」
・・・あ!
「ラムネってガラス玉入ってますよね」
「でかした!」
「そんなに飲みたかったの?」
「綺麗・・・これが宝物みたいです」
早速ラムネからガラス玉を取り出し、太陽に透かして見る。太陽の光が映ってキラキラしている。
「レモン組遅れを取り戻さなくては」
「あ、そういえばさっき言ってた分かれ方ってどういう意味だ?」
「街を出ていく組。ココアちゃんとシャロさんもそうだけど、マヤちゃんもいずれ街を飛び出していきそうだなーって」
メグさんとマヤさんは昔からこの街で共に育った幼馴染らしい。
「確かにマヤは飛び出していきそうだな」
「まだ気が早いけどね」
そんなに深い関係の友達と離れ離れになるなんて、僕とココアさん以上に寂しいだろう。
それに・・・シャロさんと幼馴染の千夜さんも。
「海と青空を意識したわらび餅・・・新商品のアイディアが出たわ!」
「ここでも相変わらずだな」
杞憂だったかも。
・・・いや、千夜さんは周りが悲しくならないようにあえて元気に振舞う人だ。
内心とっても寂しいに決まっている。
「? どうしたチノ? 何か考え込んでるみたいだけど」
リゼさんだって、年長者として毅然に振舞っているけど本当は寂しがり屋だ。
大好きな友達と離れ離れになって、悲しくないわけがない。
「皆さん」
「んー?」
「寂しかったらいつでもうちに来てください。ラビットハウスはいつでも大歓迎です」
その寂しさはお互い埋め合えばいい。
それが友だち。
それに、離れ離れになってもいつかまた会える。
世界は繋がってるから。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
あれ?
「チノ君!ココアちゃんというものがありながら!!」
「誘惑なんて不純だよ不純!!」
「お前はホストか!?女たらしのホストを目指しているのか!?」
「ちょっそんなつもりじゃっ・・・。痛い痛いっ、ビー玉投げてこないでっ!」
一方ソーダ組。
「ん?」
「どうしたのココア?」
「チノ君がまた無自覚たらしをやらかした予感が」
「奇遇だな、私も」
「あんたたち、将来刺さないようにね・・・」
全く、私がいない間にチノ君はやらかしちゃってることも多いんだから。
本当にしょうがないチノ君だよ。
「地図によるとこの洞窟を進むみたい」
「危険じゃ・・・」
「私が先頭になるから二人はついて来て」
マヤちゃんが先頭になって進む。ちょっとかっこいい。
「マヤちゃん頼もし~」
「将来はトレジャーハンターかしら」
「んー具体的には決めてないけど、色んな場所は見たいからあの街は離れるかもね」
そっか。
ということはソーダ組は・・・。
「私たち、街を出て夢を追いかけるトレジャーハンターだね!」
「それいいね!」
「私もいれるなー!」
「でもメグちゃん寂しがらない?」
「千夜だって寂しがってたでしょ?まあ私は平気だけどねっ!」
「そうねっ!千夜は私がいないとダメなところもあるし心配だわっ!」
強がり言ってるけど二人とも寂しいのが目に見えてる。
そうだよね。ずっと一緒だった大好きな人と離れるんだもん。
寂しくないわけがない。
「二人ともー!街の外でも寂しかったらお姉ちゃんに頼ってくれていいからねー!」
「ココアが一番寂しそうに見えるけど」
「え」
「最近彼氏のチノ君にべったりだもんね」
「そんなことないよー!!」
「「そんなことある」」
「大丈夫だよ!ソーダ組の方が精神的にお姉ちゃんなんだから!」
「あ、今なんかモヤっとしました」
「奇遇だな私もだ」
「ってことは、ココアはチノと遠距離恋愛になるんだな」
「遠距離恋愛だなんてそんな~、えへへ~」
「何で照れてるのよ」
でも離れたからこそ楽しめる関係っていうのもあるし、何だかちょっとワクワクしてきた。
「街で浮気しないようにな~」
「え」
「ココア、何だかんだで美人だし、言い寄ってくる男の子は多いでしょうね」
「大丈夫だよっ!私は生涯チノ君しか愛さないって決めてるんだからっ!!」
「ご、ごめん。そんなに怒るんなんて・・・」
「悪ふざけにしても度が過ぎたわ・・・」
「う、うん・・・。こっちこそごめん・・・・・」
でも、どうしよう。そう考えると、今は毎日チノ君と会って愛を確かめられてる。
急に離れ離れになって関係性が変わって。
何があっても私はずっとチノ君のことを思えるのかな。
「・・・逆にチノが残された3人を囲ったりして―」
「こらっマヤちゃん!」
「ご、ごめんよー・・・」
「・・・・・・・・・・」
「「・・・・・・・・・・・」」
「それはあるかもしれない・・・」
「ねー・・・」
「ええ・・・」
「ぶるっ、何だか寒気が・・・」
「奇遇だな、私もだ・・・」
「夏真っ盛りなのにー・・・」
「風邪ひいちゃったかしら・・・」
「でもさ、街を出るって嫌なこともあるかもだけど、きっと楽しいこともたくさんあるよね」
「別に今住んでる街を見捨てるわけじゃないのよ」
「もっと見聞を広めてさぁ、世界中の素敵なものを木組みの街に広めたり、なんていいよね」
ワクワクしているそんな二人は、とても輝いて見えた。
まるで宝物みたい。
「まあ根拠はないけどさ」
「きっとココアも大丈夫」
「―――っ!うんっ!」
私たち、考え方が似てるのかも。きっと道が分かれてもね。
みんなの夢が重なる未来が。
「あーっ!」
そんなことを考えて歩いていると、一筋の光が先に見えた。
「出口だー!」
「光が眩しいわ」
未来もこんな風に輝いてる、だったらいいな。
「私が一番乗り―!」
「ちょっ」
「競争かー!?」
洞窟の出口までダッシュ!
そして光の先には・・・。
「あれ?」
「え?」
頭にティッピーを乗せた・・・チノ君?
「「何で―!?」」
「目的地同じかよ」
「つまりこの場所への過程を2パターン描いた地図だったと」
「ややこしいです」
「ねえ、この場所って・・・」
『浜辺・・・!』
辺りを岩壁に囲まれた、秘密基地みたいな綺麗な浜辺だった。
青い空に白い雲、そして輝いて見えるくらいの浜辺。
これが宝物・・・。
「ここにお宝があるのかなー」
「あの船とか怪しくない?きっとあの中に・・・」
「とつげきー!」
「泳ぐつもりなかったんじゃ!?」
「そんなこと言ってないよー」
いつの間にか水着に着替えた、というか下に水着を着てきていたココアさんが真っ先に海に飛び込んでいた。
「水着は下に着てくるよねー」
「メグも!?」
「お先にー♪」
「千夜とリゼまで!?」
「砂浜があるなんて期待してなかったけど」
「結局皆期待してたじゃん!!」
どうやら皆、海で泳ぐ気まんまんだったみたいだ。
「どうやら皆さん、思いは同じだったみたいですね」
「全く子どもなんだから―」
ココアさんたちはみんな童心に帰ったみたいに遊んでいる。
「例え道が分かれても、行きつく先はみんな同じ、かー」
「何ですかマヤさん、突然深いこと言って」
「バカにすんなし!私だって将来のこと考えてるよ!」
「ははっ、ごめんなさい」
まるでココアさんみたいなポエマーなことを言う。
でも悪い気はしなかった。
「マヤちゃーん!チノくーん!おいでー!」
ココアさんがはしゃぎながら手を伸ばしている。
「じゃあ私たちも」
「行きましょうか」
煌びやかな、宝物みたいな日
「「うみだー!!」」