ご注文はチノくんですか?   作:岩ノ森

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今回ちょっと下ネタがあります。苦手な方はご注意ください。


チノくんとお泊まり会

 「みんなー!今日は私と遊んでくれてありがとー!」

 雨の日のラビットハウス、珍しくシャロさんが遊びに来ています。

 今のハイテンションはコーヒーのせいだそうです。シャロさんはコーヒーで酔っぱらってしまうらしいです。

 「時間が空いたらいつでも来てねー」

 「いいの?行く行くー」

 いつもはおしとやかなシャロさんが今ではココアさんと同レベルになってしまっています。

 「ココアが二人になったみたいだ・・・」

 リゼさんがつぶやきました。僕と同じことを思っていたみたいです。騒がしさが二倍どころか二乗になっている気がします。

 「チノくんふわふわー」

 「えっ、わっ」

 その勢いでシャロさんに抱きしめられました。とっさのことで動揺して振り払うこともできません。

 「うふふ、もふもふー」

 「あっ、あっ・・・あの・・・・・」

 シャロさんの体からはとてもいい匂いが漂ってくる。紅茶のかぐわしい香りに交じって女の子であることを感じさせる甘い匂いが。それに慎ましやかな体型からは想像できないくらい柔らかな感触をしていた。

 「むー!シャロちゃんばっかりずるい!!私も!!!」

 「えっ、ちょ、ココアさ」

 反対方向からココアさんが抱き着いてきた。当然ボクの体はシャロさんとココアさんの体にサンドイッチされた。ボクは異なる感触の柔らかさと甘い匂いに双方から包み込まれた。脳が情報を処理しきれず、意識が遠のく。

 「仲がいいわね、三人とも」

 「お前らいい加減にしろー!!」

 千夜さんはいつも通りおっとりした様子で状況を面白がっていました。リゼさんはなぜか不機嫌な様子でした。

 

 

 ひと悶着合った後、酔っぱらったシャロさんを千夜さんが連れて帰ろうとしました。ですが道中(と言っても10mくらいしか離れていない)千夜さんが力尽きてしまい、見かねたボクはシャロさんと千夜さんに、今夜はラビットハウスに泊まってもらうことにしました。そのまま流れでリゼさんにも泊まってもらうことになり、予期せぬお泊り会が始まりました。

 「お風呂あがったぞー」

 リゼさんとココアさんがお風呂から上がったようです。ちなみにずぶぬれになった千夜さんとシャロさんには真っ先にお風呂に入ってもらいました。

 「チノくんお風呂最後で良かったの?」

 「最後の方がゆっくりできそうなので」

 それもありますが、女性の皆さんは男のボクが入ったお風呂に浸かるのは女の子として嫌でしょう。暗黙のうちに気を使っていました。でもゆっくり浸かりたいのもホントなので別に不満はありません。

 「? 何かココアの匂いしません?」

 「えっ、わ、私の匂い?」

 「いえ、飲む方のです」

 ココアさんの顔が瞬時に赤くなりました。浸かりすぎてのぼせたのでしょうか。湯冷めしないといいんですけど。

 「ああ、そっちかー。あはは」

 「何勘違いしてるんだ。ああチノ、これは入浴剤だよ」

 そういえばうちの備え付けの入浴剤にそんな香りのがあった気が・・・。二人の体からココアの甘い匂いが立ち上ってきています・・・。

 ・・・その匂いをかいでいたら体が熱くなってきた。まだお風呂にも入っていないのに。

 甘い匂いにやられる前に、早くお風呂に入って頭をすっきりさせましょう。

 でもそれらの判断が間違いだったということに、ボクはすぐ気づくことになります。

 

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ボクはお風呂場で佇んでいた。辺りには一面にココア(飲む方)の甘い匂いが立ち込めていた。

 肌寒いので湯船に早く浸かりたかった。でもどうしてもその勇気が出せなかった。

 

 ・・・・・このお風呂に、シャロさんも千夜さんも、リゼさんもココアさんも浸かったんだ・・・・・・・

 

 ふっと頭によぎった。きめ細やかな肌の、四つのふくよかですらっとした肢体が。

 もしこの湯船に浸かれば、四人の躰を肌で感じるのと同じことになるのでは。

 ココアさんのふっくらした肌、リゼさんの張りのある胸、千夜さんのふくよかな乳房、シャロさんのむっちりしたお尻を。全て。

 ボクはブンブンと頭を振って頭からその考えを追い出す。こんな状態で湯船に浸かれるわけがなかった。

 今日はシャワーだけにしよう。肌寒いけど仕方ない。そうしよう。

 自分を納得させたところでシャワーを浴びようとした。けどその瞬間、湯船に何かぷかぷか浮いているものを見つけた。

 「?」

 あれはなんだろう?髪の毛?それにしては短いような。みなさん髪は長い方だし。それによく見るとちぢれて・・・

 

 ブボッッッ!!!!!

 

 ボクは耐えきれず、鼻から血を噴出して、お風呂場一面を赤い色で染めてしまった。

 

 「へっくちっ!」

 「あれ?チノくん風邪?」

 「ええ・・・。ちょっと訳あってシャワーだけで済ませたので・・・」

 「でもその割には長風呂じゃなかったか?」

 「・・・・・すいません・・・・・・・」

 「いや、謝ることじゃないと思うぞ・・・」

 

 

 

 「とっておきの話があるの。切り裂きラビットっていう実話なんだけど」

 千夜さんの提案で、みんなが心に秘めていることを話し合うことになりました。要は怪談です。千夜さんはノリノリで、他の方々は縮こまっている様子でした。

 ボクも怖い話は苦手なのですが・・・。

 「昔ある喫茶店に一匹のうさぎがいました」

 怪談よりも気になることが・・・。

 「そのうさぎの周囲では次々と殺人事件が・・・!」

 ふわぁ~ん

 (めちゃくちゃいい匂い・・・!)

 お風呂上がりの、シャンプーや石鹼が入り混じったみなさんの香りが気になって、集中できなかった。

 「という話なの。おしまい♪」

 「絶対取り憑かれる・・・」

 「あわわ・・・」

 「・・・チノ、お前意外とこういうのに強いんだな」

 「えっ、ああ・・・。そうですね・・・」

 

 千夜さんの怪談が終わったころ、夜はすっかり更けていました。ボクたちは寝ることにしました。女性の皆さんは同じ部屋で、ボクはもちろん一人自分の部屋で。

 「ふぅ・・・・・」

 予期せぬお泊まり会でしたが、色んなことがありました。色んなことがありすぎて疲れた・・・。

 ベッドに潜り、布団を被りました。でもすぐには寝られませんでした。

 眠るために目を閉じると、いろんな考えが浮かんできます。

 (よく考えると、他人を家に泊めるなんて初めてだ・・・)

 以前のボクなら絶対に考えられないことでした。あまり他人と話したり関わったりしなかったので。

 (ココアさんが来てからだな・・・)

 ココアさんが来てから、ボクの周りは騒がしくなりました。今日だってそうです。

 ボクは静かな環境の方が好きなのですが・・・。

 (でも・・・・・)

 静かな方が好き、でも今日みたいな騒がしさもとても心地よく思えました。

 ココアさんの元気な騒がしさ、リゼさんの軍人じみた騒がしさ、千夜さんのお茶目な騒がしさ、シャロさんの慌ただしい騒がしさ。

 (できることなら・・・長く続いてほしいな・・・・・)

 そんなことを考えているとゆっくりと眠気が体を包んでいきました。

 ボクはその眠気に身を任せた。

 夢の中でも、その騒がしさを楽しめることを祈りながら。

 

 

 『チノくん』

 『えっ』

 気が付くとボクはココアさん達に囲まれていた。それだけならいつもの日常と変わらない。でも普段と違うのは。

 『な、なんで・・・そんな姿を・・・』

 ココアさんたちはが身に付けているのは、白く透き通った布一枚だけだった。それ以外は下着すら身に付けていない。布の隙間からきめ細やかな肌や膨らんだ胸が丸見えだった。

 『チノくんが喜ぶと思って』

 4人は微笑みながらボクにゆっくりと近づいてくる。薄く透き通った布一枚で。ボクはその姿を見て、羽の生えた天使を幻視してしまった。

 『みんなチノくんのこと、大好きだから』

 少し動くとみんなの大事な部分が見えそうだ。でもみんなはそれに一切構わない。

 ボクも、思わず4人の方に自然と足が向いていた。

 『今は、たくさん楽しもう?』

 ボクはこくりと頷いた。そして4人の柔らかな躰に身をゆだねた。

 

 

 「はっ」

 カーテンの隙間から朝日が、窓の向こうからは小鳥のさえずりが聞こえてきます。今は朝みたいです。寝汗をかいたらしく、体がベトベトします。

 ボクは自分の体をペタペタ触ったり、肌をつねったりしました。ちゃんと痛みを感じます。ということはここは現実です。

 ということはさっきの光景は・・・

 (ボクはなんて夢を!!!)

 恥ずかしすぎて自分で自分の顔を覆います。体も火に包まれたように暑いです。

 いくら皆さんが魅力的だからって、いくら夢だからって、罪悪感からそんな自答が止まりません。

 ・・・そういえば夢の四人は泊まってるんでした・・・・・。

 (顔合わせられるかな・・・・・)

 あまり会うことに気が進みません。現実で特に悪いことはしてないんですが・・・。

 あまりおぼつかない足取りで、ボクは皆さんに会いにリビングへと向かいました。

 

 

 「み、皆さんおはようございます・・・」

 「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 あれ、何か皆さんの様子が・・・?

 「? 皆さん、どうかしましたか?」

 「!!!ううん!!なんでもないの!!!」

 「そ、そうだ。何でもないんだ」

 ココアさんとリゼさんが、何かごまかすようにしゃべり立てます。

 「でもちょっと顔が赤いですよ」

 「ああ、これは、みんな寝苦しくて寝汗かいちゃって!」

 「そそそ、そうなのよ!ちょちょちょ、ちょっと寝つきが悪かったのかしら!!?」

 千夜さんもシャロさんも何かを弁明するように話します。話しててさらに顔が赤くなっている気が・・・。

 「何か悪い夢でも見たんですか?」

 「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」

 「?」

 「夢なんて見てないよ!」「そうだ断じて見てない!!」「うんうん変なことなんてしてないから!!!」「怪談で寝つきが悪かっただけ!!!!」

 すごい焦った顔でまくし立ててきます。まあボクも夢のことは言えないんですが。

 でも。

 (朝から騒がしいですね・・・)

 昨日願ったことが叶ったのかな。

 

 今日も明日もこんな騒がしさが続きますように。

 




チノくんはラッキースケベな目にたくさんあってほしいという願望、というか欲望
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